GAY CINEMA DATA


ハスラー・ホワイト (96・米=カナダ)
監督:ブルース・ラ・ブルース、リック・カストロ
出演者:トニー・ウォード/ブルース・ラ・ブルース/ケヴィン・P・スコット/イヴァー・ジョンソン /ケヴィン・クレイマー
「ノー・スキン・オフ・マイ・アス」が世界的なカルトヒットとなり、続く「スーパー8 l/2」が世界の 映画祭サーキットで話題を呼んだカナダ映画界の異端児ブルース・ラ・ブルースが、ロスアンゼルス在住の 写真家リック・カストロと共同監督した異色作。 ハリウッドのサンタモニカ大通りを舞台に、ハスラーたちの取材のためにそこを訪れたジャーナリスト、 ユルゲン・アンガー(ブルース・ラ・ブルース)と、一人の危険で魅力的なハスラー、モンティ(トニー・ ウォード)との運命的な出会いと恋を、キッチュで奇抜な演出で描くハート・ウォーミングなストーリー。

退廃的かつ変態的なプレイの数々は、ちょっと(かなり)引いてしまった(私は緊縛とかSM プレイが嫌い。レイプものはいいが(え?))。 先日観た美少年ポルノの方がまだ可愛いとか思ってしまった。確かに人によっては拒絶感を引き起こし かねない内容だが、サンタモニカのハスラーの実態はなかなかリアルに描けていてそういう点 は評価したい。
ただ、こういう作品がかえってゲイへの偏見を生み出すのではないかという批判が今度はゲイ側からも 起っていることも言い含めておきたい。ポルノだからそういう事を云々しても仕方ないのだけれども・・ ただ、白人への復讐だ、とか何とか言って黒人達が白人のハスラーをよってかたかって輪姦 するところは、ほんとは悲惨な光景なはずなのにやられている当人がケロッとして、後で 「よく頑張った」とか黒人達に誉められているのが笑えた。 基本的にはモンティに一目惚れしたジャーナリストのユルゲンの純愛ストーリーになっていて ラストは何だかおかしくも微笑ましい。
ハスラーのモンティを追いかけるユルゲンが、監督のブルース・ザ・ブルース自身だが、 最後、モンティが死んだと思い込んで彼を海岸に連れて行くシーンはなんとなく 「何がジェーンに起ったか」を彷彿させられる。この映画は実はゲイ達の御用達だという から、意識していたのかもしれない、などと深読みしたりして・・。
元々アンダーグラウンド系の実験映画(→観客を選ぶな!)があまり好きでない私は、この人との 波長が合わないような気がしたが、「ノー・スキン・オフ・マイ・アス」をまだ観ていないので 早急に結論を下すのは避けたい。とか何とか言いつつ、しっかり録画して保存している。


ライダウン・ウィズ・ドッグス

1995年アメリカ映画だと思いますが、ウォーリー・ホワイトが監督、 主演している、ゲイ映画です。初めて現実感のある(映画の善し悪しは別として)本物に近い作品です。 俳優達も皆個性ある演技をしているし、全体にわたって、軽い感じに仕上がっていて おもしろかったです。(NONBOOさん)


800/TWO LAP RUNNERS
監督:広木隆一
中学時代に尊敬していた800m走の先輩と関係したことが、一種のトラウマになって いる少年の物語。それ以来、女の子とできなくなってしまった少年が一人の少女との 出会いによって徐々に”直って”いきます。隠れた名作です。 広木監督はこの映画以外でも、「少年時代の”悪戯”を大人になってからも引きずって いる男」という設定を使っているのですが、なんとなくこだわりを感じます。(ダリアさん)
オイディプスの刃(86・日本)
監督:成島東一郎
原作:赤江漠 出演:古尾谷雅人/京本政樹/北詰友樹
刀の収集に力を血道をあげる家長と、香水作りの好きな妻のいる下関のとある旧家のもとに ラベンダーと伝統の妖刀"次吉"が持ち込まれたことから次々と奇怪な殺人事件が起る。

