2886.米国は次の危機へ



米国の金融機関は何かがおかしい。     Fより

証券大手ベアー・スターンズの資金繰り悪化は、格付けの下落から
「取り付け騒ぎ」に襲われたことが原因であった。しかし、格付け
の悪化は、米貯蓄金融機関(S&L)大手ワシントン・ミューチュ
アルにもなされるために、このワシントン・ミューチュアルにも取
り付け騒ぎが起きるだろう。金融機関の多くが今後格付けの悪化を
避けられないので、倒産が頻発することが予想できる。

もう1つ悪い情報は、中東の政府系ファンドがシティに2兆円の投
資をした。しかし、シティは今後も自己資本の増強をしないと持た
ないが、中東政府系ファンドの損失は、この1ケ月で40%の
8000億円にもなっている。追加の増資には政府系ファンドとい
う手前もあり、そう簡単には承認されないという。政府の公的資金
なしでは増資も出来ない事態が、すぐそこまできている。もし、増
資ができないと倒産か地方銀行に格下げとなり、大銀行ではないこ
とになる。日本での業務もできない。

そして、サブプライム問題では、唯一、空売りを仕掛けたゴールド
マン・サックスだけが40億ドルを儲けたはずであったが、そのゴ
ールドマン・サックスも損失が出るという。それでは、米国金融機
関で損失を出していない金融機関はないことになる。このように
絶望的な展開になってきているが、まだブッシュ政権は動かない。

もう1つ、いやな情報は、ゴールドマン・サックスの損失がヘッジ
ファンドやデリバティブに絡んだ物であることである。デリバティ
ブに金融混乱が波及すると、これは金融機関が大きく絡んでいるた
めに、世界的に大きな影響を与えることになる。

今までは、欧米の金融機関の損失にほとんど限定していたが、ヘッ
ジファンドの倒産を引き起こして、信用収縮が世界的になるし、先
物取引ができなくなる事態が起こることになる。ヘッジができない
現物のみの金融取引に限定されることになると世界展開している日
本のトヨタやキャノンなどの大企業も大変なことになるようだ。

さあ、どうなりますか??
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米ゴールドマン・サックスが30億ドルの評価損公表へ−英テレグラ
フ 

  3月16日(ブルームバーグ):英紙サンデー・テレグラフは16
日、米ゴールドマン・サックスが今週、30億ドル(約2973億円)の
評価損を発表する予定だと伝えた。 

  同紙によると、ゴールドマン・サックスは2007年12月−08年2
月(第1四半期)の決算で約50%の減益を公表する見通し。同社の
評価損は金融市場の混乱がウォール街の最有力会社にも悪影響を与
えている状況を示すことになる。 

  同紙によれば、ゴールドマン・サックスの評価損の一部は中国
工商銀行(ICBC)への4.9%の出資分の資産価値下落によるもの
だという。また、同社はレバレッジドローンなどでも損失を計上す
るとみられる。
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米FOMCは18日に最低100bp利下げの見通し=シティグループ
2008年 03月 15日 08:28 JST 

[ニューヨーク 14日 ロイター] 米シティグループ(C.N: 株
価, 企業情報, レポート)は14日、米連邦準備理事会(FRB)は
金融市場の安定化に向け、18日の連邦公開市場委員会(FOMC
)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準を最低100
ベーシスポイント(bp)1%引き下げるとの見通しを示した。

 シティのエコノミストは「今ここにある危機」と題されたリポー
トのなかで「一段と大幅な利下げの可能性も強く考慮すべき」とし
た。

 JPモルガン・チェースとニューヨーク連銀が協調したベアー・
スターンズへの緊急資金供給策については、「現在のシステムの弱
さを浮き彫りにした」との見方を示した。
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病める米…公的資金注入論噴き出した(IZA)

サブプライム住宅ローン問題に端を発した米国の金融不安は14日
、米連邦準備制度理事会(FRB)が証券大手、ベアー・スターン
ズの資金繰り支援に乗り出す事態へ発展したことで、一気に「金融
危機」への警戒感が強まった。連銀が個別の金融機関の支援に乗り
出すことは異例中の異例であり、「病める」米金融市場の今の姿を
象徴している。その深刻さに、サブプライム問題の根治に向け、金
融機関への公的資金注入論も一気に吹き出してきた。

■大恐慌以来

 ベアーへの緊急資金支援の重大さは、FRBの受け止め方にうか
がえる。共同通信によれば、FRB幹部は14日、証券会社など銀
行以外の金融機関に対する資金支援は1929年に始まった大恐慌
以来であることを明らかにしたと、米メディアが伝えたと報じた。

 ベアーのアラン・シュワルツ社長兼最高経営責任者(CEO)は
14日「過去24時間に急速に資金調達が困難になった」と事実上
の「取り付け騒ぎ」に襲われたことを明かした。証券大手の一角が
短期間に破(は)綻(たん)の危機にひんした事態に市場関係者は
震え上がり、14日のニューヨーク株式市場はほぼ全面安となった。
外為市場もドル売りが加速、12年半ぶりとなる1ドル=98円台
をつけた。

 金融システムへの不安が一段と加速したことは、FRBを追加利
下げに誘い込むとみられるものの、ドル下落や原油急騰によるイン
フレ懸念など一段の金融緩和には弊害も予想され、政策対応に手詰
まり感が漂っているのも確かだ。
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米ベアー、身売り観測が急浮上・格下げで資金調達困難に
 【ニューヨーク=財満大介】ニューヨーク連邦準備銀行と米大手
銀JPモルガン・チェースが14日、米証券大手ベアー・スターンズ
に対し緊急の融資枠を設定したと発表したのを受け、米金融市場で
は同社の身売り観測が急浮上した。破綻の危機はひとまず脱したが
、相次ぐ格下げで資金調達が厳しさを増し、単独での生き残りが困
難との見方が強まったためだ。

 米金融当局は金融システムの維持に向けた強い意志を示したが、
金融機関の信用リスクを示す指標は急速に悪化。市場関係者からは
「信用不安の解消にはほど遠い」との声が漏れる。(07:02) 
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米ムーディーズ、ワシントン・ミューチュアルを格下げ 
(nikkei)
 【ニューヨーク=蔭山道子】米格付け大手ムーディーズ・インベ
スターズ・サービスは14日、米貯蓄金融機関(S&L)大手ワシン
トン・ミューチュアルの格付けを「Baa2」から「Baa3」へ
1段階引き下げた。「Baa3」は投資適格等級のなかで最も低い。
格下げは1―3月期の住宅ローン市況が急速に悪化しているため。

 ワシントン・ミューチュアルは住宅ローンの焦げ付き増加で信用
コストが膨らみ、資本を十分に積み増せないとの見通しを示した。
年内に一段と格下げする可能性もあるとしている。 (08:12) 


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