2864.コソボ独立



コソボ独立で欧米とロシアは敵対的な関係になる。  Fより

イタリアを旅行すると、コソボからの難民と言う人たちから小銭を
せびられることが多い。

イタリアの街にはコソボ難民が多くて、我々が旅行者であることを
知って、コソボの状況を言っているのかもしれないが、イタリア語
が出来るわけでもなく、いろいろな理由を述べているらしいが分か
らない。しかし、金をくれだけのジェスチャーだけは分かる。

そのコソボがやっとセルビアから独立することになった。コソボは
イスラム教のアルバニア人90%とセルビア正教のセルビア人10
%の地域であるが、文化が違うために紛争が激化していた。

セルビアとロシアはキリスト正教会であり、キリル文字を使用して
文化的に同じで同盟国である。EUはコソボが距離的に近く、紛争
による影響が大きいために平和的な解決をしたい希望していた。

しかし、大多数のアルバニア人を弾圧するセルビア軍を排除するた
めに、1999年NATOは介入して、セルビア軍を追い払い国連の暫
定統治にしたのである。2005年国連安保理でコソボをどうするか協
議を開始したが、コソボ独立をロシアが拒否して協議は停止してい
た。2007年に米、EU、ロシアの3者での協議を開始したが、ロシ
アはセルビアの意向を受けて独立に否定的であった。

セルビアとしては、自分たちの故郷であり、オスマントルコによっ
て、コソボから追い出されたという思いが強く、コソボに対する郷
愁が強い。

このため、国連では解決ができずに、欧米などの支持に基づいて、
コソボは独立宣言を出すことになる。現状では、コソボ住民の意見
は独立であるので、ロシアやセルビアが邪魔しようとしても無理で
ある。

しかし、ロシアと欧米の対立が激化してきている。この激化にまた
もう1つ、対立点を付け加えることになる。ポーランドへのMD基
地問題や「脱石油戦略」を裏に秘めた温暖化防止を否定するロシア
・アカデミーの声明など、いろいろな分野で、ロシアは欧米共同覇
権に対抗している。

このロシアは東欧圏をEUに取られて、東のアジアに目を向けてい
る。中国とは上海協力機構で、中央アジアも含めてロシアとの友好
を確立し、中ロは中央アジアでの資源調整を図り、次にはシベリア
開発を餌に韓国、日本の取り込みである。

日本も資源的な枯渇に対応するために、ロシアとのシベリア開発は
待ったなしの状態である。北方領土問題の解決にはロシアの合意が
必要なのに、ロシアが否定する何百年経っても帰ってこない主張を
日本はしている。それがネックで、何も解決ができない。旧島民も
死んでいく。何もいいことがない。

そして、米国の力は確実に衰退して、米国ももし、民主党クリント
ンやオバマになれば、国の戦略は変化する。中国重視になる。日本
はロシアとも組める可能性を志向する必要を感じるがどうであろう。

(参考資料)
420−3.文字圏としての世界
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1301253.htm
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コソボ、17日に独立宣言か 首相「100カ国が承認」(ASAHI)
2008年02月09日10時38分

 セルビアのサマルジッチ・コソボ担当相は8日、国連暫定統治下
にある同国コソボ自治州が17日に独立を一方的に宣言するとの見
通しを声明で明らかにした。独立を宣言する場となる自治州議会の
開会日程について、コソボの地元紙は16日か17日の可能性を報
じ、国連筋も「独立宣言は17日の可能性が高い」としている。 

 また、コソボ自治政府のサチ首相は8日、州都プリシュティナで
の記者会見で「約100カ国から独立宣言直後に国家承認する用意
があるとの確認を得ている」と述べた。宣言の日程には触れなかっ
た。 
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コソボ問題「EU加盟が最適な解決法」 セルビア大統領(ASAHI)
2008年02月09日19時42分

 セルビア大統領選挙で再選されたタディッチ大統領は8日夜、ド
イツのミュンヘンで開かれる安全保障政策に関する国際会議に先立
つ夕食会で演説し、コソボ自治州の独立容認は深刻な結果をもたら
すと警告した。 