美しい母や父の死によってバラバラになった3人の兄弟が年月を経て再び出会い、 両親の死の謎を知る。出演は古尾谷雅人、京本政樹など。監督は「戦メリ」で撮影を 担当した人なので、かなり映像重視の作品に仕上がっています。日本の風土を生か した耽美的な映像は、なかなか味があります。 でも、男同士の関係があまりにもぼんやりと描かれているので、はっきりとは分からず、 イライラさせられます。そういう意味で、”日本の「アラビアのロレンス」”と呼びたい作品。(ダリアさん)


忠臣蔵外伝・四谷怪談(94・日本)
監督:深作欣二監督
出演:佐藤浩市/高岡早紀/津川雅彦/荻野目慶子/渡瀬恒彦/蟹江敬三/渡辺えり子/真田広之/
"忠臣蔵"と"四谷怪談"をミックスさせた時代劇。田宮伊右衛門を赤穂浪士の一人に設定。その彼が 金と名誉のために恋人・お岩を捨てて浪士としての義を捨てて落ちていくさまを現実と幻想が交差する 映像の中に描き出している。

佐藤浩市演じる浪人が武士役の蟹江敬三に太股をなでさすられる場面や、若武者 二人が舞を舞う場面に、なんとも妖しい雰囲気が漂います。監督はこうした場面を 取り入れることで、武家社会という男ばかりの世界の男色的な側面を描こうとしたの ではないでしょうか。 深作監督はホモセクシャルが今よりタブー視されていた時代から、映画の中にそれを 大胆に取り込んでいる人です。監督自身は筋金入りのノンケだと思います。(ダリアさん)


映画監督アモス・グッドマンの肖像 Amos Gutman-Film Maker(97・イスラエル)
監督:ロン・コツェール監督
94年に東京で行われた「第2回イスラエル映画祭」で上映され話題となった ゲイ・ムービー「アメージング・グレース」の監督アモス・グッドマンのライフストーリー。 若くしてエイズに散った映画作家の劇的な生涯と彼をとりまく人々の記憶を描く。
アメージング・グレース Amazing Grace (92・イスラエル)
監督:アモス・グッドマン
出演:Sharon Alexander/Dvora Bartonov/Guy Hoeberger/Rivka Michaeli/ Hinna Rozovska/Ada-Valery
この映画の撮影時には38歳だったアモス・グッドマンは撮影直後にエイズで 亡くなった。ストーリーは二人のゲイの交流の物語だが、ゲイである以前にまず人間で ある彼らの孤独な姿が浮き彫りにされていく。監督自身の姿が投影された伝説の劇映画。 同じアパートに暮らす様々な人々の姿を映し出した現代劇。セリフはヘブライ語 だが、どこの都市でも起こりうる物語を正攻法で描き出す。
ファスビンダーの ケレル QUERELLE (82 西独=仏)
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:ブラッド・ディヴィス/フランコ・ネロ/ジャンヌ・モロー/ハンノ・ペッシェル/ ギュンター・カウフマン/ブルクハルト・ドリースト
ジャン・ジュネの「ブレストの乱暴者」をファスビンダーが映画化した作品。 港町ブレストに下り立った水兵ケレル(ブラッド・ディヴィス)は、淫売宿の主人ノノに 賭けで負けて犯されて以来同性愛に目覚める。そしてノノの妻リジアーヌ(ジャンヌ・モロー)の 愛人ロベール(ハンノ・ペッシェル)は彼の離れ離れに育った兄弟であった。再会した2人はお互い 惹かれ合うが自分の気持ちに正直になれずナイフ片手に格闘をする。そしてケレルはノノ以外に宿に 通う刑事マリオや、ロベールに瓜二つの建設労働者ジル(ペッシェルの二役)、ケレルの上官 セブロン大尉(フランコ・ネロ)、そしてリジアーヌにも愛される。。

舞台の港町ブレストの風景はすごく幻想的です。ナニの形をしたモニュメントはあるし、 空も始終夕焼け色に染まっているしで現実感がまるでなく夢の世界といった感じ。 水兵のケレル役をしているブラッド・ディビスはサル系ですがなかなか逞しくて美しいです。 兄弟の再会シーンはお互いの容姿の美しさを誉め合いながらも格闘するという異様なもので ちょっと笑ってしまいました。しかし文学を映画化しただけあってセリフは詩的で深く、 原作者の同性愛に対する思いがヒシヒシと伝わってくる作品でした。 気になった登場人物はケレルを遠くから見つめるだけで唯一手を出さないセブロン大尉。 ケレルに対する熱い思いをテープに録音しながら彼をジッと見つめる姿は印象的です。(トモさん)


