2880.米国経済危機の対応策



米国の景気後退が明確になっている。この対応策を検討しよう。
                      Fより

2月の米国雇用統計が発表され、雇用が6万人と大幅な減少になっ
ている。製造業指数も景況悪化になってきた。また、シティも1万
人以上の従業員を減らす方向である。このように金融不安から実体
経済の指数にも景気後退を示すことになっている。

バーナンキFRB議長も中小銀行の倒産もありえるとしたが、米住
宅ローン会社ソーンバーグ・モーゲージがデフォルトとなったと報
道されたように、3月期の決算で金融機関の損失拡大がどこまでに
なるか気がかりな事態になっている。

このように米国経済は景気後退になっているが、この対策として
何があるのでしょうか?

1つは戦争経済で、景気浮揚を図ろうとするネオコンや軍産関係者
とそれとは正反対にイラク戦争から撤退して、戦争経費を景気対策
に使う金融・IT経営者の2つの道がある。軍産の味方がブッシュ
現大統領であり、マケイン共和党候補であるし、金融・IT経営者
の味方がクリントンであり、オバマの両民主党候補なのでしょうね。
景気浮揚策が両民主党候補から真剣に提案されるのは、このためで
ある。

戦争拡大は現時点ではできない。米国地上兵力は50万人しかいな
い。イラク駐在13万人とアフガン駐在3万人を合せると16万人
で、最大1年間で交代し、米国2年勤務とすることを勘案すると、
3倍の部隊が必要になる。とすると、陸軍50万人は現時点で飽和
状態になっている。

もし、新しい戦争をするなら、イラクから撤退して新しい戦争を始
めるか、NATO軍や日本の自衛隊を使うしかない。
しかし、NATO軍もアフガンでさえ増強ができない事態になって
いるし、コソボなどとEU周辺の治安維持を考えると、これ以上の
新しい戦争にEUも反対する可能性が高い。日本は国内政治混乱で
インド洋での任務もできない事態になったように新しい戦争に駆り
出すのは無理である。

しかし、イスラエルは自国の安全のために米軍をイランと戦争させ
たいようだ。イラク戦争には米国民の3割を占める福音派信者を味
方にして、できたが現時点、福音派信者がイラン戦争に賛成するよ
うなことはない。福音派若い信者の多くがイラク戦争に正義感で行
ったが、戦争の悲劇を知り戦争反対にシフトしている。

しかし、戦争の可能性があるために、それに対してイランも対抗処
置を取る可能性がある。レバノンのヒズボラをイスラエルに対抗さ
せるようである。そして、イラク経済支援をイラン大統領はバクダ
ッドに行って確約するという事態になっている。イラク現政府首脳
はシーア派であるために、シーア派イランとは非常にいい関係なの
である。

このようなことで、サウジなど湾岸諸国もイランとの友好関係を確
認している。イスラエルと米国が反イスラムで動くと全イスラム諸
国から反発されることになる。このように、現時点クリンチ状態に
なっている。

このため、EU中心の戦争にするために、東欧圏のウクライナやコ
ソボなどロシア圏の諸国に親欧米政権を作り、ロシアが襲い掛かる
ような仕組みを作っているようにも感じる。こうすると、コソボ紛
争のように米軍は航空攻撃主体で、地上軍はEU諸国になり、米軍
の地上兵力不足は解消できる。しかし、新しい戦争はないと私Fは
感じる。

米国経済の縮小になれば、EUもドルからユーロに基軸通貨が移行
することは間違えない状況になると知っている。ここで米国経済を
助ける必要はない。

米国中産階級以下の国民は保険に入れない。月20万円程度の給与
しかないのに、保険料月7万円以上の負担では会社の保険制度がな
い一般国民のほとんどは保険に入れない。この事態を変革しようと
するクリントンや景気対策にイラク撤退後の軍事予算を回そうとす
るオバマ候補にどう対応するか、軍産をバックにしたマケイン候補
は、負ける可能性も高いように感じる。

しかし、聖書絶対主義の福音派信者は黒人の大統領を認めるかとい
うと、それは無理である。共和党選挙参謀のカール・ローブは民主
党オバマ候補なら、勝てるチャンスがあると見ているはず。

どちらの党が大統領になっても、国家が金融機関に公的資金を投入
することになる見るし、バーナンキ議長は、政府にそう促している。
それがこの所の悲観論であると見る。そして、公的資金の投入が遅
れるほど、米国経済はその悲劇度が増す構造になっている。景気回
復が遅れることになる。

このままであると、日本より初期に立ち直る製造などが弱く、立ち
直りが後になるサービス業が強いために、立ち直りが難しく米国は
「失われた20年になる」と見る。

さあ、どうなりますか?
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米雇用6万3000人減・2月、5年ぶりの減少幅
(nikkei)
 【ワシントン=藤井一明】米労働省が7日発表した2月の雇用統計
(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は前月に比べ
6万3000人落ち込んだ。1月も当初発表の1万7000人減から2万2000人
減に下方修正した。2カ月連続のマイナスとなり、2003年3月以来、
約5年ぶりの大幅な減少を記録した。4年以上拡大を続けてきた米国
の雇用が縮小局面に入る恐れが出てきた。