 タディッチ氏は「コソボ独立の押しつけによって、セルビアが意
に反して分割されることになれば、今ある多くの紛争を激化させる
上、凍結されたいくつもの紛争もよみがえらせかねない」と表明。
「制御不可能な事態に陥るのを避ける時間はまだある」として、国
際的な対話による解決を改めて要請した。同氏はまた「最適な解決
法は、もちろんコソボを含むセルビアが欧州連合(EU)のメンバ
ーになることだ」と述べた。 
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NATO・ロシア理事会、ロ国防相急きょ欠席・コソボなど対立反映か
 リトアニアの首都ビリニュスで8日に開催された北大西洋条約機構
(NATO)・ロシア理事会で、ロシアのセルジュコフ国防相が急
きょ出席を取りやめた。コソボ自治州の独立や旧ソ連のグルジアの
加盟問題などで両者の対立が続いており、対NATOでロシアが対
決姿勢を示したという憶測が広がっている。

 NATO・ロシア理事会は閣僚級や大使級で安全保障の協力拡大
を探る枠組み。ロシア国防相の欠席についてNATOは病気のため
と説明するが、政治的な理由との見方が出ている。NATOは4月に
ルーマニアで開く首脳会議にプーチン大統領を招き、首脳レベルで
関係改善を進める方針だが、ロシアが応じるかどうかは微妙な情勢
だ。(ビリニュス=下田敏)(09日 12:16) 
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NATO、コソボ治安維持「重要な局面」
(nikkei)
 【ビリニュス=下田敏】北大西洋条約機構(NATO)は7日、リ
トアニアの首都ビリニュスで国防相会議を開き、独立問題を抱える
セルビア・コソボ自治州の治安維持を強化する方針を確認した。セ
ルビアによる独立阻止の動きを踏まえ、「コソボの治安や地域安定
は重要な局面にある」(デホープスヘッフェル事務総長)との認識
で一致。1万5000人超の平和維持部隊(KFOR)の増強をにらんで
、安全保障面からの監視を強める。

 事務総長は同日の記者会見で「NATOはコソボ問題で大きな責
任を担っている」と述べ、地域の安定に全力で取り組んでいくと強
調した。国防相会議で加盟各国はコソボの治安維持に取り組んでい
く方針を表明。セルビアが強硬に独立阻止に動く事態に備える。
(11:02) 
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「コソボ独立で地域安定」――アルバニア首相が会見
(nikkei)
 来日中のアルバニアのベリシャ首相は6日、東京都内で記者会見し
、アルバニア系住民が9割を占めるセルビア・コソボ自治州の独立問
題について「コソボ独立は地域の平和と安定をもたらす」と述べ、
他国の分離運動を誘発するとの見方を否定した。 

 コソボ独立を巡っては、セルビアのほか国内に少数民族の分離・
独立運動がくすぶるロシアが反対、欧州連合(EU)内にも自国へ
の波及を恐れ、承認に慎重な国がある。ベリシャ首相は「コソボは
歴史的にも法律的にも特殊な地域だ」と強調した上で、米国やEU
と足並みをそろえ独立を承認する意向を示した。
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コソボの基礎データ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/serbia/kosovo/josei.html

・面積 10,887平方キロメートル(岐阜県と同じ) 
・人口 約190万人(2002年推定) 
・中心都市 プリシュティナ 
・民族(2002年推定)
  アルバニア系  88%
  セルビア系  6%
  スラブ系イスラム教徒  3%
  ロマ系  2%
  トルコ系  1% 
・言語 アルバニア語、セルビア語等 
・宗教 イスラム教、セルビア正教等 
・政体 国連による暫定統治 
・GDP(2006年) 28億米ドル(IMF推定) 
・1人当たりGDP 1,400米ドル(推定) 

