◎編集後記
去る5月17日(土)、新宿区福祉センターにて、交通大行動東京実行委が開かれた。まず、民鉄協に対する要望書の検討を行ない、10月10日の行動について案を少し出し合ったあと(特にこれと決まったような件はなかったが)、東京実としての予定を決めた(下記参照)。その後10月12日の10周年イベントについて、パネラーの案などを出し合った。
◆交通大行動日程表
行動予定(東京実・交渉)
9/ 4(木)営団地下鉄交渉 9/11(木)都交通局交渉 9/18(木)バス協交渉
9/25(木)民鉄協交渉 10/23(木)JR交渉
(以上の交渉日程は、あくまでも東京実の会議で出された予定です。交渉先の都合などにより変更されることがあるかもしれません)
◆(東京実・統一行動)
10/10(休)集会、デモ、乗り込み行動など
◆(10周年企画)
10/12(日)大行動10年をふりかえって、今後の展望など
・シンポジウム ・ノンステップバス試乗会 ・パネル展 etc..
◆ (省庁交渉)
10/13(月)運輸省・建設省交渉
実行委会議日程
・東京実 次回、6月21日(土)午後2時〜5時、新宿区障害者センター
・全国実 次回、6月14日(土)午後1時〜5時、大阪森ノ宮「ホテルハローイン」
(バス壁・山田)
宇都宮のAさんから、「三菱が宇都宮でノンステップバスの試乗会を行うため、協力を求められたが、スロープも車椅子の固定席もなく座席の下には段のあるバスが来るというので、これではあまりよくないと思うけれど、どうしたらいいか」と相談を受けました。電話で数度三菱の本社に問い合わせたのですが、電話ではよく分からないので、直接本社に来て欲しいと言われ、私とK君で行って来ました。
そこで話された内容は以下の通りです。
・全国キャラバンに使うバスを車椅子対応バスに変えてはもらえないか?
キャラバンは営業活動の一環として各県でやっているので、統一した車を走らせるのは難しい。それに、使う車両は標準仕様なので、スロープはついていない。
・現在のスロープは、運転手が車外で操作するが、時間がかかるので、運転席から
出来ないか?
操作ミスをしないように、運転手が外に出て動かすようにしている。一事業者向けだけ運転席から操作できるものがあるが、各事業者によって操作方法がバラバラなので、スロープを標準装備にはしなかった。各事業者によって考え方が違い、例えば車椅子用スペースがない車両も走っているが、バス会社の要望で車両をどうにでも出来る。電動スイッチを運転席から操作できないかどうかについては、現在検討中ではある。引き出し式のスロープについては検討はしたが、運転手が大変だと考え、やめた。電動は故障しやすいという話は聞いていない。故障が出たとしても改善は可能であろう。将来は電動スロープの値段を下げる方向で考えている。
・運輸省に型式認定を受けた車が車椅子対応になっていないものだったが、もう一
度標準を車椅子仕様に出来ないか?
バスは受注生産なので「標準」といってもあくまで目安で、実際納入される車両は各事業者によってそれぞれ形が違うので、標準にしても意味がない。「車椅子仕様」というコンセプトではやってきていない。普通のバスのただステップがないもの、という気持ちで作ったため、こんなに反響があって正直驚いている。今後「皆に優しい」を前面に出したいと思っているが、メーカーがどこまで出来るかは問題。「人に優しい」についてだが、全員満足するのは難しいだろう。どこまで優しく出来るかが重要で、例えば現車両の後ろの座席には段があるので老人は乗りにくい。メーカーとしては、乗客のうちの老人・障害者の割合などは分からず、どういう車両にするか(車椅子仕様にするなど)は事業者に任せている。メーカー側では、車椅子スペース付き車両の写真などをカタログに「仕様例」として乗せることは出来るかもしれないので、今後それを検討するということで勘弁願いたい。ただ、カタログの次回改訂はかなり先のこととなるだろう。そのときにはいろいろ変えるので、今すぐ変えろというのは金もかかり勘弁して欲しい。(カタログの代わりにインターネットを使えないかという問いに)バスユーザーが少ない割に仕様が多すぎるという問題もあり、力量的に困難。
・バス車両につけるオプションの値段はいくら位か?
押しボタンの数・場所の違いも含めて何千通りとある。それだけある以上、事業者の要望に応えられる。ただ、ノンステの場合コストを下げるため、プレヒーターをつけられなくするなどオプションの数を約2割ほど減らしている。オプションを付けないベースの車体の価格は2000万弱、オプションを付けて通常2500万ほどで売った。スロープは80万ぐらいだったか?
・ホイールベースをもう少し長くすれば席の数を増やせるのではないか?