キラー・コンドームKILLER CONDOM(96・ドイツ)
監督:マルティン・ヴァルツ
出演:ウド・ザメール/ペーター・ローマイヤー/イリス・バーベンマルク・リヒター/ ゲルト・バーメリンク
クリーチャー・デザイン:H.R.ギーガー
ルイジ・マカロニ刑事はついていなかった。ゲイが災いして、“キラーコンドーム”事件を 捜査するはめになったのだ。裏通りで拾った美しい少年ビリーとお楽しみにふけろうとした彼は、 あわやコンドームの餌食になりかける。被害が左のタマだけで済んだのは、全く不幸中の幸いだった。 こうなると事件は人ごとではない。なんとしてもキラーコンドームの謎を暴かなければならない。 たとえ、どのような犠牲を払っても! それが1つだけ残った大事な右のタマであっても!!!! (某所からの紹介文転載)

最初はただのB級ホラーかと思っていましたが、見てみるとこれがなかなかQueerな映画 だったのでビックリしました。まず主人公がゲイの刑事だし、彼の恋人も若い男娼、そして舞台 はドラッグ・クイーンやゲイがたむろするニューヨークの下町ホテル。一見B級ホラーだけど、 その実ドイツのQueer世界を曲げて描いたマジメ映画なのかと疑いたくなるような複雑な作り なのです。(誉めすぎかもしれませんが。。(^^;;))特に気に入ったのは主人公のマカロニ 刑事のキャラです。ゲイの主張はするわ、変なポリシーをもってるわりに故郷のシチリア島 を懐かしむセンチな面も持ってるわで、チビ・はげ・デブの三拍子そろったおっさんが だんだんかっこよく見えてくるところがすごいです。そして彼の恋人の男娼役の俳優さんも なかなかの美形です。ちょっとジュード・ロウ系のお美人さんなので要チェック!(トモさん)

「サイコ」「ジョーズ」「エルム街の悪夢」などのパロディ満載(他に何が出てきたかご存知なら お教えください)のB級ホラーだが、どこかヨーロッパ映画独特の哀感が漂うと思うのは私だけ だろうか。 ニューヨークが舞台なのにドイツ語をしゃべっていて、主人公がシチリア移民というのがミソ。 イタリア映画なのに世界マーケットを狙って英語で撮るダリオ・アルジェントなどとは好対照で、 はなから世界マーケットなど投げているのがもうミエミエだが、これが東京で上映されると意外 と大受け。ドイツのB級娯楽映画の奥深さを垣間見た気がした。
マカロニ刑事と美少年ビリーとのエレベーターでのラブ・シーンもあるし、そういう点でもバッチリ 楽しめる。 聖書の福音が全てだと言いはる原理主義者を風刺し、最後にマカロニ刑事に大演説をさせてしまう が、これが妙に説得力あるからスゴイ。ギャグなのかシリアスなのかわからない作りが、 結構ツボにハマってしまった。(erin)


BREAKING THE CODE (96・英)
監督 ハービー・ワイズ
出演 デレク・ジャコビ/リチャード・ジョンソン/アマンダ・ルート/ハロルド・ピンター
主人公はケンブリッジ大学出身でイギリスの天才的数学者、アラン・テューリング。第二次大戦下と、 戦後1950年代のイギリスという2つの時代を行き来しながら、ドラマは進行する。 大戦下のアランは政府機関である暗号解読組織の一員として、ナチス・ドイツの難解な暗号「エニグマ」 の解読に従事している。彼は最初期のコンピュータである「テューリング・マシーン」を開発し、 みごとに「エニグマ」を解読。連合国勝利に大きな貢献をした。彼の上司であるディルウィン・ノックスは、 アランの天才を見抜くと同時に、彼がホモセクシャルであることも見抜いていた。当時もそして50年代も、 同性愛は法律で禁じられた行為。しかしアランは彼の女性アシスタント、パット・グリーンの求愛にも、 拒絶の態度を崩さなかった。彼の性向は、彼の輝かしい業績によって、周囲には知られない配慮が なされていた。 しかし戦後、彼はふとしたことから警察に、自分がホモセクシャルであることを告白してしまう。 彼は情報局の監視下に置かれるが、彼には当時のイギリス知識階級では公然と行われていたホモセクシャル の行為がなぜ法に触れるのか理解できない。再会したパットからかつての上司ノックスもまた同性愛の経歴 を持っていたと聞かされ、ショックを受けるアラン。ギリシャ青年との束の間の情事の直後、悲劇は起こった。 ヒュー・ホワイトモアの同名戯曲の映画化作品。舞台の方は日本では、1988年に劇団四季創立35周年 記念公演として上演された。(浅利慶太演出、日下武史主演) (「シネフィル・イマジカ」の映画解説より転載)