・略史
(1)コソボは12世紀末には中世セルビア王国・セルビア正教会の中
心であった(それ故、セルビア人はコソボを民族揺籃の地とみなし
ている)が、14世紀末にオスマン・トルコに占領されて以来、多く
のセルビア人が北方に移住し、一方、トルコ支配のアルバニアから
イスラム教に改宗したアルバニア系が入植を始め、人口比は次第に
逆転していった。

(2)20世紀初めにセルビアがトルコからコソボを奪回し、第二次世
界大戦後のユーゴ社会主義連邦共和国(旧ユーゴ)では、セルビア
共和国の自治州となったが、アルバニア系住民の大幅な人口増(欧
州一の出生率)を背景として1980年代、コソボに共和国の地位を求
めるアルバニア系住民の暴動が繰り返され、少数派のセルビア系住
民が抑圧を受けるようになったこともあり、1989年ユーゴ・セルビ
ア当局(ミロシェビッチ政権)がコソボの自治権の縮小を開始し、
1990年にアルバニア系住民が住民投票を経て「コソボ共和国」とし
て独立を宣言した直後にコソボ州議会を解散するとともに、自治権
を剥奪する等弾圧を強めた。

(3)その後、ルゴバ・コソボ民主同盟代表等が平和的手段によりコ
ソボの独立運動を展開したが、事態の進展はなく、1998年2月にアル
バニア系のコソボ解放軍(KLA)とセルビア治安部隊との間に武力衝
突が発生して以来紛争が激化し、ユーゴ連邦軍も介入。国際社会の
和平案をユーゴ政府が受け入れず、コソボにおける人道的惨事が発
生する可能性が高まったとして、1999年3月24日、北大西洋条約機構
(NATO)がユーゴ空爆を開始した。空爆開始後、セルビア治安部隊
によるKLA掃討活動が強化され、多数のアルバニア系住民がマケドニ
ア等近隣地域に難民として流出した。

(4)1999年5月にG8外相間で合意された和平案を基に和平交渉が行
われた結果、同年6月10日、国連安保理決議1244が採択され、武力紛
争は終結した。その直後、多数のセルビア系等非アルバニア系住民
がコソボからセルビアに避難民として流出した。

(5)現在、コソボにおいては、安保理決議1244に基づき、民主的な
多民族社会に基づく実質的自治を構築するために、民政部門を担当
する国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)と、軍事部門を担当す
る国際安全保障部隊(KFOR)の下で和平履行が進められている。
また、2005年10月、国連安保理においてコソボの将来の地位を確定
する政治プロセスの開始が決定され、翌月よりアハティサーリ国連
特使による仲介活動が開始された。2007年2月、国連特使は、コソボ
の事実上の独立を勧告する地位問題解決案をコソボ、セルビアの双
方に提示した後、3月末に同案を安保理に付託し、安保理で協議が行
われたが、露等がコソボの独立に慎重な態度を取ったため同協議は
7月に中断された。2007年8月より米、露、EUの三者の代表(トロイ
カ)の仲介による地位交渉が行われている。
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福田首相、ゴールデンウイークにロシア訪問検討
 福田首相は7日、今春の大型連休(ゴールデンウイーク)を利用
したロシア訪問の検討に入った。

 プーチン大統領の招請を受けたもので、北方領土問題やシベリア
開発など経済協力について協議する。

 サミット(主要国首脳会議)などの機会を除き、首相が単独でロ
シアを訪問するのは、2003年1月の小泉首相(当時)以来とな
る。

 ロシアのロシュコフ外務次官が先週来日した際、モスクワで日露
首脳会談を実施したいとの意向を日本側に伝えるなど、ロシア側は
首相の訪問を招請していた。プーチン大統領は今年1月、福田首相
の親書に対する返書を送り、領土問題解決に前向きに取り組むメッ
セージを伝えてきた。

 プーチン大統領は5月中に退任する予定だが、次期政権でも大き
な影響力を維持するのは確実な情勢。このため政府は、退任直前で
も首脳会談を行う意義があると判断した。

 首相は、ロシア訪問にあわせ、北海道洞爺湖サミットに出席する
ほかの欧州諸国訪問も調整している。

(2008年2月7日13時16分  読売新聞)

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