2851.EUの環境戦略



英米から覇権を奪おうとするEUの環境戦略を見ておこう。Fより

英国は自分が弱くなったことを認識して、第2次世界大戦後、米国
に覇権を譲りその裏で英米の利益を考えた国際戦略を考え、米国に
アドバイスしてきた。このように、英米の共同覇権を築いていた。

このため、イラク侵攻でも英国は率先して米国に従ったが、この米
国に付いていたブレア前首相が辞任して、イラクからの本格的な撤
退を開始した。英国はEU諸国にイラクより安定しているアフガン
にNATO軍を送る提案したが、そのアフガンが泥沼化している。

また、英国の金融会社はEUのドイツやフランスの銀行に米国住宅
ローン債権を売り、その売った債券はサブプライム問題で再び、英
国の金融会社を苦しめている。このことが英米の凋落を決定した。

とうとう、ブラウン首相になって英国は本格的にEUに乗換え、覇
権を米国からEUにシフトする意思決定をしたようであり、その
EU国際戦略を英国は提案している。これは米国の資源確保を軍事
的に行う軍事優先戦略からEUは軍事的な意思力が弱いので経済的
な仕組みで環境・資源問題を見据えた経済戦略にするようである。
このEU戦略に相乗りしようとしているのがヒラリー・クリントン
候補である。EU・米共同覇権を目指している。

EUは日本の北海道洞爺湖サミットまでに温室ガス排出の50%削
減というような日本には受け入れることができない数値を示して、
世界の環境・資源戦略を主導していきたいようである。このため、
EU本部は高い目標を主要国に提示しているし、その数値に対して
英仏独は反発している。特に自動車の排気ガスについては、主要メ
ーカを持つドイツが猛反発している。

この自動車でのCO2削減で、ドイツはディーゼンエンジン車を増
やしてバイオディーゼル燃料で切り抜けたいが、CO2排出量を守
ることができず、またトヨタのハイブリット車が好調であることと
、ドイツ以外の国はドイツ車に勝つために、内燃機関型の自動車か
ら電気自動車にシフトを開始している。こうすると、CO2排出0
の車ができるために、内燃機関型自動車のCO2排出が緩くても
EU基準を守れるという算段のようである。

ブジョーやシトロエンなどのメーカが電気自動車を出している。こ
の車にはリチュウムイオン電池が積まれているが、この製造国は日
本ではなくて中国である。中国国内でも電気バイクや自動車が多数
出回っている。この面での日本の報道はないが、欧州を中心として
電気自動車が着実に増えている。

米国も安全性を増したリチュウムイオン電池の研究・製造に乗り出
してきた。この米国産のリニュウムイオン電池を積んだGMのエン
ジンで電気を作りモータで走るハイブリット車が2009年までに
出回る予定だそうである。トヨタの主にエンジンで走るハイブリッ
ト車とは違う。

そして、とうとう日本の輸入自動車組合を中心とした自動車販売会
社が安全基準作りに乗り出している。欧州製の安価な電気自動車が
日本でも乗れるようになる日が近いようだ。日本のメーカは欧州・
中国製の安い電気自動車に対応することが必要になる。石油が高騰
しているので電気自動車の方が維持費も断然に安い。中国産のリチ
ュウムイオン電池の安全対策は充電回路と放電回路を分けて、熱暴
走が起きない様にした物だそうである。

このように欧州は一番大きな自動車の排気ガス対策に乗り出して、
環境問題と資源問題を合わせて、EUの世界的な主導権を確保しよ
うとしている。EUの個別国家戦略はもっと激しい。

ノルウェーのように2030年に温室ガス排出ゼロというよな目標
を掲げて政策をするという国家まで出てきた。独仏も低炭素社会移
行に日本よりも積極的である。英国はその面で米国に歩調を合わせ
ていた為に出遅れている。この出遅れを取り戻すために、原子力発
電所建設に踏み出す。

日本の強みは、この原子力発電所のメーカを3社も持っていること
で、フランスのアレパとロシアの企業しか、この製造ノウハウがな
い。この強みを強化するために、ウラン産出国であるカザフスタン
との協力関係を増強する方向である。しかし、自動車や家庭等など
の温暖化対策は遅れている。

環境問題は資源問題と結びついて、都市ゴミのリサイクルによって
使用する資源は確保できるのに、それを徹底してできないために、
資源問題になるのである。もし、リサイクルがドイツのように徹底
したら世界最大の鉱山は東京である。

