6384.米国の債務危機から金融危機に



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トランプ氏の関税政策は、報復関税の嵐になるが、一番の問題は債
務危機であり、下手をすると金融危機になる。このを検討しよう。
                    津田より

0.米国と世界の状況
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NYダウは、コロナで2020年3月23日に18,591ドルまで急落したが、
2024年12月4日45,014ドルの史上最高値更新、2025年3月7日は42,801
ドルで、10日は890ドル安の41,911ドル、11日は478ドル安の41,433
ドル、12日は82ドル安の41,350ドル、13日は537ドル安の40,813ドル
、14日は674ドル高の41,488ドル。

先週、株価は1400ドルの大幅下落でした。先々週に続き、大幅な下
落で、年初から4000ドルも下げている。このため、機関投資家は、
売りに対して、個人投資家が押し目買いをしている。

米消費者物価コアCPIは、2.8%増と予想より低く、インフレ抑制が進
展しているが、米消費者信頼感指数は57.9へ低下し、2022年11月以
来の最低水準になった。このため、インフレが落ち着き、金利が低
下したことで、14日は大幅な株価の上昇になっている。特にNASDAQ
の上昇がすごい。

しかし、機関投資家は、割高な米株から割安で上昇が期待できるド
イツ株や中国株に投資先を変えている。ドイツは軍備拡張で財政出
動をするので、景気が良くなると期待し、中国株はDEEPCEEKなどの
AI最先端技術に期待しているようだ。

米株についてはF&Gインデックスが15になり、恐怖を感じているよう
に見える。このような情勢でもトランプ氏は、関税を世界に掛けて
いる。

3月4日にカナダ、メキシコに25%関税、中国に20%関税を掛けたが、
カナダは電力輸出に25%の輸出税を掛けると言い、それに対して、
トランプ氏は50%関税をかけると発表したが、カナダが輸出関税を
撤退したことで、25%関税になった。

中国は農産物に10%関税をかけるとしたが、トランプ氏は黙認して、
4月には習近平主席との首脳会談を行うという。同盟国には厳しく、
専制国には優しい。

次に3月12日に鉄鋼とアルミに25%関税を掛けたが、欧州はバーボン
など260億ユーロ相当の米国製品に関税をかけるとしたが、これに対
して、トランプ氏は欧州産ワインやシャンパンに200%関税をかける
という。

そして、4月2日には、すべての国毎に相殺関税をかけるという。
ラトニック米商務長官は、輸入される自動車への関税はすべての国
が対象となり、日本も除外されないという。日本も対象である。

ここでも、報復関税の嵐が吹き荒れることになる。このため、米国
との貿易は、大きなダメージを受ける。結果、米国との貿易ができ
なくなる可能性すらある。

日本や英国、メキシコなどは、報復関税などをしないで、様子見で
あるが、それが一番良いような気がする。報復合戦になると、世界
貿易に影響することになる。今は米国を除外した自由貿易体制を確
立することである。

200%関税で、米国への輸出ができない仏ワインが低価格で世界に輸
出される。こうなると、自国のワインを守るために、関税を引き上
げる国が出てくる。ということで、世界貿易の縮小になりかねない。
中国の鉄鋼などもそのような状況である。

その上、欧州やカナダでは、米国製品やサービスへの不買運動も出
ていて、テスラ車は、欧州と中国の売り上げが50%以上も落ちたとい
う。コカ・コーラやデータセンタなどの米国が強い製品も売れなく
なる可能性が高い。特に欧州では離米が進んでいる。

欧州諸国や多くの国では、今後、米国製の武器、飛行機、戦車を買
わないことになる。よって、米国の兵器産業は衰退することになる
。ウクライナに対して、F-16電子機器のスイッチを切ったことで、
米国製武器の信用は無くなった。米国は味方を裏切る可能性も無視
できなくなったことによる。

米CDCも医薬品開発補助金を無くすということで、米国からの新しい
医薬品は出てくなくなる。米薬品メーカーの業績も悪くなる。とい
うように、補助金がなくなり、米企業の競争力は大幅に落ちること
になる。すでに、ラッセル2000企業の43%が赤字であり、それが拡大
することになる。特に補助金が頼りの新興企業はなおさらである。

このため、米国の景気後退は確定的であるが、世界的な米企業の業
績も落ちる。このため、世界の投資家が、米国株から逃げようとし
ている。

しかし、日本の個人投資家は、押し目買いに走っているようだ。米
国は、今までの覇権国から普通の国になるので、期待しない方が良
い。

最先端製品も米国から中国に主導権が移っている。今強いのはAI
半導体分野だけである。

そして、米国で2025年の一番の問題は、1年以内に9.6兆ドルの米国
債の借り換えが必要であり、金利が高いとコストが大きくなるので
、金利を下げる必要にあり、この金利を低下させる手段は、不景気
にするしかない。関税でインフレは続くので、一時的なスタグフレ
ーションになる。

しかし、レイ・ダリオ氏などは、債務危機に陥ると見ている。米国
債のデフォルトになる可能性を言っているが、トランプ政権のベッ
セント財務長官は、デフォルトにしない方策として、米国債の再編
を行う可能性があるという。3ケ月米国債を10年米国債に変換するな
どで借り換え量を少なくする可能性である。

コアリートであり、これをすると流動性不足が起き、世界的な金融
危機に発展する可能性がある。米国の債務危機が世界的な金融危機
に発展する可能性も見ておくことが必要である。

その前にドルの価値を半分程度に下げる「プラザ合意2.0」があるか
もしれないと騒ぐ専門家もいる。これをして、借り換え費用を削減
する。特にコアリートと併用すると重みが大きく低減することにな
る。

以後は有料版を見てください。

0.米国と世界の状況
1.日本の状況
2.ウクライナ戦争推移
3.中東情勢


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