連合国側に勝利をもたらすきかっけとなった暗号解読をした優秀な数学者が、戦後ゲイだと いうだけで糾弾される悲劇を過去と現代(50年代)を交差させて描いたTVムーヴィー。
まず、このような数学者がいたことすら知らず、色々と勉強になった。彼がコンピュータの原理に ついてパットに熱心に語るところもあるが、数学オンチの私にはチンプンカンプン(^^;)。
冒頭、彼が親友を家に連れてくるが、その親友への思いがそこはかとなく滲み出ていて彼がこの頃から ゲイだということがさりげなく描かれ、パットにも彼の思い出を楽しそうに語るシーンがある。
「BREAKING THE CODE」とは「暗号を破る」という意味だが、ルールを破るということにもひっかけていて、 英国の上流階級では公然と行われていた同性愛行為もあくまで秘密裏に行われなければならなかった のが、彼はそのルールさえも破り、自分のセクシュアリティを隠そうともしなかったため、 回りの人々の反感を買ってしまう。
警察に「どのような性行為をしたか」と聞かれて「互いにマスターベーションしただけ」と答えるが、 頑固で自分の信念を曲げない彼のこと、もし最後までいってたらそう答えたかもしれない。 この時代、アナルSEXをするとしないかではその罪状も大きく異なってくる。アナルSEXをした者は 懲役刑となってしまうが、人の性的嗜好が処罰の対象になるとは何とも非人間的なことだとあきれた。 同性愛者ということもあり、戦後の彼は軽んじられたがその後法律の改正後(同性愛の禁止事項の撤廃) 彼の偉業は再評価され、彼の故郷マンチェスターには、通りにアラン・チューリングの名がつけられている。(erin)

一番目を引いたのは初めの説明にも書いてる通りやっぱりデレク・ジャコビの演技力ですね。 どもり&母親と仲がいい中年男性という役柄が『愛と死の間で』に重なります。 BBCの『ハムレット』の演技もかなりの逸品でしたが、このBreaking・での彼も人間味があると いう点では一番いい役柄かもしれません。科学者だったら普通どんなことでも論理的に解釈しよう とする頭の堅い人間をイメージします。しかし彼の場合、偏屈そうに見えて意外に科学ではわり きれない人間の心の存在をよく理解してるんですよね。
そこのところにすごく目がいきました。自分の発明したコンピューターについて説明するシーンで、 「将来は人間の心をもつ機械もできるかもしれない」と熱く語るところなんて、ほんとに科学者 なのにロマンチストな面を持った人で魅力的な人だなと思いました。 アランが驚くと同時に自分も驚いたのがカムアウトしないように薦めた上司がゲイだったこと。 彼も同じ境遇だったからあんなに親身になってアドバイスしてくれたんだなと納得しました。 (トモさん)


ワイルド・パーティ WILD PARTY(70・米)
脚本:ロジャー・エバート
監督:ラス・メイヤー
出演:ドナ・リード/シンシア・マイヤーズ/マーシャ・マクブルーム/ジョン・レイザー

