2872.林業と鉱山の再生



世界的な資源不足や脱石油戦略、温暖化についての対策を検討する。
                    Fより

尾鷲ひのきで有名な速水林業の作業方法に日本林業再生のカギが隠
されている。また、不要な間伐材の利用方法も多様化してきた。そ
の中で重要なカギが木材への加圧注入処理である。この処理をする
と木材の耐久性、防腐性、防蟻性が高まり、プラスチックと同程度
の性能を持つことに成り、橋などに間伐材がそのまま使えることに
なる。日本の林業とその木材が脱石油戦略、温暖化対策には必要な
日本の宝になる日が近い。

速水林業の黒字経営の秘密は、良木の生産、作業の合理化、そして
産直販売。戦後の量産の時代に、量より質を求めて間伐を徹底し、
良木を育ててきた。速水林業の育成林地域を見ると、下草が生えて
太陽が地面に差込み、低い広葉樹もあるという環境になり、昆虫や
小動物たちも生息できる生態系にもやさしいことが特徴である。
普通の林業地域を見ると、木の下に太陽の光が差さない暗い林が多
い。このため、動物も居ない。

これができるのは、1年1m(ワンイヤー・ワンメーター)の高成
長を示すスーパー苗木の植栽が重要であり、これが下草より先に成
長するので、下刈りが不要になっているという。

そして、作業も1人で何でもこなすなど効率化、そして機械の導入
による省力化といった合理化を進めてきた。ここへ来てユーロ高に
よる輸入材の価格上昇で、スギは最も安い木材の一つになった。高
価だといわれたヒノキでさえ、耐久性や強度などの性能を考えると
、十分に安価な建築材料になってきている。

今が日本林業を立て直すチャンスである。そして、ここに林野庁の
補助政策もあり、各地で山側と流通加工が一体化した大型製材工場
が作られている。そこに山から安定的に木材を供給し、伐採、搬出
、加工、流通と、トータルでコストを下げていこうとする動きが全
国各地で始まっている。

それが本格的になるには、今までのように、部分的に生産性を上げ
るのではなく、例えば木材乾燥には廃材などのバイオマス燃料を使
用し、発電まで考えるなど、木材を全て使い切る利用方法が前提と
なる。また、製材業だけでなく、様々な森林産業、木材産業の産業
集積が重要だ。

温暖化対策の補助もあって、海外では林業はファンドの投資対象と
して組み込まれるほど有望な産業である。日本も温暖化ガスの削減
目標6%のうち、森林吸収分3・9%の確保のためにも林業振興は
重要なことになっている。石油資源の高騰により今後益々、重要な
産業になっていくことは間違えない。トヨタも排出権取引を視野に
日本林業地域の買収と林業経営に乗り出すようだ。企業経営として
の面から計画性や科学性を日本林業に持ち込むことを期待したい。

もう1つ、日本には振興するべき鉱山が沢山ある。日本は火山国で
あり、マグマや地価から温水などが出ている。このため、レアメタ
ルが日本にはあり、戦前までは各所に鉱山があった。それを鉱物資
源の価格が下落して採算が取れずに閉山したのだ。この閉山した鉱
山を復活することが、ここ数年の鉱物資源価格の高騰で可能になっ
ている。政府も資源不足対策として日本の資源開発に積極的になる
ような施策を打つ必要が出てきたと感じる。

都市鉱山の開発も必要である。リサイクルの循環が確立すると、日
本は今までに多くの鉱物を使って日本国内に製品としてばら撒いて
いる。鉱山の原石より、製品の中に含まれる鉱物資源の割合の方が
多い。この2つの施策を打てば、日本に石油危機や資源危機という
事態は起きない。もし危機が起きるとすると危機管理不足、準備不
足から起きるのである。

すでに、日本の原子力発電設備は世界一であり、その電力供給と資
源の利用で日本は生き延びることができるのである。後はそれを行
うかどうかである。日本の未来は明るい。

しかし、未来を日本は取れるかでしょうかね??


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