2881.IPS万能細胞について



ノーベル賞候補となりうる革命的な研究成果が、日本から生まれた。
それがIPS万能細胞研究だ。   Fより

山中伸弥・京都大学再生医科学研究所教授は、ヒトの皮膚細胞から
ヒト胚性幹細胞(ES細胞)に匹敵する人工多能性幹細胞(IPS
細胞)を作り出すことに成功した。

この成果は、一度分化した細胞の若返りが可能であることを実証す
るとともに、受精卵から作るヒトES細胞が抱える倫理的問題や、
再生医療における免疫拒絶反応の課題をクリアし、自分の細胞で難
治性疾患を克服する、真の意味での再生医療の開発にブレイクスル
ーをもたらした。

人の皮膚細胞に4種類の遺伝子をレトロウイルス・ベクターとして
アデノウイルスを用いた。たったこの4種類の遺伝子が細胞のリプ
ログラミングに欠かせないものなのだ。

このIPS万能細胞研究では米国のハーバード大学とマサチューセ
ッツ工科大学(MIT)、英国ケンブリッジ大学など世界の研究機
関で競争が起こり、再生医療研究の最先端を切り開いていくことに
なる。
また、米国ではブッシュ政権がES細胞研究に研究費を出さないと
いう問題も起きていたが、それも解決した。福音派やローマカトリ
ックもこれには文句を言えない。ということで宗教上の倫理的な問
題もなくなった。

IPS万能細胞とは何か?
受精後の細胞などの万能細胞は、何の機能細胞にでもなる可能性が
あり、神経などの細胞が損傷したときに、その細胞を新しく作り直
すためにその万能細胞を送り込むとその機能細胞が再生する。この
ように万能細胞を特定の機能細胞にすることで、再生医療に大きな
一歩と成っている。

いままでは人の受精卵ES細胞からの再生医療であり、倫理的な問
題があったが、中山さんが発明したIPS万能細胞は人の皮膚細胞
からできるので、その心配がない。

そして、特に有望なのは第1に、世界中に数えるほどしか患者がい
ない「超早期老化症」などの原因不明の超難病。患者のiPS細胞をさ
まざまな組織の細胞に分化させ、普通の細胞と比較して発症原因を
探り、薬剤を開発することができる。

 第2に、多数の患者がいるが、心筋や中枢神経などに関わる病気
で、原因究明のための生検(組織の一部を取って行う検査)ができ
ないケース。iPS細胞から心筋や神経細胞を試験管内で作り、原因解
明・創薬に直接利用できる。

 第3に、生命科学研究では広くマウスが使われるが、動物愛護の
高まりからイヌやサルといった高等動物の利用は非常に難しくなっ
ている。iPS細胞開発により、実験動物の必要がなくなる可能性があ
るという。これらのことはすぐ手が届くところまできたのである。

 また現在、国内外で組織幹細胞を用いた臨床試験が進められてお
り、再生医療は夢物語ではなく、身近に迫った現実的治療法となっ
た。iPS細胞は組織幹細胞に比べて、さまざまな組織へ分化するこ
とができ、より多くの疾患を根治し、より多くの人々を救う再生医
療につながると期待される。

国もこの研究をサポートする方向であり、日本で再生医療を確立し
て複数個のノーベル医学賞を貰おうではないか。

さあ、どうなりますか?
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万能細胞、臨床研究へ指針 厚労省が安全性確保狙い(ASAHI)
2008年02月24日17時26分

 体細胞からつくる万能細胞(iPS細胞)を使った研究が進む中
、人への臨床研究についてのルールがないことから、厚生労働省は
臨床研究の指針づくりに乗り出すことを決めた。研究班を立ち上げ
て3月末までに問題点を整理した上で、早急に指針をまとめる。 

 iPS細胞はさまざまな組織や臓器のもとになる能力があり、拒
絶反応のない細胞移植や再生医療などへの応用が期待されている。
しかし、治療法の確立に欠かせない臨床研究について、ルールを定
めた指針などはまったくないのが現状だ。 

 このため厚労省は臨床研究の安全確保のための指針が必要と判断
した。iPS細胞の作製から人への移植までの過程で生じる問題点
などを研究班で検討し、新年度からの指針づくりにつなげる。 

 先端生命科学を応用した臨床研究では、骨髄中の造血幹細胞など
体にもともとある幹細胞については、臨床研究指針がすでにある。
遺伝子を組み込んだ細胞を体内に入れたりする遺伝子治療でも指針
が定められている。 

 iPS細胞は昨年11月に京大などが「作製成功」を発表して以
来、研究が急速に進んでおり、厚労省は指針づくりが後手に回らな
いよう、こうした現行指針の活用、拡充なども視野に、指針づくり
を急ぐ。 
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万能細胞のがん化、ほぼ回避 京大の山中チームまた前進
2008年02月15日12時16分

 さまざまな細胞や組織になりうる万能細胞(iPS細胞=人工多
能性幹細胞)を治療に応用するにあたり、大きな障害と考えられて
きた細胞のがん化は、iPS細胞をつくる際に特定の遺伝子を使わ
なければ防げることが、京都大の山中伸弥教授らの研究グループに
よるマウス実験でわかった。遺伝子の運び役のレトロウイルスがが
ん化に関与していないことが解明されたためだ。14日付の米科学
誌サイエンス電子版に発表する。 

 これまでiPS細胞は、細胞の遺伝子に溶け込む性質を持つレト
ロウイルスに4種の遺伝子を乗せ、皮膚の細胞に入れてつくってい
た。このiPS細胞を使って大人のマウスを育てると、2割という
高率でがんが発生し、安全性に疑問が出されていた。 

 山中教授らは、がん化の原因について(1)4種の遺伝子のうち
、c―Myc(シーミック)遺伝子が起こしている(2)4種の遺
伝子を入れるのに使ったレトロウイルスが、染色体にあるがん発生
に関係する遺伝子を刺激する、という二つの可能性を考えた。 

 (1)の要因については昨年、c―Myc遺伝子を除いた3種の
遺伝子でiPS細胞をつくり、26匹のマウスを100日間育てた
ところ1匹もがんにならなかったことから、可能性が高いことがわ
かっている。(2)の要因は、ウイルスが入る場所が少なく、追跡
しやすいマウスの胃粘膜や肝臓の細胞からつくったiPS細胞で調
べた。その結果、ウイルスは、がん関連遺伝子を刺激するような場
所に入っておらず、がん化はc―Myc遺伝子を使わないことで防
げる可能性が高まった。 

 山中教授は「レトロウイルスを使うのは、考えていたほど危険で
はないことがわかった。さらに調べて安全性を確認、応用の基礎を
固めていきたい」と話している。 



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