続・自転車はどこを走るべき?★エッセイ

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 ■第4話/続・自転車はどこを走るべき?■

 この「なんでもコラム」の記念すべき(?)第1回めのテーマとして、私自身の徒歩通勤時に思ったこととして、自転車はどこを走るべきか?という問題を提起した。とくに反響があった訳でも何でもないのだが、その続編として、今回はある場面に遭遇したので、それを記してみたいと思う。くれぐれも、決してネタ切れとか、自転車通勤する方に反感を持っている訳ではないことを前置きさせていただく。

 いったいどんな内容だったっけ?という方は、改めて第1回のコラムをお読みいただきたいが、簡単に言ってしまえば、最寄り駅まで徒歩通勤している私としては、狭い歩道を背後から結構なスピードで自転車に来られると、それこそおちおち歩いていられないことを嘆き、本来、自転車は車道を走るべきとは思いつつも、今の日本の道路事情からすればやむを得ない面もあることを記した。

 確かに自転車通勤の方も急ぐのは充分に理解できる。しかし、これは第1回の文章にも記したかと思うが、とにかく狭い道幅では結構危険である。まさに人1人と自転車に乗った人が並んだらもういっぱいというような道幅であれば、猛スピードで歩く人の横を通り抜けていける確率は、かつてのアポロ計画でアポロが大気圏内突入のためには微妙な角度での突入が要求されたのと同じくらいの確率なのではないだろうか?まぁ、やや大げさではあるが、実際のところ非常に危険である。しかも、歩いていて思うのだが、自転車通勤族の皆さんはとにかく急いでいる。やや道幅に余裕のある場所までくると、それこそレースでも始まったのか?と思うほど、まさに先陣争いを展開しているのである。

 いずれにしても今まで記したことはほぼ第1回めの内容に重複したことであり、このへんで今回の続編を記したいと思う。

 それは、例によって私が朝の通勤で最寄り駅までの道をテクテクと歩いているある日のことだった。私が歩いている歩道とは道を隔てた反対側の歩道でそのシーンは展開されていた。私の位置からだと、そう反対側だから10メートル以上離れていただろうか。おじいちゃんがテクテクと歩いていた。服装からすると、本格的なウォーキングスタイルという訳でもないが、ただちょっと買い物の帰りという雰囲気でもない。ジャージのようなものを着用していたが、あくまでも本格的ではないにしろ、ちょっと健康のために歩いている、という感じであった。…と、来た来た。おじいちゃんの背後からサラリーマン風の自転車通勤人がおじいちゃんの背後に迫った。通常だと、何か背後に接近してくれば、その気配を察することが多いものだが、このおじいちゃんはまったく気づいている気配がない。たまりかねたサラリーマン氏はついに警報を発した。「チリンチリン!」…私などもそうだが、こうしてチリンチリンとベルを鳴らされてしまうと、歩行者としてはいかに不本意であっても自転車に道を譲らなくてはならない。ところが、どうしたことか?おじいちゃんは、一向に道を譲る気配すらなく、ペースを守ってテクテク歩いている。サラリーマン氏は再度「チリンチリン!」と警報を鳴らした。反対側の道を歩く私にも充分にその「チリンチリン!」という音は聞こえる。さぁ、もういい加減におじいちゃんも自転車が迫っていることに気づくだろう、と見守っていると、それでもまだおじいちゃんは一向に振り向きもしなければ、道を譲る気配もない。サラリーマン氏は三度、「チリンチリン!」と鳴らした。ところが、おじいちゃんはまったく動じない!

 交差点までの距離はあと20メートルは残っている地点である。サラリーマン氏のさらに後ろから走ってきた大学生風くんの自転車は、その前で起こっている事態を早めに察知したのか、早々といったん車道に出て、スイスイとおじいちゃんとその後ろにピッタリとつけたサラリーマン氏を抜かして行った。私は恐らくそのサラリーマン氏も大学生風くんを真似て車道に出ておじいちゃんをうっちゃるのだろうと想像した。

 ところが、何ということ。サラリーマン氏も意地になったのだろうか、4度めの「チリンチリン!」を鳴らしたのである。もうこうなるとはた目で見ていても気がかりである。一触即発の気配もなきにしもあらずである。果たして、おじいちゃんは聞こえていて、聞こえないふりをしているのか、本当に耳が遠くて聞こえないのだろうか?さぁ、サラリーマン氏はいったいどういう手段に出るのだろうか?

 事態は降着状態のまま進んだ。そして、ついに20メートルの距離をサラリーマン氏はまさにおじいちゃんの背後にピッタリとつけて、(当然その速度は遅いから、バランスをとるのも難しそうだ)様子を伺っているかのごとく進んだ。やがて交差点に到着した。信号は赤だったから両者とももちろん止まった。そして信号が青に変わると同時にサラリーマン氏はここぞ!とばかりに猛ダッシュをかけた。まさにロケットスタートである。トータル30メートル程度の熾烈な駆け引きによるイライラを爆発させるかのごとくであった。もうサラリーマン氏を阻むものはない。さっそうとサラリーマン氏は走り去ったのであった。

 では、本来なら敗北濃厚のはずのバトルに見事勝利したおじいちゃんはどうしたか?おじいちゃんは、まったく何事もなかったかのごとく、あくまでもマイペースを守り、サラリーマン氏がロケットスタートで走り去ろうが、さらに後続の自転車族が迫ってこようが、まったく意に関せずテクテクと歩いていたのである。その姿はまさに歩道を歩く者にとって見習うべき(?)威風堂々としたものであった。

 筆者は道路を隔てた反対側からそのピリピリした心理戦を観戦してふと思った。「あ〜、自分もあのおじいちゃんのごとく、歩道はあくまでも歩行者優先のものゆえ、自転車が来ようが堂々と歩いていられればなぁ〜」

 それにしても最後の最後までナゾだったのが、果たしてこのおじいちゃんは自身の背後に迫って4度に渡り「チリンチリン!」鳴らしたサラリーマン氏の自転車の存在を認識していたのかどうかという点である。こればかりは、まさにおじいちゃんに直接確認するしか、その手だてはなく、今となっては永遠のナゾとなってしまったのである。 

 自転車はどこを走るべき?の続編として、筆者が目撃した不思議な出来事をご紹介したが、何にしても理想的にはもう少し歩道が広いか、自転車専用道が設置されているか、自転車が車道を走っても安全な状態が確保されるか、日本の道路事情が改善されない限り、こうしたシーンは全国いたるところで起こり得ることなのである。


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