不死鳥伝説な男たち/エッセイ

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 ■第28話/不死鳥伝説な男たち■

 何やら格好いいタイトルをつけてしまったが、車通勤の筆者が毎週月曜日に車のラジオで聞いている番組でTBSアナウンサーの松下賢次氏(最近は世界の松下というニックネームは止めたそうだが)がパーソナリティをつとめている番組で2週間に渡って1人のアスリートにスポットを当て、紹介している番組があるのだが、その番組名が「不死鳥伝説」ということで、ちょっと拝借して今回のエッセイを記したいと思う。

 この回の前のエッセイも今シーズンからファンになった横浜ベイスターズの三浦大輔投手の件を記したし、2回続けてプロ野球ネタになってしまうのだが、今シーズンのプロ野球では、いわゆる「不死鳥」のごとくがんばっている選手が非常に目だっている。前述の松下賢次アナウンサーの番組内でもすでに何人かが紹介されたのだが、筆者としても今シーズンに賭ける「不死鳥」選手には、チームを問わず、何としてもがんばって好成績を上げてほしいという気持ちである。

 順不同になるが、中日の中村紀選手、楽天の山崎武選手、横浜ベイスターズの工藤投手、仁志選手、そしてメジャーリーグで見事に復活した桑田投手…。野球に興味がない人でも、こうした選手たちのことは多かれ少なかれ新聞やテレビの記事やニュースでもご覧になってご存知かと思う。

 今、記した選手はプロ野球ファンなら誰もが知っている有名選手たちである。スター選手である。いや、「不死鳥」というタイトルをつけた手前から言えば、あえて「スター選手だった」と、とりあえずは過去形で表記しよう。そうした選手たちが、それぞれの理由で、みんな大きな挫折を味わい、そして見事に今シーズン大活躍しているのである。

 中日の中村紀選手…いろいろなこじれからオリックス・バッファローズを退団し、テスト生として中日のテストを受け、当初は「育成選手」枠ということで採用された。楽天の山崎武選手は中日時代にはホームランキングを取ったこともあったが、その後戦力外通告を受け、楽天が誕生したときに「拾われた」選手である。

 横浜ベイスターズの工藤投手は巨人へFA移籍した門倉投手の人的保証として移籍、仁志選手は巨人で出場機会が少なくなってしまい、出場機会を求めて巨人を去った。大リーグのパイレーツに昇格した桑田投手は、巨人を「クビ」になったも同然で、海外に渡り、マイナー契約からスタートし、そこで思わぬアクシデントのケガに見舞われたが、それでも復活し、晴れて大リーガーとしてデビューした。

 いわゆる「過去の栄光」がある選手ほど、世間からは「好奇」の目で見られ、陰口をたたかれるものである。そうした逆境を乗り越えた…と言っても、それは実際には並大抵のことではない。いかに「自分に自信がある」と思っても、恐らくほんの一時でも、彼らは「不安」を感じたのではないだろうか。実力の世界であれば、確かに実力があれば這い上がっていけるものではあるが、ふたたび表舞台に立つまでの周囲の声や目は、それは恐らく想像を絶するプレッシャーのはずである。いわゆるベテランと言われる選手が、ふたたび第一線に出てくるということは、裏を返せば、その代わりに誰かがはずされることになるのだから、快く思わない選手もいただろうし、中にはスター選手が落ちぶれたときをここぞとばかりに書き立てたり、こき下ろしたりする記事やニュースもあっただろう。

 人生は決して「平等」ではない。いかに苦労しても必ずしもそれが報いられるとは限らないかもしれない。プロ野球の世界でも表面上は、まったく順風満帆にスター選手街道を歩み、高額の年俸をもらい、華やかに引退し、その後も指導者として、はたまた解説者として、タレントとして、有名人としていつまでも第一線で活躍できる人もいる。

 しかし、今回記した選手のように、華やかな時期があったにもかかわらず、それぞれの理由で大きな挫折感を味わい、そこから必死に這い上がってっくる選手もいる。なまじ、「過去の栄光」があるから、普通の選手よりも大きくクローズアップされてしまう。それは決して「激励」ばかりではない。多分、精神的に「地獄の苦しみ」もきっと味わったことだろう。そんな過程を見て、ある人は言うかもしれない。「見苦しい」と。おとなしく「栄光」を汚すことなく引退すればいいのに…と思う人もいるだろう。

 まだまだ自分自身の「夢」を求めて、「完全燃焼」を求めて、格好悪くても、恥さらしでも、がんばる姿…それは、人の心を打つものである。誰だって、必死にがんばる姿には感動するものである。同情心ではない。「かわいそう」ではないのである。「がんばれ!」なのである。きっと、そうした「共感」は、誰もがある面では自身に当てはめて、自分の逆境も彼らのがんばりを見て、ふたたび「不死鳥」のように羽ばたく姿を見て、自分自身をも励ましているのではないだろうか。勇気をもらっているのではないだろうか。

 かくいう筆者も彼らほどの世間的「栄光」とは言えないまでも、そうしたポジションにいたこともあった。それが転落し、大きな挫折や苦悩を味わい、今もなお、そのドロ沼から抜け出せずにもがいている。だから、なおさら彼らを応援する気持ちが強いのかもしれない。自身へのエールにしたいのかもしれない。

 彼らも、ふたたび這い上がった今となれば、その過程での挫折や屈辱を語れることができる。語っても格好いい。しかし、残念ながら今の筆者はまだ語れない。今、筆者が「あのときはこうだった」などと語ろうものなら、それは「負け犬の遠吠え」なのだ。

 人生は、果たしてどういう結末なのか、わからない。しかし、自分の人生である以上、自分が納得せずして誰の人生だろうか。だから、筆者も今回、記した「不死鳥」のごとく、がんばるプロ野球選手たちを応援しつつ、その姿を自分自身へのエールに代え、いつか格好よく、「あのときはこうだった」と語れるようになりたいと思うのである。


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