CO2排出削減政策に文句を言っている学者がいるが、CO2排出
している元の資源は石油であり、その石油高騰で事業はコスト的に
立つ行かなくなることが眼中になくて批判している。経済的な視点
で見ると、環境問題も資源問題に突き当たるのだ。

EUの弱点は、サブプライム問題で多額の損失を出して、アジアや
中東から出資を仰ぐ必要になっていることである。特に英国のノー
ザン・ロックではないが、倒産の危機に直面する銀行が欧州全体で
増えるはずだ。

米国の全体の損失は、400兆円以上でサブプライム以外にオルト
A、プライムでも損失が今後出てくる。また、住宅以外の自動車や
家電などのローンでも出てくる。この損失の半分を欧州の銀行が被
る可能性があるために、まだ、予断を許さないようである。

しかし、ドルに比べてユーロが高いのは、まだ世界の投資家に気づ
かれていないためであろうと見る。

さあ、どうなりますか??
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再生可能エネルギー、EU目標に英独仏が反発
(nikkei)
 【ブリュッセル=下田敏】風力や太陽光など再生可能なエネルギ
ーの利用割合を定めた数値目標を巡り、欧州連合(EU)と加盟国
が対立を深めている。大幅な利用拡大を迫られる英独仏などは企業
活動や雇用に悪影響を与えると反発。EUに割り当ての見直しを強
く求めている。

 欧州委員会が来週中に決める各国別の割り当てで2倍以上の利用拡
大が必要となるフランスは、サルコジ大統領が欧州委に書簡を送付
。割り当ては「経済的に非効率的で公平さに欠ける」と訴えた。欧
州委は「加盟国は数値目標導入を合意済みのはず」と主張。加盟国
の抵抗を抑える構えだ。(07:02) 
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温室ガス排出 2030年にゼロ ノルウェー与野党合意(ASAHI)
2008年01月18日12時42分

 ノルウェーの与野党は17日、地球温暖化の原因となる二酸化炭
素など温室効果ガスの排出を2030年までにゼロにすることを目
指すことで合意した。同国は昨年、先進国で初めて50年までに排
出ゼロを達成する目標を掲げたが、この時期を大幅に前倒しさせた。 

 人口約468万人のノルウェーは、06年の温室効果ガスの排出
量は約5400万トン。今後、風力や太陽光発電など代替エネルギ
ーの研究を進めるほか、自国での省エネなどで排出量を3分の2ま
で減らす。さらに、毎年30億クローネ(約590億円)を投じ、
ブラジルの熱帯雨林の破壊阻止や保存など、他国の排出減への協力
で自国分を相殺する形で排出ゼロを目指す。ガソリン税も引き上げ
る。 

 ストルテンベルグ首相は「ノルウェーの政策は世界で最も意欲的
だ。この地球温暖化問題への挑戦は、まるで21世紀の『月面着陸
』のようだ」と話している。 
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英、原発新設を解禁・法案提出 
(nikkei)
 【ロンドン=岐部秀光】英政府は10日、原子力発電所の段階的廃
止を進めていた政策を変更し、原発の新設を認める法案を提出した
。2020年までの新原発の稼働を見込んでいる。温暖化ガスの排出を
減らす一方、輸入エネルギーへの依存を低める狙い。ドイツなど他
の欧州諸国も追随を検討しており、原発回帰の流れが加速しそうだ。

 英政府は同国の発電最大手ブリティッシュ・エナジー(BE)が
独占する原発の建設・運営について外資を含めた民間に開放すると
表明。原発の建設数には上限を設けず、原子力エネルギーの利用を
促進する。BEは既に参入を目指す企業との商談に入っている。

 立地については現在、原発が稼働している地域かその周辺を利用
する方針。イングランド南部のヒンクリーポイントやサイズウェル
が有力候補地とみられている。スコットランド自治政府は原発の建
設に反対を表明している。 (00:15) 
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EU、自動車CO2規制で新法案・「目標未達」に制裁金
(nikkei)
 【フランクフルト=後藤未知夫】欧州連合(EU)の欧州委員会
は19日、日米欧などの主要自動車メーカーに対する二酸化炭素(CO2
)排出規制の新法案を発表した。2012年までに1キロメートル走行当
たりの排出量を130グラムに抑える数値目標(現行比で2割削減)を
設定。達成できない場合、1グラム超過につき最大95ユーロ
(1万5000円余り)の制裁金を科す。