長くすると、小回りがきかなくなったり床をぶつけたりするので、今のところは考えていない。帯広やアメリカのような広いところなら可能かも。傾斜が7度で床にぶつかってしまうとの話もある。(両アッパリング・ニーリングにすればいいのではという意見に対し)今後の検討課題ではある。ただ、日本の法規では、走りながらニーリングは出来ないのではないか。今回のキャラバンは、実際の路線が走れるか、その試走の目的がある。積雪に関しては、10cmくらいなら走れると思うが、一概には言えない。
・その他の車内装備のことについて
ニーリング・アッパリングを標準装備するのは、技術的に難しい。後部段差を少なくする点については、車両整備の時に手が入りにくくなってしまうかもしれない。ただ、スロープにすることは考えている。タイヤハウスについては、嫌だがどうしようもない。実際タイヤの大きさは、ノンステの方が10cmほど小さくなっている。ツーステップバスと比べて車体は700kg重くなっているので、これ以上小さくするのは無理だ。車体は三菱のノンステ専用のをきちんと最初から作っている。他の社のは改造しただけのはずだ。窓は通常のバスより20cmほど下げた。強度の問題もあるのであまり大きくすることは出来ない。大きくしすぎると逆に乗客に不安感を与えうる。高さも、低すぎると外から身体が見えるので女性などは嫌う。バス長は10.5から11mが事業者の要望が強く、12mの要望はない。道路事情の問題なのだろう。要望があれば作り得る。ぶつかってもいい車体についてだが、そのようなものを作り得る市場環境にはないと考えている。また、現実として一部がぶつかると車体が歪み、戸が開かなくなることがあるので難しい。車椅子スペースの座席は、(1)元々上がっていて、乗客が座るときに一つずつ下ろす、(2)電車のように横座り座席を付ける、などの形式があるが、(2)はあまり好まれていないらしい。普通の席でも対座式は評判がよくない。(簡単な折りたたみ椅子がいいのではという声に)確かにそうだ。そうできない理由はよく知らないが、ヒーター関係のためかもしれない。座席の配置については事業者と話した方がいいかもしれない。
・その他
マイクロバスをノンステにするのは、フレームがあるので構造上不可能だ。
ぼらんたすSocial Part(大学のサークル「ぼらんたす」内の有志団体)主催、バス壁協力により行われたこの企画、内容は国内外のノンステップバスについてのパネル展示とビデオ上映、そしてリーフレット等の情報物の提供でした。
24日の朝から隅山さん、星野さん、山田さんと共に準備を開始。雨が降り出すか降り出さないかという時にパネルを企画場所の教室に運び込み、机の上にはリーフレット・ノンステップバス時刻表などを並べ、一応展示の体裁を整えました。
最初のビデオ上映は10時半の予定でしたが、朝早く雨も降っていることからお客さんも来ずどうしようかと思っているとTSFのSさん達がいらっしゃったので、最初の上映を行いました。
この日は結局一日雨でしたが、外の企画を避けて室内に入って来た方もかなりいたようで、思ったより人の入りは多かったように思います。中には「バイク事故で怪我したときにはやはりバスに乗るのはきつかった」等いろいろな話を30分近くも話し込んで行く方や、「昔福祉学科を卒業して今主婦をやっているが、このバスに興味を持った」とおっしゃる方など、かなり積極的に興味を持たれたお客さんも何人かおられました。
また、雨宿りのためか野良犬?らしき犬が教室の中に入って来ました。非常におとなしく、別に害もないようなのでそのままいさしておきましたが、(結局10時頃から企画終了の6時頃までいた)結構この犬を見て入って来たお客さんもいたようです。
25日は日曜日ということもあり、天気にも恵まれ多くのお客が五月祭に来たようですが、逆に外の企画・模擬店に取られ室内までは入って来ないのか、24日と比べそんなに多くの人が展示を見に来たという印象は受けませんでした。
全般的にこういう企画は学園祭の中では地味なもので、あまり人目を引くというものではありませんが、来てくれた人にはそれなりにノンステップバスの良さを知らせることができたかな、という気はします。むしろこういう企画は、廊下や通路など人が通るところにゲリラ的に出した方が足を止めて見てくれるのかも知れません。(企画会場は角部屋だった)会場について言えば、事前に会場をチェックしなかったため、車椅子の方には少し入りにくい場所になってしまったことは今回の反省点と言えるでしょう。(バス壁:K)
