モチモチの木/斎藤隆介、滝平二郎/岩崎書店

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モチモチの木/斎藤隆介、滝平二郎/岩崎書店


■第195回/モチモチの木

モチモチの木  このコーナーで何度か言い訳とともに紹介している「今さらながら」読んだ名作絵本である。その独特の切り絵の表紙とタイトルは何度も見かけながらもなかなか機会がなく、今さらながら読んだ。

 登場人物は5歳の男の子の豆太とそのおじいさん、そしておじいさんが腹痛で苦しんでいる時に豆太が呼びに行った年配の医者の3人のみである。そしてお話そのものも非常にシンプルである。豆太は夜に一人でトイレに行けない臆病者で、必ずおじいさんについていってもらわなくてはならない。

 それは豆太の住む小屋の前に大きな木が立っていて、それが昼間はどうということもなく、秋になるとピカピカ光る実を落としてくれ、それをおじいさんが木ウスでついて、石ウスでひいて粉にして、モチにこね上げて、ふかして食べると美味しくて、そこから豆太が「モチモチの木」と命名した大きな木である。

 それが夜になると絡み合った枝がまるでオバケや怪物のように見えるために、豆太は怖くてトイレに行けないのである。そんなモチモチの木が霜月20日の夜中に山の神さまのお祭りとして、木に灯がともり、それを見られるのは勇気のある一人の子どもだけという言い伝えがあった。ちょうどその日が来たが、豆太にはとてもそんな勇気はないから、自分には見られないと思っていた。

 その晩、突然おじいさんが腹痛で苦しみだした。驚いた豆太は、おじいさんを助ける一心で、夜中に一人でふもとの医者のところに走った。怖かったが、おじいさんを助ける一心だった。そして、医者におんぶされて家に戻る途中、豆太は伝説のモチモチの木が美しく輝いている光景を見る。その光景は、自然現象が引き起こすものだったのだが、おじいさんを助けたい一心で、本当は臆病者の豆太がその恐怖心を乗り越えられた証しとしての山の神さまのお祭りの光景でもあった。

 独特の切り絵による絵は迫力があり、まさにこのお話にピッタリの絵である。小さな男の子が、ちょっとずつでも成長を遂げるワンシーンを描いた作品と言えるかもしれないが、モチモチの木が光り輝くシーンは幻想的で美しい。あるひとつの壁を乗り越えた5歳の男の子へのご褒美である。思いやりの心が恐怖心を乗り越え、それが成長につながっていく…1971年初版のロングセラーで40年以上前の作品でありながら、まったく色あせない絵本どころか、今の時代になりなおさらその輝きを増すように感じられる名作絵本である。


◆モチモチの木
●作/斎藤隆介●絵/滝平二郎●1,470円(税込)●岩崎書店刊
モチモチの木
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