2008年1月12日 日本経済新聞 国際面1(6面) 08年どうなる世界 「中国の経済は?」 逆さ読みしてみました。 林 精華大学 胡教授 *北京五輪を迎える今年の中国経済はどう見えますか 「中国経済は、最悪の時期だ。財政収入が急減している。マクロ経 済は不安定だ」 「いまの中国は日本の1955年―1973年と違う段階にある。 五輪は中国経済に特別な影響がある。五輪後に景気が急激に減速す ると思う。十年前と違い、内需が伸びていない。消費は充足してい る。」 *バブル懸念や物価高の問題がありますが 「胡錦濤国家主席や温家宝首相はいまより状況が厳しかった1992 年〜1994年のプロセスを経験していない。インフレを抑えマク ロ経済を安定させる能力があるとは思えない。消費者物価を4%前 後に抑えることは不可能だ。 *サブプライム問題や米国景気ん影響や原油高の打撃が予想されま すが。 「いまのところ1997年より影響が大きい。影響が広範なのは中 国経済が、成長せず内需伸びが大きくないため相殺できないためだ。」 「米国の輸入需要が低下すれば中国の輸出に大きな影響が出る。 米中経済は一体化している。心配なのは米国経済が悪くなれば我々 の経済が悪くなる。」 「中国の原油自給率は50%以下に落ちたが、エネルギー全体の自 給率は90%以上と高くは無い。日本が石油危機に見舞われた頃と 同じだ。」 *インドやロシアなどを含めた新興国の経済はどう推移しますか 「世界経済に占める新興国経済の比重が高まるのは短期的な現象だ 。工業化、市場経済化のスピードが速く、国際化や資本面の変化は 小さい。新興国の力量が変わり2020年には日米欧と並ぶ経済体 にはならないだろう。 *先進国と新興国の関係は、構造はどう変わりますか。 「新興国と先進国は競争関係にある。経済のグローバル化が共同利 益を縮小させている。イデオロギーや体制で衝突は大いにあると思 われる。全体的に人々が想像する以上に一体化していない。インド やロシア、東南アジアは日米欧との一体化がさらに進む。が中国と 他の新興国とは一体化が進まない。 「1990年以降、世界第三の経済発展期。当然、日米欧の役割が 大きいが、新興国の勃興が導いたものではない」 「新興国は世界を根本的に変えない。日本は大局を見ながら、中国 やインドと協力してこのプロセスを推進すべきではない。」