「初めて路線バスに乗る」とか、「電車に乗るなんて本当に久しぶり」という車椅子での参加者をも得て、総勢8名のメンバーで行って参りました。
吉祥寺の駅に集合し、ホームまで車椅子対応エスカレーターを使い中央線で新宿へ出ました。新宿の駅では、エスカレーターが車椅子対応になっているにも関わらず、その操作の面倒くささからか、駅員が本人に意志を確認しないまま、エスカレーターが普通に段になって動いているところにそのまま乗せるという、転落死なども予想できる、大変危険で恐い使い方をした状況がありました。(今年も、この使い方で新幹線の大宮駅で転落事故が起こっています。)
ノンステップバスで、都庁へ行き、展望室からの眺めを楽しんだり、自己紹介を含めてお茶をした後、地下の中華レストランで食事をしました。時間が足りず、デパートに寄ることは諦めました。
新宿から小田急のリフト付路線バス(武蔵境駅南口行 所要60分)で、吉祥寺に戻るべく、発車予定時刻の15:46分には停留所で待っていました。1時間に1本あるかないかというようなこの路線でも、しかも床高 約90cmツーステップのバスなのに、それなりにたくさんの利用客(ほとんどがお年寄りの方)が、予定時刻から15分遅れても平気な顔をして並んでいて、改めて「バスが走っていること自体」のやさしさを認識しました。調べた時刻が間違いだったのではないかと気をやきもきさせながら待っていましたが、そのバスは20〜30分遅れで到着しました。路線が長いため、時刻が狂いやすいのでしょう。
車椅子での利用者がそんなにたくさんいる路線とは思えなかったのですが、運転手さんのリフトの操作はまずまずで、リフト付バスに2台一緒に乗るのにしては比較的手際よく乗車できました。が、発車しようとするとき 、リフトがしまいきれていないのが原因に思えたのですが、ドアが閉まらず、定刻をとっくに過ぎているにもかかわらず、運転手さんは一生懸命リフト操作のマニュアルを読み返していました。混乱しがちな状況の中での運転手さんの落ち着いた対応は褒めるべきものかもしれませんが、やはり複雑なリフト操作が運転手の負担になっていることは明らかです。
定刻から40分くらい遅れてか、無事ドアが閉まり発車しました。乗ってしまえばなかなか早いもので、電車より時間がかかるとはいえ、電車ほど込まないという、疲れて帰るときのバスの有り難さを感じました。ただし、車椅子2台が座席計6人分をどかして固定されているため、座席の数が減ってしまい充分にみんなが座れるだけのスペースがなかったのが事実です、車椅子やベビーカーと、お年よりや杖をついている方などが、競合しなくていいような車内レイアウトを提案していく必要もあると感じました。
あと、運転席の後ろに、「車内での携帯電話の使用は、乗客の医療機器(心臓ペースメーカー)に影響を及ぼしますのでご遠慮下さい。」と書いて掲示してあるのに気付きました。
吉祥寺に着き、記念(?)にプリクラをやったあと、近鉄デパートでお茶をしてさらに交流を深めました。(TSF:星野 近人)
・参加者の感想
どんなバスだろうと期待しながら、今回はじめてノンステップバスに乗りました。バスの運転手さんが降りて 自分で重い鉄板のスロープを取り出して その上に電動車椅子を乗せてバスの中に入りました。
降りる時もまた同じように運転手さんが鉄板を出して下さり降りました。そしてその鉄板をバスに入れるのがまた大変でなかなかスムースに いかず重い電動車椅子でこわれてしまったのではないかと気をもみました。
その様子を見ながら 観光バスやリハビリセンターのバスなどボタン一つでできるのにと思ったり 真夏や真冬の冷暖房がしてあるとき 私の為に他のお客さんに迷惑をかけてしまうなあと心苦しく思いました。この点では期待はずれでした。でも帰りのバスはボタンで出来る新式のものだったのでほっとしました。(TSF(武蔵野):Mさん)
今回初めて、車椅子に乗った方と一緒に、電車や路線バスを使って外出してみて車椅子で外出することが、どれほど大変か痛感させられました。
あれほど人の手を煩わせてしまうのでは、気軽に外出することはためらわれてしまうのではないでしょうか?
