2850.英米の凋落



英米の現状と今後を検討しよう。     Fより

英米は、サッチャー元首相が始めた「アングロサクソン型経済運営
」で繁栄を謳歌してきたが、その脱工業化、IT・金融中心主義の
底を支えていたのが、住宅価格の上昇とその証券化であったことが
判明した。住宅価格の上昇が打出の小鎚であったのだ。

これは日本の土地バブルを見て、そのバブルを拡大でき、かつ世界
にばら撒ける証券化でリスクを分散させて、経済面での世界覇権を
取ってきたことになる。言い換えると、日本のバブルが崩壊した後
の、ここ10年間、英米は脱工業化・金融化で、証券や国債などの
証券を売って世界からお金を集めてきた。しかし、住宅価格の下落
が始まって、この構造が破壊されたのである。

イギリスの著名な経済アナリストであるピーター・スペンサーは、
12月下旬の講演で「各国の中央銀行が金融危機を制御できる期間
は、あと数週間しか残されていない。今後2−3カ月以内に危機を
終息できない場合、銀行破綻が急増する。事態は非常に不安定で、
信じられないような速さで急展開しうる」と言っているが、その通
りの事態が進行していることになる。もう、手遅れに近い状態にな
っている。米国のブッシュ政権は、つい最近まで景気はシッカリし
ていると述べていた。この感覚が手遅れにしたようだ。

米国も英国も自国通貨を高値で安定され、かつ他国から資金を還流
させる仕組みを築いて、本来の所得より贅沢な生活をしてきた。
この不安定な状態が本来の姿に戻ることになるだけである。また、
経済覇権は金融商品では無理であることを教えている。やはり工業
化がないと経済的な安定はない。中国や中東は実体経済で金を抑え
ている。これらの諸国が米国金融機関に出資したことでも分かる。

この不安定な構図をネオコンとチェイニーや北海油田が枯渇してい
たブレア英前政権は知っていて、石油などを得て実体経済に戻る必
要で中東石油確保戦争を起こしたように感じる。しかし、その戦略
も失敗の可能性が高くなっている。

中東にブッシュ大統領は行ったが散々な結果で、親米のはずのサウ
ジを初め湾岸諸国から米国の中東政策を否定された。湾岸諸国はイ
ランとの友好関係を築いていくと言う。この中東での状況を見て、
イスラエルもイランの核攻撃からの防衛のため、核搭載可能なミサ
イルの実験をして、イランに警告するしかない状態である。

当初は、単独で原子力発電所とウラン濃縮施設を空爆する予定が、
米国のアドバイスで中止した。しかし、欧米の進めるイラン核問題
に進展がなく、かつスンニ派諸国とシーア派のイランを分断する政
策も暗礁に乗り上げて、イスラエルは本当の危機に直面している。

イスラエルは、レバノンのヒズボラに精神的な敗北をしてから政権
への支持が減り、かつイランからの核攻撃の危険が迫り、イスラエ
ルの若者が米国などに流出している。二重の意味でイスラエルは危
機的な状況になっているのだ。

覇権国家の米国が衰退してきて、湾岸諸国も米国の言うことを聞か
なくなり、イスラエルの後ろだても無くなりつつある。米国も中東
政策より国内の経済政策に時間と金を注ぎ込む必要に迫られている。

ブッシュ大統領は総額1400〜1500億ドル程度の景気対策を
発表したが、これだけで景気が持つとは思えない。2弾3弾の景気
対策が必要になると見る。これに連動してバーナンキFRB議長も大幅
利下げを示唆したが、市場の期待は1%程度の公定歩合の引下げで
あるが、0.5%程度の下げのようだ。

しかし、このようなことがドルの下落と米国への投資を下げてしま
い、財政運営が難しくなる。5年も続く戦争経済を今後維持継続で
きなくなるように感じる。

さあ、どうなりますか??
==============================
サウジ外相、米国の中東政策批判・「イスラエルへの譲歩限界」
(nikkei)
 【ドバイ=加賀谷和樹】「一体、これ以上何をイスラエル人に譲
歩できるというのか」――。サウジアラビアのサウド外相は15日の
記者会見で声を荒らげ、米国の中東政策を批判した。同外相はブッ
シュ米大統領がサウジの前に訪れたエルサレムで「イスラエルに手
を差し伸べるようアラブ諸国に求める」との声明を出したことに反
発した。

 サウド外相のリヤドでの会見に同席したライス米国務長官もブッ
シュ大統領と同様な内容の発言をしており、面目を失った格好だ。

 ブッシュ大統領のペルシャ湾岸4カ国歴訪は同日で事実上終わった
。パレスチナ国家建設を歓迎する一方でイスラエル寄りの姿勢を隠
さない米国と、これに不信感を募らせる湾岸諸国のぎくしゃくぶり
が目立った。(20:01) 
==============================
ペルシャ湾岸諸国、相次ぎ「イランと友好」
(nikkei)
 アラブ首長国連邦(UAE)などペルシャ湾岸諸国が相次ぎイラ
ンとの「友好」を表明し始めた。ブッシュ米大統領が16日までの歴
訪で「核開発を進めるイランの脅威」を熱心に説いたばかりだが、
大統領が期待する「イラン包囲網」構築の動きはいまのところみえ
ない。

