ノンステップバス運行開始 in ASAHIKAWA

  (旭川・ノンステップバスレポート)


誰もが乗りやすいノンステップバスが走り始めた!

 民営バスとしては全国に先駆けて、しかも2系統全便にあたる10台ものノンステップバスを導入したのが北海道・旭川を走る旭川電気軌道バスだ。高齢化が進む中で、より利用しやすく、より魅力のあるバスとしてノンステップバスの本格的導入を果たした、バス事業者としての姿勢には深い敬意を表したい。現状では車いす対応がなされていない点が短所として挙げられるにせよ、ベビーカーによるノンステップバスの利用を明確に打ち出している点などでも、他のバス事業者を抜きん出ている。自社開発の大型車両洗車機を販売しているというのもナゾの会社ではある(→旭川電気軌道株式会社のページ参照)。今後の展開に大いに期待したい。

 このレポートでは、旭川電気軌道の会社を訪問したときに聞いたお話なども含めて報告する。

 


6月26日(木)〜30日(月) 旭川ノンステップバス「アーバス」視察

★ 旭川電気軌道 ノンステップバス--愛称「a-bus(アーバス)」

運行路線

 22系統  4区3条4丁目−護国神社(大町2条通り)−市立病院−市役所−旭川駅

 80系統  4区3条4丁目−護国神社(大町2条通り)−市立病院−市役所−1条7丁目

        −神楽支所−神楽岡駅−旭川医大

 81系統  末広4条1丁目−北高前−護国神社(みずほ通り)−常盤公園−1条7丁目

        −神楽支所−神楽岡駅−旭川医大

 

停留所の環境

 バスベイがある停留所が多く、環境に恵まれているかと思うが、バスベイの出入りに角度がつくため、かえって停留所への正着(ベタ付け)がしにくいという弊害もあるとのこと。

 

時刻表

 停留所の時刻表には「*印はノンステップバス運行」と書かれ、22、80、81系統(旭川では「22、80、81番線」という)の全ての時刻に*印が付いている。とてもさりげない。無料配布されている全路線の主要な停留所の時刻表にも、小さな赤地に白抜きの字で「22.80.81は全便ノンステップバス運行。ただし故障の際は、・・・」と書かれている。

運賃収受

 後ろ乗り前降り整理券方式。150円〜190円くらい。慣れないので整理券をとり忘れる。取り忘れなかったのは1回だけ。

 

運転技術

 予備車もなく、車両が来るのが運行開始ぎりぎりだったこともあり、運転手には特に特別な指導はほとんどしていない。違いはフロントオーバーハング(前側のタイヤからバスの全面まで)が長いこと、床下のクリアランス(道路面から床下まで)に対する感覚くらい 、との認識。

 

車いす等乗降用のスロープ板

 「ノーマライゼーション」の理念に基づき、車いすの場合もあくまでもさりげない対応で、他の乗客と同じ感覚で乗ってもらいたい。スロープ板を付けて特別扱いをすることは全然考えていない、とのこと。

 

介添え人

 運輸省の53年通達に従い、車いすでの乗車の時は介添え人1人の同伴を原則とする、とのこと。

 

車いすでの利用

 会社を訪問した6月30日までに2回。車いす対応用のスロープ板が無いため、バスを前後に動かして正着(ベタ付け=バスの出入口と歩道との間を空けずに停車すること)させることで対応したそうだ。電動車椅子や介助者無しの人とっては、乗り込みに抵抗があるだろう。

 

車いすの固定

 固定に関しては無くても大丈夫だとの認識で運行を開始したが、運輸省から指導があり今開発を頼んでいるところだそうだ。

 

ベビーカー

 ベビーカーを広げたままでの利用は、ストッパーを掛けている場合のみ認めるとのこと。

積雪時の走行性

 全く未知数なので、冬を越してみないと積極的なノンステップバスのPRにも踏み出せない。だから、周辺の病院や公共施設などにも特にPRはしていない。

 

来年度の導入

 10台前後と考えている。基本的には、1路線全便ノンステップバスにしないと意味がないと思うが、各路線の沿線の利用者から要望の声もあり、複数の路線に分散導入をすることも検討している。どちらの導入方法を採るかによって台数がかわるので、まだはっきりとした数字は出ない。

 

 

そのほか

 ノンステップバスを入れることができはしたが、財政的に余裕があるわけではない。運行所要時間の設定を短縮し、効率化を図ったとのこと。これは、階段が無くなることで、乗降時間や、運賃の支払いなどにかかる時間が短縮するという考え方。所要時間が早くなれば、サービスの向上につながるだけでなく、同じ本数のバスを走らせるのに少ない台数で済むことになる。車両購入数はもとより、運転手の人件費・車両整備費用・車庫にスペースの有効活用など、メリットが沢山ある。このような視点からも、事業者にノンステップバスの導入を勧めていくことが出来る。
 実際の所、途中10数分の遅れを出したこともあったが、終点までにはほとんど取り戻した。(交通量の多い地区を通り抜ける形の路線のため)

(報告:星野近人)

 

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