現に、同行していた車椅子に乗った女性は「こんなに手間と時間がかかっては他の乗客の方に恐縮してしまって…」と申し訳なさそうに言っておられました。
リフト付バスやノンステップバスの普及を願う前に、今一歩、車椅子での乗り降りがスムーズにできるようにバスの改善を願いたいと思いました。(TSF(武蔵野):Kさん)
たしかにノンステップバスに、手動操作が大変な床下収納式スロープを装備することは、せっかくのノンステップバスの良さを台無しにしています。これだと確かにリフト付バスの方がスイッチで操作できて新式に見えるかも知れません。
ただし、だからと言ってリフト付バスの方がいいのか、というと、それは違います。乗客は車椅子を使っている方だけではなく、杖をついている方や、妊娠している方、ベビーカーを押している方など、色々な方がいます。そのことを考えるとき、やはり、階段のないノンステップバスの方が良いのです。もちろん、運転手さんの負担になるようなスロープはやめにして。(TSF:星野 近人)
新宿駅で待ち合わせをし、上尾駅に着いたのは午前10時半でした。そこでバスラマの編集の方と、地元の市民団体であるOMIYAばりあフリー研究会の4人の方々と合流し、日産ディーゼル工場から来たワンステップバス(リフト・スロープなし。車椅子の人は工場の労働者に運び上げられていた)に乗り工場に向かいました。
10分ほどで工場に着き、早速ノンステップバス車両の見学です。まず停車されている車に乗り込み、電動スロープの出し入れ、車体のニーリングなどを工場の方がやってくださいました。説明によると、通常の床の高さは30cm、さらに片側ニーリングで9cm、両側ニーリングで7cm下げることができ、アッパリングは7cmとのことでした。
スロープ板のスイッチは運転席・中扉の両方にあり、角度は縁石・ニーリングありで0.7度との話でした。車両は後部までステップがなく、感覚的に乗りやすい気がしました。
車椅子スペースですが、この車両に関しては2台分確保されており、1台分は座席も何もない全くのフリースペース部分、もう1台分は通常は3人横掛けの座席があり、車椅子が乗ってくるとレバーで席を跳ね上げる方式でした。フリースペース部分にオプションとして座席をつけることも可能だそうです。車椅子の固定はシートベルト方式でした。
一通り見学した後は工場内のテストコースを試乗です。路線バスは頻繁にブレーキを使うのでブレーキ板が擦り減って困るそうですが、このバスにはブレーキペダルを踏まなくともよい補助ブレーキ装置がついており、減速もスムーズになるそうです。実際はよく分かりませんでしたが。
その後、現在路線バスとして使われているスロープ付ワンステップバス車両との乗降を比較してみましたが、優劣は言うまでもないことでした。電動車椅子だと下手をすると上れないほど急なスロープもあり、スロープバスの問題性が再認識されました。
試乗会の後バス開発部部長を含め皆で昼食を取り、さまざまな話をして来ました。今後メーカーと連携を取りながらノンステップバスの普及が図れればよいと思いました。(バス壁:K)
去る5月28日、交通メッセージ21、バス乗車の壁をなくす会、TSF(低床バスとその利用者を増やす会)の3団体は、ノンステップバス導入に関する要望書を都交通局に提出し、交渉を持った。都交通局側はおもに自動車部の担当者が出席し、都庁の交通局会議室にて約2時間半話し合いを行なった。
<要望の骨子>
まず、そもそも誰もが乗りやすいノンステップバスこそ公共路線バスのあるべき姿であり、市民、都民はノンステップバスを求めているということを伝え、都バスの「らくらくステップバス(床高65cm)」大量導入方針を、即刻ノンステップバス路線へ転換するよう要望した。
また、そもそも昨年度の末にたった2台のノンステップバスを導入しはしたが、97年度の導入がないというのはまったく理解できないということも強く主張し、97年度にもノンステップバスをできるだけ多く導入するよう求めた。
<要望の結果>
残念ながらこれといった「前向き」の回答は得られなかった。
交通局側は「ノンステップバスがいいことはわかっているが、都や国からのお金の助成が受けられないと購入できない(らくらくステップは1台あたり1700〜1800万円だが、ノンステップは2200万円と、4、500万円高い)」というばかりで、局としての方針を明確に打ち出していく姿勢が見られなかった。
今回2台入れたのは試験導入だというのであればたった2台ではいろいろ走らせるのも大変なので、最低10台ほど入れて試験運行させる気はないのか、今からでも10台程度の試験導入枠を予算化することはできないのか、などのことも我々の側から質問していったのだが、交通局側は「むずかしい」というだけだった。