ロジャー・エバートは、ジャーナリストとして最高の栄誉であるピューリッツァー賞に輝く アメリカでもっとも権威ある映画評論家で、その辛口の裁定には定評があり、映画ファンには 絶大の信頼を置かれ、ハリウッドの映画人からは恐れられている。 最近では「ID4」をエバートにバカ映画呼ばわりされて怒ったエメリッヒ&デブリンがその仕返しに 「ゴジラ」にマヌケな市長エバートを登場させて復讐した。 このロジャー・エバートの過去の汚点とも言えるのが「ワイルド・パーティ」のシナリオを書いた事である。 ちなみにこの映画私の「ぴあシネマ辞典」にも載っていない。
1960年代の終わり、ハリウッドの映画会社はTVの台頭もあって瀕死の状態にあった。 そんな折、20世紀FOXが低予算で確実な収益を見込めるエクスプロイテッド映画を当時の ソフト・ポルノ界の帝王ラス・メイヤーを招いて撮らせたのがこの作品。 設定としては、女の子4人組のバンドがハリウッドにやってきてその汚濁にまみれるといった 陳腐なものだが、とにもかくにもドラッグ、セックス、ロックンロール、ハーレクイン・ロマンス に猟奇殺人、巨乳にトランス・セクシュアル、など見世物映画に必要なあらゆる要素を詰め込んだら すっかり収集のつかないカオス状態になってしまったという見本をこれでもかと見せてくれる。
芸術の域にまで昇華されたバカ映画とでもいうのだろうか。とにかくシュールでキッチュなブラック・ ユーモア満載で、ここまでくるともはやギャグにしか見えず、ラス・メイヤーが意図的にやっていると しかとしか思えないのだ。
当時、全米のキリスト教団体が「天下の20世紀FOXがポルノを撮るなんて」と抗議したが、そんなに 目くじら立てるほどのものでもないだろう。なんで笑って済ませられないのだろうか。 しかし、バカな映画を突っ込みながら楽しむといった鑑賞法が定着してなかった時代のことでもあり、 この作品は露骨なSEX描写が一切ないにも関わらず、当時の良識派の反感を買ってX指定となり 長い事オクラ入りとなった。しかし、カルト・ファンの間では絶大な人気を誇っている。 要するに「WP」は時代を先取りし過ぎたのである。 今見ると(そういう刺激的な部分は)全然どってことないもの。
また「ベルベット・ゴールドマイン」や「ブギー・ナイツ」がいかに70年代を巧妙に再現しようと、 洗練された"今"を感じさせる部分が見え隠れしているのに対し(「オースティン・パワーズ」 もそう)実際に70年に撮られただけに否応無しに時代を感じさせる(それが若い子には新鮮なんで しょうが)。
Zマンというロック界のカリスマが登場するのですが、これがどう見てもおカマにしか見えない と思ったら、彼の正体はやはり・・! 「オースティン・パワーズ」「ブギー・ナイツ」にはこの映画へのオマージュが随所に見られる。


樫の木と葦 Le Chene et le Roseau(94・フランス)
監督:アンドレ・テシネ
出演:ゲール・モレル/エロディー・ブシェーズ/ステファーヌ・リドー/フレデリック・ゴルニー
1962年、フランス、プロヴァンス地方。フランソワとマイテはカップルだが、まだ身体の関係はない。 フランソワの、寄宿学校の同級生セルジュの兄が結婚式を挙げた。彼は兵士としてアルジェリアに 出征する。アルジェリア独立戦争は最終局面を迎えていた。フランソワとセルジュは仲良くなり、 ふとしたことで同性愛の仲になる。それをフランソワはマイテに告白する。 一方彼は、セルジュと同室のアンリにも惹かれていた。アンリは彼らより年長で、アルジェリア帰り。 その頃セルジュの兄が、アルジェリアで戦死した。熱烈な愛国者で入植者であるアンリを、セルジュ は激しく嫌悪する。フランソワはマイテに、セルジュを慰めるように勧める。彼はマイテを好き だったから。しかしマイテはそんなセルジュの肉体的欲望を、笑顔で受け流した。 マイテの母で共産党員の教師アルヴァレスは、兵役を拒否したかったセルジュの兄の力になって やらなかったことを苦に、精神薄弱に陥る。替わりの教師がやってくる。大学入学資格試験の時期が、 彼らに迫っていた…。

