ちょっと爽やかなシーン★コラム

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 ■第13話/ちょっと爽やかなシーン
 このコラムの第1回では、筆者が最寄りの駅まで約30分ほどコツコツと歩いている時に感じたこと等を記したが、今は勤務先の業務都合で早朝出勤する必要性から自動車通勤に切り替えて、はや10カ月近くになる。さては、歩くのに疲れて横着して自動車通勤に切り替えたのでは?との疑念を持たれる方もいるだろうが、決してそういう訳ではないことを、まずは言い訳させていただこう。自動車通勤にはそれはそれで電車通勤とは違った緊張感もあるものである。さて、今回はそんな自動車通勤途中でのちょっとした光景での「爽やかな」エピソードを記してみたい。

 車通勤するようになり、当然従来とは違ってガソリンスタンドで給油する機会は増えた。それまではせいぜい土・日に買い物でかり出される際に車を使う程度だったから、給油などもそれこそ1カ月に1度するかしないかだったが、今はほぼ1週間に1度は給油が必要になる。今はセルフサービスのスタンドがかなり多くなったのだが、筆者はまだ利用したことがなく、ノーマルなスタンドを利用している。ドライバーの皆さんなら多分、同じだろうが、給油するならやはり入りやすく出やすい立地条件のスタンドを選ぶだろう。筆者もそんな理由から給油は通勤経路途中のそうしたスタンドを「行きつけ」のスタンドにしている。行きの進行方向道路左側に位置しているゆえ、もっぱら給油は行きに行う。帰りは反対車線側になるため、交通量からも入らないことにしている。

 冒頭に記した通り、朝早い出勤ゆえ、スタンドは若い男性がほぼ1人で店番をしているような時間帯だ。ところが、帰り道ではその時間帯から、当然朝とは違う人数・スタッフで営業している。帰りは右側になるそのスタンドは、やはり「行きつけ」のスタンドだから自然と目に入り、何とはなしに眺める。そのうち帰り時間帯に、遠目で見ていても何とも「爽やかな」若い女の子が目についた。その店のユニフォームを着て、帽子をかぶりとてもキビキビと働いている。多分年齢からしても大学生くらいで、アルバイトで勤務しているのではないかと思う。

 帰りの時間帯は朝とは違い、結構渋滞する時間帯なので、そのスタンドで給油した車が元の車線に復帰するのは独力ではなかなか困難ゆえ、当然のごとくスタンドの従業員が道路に出て、走ってくる車を止めて、愛想よく挨拶をして「割り込ませて」いる。その若い女の子も大きな声で、深々と頭を下げて「すみません、1台入ります」と給油が済んだ車を送り出している光景を何度か見かけた。

 ある日、筆者が信号待ちでそのスタンド前で停車している時、その女の子がいつものようにキビキビと動き回っていた。が、その日はどうやら若い男の子の新人が入ってきたようで、先輩としてその女の子は指導していた。若い男の子も見た目にはやはり大学生だろうか、その先輩の女の子とそれほど変わらない年齢かと思える。ちょうど、ある車が給油を終えて、車線に復帰するシーンだった。先輩女の子がいつものように走って来る車に深々と頭を下げて、「すみませ〜ん!1台入ります。お願いしま〜す」と大きな声で叫び、車を停止させて、給油が済んだ車を割り込ませていた。「あんな爽やかに言われたら、誰だって車を止めて、つい割り込みを譲っちゃうだろうなぁ」と筆者は眺めていた。そして無事、給油した車を送り出した後は、止まってくれた車にまた深々と頭を下げ、「ありがとうございました」と大きな声でお礼をいっていた。

 そしてその後、その女の子の後で見ていた新人くんにすぐさま、説明している。もちろん反対車線にいる筆者には何を指導しているのかその内容は聞き取れないが、その動作からして、給油した車を割り込ませるテクニックを伝授しているようであった。その様子から察すると、まず道路に出て頭を下げて、人差し指を立てて「1台入れてください」という意思表示を走ってくる車のドライバーに伝達することを教えているようだ。その教え方が、遠くで見ていても何とも「爽やか」である。決して先輩面した高飛車な教え方ではない。もちろん、あくまでも反対車線から見ているゆえ、詳細はわかるはずもない。が、真剣な面持ちで先輩爽やかさんの指導を仰いでいる新人くんの遠目からの表情でも何となくわかる。新人くんにしてみれば、初日の混雑時間帯で、きっと懸命だったに違いないだろう。少しでも早く、いろいろルールを覚えようと必死だっただろう。ところが、指導する側が爽やかだから、自然と指導される側も爽やかになる。先輩爽やかさんは、すぐさま次の作業に移るため小走りでスタンド内を移動した。新人くんも遅れまいとして、先輩爽やかさんに続く。

 …特にどうと言うこともない光景とも言える。が、決して男尊女卑ではないが、男性からすると女性に何かを教わるのは人によっては苦痛の場合がある。こうした感覚はどうにも男社会の残骸なのだろうが、どこの企業でも多くは男性が主役ゆえ、必然的に指導するのは男性であり、女性から何かを教わる機会はめったにないことかもしれない。仮に教わるシーンがあるとしても、どこかしら教わる側に高慢な態度が見え、場合によっては「教わってやっている」とすら見えるような場合すらある。仕事は男中心だという考え方なのだろう。ところが、このガソリンスタンドでのちょっとした光景は、そんなくだらないプライドが一切排除された、じつに理想的な指導シーンだった。教える側も教わる側も、まったく男女の性別や年齢も関係なく、本当に「爽やか」という言葉がピッタリの指導シーンだったのである。きっとあの新人くんも先輩爽やかさんの「爽やかな」指導を受け、その後もキビキビと動き回って第2の先輩爽やかくんになって、しばらくしたら今度は後から入ってきた新人にそれを伝えているかもしれない。

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