都交通局では、これまで年に10台のリフト付バス(3000〜3200万円)を、都財務局からの助成を受ける形で導入してきた。今年度もまたリフト付バスを10台、都からの助成(1台につき800万円)を受ける形で導入する予定(来年度以降の方針はいまだ立っていない)だが、とりあえずのノンステップ増車策として、その10台のリフト付をノンステップに転換することはできないのかという件についての回答は、長野パラリンピックに貸し出すため不可能ということだった。(→後述)
<ノンステップバスについての要望書>
当日は前記の要望書に加えて、現在試験走行中のノンステップバスについての要望書も別途提出した。内容は、
・ノンステップバスの仕様について
・日産車の床下収納式手動スロープはやめてほしい
・三菱車の電動スロープ板は、運転席から操作するようにしてほしい
・車いす用スペースをフリースペースとする
このことで、車いす乗降の際の停車時間の大幅な短縮がはかれる他に、車いすスペースという位置づけからフリースペースにすることで、乳母車、荷物を抱えた人などが便利に使えるなど、様々なバス利用ができるようになり、ノンステップの乗り込みと合わせてバスの持つ機能がアップすることにつながる。
・乳母車を車内でたたまないまま利用可能にしてほしい
・停留所「ベタづけ」とニーリングを徹底してほしい
・情報提供をしてほしい
という点についてだった。
さすがにあの日産車の手動引き出し式スロープ板については改善を考えているということなので、車両的な改善を考えているところについては後日文書で回答をもらえることになった、
特にスロープ板の中扉操作については、今のバスをとりまく道路環境がよくないので、バスを停留所に近づけて停めることが困難で、離れて停まっているとそこにバイクがつっこんできて事故になる。だから運転手が中扉に降りて操作するようにしているのだ、ということらしい。
それならなおのこと「ベタづけ」できるようにしていかないと、とこちら側がいったところ、もう改善できないものとあきらめてしまっている様子だった。
それに最後のノンステップバス時刻表の公開と情報提供については、試験運行で今年の後半にいろいろな路線に走らせるということなので時刻は停留所に出すつもりはないということだった。
これら2点にも公共交通を担う立場というか姿勢というか、そうしたものの欠落が感じられた。問題は根深い。
<とりあえずの増車策として、これまでのリフト枠を ノンステップ枠にする、という案に関して─その後の動き>
5/30にパラリンピック組織委員会のほうに問い合わせたところ、「乗り込みに関しては良いほうから順に、1ノンステップ、2リフト、3ワンステップ・スロープと考えていたが、この3年間の都との折衝のなかではノンステップの話はでていない。ノンステップはリレハンメルで見たので、いいと思っていたが、日本ではまだ開発されておらず、パラリンピック用に開発をするのも莫大な経費がかかるし、大会後にどうするかも問題になるということであきらめていた。この3月から国産ノンステップバスが走り出していることは知らなかった。車内に車いすで多く乗れて、車いすから座席への乗り移りが楽にできるのであればノンステップでもかまわない。一昨年、都バスのリフト付超低床バスを持ってきてもらって走るルートをテストした。そのときは特に走行上の問題はなかった。大会時にはさらに拡幅される部分もあり、より走りやすくなるはず。もしパラリンピックに貸し出すことがネックとなって都バスにノンステップバスが入らないということなのだったら、私としても不本意だ」といっていた。
また、都財務局から交通局へのリフトバス助成を担当している交通局財務課でも、「まずは自動車部のほうでノンステップでも良いという方針を出し、それが交通局全体として通れば、今年度のリフトバス助成をノンステップにも適応できるよう検討することは可能な道筋だ」といっていた。
その後、6/11に交通局自動車部に問い合わせをしたところ、なんとこの7月の初〜中旬ごろに、今2台あるノンステップのうちの1台を長野に持っていって送迎ルートの走行テストを行なうという。その結果いかんで、パラリンピックへの貸し出しはノンステップでも良いという結論は出せることになるとのこと。これによってパラリンピックに貸し出すことがネックとなることはなくなるので、あとはリフト助成の枠がノンステップに転換できれば、枠としてはノンステップ助成20台分の予算枠があることになる。
そもそもは自動車部が明確にノンステップ路線でいくと打ち出せず、局としての方針が存在しないというのが問題の根幹にあるのだ。これはなんとかしたい。
今年度、ノンステップが1台も導入されないというのはどう考えても納得できない。このリフトバス10台の枠をノンステップに転換することで、なんとか97年度のノンステップ導入を実現し、ノンステップバスの本格導入(「らくらくステップ」との決別)への一歩としたい。