主人公はぜんぜんハンサムじゃありません〔フランス映画って多いんだよね こういうの。レオ・カラックスとかさ〕。でも国語の成績が抜群なんです。 クー、いいなあ〜。〔快感フレーズのヒロインみたい〕。ランボーの詩とか 話題にしたりして。 で、肉体だけが取り柄のイタリア移民の同級生に作文を代筆してやるんです。 同級生は成績がアップして、 「これで田舎のオヤジのために登記書類や契約書を読んであげられるぜ!」 って主人公に身を許しちゃう。 でもって、主人公は優等生なので学校の先生の娘(文学少女)から 惚れられているのだけど、ノンケの同級生たちに彼女を紹介して、 あわよくば同級生たちから犯ってもらおうっていうけなげな(?) ヤツなんです。なんだかなあ。

「堅い樫の木のように片意地張ってホモであることを隠すより、葦のようにバカにされながらも、 ホモだということを自他ともに認めてしまったほうが強い」ってことを言いたかっただけでしょう。

見どころは何と言ってもフランスの理屈っぽい国語の授業風景!あんなこと 習ってるんだなあ。やつらは。サミットでかなわないはずだ。(スラッシュさん)

フランスと聞いただけで、無性にムカツク私だが、これはまあまあ楽しめた。 当時のアルジェリアとの微妙な関係とか描かれていて、そういう点で興味深い。(erin)


君が眠る前に OUR SONS(91・米) 監督:John Erman
出演:ヒュー・グラント/ジュリー・アンドリュース/アン・マーグレット/Zeljko Ivanek
ゲイの息子を持つ対称的な2人の母親、余命幾ばくもないエイズ患者の息子と彼を見守る恋人 との4人の交流をしんみりと描いた佳作。 2人の母親にジュリー・アンドリュースとアン・マーグレット、 アンドリュースの息子役をヒュー・グラントが演じる。

ジュリー・アンドリュースは、アメリカで成功したイギリス女性でお金持ちなのだけれども、 カリフォルニアという開放的で進歩的な土地柄の影響を受けてか、心情的にはゲイは歓迎 できないけれども、何とか理解しようと歩み寄るタイプ。 片やアン・マーグレットの方は、庶民の出で一見理解がありそうに見えるが、南部の 保守的な土地柄に育ったせいか、ゲイを嫌悪し、息子を17の時に追い出したが、彼が エイズで余命いくばくもない事を知らされ、最期を看取りに来る。 この2人の母親の心の機微、反発し合いながらも互いを理解しようとする姿がきめ細や かに描かれていて、静かで地味ながらもなかなか見応えあります。

この映画の紹介を聞いた時、てっきりイギリス映画だとばかり思っていたのですが、 アメリカ、それもサンディエゴが舞台なんですよね。 ヒュー君、アメリカ人役なんて似合わないなー、と思ったらやはりアメリカ生まれの イギリス人役でした。彼ってどう見てもアメリカ人には見えませんからね。 何とか努めてアメリカ訛りの英語を話そうとしているのが伝わってくる程ぎこちない アメリカン英語でアメリカ生まれにさえ見えないないわけですが、つくづく彼にはアメ リカ人役は似合わないと思いました。 でも、いつも人の良い優柔不断な役ばかりで何をやっても同じだったのですがこの作品 での彼は、意志の強さを感じさせてなかなか良かったです。
世紀のアホ映画「フォー・ウェディング」の時は、あの例のコールガールとの白昼カー ・セックス事件が頭にチラついて必要以上に辛口評になってしまったものですが、 「ウェールズの山」やこの作品の彼は嫌味がなく、自然体で気持ちよく見れました。 やはり、あのタレ目の可愛い容貌でだいぶ得しているよね。この人。
それにしても「ビクター・ビクトリア」でゲイを装う女性を演じたJ・アンドリュース がゲイの息子を持って苦悩する母親を演じるとは皮肉だよなあ。(erin)

よく紹介されていたなかで、「ババア対決」っていう言葉を見ましたが、ただの母親の考えの 対称で私的には感動もの第1位に君臨したといっても過言ではないので、なんか 笑い話感覚で解説されてすこしいやだったな〜。(リベラルさん)


