2845.電気自動車の今後



正月のあいさつにモーターの先生の所に行った。  Fより

先生と「日本の進路」の話になった。
日本製品の安全性基準で、新しい製品が出来にくくなっている。た
とえば、インド・タタの超低価格車は日本では基準に合わないので
公道を走れない。しかし、この基準を決めた根拠が明確ではない。

たとえば、自動車の車体強度は人間との衝突で人間を殺すようにで
きている。もし、対人事故を想定していれば、車体はブヨブヨなよ
うにして人間を包み込む方がいい。弾力性のある表面にするべきで
しょうね。現時点では、人間を救うブヨブヨな車は公道を走れない。

日本の自動車メーカは工場を世界に作り、そこで生産することで世
界に技術を教育している。部品会社も現地化しているので、現地部
品化率も高い。しかし、この日本が教えた技術が変革期には日本を
抜かす武器になる。

電気自動車でも日本の安全基準を満たすために、日本ではいろいろ
な試験をする必要があるが、この基準の根拠が分からないでそれに
準拠するように自動車会社は指導される。

しかし、アジア諸国は安全基準自体がないために自由に発想する。
今のカソリンエンジン車の車体をそのまま電気自動車に利用してし
まう。エンジンと排気ガスのパイプ類を外して、電池とモータを積
んで出来てしまう。

タタのカソリン車より安くいくらでもできる。石油が高くなったこ
とで、先生の所には中国を始めとして、アジア諸国の自動車会社か
ら支援依頼が来ているようだ。タタより安い自動車は電気自動車で
は簡単にできる。そして、ガソリンに比べて電気の方が安いため維
持費も安くできるので、アジア諸国では流行ると見ているようであ
る。とうとうアジアの自動車会社は、日本の自動車メーカから独立
して、電気自動車へ舵を切る様である。現地の日本の自動車部品会
社も中国自動車会社の要請で動き始めている。

日本の自動車会社は、この面で遅れることになる。電気自動車用の
安全基準を作ることから始めるために、どうしても日本は競争に勝
てない。

もう1つ、石油が高くなると、輸送費を減らすことが重要になる。
すると、アジアなどの各国は自国でできない部品だけを日本から買
うことになる。だから、自動車という製品を運ぶことはなくなると
言う。

日本は変革期に弱い。金融業界もグローバル化とオープン化という
変革期にその対応が遅れて、世界の銀行業界中で没落した。そして
今、再度、自動車業界が変革期を迎えているが、その対応が遅いよ
うだ。絶頂期にあると思われている自動車業界の没落を予想する事
態になっている。

その上に世界は不況の鳥羽口にいる。米国のサブプライム問題の波
及は中国にも押し寄せる。日本の景気は外需で持っている。この外
需は米国と中国から来ている。この外需が無くなる危機的な状態に
なるのに、それに追い討ちを掛けるように自動車業界の没落が来る
ことになる。

歴史を見ると、電化した鉄道は生き残っている。これは電気の方が
扱いやすいために、コストが安いことによる。蒸気機関も内燃機関
も鉄道からはなくなる。今、ディーゼル車を利用している線は電池
電車にある。今赤字と言われている第3セクタの会社でも赤字幅が
大幅に縮小するか黒字になる。それほど、維持管理コストが削減さ
れる。

この鉄道に起きた変化が自動車に押し寄せてきた。変革期に弱い日
本という汚名を挽回したいですね。現時点では自動車業界の舵は、
ガソリン車やハイブリッド車などである。まだ、電気自動車ではな
い。

さあ、どうなりますか。
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インド、タタが「28万円車」   
(nikkei)
  【ニューデリー=小谷洋司】インドを舞台に自動車の“価格破
壊”が始まった。現地有力財閥系のタタ自動車は10日、10万ルピー
(約28万円)の超低価格車「ナノ」を発表した。性能の絞り込みで
コストを大幅に削減、乗用車としては世界最安となる。新興国の車
に手が届かなかった層を取り込む切り札として、仏ルノーなども追
随する構え。新興国市場で大きなシェアを握る可能性があるだけで
なく、世界の自動車市場で新たな需要を掘り起こす公算がある。

 タタ自は11日に一般公開が始まる「デリー自動車エキスポ」を前
に、「ナノ」を披露し、今年9月にもインドで売り出すと発表した。
同社と競合するスズキがインドで販売している現時点で世界最安水
準の小型車「マルチ800」(800cc)の約半値だ。

 徹底した機能と装備の切り詰めで大幅なコスト削減を図った。パ
ワーウインドーのような快適性のための部品・機能は絞り込んだ。
車体は日本の軽自動車より全長で30センチほど短い。

 新型車は従来の自動車と二輪車の間を埋める価格だ。巨大な人口
を抱えるインドの二輪車市場は約790万台(2006年度)で世界2位。
乗用車の6倍近い。その一部を奪うだけでも、新興国に巨大なクルマ
市場が新たに生まれる。
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ハイブリッド車素材、旭化成や昭和電工など相次ぎ増産   
(nikkei)
  国内素材各社がハイブリッド車用素材の増産体制整備に乗り出し
た。旭化成、住友化学などは電池材料の生産設備を増強。昭和電工
や新日本製鉄などはモーターに使う金属素材の生産能力を大幅に増
やす。トヨタ自動車やホンダが先行するハイブリッド車の世界市場
は原油高もあり今後急速に拡大する見通し。素材各社は液晶などデ
ジタル機器用に続く日本発の新素材として育成、世界に売り込んで
いく戦略だ。

 旭化成は現在主流のニッケル水素電池に代わるハイブリッド車用
電池として期待されるリチウムイオン電池に使う「セパレーター」
と呼ぶ膜材料を増産する。数十億円を投資、年産能力を現在の2倍の
2億平方メートル程度に引き上げる方向。すべてを自動車用に振り向
ければ年400万台分程度の生産に対応できる。
[1月10日/日本経済新聞 朝刊]


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