 UAEのアブドラ外相は17日、同国駐在のイラン大使に「我々は
(イランとの)関係強化を熱望する」と表明。クウェートのムハン
マド外相は16日、訪問先のテヘランでの記者会見で「イランは我々
の友人だ」と言明した。サウジアラビアでは、訪問したブッシュ大
統領にアブドラ国王が「米情報機関がイランは核兵器開発を中止し
たと公表したのに何が脅威なのか」と迫ったという。

 「親米」といわれる湾岸産油国だが、昨年末からは地域安定のた
めイランとの対立ではなく融和にかじを切った。UAEには少なく
とも40万人のイラン人が住み、3000億ドル前後の投資をイランから
受けている。ブッシュ大統領の任期切れまであと1年。湾岸の関心は
「次の大統領」に移っているようだ。
(ドバイ=加賀谷和樹)(18日 23:01) 
==============================
イスラエルがミサイル実験 核弾頭搭載可能(IZA)
01/18 11:42更新

 イスラエル放送は17日、同国軍が核弾頭搭載可能なミサイルの
発射実験を同日行ったと報じた。国防省は「ロケット推進力を調べ
るためのミサイル発射に成功した」と発表したが、詳細は明らかに
していない。

 AP通信によると、既存の核搭載可能な中距離弾道ミサイルの性
能を向上させた「ジェリコ3」の実験との見方が出ている。イスラ
エルは、パレスチナ武装勢力のロケット弾攻撃やイランの核武装に
備えてミサイル防衛システムの強化を図っている。

 イスラエルは事実上の核保有国とみられている。同国のオルメル
ト首相は14日、国会で「イランの核保有を認めることはできず、
いかなる選択肢も排除しない」と述べ、イランの核武装阻止のため
武力行使を辞さない考えをあらためて表明した。(共同)
==============================
米景気対策、1400〜1500億ドル程度 大統領発表(ASAHI)
2008年01月19日02時24分

 ブッシュ米大統領は18日、減速している米経済を刺激する景気
対策の概要を発表した。所得税の減税を中心に規模は「米国内総生
産(GDP)の1%程度」と表明し、約1400億〜1500億ド
ル(約15兆〜16兆円)程度を検討していることを明らかにした。 

 低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題の深刻化を背景に
「米経済が落ち込むリスクがある」と指摘。現金支給の色彩が強い
所得税の「戻し税」(納税者1人あたり800ドル=約9万円)や
法人税の負担軽減などが検討されている。 

 景気対策を「早急に実施させる必要がある」と強調。議会との調
整を急ぎ、2月中旬までに景気対策法案を可決させ、署名して実施
させる方針だ。すでに大統領と野党民主党が主導する議会の幹部は
17日、早急な実施に合意している。 

 米経済はサブプライム問題の深刻化による金融不安や株価急落、
住宅価格の下落などを背景にして、これまで堅調だった雇用や個人
消費が昨年12月から急速に悪化。経済がマイナス成長に落ち込む
景気後退を迎えている可能性が強く、本格化した大統領選にも影響
を与え始めている。
==============================
金融業界の失業、世界で20万人=サブプライム響き3倍に−英紙
1月18日21時1分配信 時事通信

 【ロンドン18日時事】18日付の英紙フィナンシャル・タイムズは
、2007年に失業した金融関係者が全世界で約20万人に上ったと報じ
た。米低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題の影
響で、05年、06年の平均に比べ約3倍に増えた。
 同紙によると、不動産金融業務が最も影響を受けており、住宅ロ
ーン業者の倒産やサブプライム関連部門の閉鎖で8万6000人以上が職
を失った。米投資銀行でも6万5000人以上が失業したとみられる。
==============================
景気刺激は財政、金融連動で・FRB議長、大幅利下げ改めて示唆 
(nikkei)
 【ワシントン=藤井一明】米連邦準備理事会(FRB)のバーナ
ンキ議長は17日、下院予算委員会で証言し、景気刺激策に関して「
金融政策の単独の行動よりも財政と金融が一緒に刺激するほうが経
済を幅広く支えられる」と表明した。財政出動と金融緩和を連動さ
せることが望ましいという認識を示したものだ。ホワイトハウスは
同日、景気対策の検討に着手したことを公式に認めた。

 バーナンキ議長は月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控
え「中身のある追加措置をとる用意がある」と語り、大幅な利下げ
の意向も改めて示し、同時に、財政出動による景気テコ入れ効果を
認めた。 (02:07) 


コラム目次に戻る
トップページに戻る