トータリー・ファックト・アップ TOTALLY F**ED UP(94・米)
監督:グレッグ・アラキ
出演:ロコ・ベニック/ランス・メイ/スーザン・ベイシッド
エイズに侵されたゲイカップルの逃避行を描いた「リビング・エイド」で注目を浴びたグレッグ・ アラキ監督が10代の同性愛者の実態を断片的なエピソードの積み重ねでリアルに描く。

この映画の監督は『リビング・エンド』のグレッグ・アラキだったんですね。 わたしリビング・エンドかなり好きなんです。 それにしてもこの監督、“アラキ”って日系人なんでしょうか。この人もカムアウト有名人のリストの 中に名前があったように思います。 『リビング・エンド』で、マッチョのルークが「おれたちはセックス革命の犠牲者だ。前の世代は 遊び放題でそのツケが回ってきた。エイズはネオ・ナチ共和党の究極の解決策で、最近兵器を使った 大量殺戮だ」という皮肉なセリフが気に入ってたのですが『セルロイド・クローゼット』でも取り上げて くれててうれしかったです。トータリー・・もリビング・みたいな皮肉なセリフを多用して若者たちの 本音を語っててよかったです。それにしても、リビング・の後にできた映画みたいですが、同じような セリフはあるし、ルークが例のセリフを言うシーンにデカデカと映ってる男の子がキャンデーをなめてる ポスター(あれは何かの映画なんでしょうか?)がまた貼ってあるし、で小物がけっこう気になりました。 (^^;;) 登場人物が10代ということでまだまだ青春真っ盛りという感じでリビング・とは少し違ったほろ 苦い物語でした。「愛なんて存在しない」って言ってたアンディが一人の学生にゾッコンになったりとか みんなかわいいです。(トモさん)

今確認できないので、記憶で書きますが、あのポスターは80年代の奥手のゲイ少年たちのアイドル? だった「The Smiths」のポスターじゃなかったかなあ・・・???記憶が曖昧。(^.^;;;;; 可愛い子の方が着てたT・シャツがジョイ・ディヴィジョン。彼の音楽の趣味とか、すごく、それぽい のですよ。petsの「イントロスペクティヴ」もちらと映るし、また、見直して確認したくなったです。 いつになるかわからないけど、そのときはまたカキコします。 グレッグ・アラキは「途方に暮れる3人の夜」が一番優しいお話でしたね。(のねこさん)

2組のゲイ・カップルとレズビアン・カップルの日常をドキュメンタリー・タッチで淡々と描く。
主演の少年はまあなかなか可愛い。アナル・セックスを嫌がっているが、好きな相手ができて それとなくほのめかされて心が揺れるところはよく出ていたと思う。 ただ、ドライ過ぎるのがちょっと・・、って感じ。私の見たいのはもっと情感に訴えるもの (「フレンズ」(ドラマの方ではない70年代の青春映画)の少年版みたいなやつ)なのですが、まあ たまにはこんなのも良いでしょう。(erin)

これまた純情乙女な男の子がモロ「愛に殉じ」たメロドラマとは〜アラキさんてー失礼ながらあの雰囲気からレザーハードを連想してただけに〜 それにしてもアラキ氏の描く「どこにも行けない子供たち」ってのは何の心象風景なんでしょう。アメリカって国がいかに強がっていたいかがよーくわかるというか。 この作品は特にネタばれしないが花なのでこのへんでやめますが、主人公君が相愛関係になってちょっとの恋人と腕を組んで町中闊歩してる時、主人公君がホームレスに小銭をあげるシーンがとっても印象的。 恋人は「やめとけよーどうせ嘘なんだからー」と諫めるのを、「いいからあげるの!」と敢行しちゃう主人公。荒んだ土地柄でしょうに、まさにここでは「恋をすると幸せを分けてあげずにいられない(例え他人ですら)(ひーーーー恥じかちぃっ!)」的むずがゆさとはいえ、殺人級の腰砕け目福感が味わえること必至。 ・・・こういうリリカルロマンって、東西どっちから派生してったのやら。(スギオメルさん)