また、都交通局への助成と並んで行なわれている、民営バスに対するリフト導入助成は福祉局が担当している。福祉局では「今年のノンステップバスの走行結果を見たうえで、来年度の助成をノンステップにも広げるかどうかを検討するつもりだ」といっているが、今年度の助成もノンステップに適応すべきである。とにかく早く交通局としての方針を立てるとともに、今年度のリフト助成はノンステップも含むということにしていきたい。このことで今年度民間バスにもノンステップバスを導入できるところが現れる可能性が大きい。実際、東京のとある民営バス会社がノンステップを導入するかもしれないという話も聞いている。
まとめ─今後の方針案
・都バス97年度リフト10台助成をノンステップ助成に
→バスの発注は9月末ごろ。それまでに交通局としてリフト助成からノンステップ助成へ と転換する。
・都バスと並行する形で、民間バス会社へのリフト助成をノンステップ助成へ
→民間バス会社にノンステップ導入を要望する動きもからめる
・上記2点がうまくいけば、10〜20台ほどのノンステップバスが、来年の3月以降東京で走ることになる。これによってノンステップバスの存在・良さをもっと市民・利用者に浸透させることができるだろう。
・都バスの「らくらくステップ」標準をノンステップ標準へ
そもそも、ヨーロッパ各都市のように新車の100%がノンステップバスにならないかぎり、ノンステップ本格導入とは言えない。都では今後の標準車を床高65cmツーステップの「らくらくステップ」としているが、これをできるだけ早い時点でノンステップバスへと転換させねばならない。増額分をどう負担するかという点も具体的に制度化するなりしていく必要がある。そのための議論ももっと深める必要はある。バスをどうするか、公共交通をどうするか、というテーマのシンポや審議会の開催などのことも必要となるだろう。
さらには
・民営バスのどこかに対して「ノンステップ」標準化を求めていく。旭川電軌のような明確な方針を持った会社に出てきてもらいたい。ねらい目は京王か? 民営に対しても、増額の負担をどうしていくかの議論が必要。
(バス壁:山田)
前号の横浜小観光の報告で、横浜市交通局に対して要望書を出す、と書きましたが、各グループに確認をした上で、6月11日に以下のような要望書を交通局の総務部へ持っていきました。
1997年6月11日(水)
横 浜 市 長 高秀秀信 殿
横浜市交通局長 岸田道則 殿
TSF(低床バスとその利用者を増やす会) 代表 星野近人
ふ れ あ い の 会
てんとう虫倶楽部(明治学院大学有志)
要 望 書
貴殿におかれましては、日頃よりバス運行事業を通じて、市内の地域交通機関の改善に取り組まれていることに感謝の意を表します。
さて、去る5月11日(日)に、電動車椅子2名を含むメンバーで中華街方面へ向かおうと、リフト付バスは第2日曜日は運休と聞いていたため、9日(金)にスロープ付バスの時刻を磯子営業所に問い合わせたところ、「内部規約により、スロープ付バスには車椅子使用者は1名しか乗車させない。」と助役の発言がありました。
当日は、浅間町営業所の26系統のバスに無事2名とも乗せていただけましたが、誰でもが平等であるはずの公共交通機関の利用に際して、市交通局が車椅子使用者に対して乗車拒否をしているとも言える「内部規約」を持ち、それにより2人目よりの乗車をさせない姿勢であることは、障害者の移動の権利を侵害しています。
また路線も時刻も一定していないという、利用者側から捉えれば路線バス本来の使命に反する運行体制。しかも現実に運行時刻がわからないためにわざわざ3つの営業所に問い合わせた挙げ句、その時刻が実際には誤りで、いつまで待ったら乗れるのかも、その日のうちに本当に来るのかどうかも分からずに、スロープ付バスを待っているという状況をも作り出す。そのような時に運行されていないはずのリフト付バスが現れる。このような体制で運行されているバスが、果たして私達利用者にとって真の公共交通機関であると言えるのでしょうか。
私達利用者の現在置かれている公共交通機関利用の不便な状況や、市交通局に対する我々の期待をご理解の上、以下の要望に対する回答を頂きたく、また是非要望通り改善して頂けるよう宜しくお願い致します。
記
1.スロープ付バスは角度が急で、しかも車椅子での利用者だけへの対応しかできないので、誰もが(高齢者・妊産婦・怪我人・ベビーカー同行の場合など)利用できるノンステップバスを市営バスに導入し、また、民間バスには、導入するための補助制度を創設すること。
2.障害者の移動の権利を阻む、スロープ付バスの現運行体制を抜本的に改め、時刻及び路線の固定化を早急に行なうこと。
3.現在のリフト付バスの運用については、車両整備のため第二、第四日曜日が運休となっているが、早急に全日運行を行なえるようにすること。また、運行しているのならば、情報を隠さず伝えること。
4.スロープ付バスにおける車椅子使用者の乗車人数の制限は設けないこと。
5.今回問題となった「内部規約」の正式名称、及びその内容を示すこと。また、その「内部規約」を直ちに撤廃すること。
6.利用者からの時刻などの問い合わせの対応を、しっかり間違えずに行なうこと。
