おじさんのかさ/佐野洋子

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おじさんのかさ/佐野洋子


■第86回/おじさんのかさ

おじさんのかさ 立派なかさを持ったひとりのおじさんがいます。そのおじさんは、でかけるときにはいつもかさを持ってでかけます。備えあれば憂いなし…いいえ違います。おじさんはちょっとの雨ならぬれたまま歩きます。それより雨が降ってきたら、雨宿りします。雨がやまないときは、見知らぬ人でも、その人のかさに入れてもらいます。もっと大降りの雨のときは出かけないで家にいます。それはすべて、かさがぬれないようにするためです。

 そんなある日、おじさんがいつものようにかさを持って、公園で休んでいると、雨が降ってきました。そこに小さな男と子が走ってきて、かさを持っているおじさんに「いっしょに入れてってよ」と言います。でも、おじさんは知らんぷりして、聞こえなかったふりをします。すると、男の子の友だちの女の子がやってきて、歌を歌いながら帰っていきました。「あめがふったらポンポロロン。あめがふったらピッチャンチャン」…おじさんは子どもたちが歌っていた歌が妙に気になります。「ほんとかなあ」と。

 そして、ついにおじさんはかさを開きます。雨がかさに当たると確かにポンポロロンと音がします。うれしくなったおじさんは、今度はそのまま街の方へ歩いて行きました。すると、長靴を履いて歩く音がピッチャンチャン。「ほんとだあ〜」…元気よく家に帰ったおじさんは、しっかりぬれたかさを見て、ぬれたかさもいいものだと思います。

 作者は「100万回生きたねこ」でおなじみの佐野洋子さんです。この「おじさんのかさ」も、それに負けずにロングセラーの名作絵本としてたくさんの方がご存知の作品です。全ての絵が濃いブルーで縁取りされた独特のタッチのこの絵本…とっても頑固なおじさんが、じつはとってもピュアだと思いませんか?作品の意図というものは、作者以外には決してわかるものではないものですが、この作品を読んで、皆さんはどう思うでしょうか?

 筆者はこう思いました。物には「役割」というものがあり、その「役割」を果たした時が、もっともその物らしいのだと。かさは雨が降った時にさすもので、ぬれたかさこそ、もっともかさらしいのです。使ってこそ価値があるものなのです。コレクションするものもあるかもしれません。大切に飾っておくものもあるでしょう。でも、物は使ってこそ最大限の価値を発揮するものなのです。何となく身の回りにも思い当たる物、あるような気がしませんか?


◆おじさんのかさ
●作・絵/佐野洋子●講談社刊●32P●1,470円(税込)
おじさんのかさ
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