 バローゾ欧州委員長は声明で「EUはCO2の削減と環境技術で世
界の首位に立つ」と強調。加盟国や自動車業界に規制の受け入れを
迫った。

 しかし欧州最大手の独フォルクスワーゲンなどは数値目標が「非
現実的だ」と反発。メルケル独首相も国内勢の負担の重さを踏まえ
「経済的に適切ではない」と批判しており、最終決定までには綱引
きがありそうだ。(01:03) 
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低炭素社会の実現訴え 福田首相が施政方針演説(ASAHI)
2008年01月18日15時26分

 第169通常国会が18日、召集された。福田首相は同日午後の
施政方針演説で、地球温暖化対策を内閣の重点課題に据え、世界の
先例となる「低炭素社会への転換」を打ち出した。さらに今年を「
『生活者や消費者が主役となる社会』へ向けたスタートの年」と位
置づけ、消費者行政の一元化に向け「強い権限を持つ新組織」創設
を表明。衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」を踏まえ、「野党の
意見も積極的に取り入れる」と強調し、野党に協議を呼びかけた。 

 首相はまず、国政の「五つの基本方針」として、
(1)国民本位の行財政への転換(2)社会保障制度の確立と安全
の確保(3)活力ある経済社会の構築(4)平和協力国家日本の実
現(5)低炭素社会への転換――を掲げた。 

 なかでも、地球環境問題の重要性を強調。省エネ技術など日本の
持つ「環境力」を最大限活用、7月の北海道洞爺湖サミットを「我
が国の環境問題への取り組みを世界に発信する大きなチャンス」と
位置づけた。 

 安倍前政権が打ち出した温暖化対策の長期戦略「美しい星50」
を具体化し、温室効果ガスの排出をゼロに近づける技術開発を目指
す「環境エネルギー技術革新計画」の策定や、自治体と連携して「
環境モデル都市」をつくる方針も示した。有識者による環境問題懇
談会の設置も表明した。 

 さらに、「環境面で世界をリードしていくためにも外交力の強化
が不可欠だ」とし、安全保障に限らず、温暖化や貧困など地球規模
の課題解決にも積極的に取り組む「平和協力国家」を掲げた。 
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日本に巨大な「都市鉱山」 製品含有の蓄積量を試算【東京新聞】
2008年1月12日 12時22分

 家電製品などに含まれている金、銀やインジウムなどの希少金属
は、リサイクル可能なため「都市鉱山」と呼ばれるが、日本国内の
蓄積量は世界有数の資源国といえる規模だとする試算結果を、物質
・材料研究機構(茨城県つくば市)が12日までにまとめた。

 金は約6800トン、銀は約6万トンで、それぞれ世界の埋蔵量
の約16%、約22%に相当。液晶などに使われるインジウムは世
界の埋蔵量の約61%に上った。

 同機構は「こうした資源を含む製品は、使用済みになると廃棄物
として海外に出ていくものが多い。国内に眠る資源を活用する研究
を進めたい」としている。

 同機構は、希少金属など20種類について、貿易統計などを基に
、素材のほか部品や製品に含まれる輸入量から輸出量を差し引いて
算出した。製造中や使用中、廃棄物の製品の量を含んでいる。
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日本産業界、カザフに経済協力 
(nikkei)
 日本の産業界はカザフスタン政府と、レアメタル(希少金属)な
ど資源開発での協力を柱にした経済関係強化の「行動計画」を来春
までに作成する。鉱山開発や製錬の技術の移転など約20項目を盛り
込み、日本企業の進出を後押しする。カザフは原油、ウランなど豊
富な資源を持ち、中国、ロシアなど各国が取り込みを図っている。
日本は民間ベースで初となる包括的な協力の枠組みを構築し、資源
確保を目指す。 

 行動計画は日本の民間企業がメンバーの「日本カザフスタン経済
委員会」(委員長・高島正之三菱商事顧問)とカザフ政府代表が中
心の「カザフスタン日本経済委員会」(委員長・クサイノフ経済予
算計画省次官)が合同で策定し、双方の委員長が署名する。
 (17:33)
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温暖化対策実行ランク 日本、42位に急落 NGO調査
2007年12月08日12時26分

 バリ島で開かれている国連気候変動枠組み条約第13回締約国会
議(COP13)で、環境NGO(非政府組織)が温室効果ガス排
出量上位56カ国の「パフォーマンス(実行)」のランキングを発
表した。省エネへの取り組みなど「変化」が高く評価された中国が
昨年の54位から40位に急浮上した一方、「政策が消極的」とみ
なされた日本は同26位から42位に急落。順位が逆転した。


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