7.市営交通の路線案内には、必ず各系統の担当営業所及び電話・FAX番号、スロープ付バスの運行される路線か否かなどを明記すること。
○1 ・日程・
6月18日(水) 東京都福祉局との民間バスへのノンステップバス導入助成に関する交渉(交通局への助成を担当する財務局とも調整の予定)
6月20日(金) バス壁例会 19:00〜 総合福祉センター
6月28日(土) 〜 29(日) 札幌から旭川へのノンステップバス・旭川電気軌道の視察
詳しくは今週中に。(21世紀の福祉の実現をめざす道民集会実行委員会)星野が参加予定
6月30日(月) 吉祥寺例会 本町コミュニティーセンター サロン 19:00〜
7月 3日(木) バス壁例会 19:00〜 総合福祉センター
7月 5日(土) 江東の例会(江東文化センター2階ロビー)14:00 8日の事等
7月 6日(日) 横浜で(から)のお出かけ会(計画中)
7月8日(火) 西大島駅でビラ配り(パンフレット・会の案内)など 18:00〜
7月18日(金) バス壁例会 19:00〜 総合福祉センター
8月10日(日) お出かけ会…○1
8月11日(月) 資料づくり 8月19日(火) 資料づくり …○1
8月12日(火) 資料づくり 8月20日(水) 資料づくり …○1
8月22日(金)〜8月24(日) サマーキャンプinかわば
10月25(土)〜11月5(水) 第32回 東京モーターショー
(10月26日(日) % 10月30日(木) 一斉行動予定日)
11月1日(土)〜11月3日(祝)の明学白金祭でのパネル展示(てんとう虫倶楽部と協力)
○2 VCM(TSF 武蔵野) 夏期体験ボランティア 受け入れ
TSF(武蔵野)では、下記の日程で体験ボランティアの受け入れを予定しています。ボランティアセンターが民間から立ち上がったという武蔵野市特有の受け入れの柔軟さを活用すべく、思い立った時には受け入れの申し出時期が迫っていたため、受け入れ及び日程を独断で決めてしまいました。
お出かけ会では、受け入れるボランティアと交流をはかるとともに、色々な方が実際に路線バスや電車など、公共交通機関を利用して外出することの困難さや現況を知ってもらいたいと思います。沢山の方の参加をお待ちしています。(吉祥寺駅11:00集合を予定していますが、行き先などについては、6月30日(月)の例会でか、もしくは参加希望者が少しまとまった時点で話し合いをしたいと思っています。)
また、資料づくりは、9月の発行に向けての時刻表の印刷・帳合い作業になる見込みですが、実際の作業を通して、なぜ市民がこのようなことをしているのかという疑問や、ボランティア活動の意義について考えてもらえるきっかけになるようにしたいと思います。また、10日に引き続き交流の場にもしたいと思いますので、特に作業に参加できない場合でも、お越しいただけると嬉しく思います。(市内の施設(VCMやコミュニティーセンターなど)で部屋を借りて午後に作業をすることを予定しています。)
◆もちろん会員の方も積極的に参加・ご協力お願いいたします。◆
○3 第32回 東京モーターショー
自動車工業振興会主催で10月25日から11月5日までの12日間、千葉の幕張メッセで開催されます。日産ディーゼルから、「これが一番やさしいバス!」というようなコンセプトで、このショーに向けて開発が進められているらしいノンステップバスが展示されるなど、複数のメーカーがノンステップバスの展示を予定しています。(参考:バスラマインターナショナル 41号)
私達は、10月26日(日)及び10月30日(木)を行動日として予定し、ショーの見学に一斉に参加することを呼びかけます。
TSF(武蔵野) Pさん より
「ベビーカー」を「車椅子」と読み変えたりしても面白いのではないでしょうか、と新聞の切り抜きのFAXをいただきました。
〜加齢社会:少子化 高齢化 ホットライン〜
「ここはベビーカーを置くところ。どいて下さい」
バスの中に2台のベビーカーがあった。三台目が入ってくるのを見て、仲間意識を発揮した若い母親が、座っていたイスをぱたんと上げ、乗ってくるベビーカーのために場所を空けた。そこへ老婦人がひょいと来て、イスを下げて座ってしまったのだ。見ればベビーカーのマークがついている。
かの老婦人、「まったくベビーカーだらけなんだから」とぶつぶつ言いながら後ろの方に行った。
まったくその通り、スウェーデンはベビーカー天国なのだ。ベビーカーと一緒ならバス代は無料。それに新型バスは乗降階段がないから、手伝ってもらわなくても簡単に乗れる。歩行器を使っているお年寄りにも便利。ベビーカーはラッシュの時間もなんのその、地下鉄にも割り込んでくる。
おんぶひもを使うと言っていた私の娘もこのごろはすっかりベビーカー党になってしまった。体は楽だし、重い買い物荷物も選べる。カフェやレストラン、パブだって断られることはない。
娘は子供を連れて日本旅行をした際、日本の親たちは大変だわと同情した。
ベビーカーがどこにでも進出することに関してはスウ刋ネqeーデンはほかに例をみない国かもしれない。