 2月の雇用者数について市場予測の平均は2万5000人増で、結果は
大幅に下振れした。失業率(軍人を除く)は4.8%で前月を0.1ポイ
ント下回った。(07日 22:51) 
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景気減速、全米に広がる FRB景況報告(ASAHI)
2008年03月06日10時16分

 米連邦準備制度理事会(FRB)が5日発表した1〜2月下旬の
全米12地区連銀の景況感報告「ベージュブック」によると、景気
減速が全米に広がった。景気の拡大傾向を示していた1月中旬の前
回報告と比べて失速感が濃厚で、サブプライム問題の影響が広範に
及んでいる。 

 報告は、12地区すべてで「年初から経済成長が鈍ったとみられ
る」と指摘。「企業活動は3分の2の地区で弱まった。小売りも、
ほとんどの地区で鈍化。製造業は、ほぼ半分の地区で足取りが重い
」とした。住宅市場は全般的に停滞し、商業不動産市場も「緩慢に
なりつつある」という。 
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FRB議長、住宅認識厳しく・追加救済策求める 
(nikkei)
 【ワシントン=藤井一明】米連邦準備理事会(FRB)のバーナ
ンキ議長は4日、フロリダ州で金融業界の関係者を前に講演し、不振
が続く住宅市場の現状について「資産価値のマイナスが広範囲にみ
られる点で、過去とは違う」と述べ、異例の厳しい状況にあるとの
認識を示した。同時に信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライ
ムローン)の借り手の救済を巡り、元本のカットを含む追加策の検
討を求めた。

 政府、FRB、金融機関は昨年12月、サブプライム対策として借
り手の一部へのローン金利の凍結などを柱とする救済策で合意した
。バーナンキ議長はその後も住宅の差し押さえが増える懸念が強い
点を説明し、住宅の値下がりが借り手の返済能力をさらに弱める悪
循環にも言及した。

 このため「現状は強力な対応を要している」と表明。元本のカッ
トに踏み込めば「貸し倒れのリスクが減り、返済の増加が期待でき
る」との見方も示した。 (00:12) 
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モーゲージ会社デフォルトで米公的資金注入視野に
2008年 03月 7日 10:35 JST 
<第一生命経済研究所 主席エコノミスト、嶌峰義清氏>


 前日の米国株式は米住宅ローン会社ソーンバーグ・モーゲージ
(TMA.N: 株価, 企業情報, レポート)が、債権者からの追加担保差し
入れ要求に応じず、デフォルトとなったとのニュースに反応した。

 3月中旬からはゴールドマン・サックスなどを皮切りに米大手金
融機関の決算発表が始まる。1─3月期の決算でサブプライムロー
ン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)絡みの損失拡大の公算が
大きいとみており、信用収縮・金融システム関連の悪材料の噴出が
ピークを迎えつつあるのではないか。

 逆に言えば、米国での公的資金注入が視野に入ってきたとみるこ
とができる。5日に出た米下院民主党が住宅市場支援法案を策定し
ており、質の悪化した住宅ローンを政府が買い取る案を協議してい
るとの報道は、それが近いことを裏付けているのではないか。 
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イラン、イラクのインフラ整備に融資検討
(3/4 nikkei)
 【ドバイ=加賀谷和樹】イラン政府はイラクのインフラ整備など
を支援するため、イラン企業への発注を条件にした10億ドル(約1040
億円)の「ひもつき融資」の検討を始めた。イラン外務省のシェイ
クアタル次官が1日までに国営テレビを通じて明らかにした。イラン
のアハマディネジャド大統領が2日からのイラク訪問で表明する見通
し。
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米大統領、イラク駐留米軍の追加削減明言せず
(nikkei) 
 【ワシントン=丸谷浩史】ブッシュ米大統領は1日、2009年1月の
任期切れまでに、イラク駐留米軍をさらに削減する可能性について
「私がどんな決断をするか、様々な憶測が飛び交っているが、ゲー
ツ国防長官、ペトレアス司令官らの判断に基づくことになる」と明
言を避けた。デンマークのラスムセン首相との会談後、共同記者会
見で語った。

 ブッシュ政権は昨年初めから駐留米軍の3万人増派を始め、治安状
況が改善。今年夏までに増派した3万人を段階的に撤退させ、増派前
の約13万人の水準に戻す計画をたてている。イラク情勢改善でもう
一段の米軍撤収が可能との見方が出ていたが、大統領は今後の情勢
をなお見極める考えを示した。 (20:01) 
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イラン、ヒズボラにイスラエル攻撃要求か
(2/19 nikkei) 
 【ドバイ=加賀谷和樹】18日のイランのファルス通信によると、
イラン革命防衛隊のジャファリ司令官はレバノンのイスラム教シー
ア派武装組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師あての書簡で「我々
は近い将来、強力なヒズボラ戦闘員によるイスラエルの崩壊を目撃
する」と主張した。ヒズボラのムグニヤ司令官暗殺を巡り、イラン
がヒズボラにイスラエル攻撃を求めた可能性がある。 (23:34)


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