みずをかぞえる/安野光雅/福音館書店 |
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みずをかぞえる/安野光雅/福音館書店 |
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■第360回/みずをかぞえる
これはもう明らかに「食わず嫌い」の典型であることは充分にわかっていながら、何か絵本で数学の勉強するのもどうかな?などという先入観があったかである。「旅の絵本」にしても何となく「地理」の勉強というイメージを抱いてしまい、「地理」もまた筆者の苦手科目ゆえ、敬遠していた次第である。 まぁ、そんな言い訳はともかくとして、この「みずをかぞえる」は確かに数学的というか、「理科」というか、そんな要素はあるが、何だ、それほど身構えて読む必要などまったくないんだ、ということを認識させられた。「みずをかぞえる」となったら、単位で1個2個という観念だと、確かに水は1粒2粒などとは到底かぞえられない。 2人の小人が案内役になって、そんな困った疑問を解決してくれる。そう、入れ物に入れて「測る」のである。しかし、同じ入れ物なら例えば、どちらが多いかなどすぐにわかるが、形が異なる入れ物に入っていると、見た目には漠然とどっちが多いか、推測はできるかもしれないが、正しいことはわからない。 そこで、「ます」を使って測るが、水の量がたくさんになると小さなますで測っていては大変な手間である。そこで、目盛のついたますを使って測れば、一目瞭然ということで、いろいろなサイズの容量が書かれたますで測るという結論に至るのである。大人からすれば、子どもの頃、初めて学校で教わった時は、へぇ〜などと感心したものだが、今となってはあまりにも当たり前のことで、まったく意識することすらしないだろう。測定する容器があるのが当たり前だから普段は水をかぞえる…などということすら意識しない。 測定するために方法なり容器は、人間がいろいろな過程を経て作り出してきた知恵だが、今の物があふれる便利な時代には意識すらしない。今回、この絵本を読んで、すでに無意識となってしまったことも、意識することでまた新たに気づかされることが多いものだとつくづく感じた。 そして、学校の授業も、こうした絵本などを使って勉強することができたら、もしかしたら筆者のように理数系が大の苦手だった子どもも、もっとスムーズに接することができたかも?などと今さらながらの言い訳と後悔を実感した次第である。お子さまにとって、こうした絵本は「学習させる」「勉強させる」という親としての目線ではなく、自分から結果的に「学習する」「勉強する」…ことになる絵本なのではないかと思う。 ちなみにこの「みずをかぞえる」は現在では」「はじめてであう すうがくの絵本 (2)」の中に収録された1編になっており、単独の絵本としては中古品で入手することになることをご了承いただきたい。単独の中古本ご希望の方は、絵本・児童書の古本屋「おひさま堂」をご参照いただきたい。 |
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