2847.サブプライム問題の進展



サブプライム問題は、日本のバブル崩壊後の政策を見ていれば予想
がつく。          Fより

英国が最初に国有化政策にシフトした。ノーザン・ロックでの取付
け騒ぎが発生した原因は、英中央銀行キング総裁が銀行の企業責任
で解決するべき問題であると発言したことであり、その発言の途端
に発生したのである。このノーザン・ロック銀行を英ヴァージンが
買収するはずが、どうも簿外債権が多額に上りその負担をどうする
かで難航したようである。日本でも昔、住宅金融公社の状況が同じ
であったと思う。

そして、民間企業では危ないために、国が前面に出てくるしかない
状況になっている。ドイツでも独IKB銀行の資金援助を政府系金
融機関の独復興金融公庫(KfW)が全額を引き受け、実質的に金
融支援することになり、実質国有化に近い形になっている。

米国は国有化ではなくて、中国、シンガポールや中東の政府系ファ
ンドから出資で資金を得ようとしている。ということは、最終的に
は米国企業ではなくて、中国系銀行や中東系銀行になることであり
、米国はこのような事態になることを認めることができるのであろ
うか??

中国の国家戦略で企業買収を行うことを認めると、銀行のノウハウ
を抜き取り、その後、倒産させることもできることになり、日本の
中小企業に起こっていることを米銀行で行うことができることにな
る。これを認めることは米国としてもできないはずである。

となると、米国も大金融機関の国有化を決断する必要になる。しか
し、現時点のブッシュ大統領は昔の日本と同じで、「ツーリトル、
ツーレイト」の状態にある。ブッシュは米景気の先行きに重ねて懸
念を表明し、かつ減税恒久化を行うというが、その施策が小さくて
遅いのである。損失は今後も増大して、現時点では1兆ドルの資金
で足りるが、今後手遅れになると10兆ドルや100兆ドルという
資金援助が必要になる。米国政府はいつ信用収縮事態の大変さを認
識するかが問題になる。それまでは、不動産資産や会社の価値が暴
落することになる。最後はハゲタカファンドが安値で買い占めるこ
とになる。

日本の金融機関や不動産会社は米国の資産を底値で買えるチャンス
がまもなく到来することになる。そのチャンスを目指して、今はウ
ォッチの時代でしょうね。そして、日本だけではなく、中国や中東
などの資金も狙っているように感じる。

米国をめぐる資産暴落とドル暴落を待ち、世界で米国資産を分ける
ことで、資金を米国に戻ることになる。しかし、その後は米国の付
加価値が世界に分散することになる。益々、米国の貧富の差は開い
ていくことになって、全体的な国力も落ちることになる。

さあ、どうなりますか??
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英ノーザン・ロック銀、国有化で救済検討
(nikkei)
 【ロンドン=吉田ありさ】英BBC放送などは、米国の信用力の
低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響で経営難
に陥った英中堅銀ノーザン・ロックについて英財務省が国有化の検
討に入ったと報じた。国有化後の次期会長としてサンドラー元ロイ
ズ保険組合最高経営責任者(CEO)を迎える方向で調整している。
ノーザン銀は15日に臨時株主総会を開き、今後の経営方針を協議す
る。

 英政府はノーザン銀を預金全額保護や英中銀の緊急融資で支援し
ながら、民間による救済買収を模索してきた。英ヴァージングルー
プの企業連合などが買収を提案したが、250億ポンド(約5兆3350億
円)に達した公的融資の返済をめぐって交渉が難航。ダーリング英
財務相は「国有化も選択肢」と表明していた。

 サンドラー氏はロイズ保険組合の経営再建で手腕を発揮した金融
界の大物で、ブラウン英首相との親交も深い。(01:32) 
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メリルリンチ、1兆6000億円のサブプライム関連損失計上へ
(nikkei)
 【ニューヨーク=松浦肇】信用力の低い個人向け住宅融資(サブ
プライムローン)問題に関連し、米証券大手メリルリンチが150億ド
ル(約1兆6000億円)規模の損失を2007年10―12月期決算で計上する
見通しだ。11日付の米ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。自己資
本の低下を防ぐため、同時に40億ドル規模の資本増強策を検討して
いるという。