亡霊の檻 GHOST OF THE CIVIL DEAD(88・豪)
監督:ジョン・ヒルコート
出演:ニック・ケイブ/デイブ・フィールド/マイク・ビショップ/ケビン・マッケイ
近未来の最新鋭の刑務所。一見パラダイスに見える物質と待遇に恵まれたこの刑務所で、ある日突然 見えないシステムによるロックダウン(囚人監房内への厳重な監禁)が始まった。 90人の出演者の内、50人が本物の囚人という、ミュージック・ビデオ出身のスタッフによって 製作された。

近未来的な刑務所が舞台で、実際に起きた事件を基にした、密室な空間で 起こる抑圧された暴力を描いています。 一応はそれなりの秩序を保っていた囚人たちが、看守などの残酷な抑圧により だんだんと理性を失っていきそれが爆発するまでを淡々と追って行きます。 音楽をニック・ケイブが担当していて静かに押し寄せてくる狂気をさらにもりたてています。 刑務所内でのアイドル(?)的な存在として、クイアーな映画であるところも はずしてないです。(NONBOOさん)


深夜カフェのピエール J'EMBRASSE PAS (91・仏=伊)
監督 アンドレ・テシネ
出演 マニュエル・ブラン/エマニュエル・ベアール/フィリップ・ノワレ
パリに憧れ、有り金をかき集めてパリへやって来た17歳の青年ピエールは、俳優を目指すが 叶わず、生活のために夜の公園で男娼となる。「キスはなし」を条件に夜の公園に立ち、 客引きをする彼は、ある日奴隷のように虐げられている売春婦イングリッドに出会い、 彼女に恋をする。歌手になる夢が果たせなかった彼女は、ピエールに唄って聞かせる。 しかし、ピエールはイングリッドのヒモとその仲間に彼女の見ている前でレイプされてしまう・・・。

イングリット役のエマニュエル・ベアールは確かに美しいけれど、今回あまり魅力を感じなかった。 私はそれよりもピエールに行為を抱き、手を差し伸べようとするゲイ役者を演じたフィリップ・ノワレの 方が印象的だった。「ニュー・シネマ・パラダイス」とはまた一風違ったいい味を出している。 最初はピエールに下心で近づき、警戒されるが、やがて親身になって面倒を見ようとするところがいい。 ところが、ピエールは借りを作って縛られるのはごめんだとばかりに彼の行為を拒絶し、街に立つ。 しかし、最後の方で追いつめられ、藁にもすがる思いで彼の元に救いを求めに行くが「もう遅すぎた」 と拒絶されてしまうところはなんともやるせない。
ラストでピエールが3人もの男から強姦されるシーンはほんとに悲惨。 それにしてもあのヒモ、ゲイでもないのに男相手にほんとに楽しそうにヤッってたけど、 相手を痛めつけるためにレイプするなんてほんとにあるのですね。侮辱のキスのなれの果てみたいな ものだろうか(ちが〜う!)。ちなみに原題の"J'EMBRASSE PAS"は娼婦がよく使う常套句「キスはしない」 を意味している。
それにしてもあの役者、有名人なのに、男娼のたむろするハッテン場に堂々とやって来れるなんて フランスならではかとか思ってしまった。


セクシリア Laberinto de Pasiones(82・スペイン)
監督 ペドロ・アルモドバル
出演 セシリア・ロス/イマノル・アリアス/エルガ・リネ/アントニオ・バンデラス
太陽を恐れ夜を愛するニンフォマニア、セクシリア。毎夜複数の男とベッドを共にする彼女だったが、 リサという男との出会いが彼女を変える。しかし、彼は国政不安となったティラン国の皇太子であり、 ゲイだった。そんな中、リサ誘拐を企てる反皇帝派グループが彼を探していた。

ゲイありオカマあり近親相姦ありの、アルモドバル・テイストの詰まったペドロ・アルモドバル初期 代表作。スペインで大ヒットとなり、アルモドバルが人気監督の地位を確立したスタート地点だ。 アルモドバル自身もライブ・ハウスの歌手役で出演。この場面に登場しているのはアルモドバル率いる 幻のロック・バンド“アルモドバルとマクナマラ”。 今やハリウッド・スターとなったアントニオ・バンデラスのデビュー作であり、繊細なゲイ青年役が 新鮮だ。