先ごろストックホルムの市議会議員に会ったら、最近は議場にもベビーカーで赤ん坊を連れてきて、議会中に授乳する人がいるといると言った。これには猛反対の若い女性独身議員もいる。
さすがに国会の議場内では見かけないが、建物内には出没する。託児所もある。国会議員が親子で少しでも一緒にいられるようにとのはからいでできた。ふだん、議員の子供は家の近くの保育園に通っている。
スウェーデンでは今世紀になって少子化が深刻な国家問題としてとりあげららた時代が二度あった。1930年代、危機が叫ばれ、家族福祉と住宅政策に力が入れられた。40年代生まれが多いのもそのせいだ。
70年代には有給の両親育児休暇制度をはじめ、病気看護休暇など種々の家族制度を整備していった。その結果がベビーカーのかっぽする社会をつくった。
スウェーデンは60年代から世界の最長寿国。でも90年代に入り高齢化率は下降、21世紀には高齢社会世界一を日本に譲る。ベビーカーの貢献は否めない。邪魔もの扱いされながらベビーカーたちは今日も元気に歩き回っている。(ストックホルム在住ジャーナリスト)
以下は、5月28日の朝日新聞の「声」欄に投書されていたものです。これに対する意見や現状をどんどん投書すると、もっとひろがってノンステップバスを希望する声が大きくなっていくと思います。私も書いてみようかと思っていますが、もっと事情に詳しい人や、異なった立場の人がたくさん投書すると効果的だと思います。
投書先:朝日新聞「声」欄 FAX :(03)3248−5588
住 所 :〒104-11 東京都中央区築地5-3-2 朝日新聞本社
TSF Pさんより
私は、通学にバスを利用しているのだが、バスについて疑問に思うことがある。それは、乗降口の段差が高いことである。
バスは、通学や通勤にも利用されるが、お年寄りや体の具合の悪い人にとっては、足代わりともいえるものである。
実際、私が乗るバスは学生が多いが、つえを使用しているお年寄りも乗り込んでくる。
その時に見ていると、両手で必死に手すりにつかまり、背をかがめて階段を上がろうとするだが、見ていて危なっかしい。時には、足がつかえて転びそうになった人を見たこともある。
お年寄りだけではなく、階段は、雨の日には若者にとっても危険である。雨で滑りやすくなっているために、足を滑らせて階段から落ちてしまった人もいた。
こうした乗客の様子を、運転手はその場で目撃しているだろうに、どうして改善されないのだろうか。バスを設計するときに、数多く利用するだろうお年寄りや病気の人、妊婦さんなどのことを、まず念頭においてほしかった。現在、走行中のバスを改善するのは困難だろうから、今後、改善するときには、ぜひ、だれもが安全に乗り降りできるようにしてほしい。
この投書をうけて、Pさんも、以下のような投書をしたそうです。
5月28日付 西村様
バス乗降口の段差が高過ぎて大変との投書、私も全く同感です。特に車イス、ベビーカー、それにタイトスカートの時にも非常に乗りにくく、何とかならないかと思っていました。
数年前にドイツを旅行した時、2両編成の床の低いバスにベビーカーや自転車までが自由に乗降していたのを見て、目から鱗が落ちるような思いでした。
日本にもこんなバスがあればいいのにと思っていると、この3月から低床バスが旭川、東京、名古屋、京都、大阪で走り始めたというニュースが飛び込んできました。熊本でも準備中とのことです。
東京では2台、新宿駅西口ー都庁循環では15分毎に走っているので、実際に乗ってみました。地面から床まで20cm足らずで、これならお年寄りや足の不自由な方をはじめ、乗客全員が楽になります。全国でまだ19台ですが、これから1台ずつでも増えればと期待しています。乗客のニーズに合わせたバス会社及びバスメーカーの努力が期待されます。
「車椅子で使える路線バス時刻表の入力ボランティアの作業をしながら夢見るのは、バスがすべて低床となりこのような時刻表が必要なくなる日が一日も早く来ることです。
急募 会報編集ボランティア!!
バス壁通信とTSF会報が合併してから、3号目になります。もともとTSFは月1回ペースで会報を出していたため、バス壁の通信の停滞を脱し、また情報の共有をはかるべく合同通信にしました。ただ内容も豊富になり、写真を取り込めるようになったり、16ページという多大な量になったりで、TSFなどの本来の活動に当てるための時間が足りなくなってきました。
急募 パソコン・ワープロ入力ボランティア!!
同時に7月20日頃(事業者によっては8月1日頃とか、実施しないとか)から8月末までの夏休みの特別ダイヤが組まれる期間のリフト付バス等の時刻表を、7月初旬から急いで作り始めます。エクセル、ワークスなどのスプレッドシートを使える方は特に歓迎です。
募集 コンピューターでバスの地図を作って下さる方いらっしゃいませんか?
車椅子で乗れるバス路線(停留所)と使える駅をネットしたカラー地図。情報はあります。(1名)