 メリルは17日に決算を発表する。損失はCDO(合成債務担保証
券)などサブプライムローンを中心とする住宅ローンを担保とした
証券化商品の評価損とみられる。損失額は昨年7―9月期に計上した
89億ドルのサブプライム関連損失を上回る。昨年12月に経営トップ
が交代、保有資産の再評価を急ぐ。

 損失計上と併せて、中東の政府系ファンドから出資を仰ぐとの見
方が出ている。メリルには昨年12月にシンガポールの政府系ファン
ドなどが62億ドルを出資したが、差し押さえ増加で住宅市況が悪化
、保有証券の売却が進まず、財務内容が一段と悪化している。
(13:22) 
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米大統領、景気先行きに懸念・減税恒久化目指す構え
(nikkei) 
 【ワシントン=小竹洋之】ブッシュ米大統領は7日、シカゴで経済
問題について演説し「まだら模様の経済指標がここにきて増えてき
た」と述べ、米景気の先行きに重ねて懸念を表明した。今月末まで
に検討する総合的な景気対策の内容には触れなかったものの、大型
減税の恒久化などを目指す考えを示した。

 大統領は景気の懸念材料として住宅市場の低迷、エネルギー価格
の高騰、金融不安の長期化などを列挙した。「米経済の基盤はまだ
強いが、経済成長をもはや当然視できない」と指摘し、景気失速の
回避に万全を期す姿勢を示した。

 「最も賢明なのは減税の維持だ」とも語り、今後数年間で相次ぎ
期限が切れる大型減税の恒久化などを議会に求めた。 (13:51)
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米FRB議長、大幅な追加利下げ示唆
(nikkei) 
 【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)のバーナ
ンキ議長は10日、ワシントンで講演し、信用力の低い個人向け住宅
融資(サブプライムローン)問題を発端とする金融不安の長期化で
「景気下振れのリスクが一段と高まった」との懸念を表明した。
「必要に応じて大幅な追加措置をとる用意がある」と述べ、大幅な
追加利下げに踏み切る考えを示唆した。これを受け、市場では0.5%
を軸とする利下げ観測が高まり、米株式相場は大きく上昇した。

 FRB議長が事前に強い表現で大幅利下げの意向を示すのは異例
。FRBは29、30日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC
)で、昨年9月から4回連続の利下げを決める公算が大きい。最重要
の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、
現行の年4.25%から年3.75%に引き下げるとの観測が市場では大勢
だ。 (11:21) 
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米バンカメ、住宅ローン最大手を救済合併
(nikkei)
 【ニューヨーク=財満大介】米大手銀バンク・オブ・アメリカは
11日、米最大の住宅ローン会社カントリーワイド・ファイナンシャ
ルを約40億ドル(4400億円)で買収すると発表した。カントリーワ
イドは信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦
げ付き増加で資金繰りが悪化、経営が危ぶまれており、事実上の救
済合併となる。

 買収は7―9月期にも完了する見通し。全額株式交換で行い、現金
は使わない。

 カントリーワイドは昨年の住宅ローン実行額が4000億ドルに上る
業界最大手。巨額のローン債権や住宅ローン担保証券を保有してお
り、経営破綻して市場で資産が投げ売りされれば、金融・住宅市場
全体に深刻な打撃が広がる可能性があった。(11日 23:02)
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独IKB、政府系金融が支援・サブプライムで経営悪化
(nikkei) 
 【フランクフルト=石井一乗】米国の信用力の低い個人向け住宅
融資(サブプライムローン)問題で経営が悪化したドイツの中堅金
融機関、IKB産業銀行は7日夜、転換社債を発行して5400万ユーロ
(約86億円)を資金調達すると発表した。筆頭株主である政府系金
融機関の独復興金融公庫(KfW)が全額を引き受け、実質的に金
融支援する。IKBは損失の拡大に備える。

 同転換社債が株式に転換されればIKBの資本金は最大1割増え、
KfWのIKBに対する出資比率は現在の38%から43%にまで高ま
る。

 IKBは昨年発表済みの2007年3月期通期決算をやり直すことも決
めた。この措置により同期の利益は公表値より減る見込みという。
同行は昨年9月中間決算もまだ公表できていない。 (12:57) 


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