日帰り旅行記 〜五能線で十二湖へ〜
■計画編

旅行日:1998年8月10日(月)
出発場所:[東能代] (奥羽本線−五能線 接続駅) 11:00AMころ
目的地:十二湖(津軽国定公園内/青森県)
帰還場所:[能代] (五能線) 19:00ころ

このまえ妻と秋田に帰省したとき、 一日だけ日帰りで五能線旅行をしようと思い立ち、決行した。 東京でも、JRのポスターでよく 五能線の車窓の風景を見ていたもので、 今度帰省したら、是非乗ってみたかったのだ。

五能線は、秋田県北部〜青森県の日本海沿いを走るローカル線。 このあたりは、地図を見れば一目瞭然だが、海岸線付近まで山地が迫っているため、 必然的に海岸線すれすれを線路が通されているような感じだ。 列車からの眺めはかなり良いはず。

[東能代] から出発し、日帰りで戻って来るとしたら、[十二湖] か [深浦] あたりまでの往復が、適当な線だろう。 なにぶん列車の本数が少ないので、選択肢はかなり少ない(^^;;

東能代11:09発の 「リゾートしらかみ」 号で行って、 十二湖を観光して、 夕方の各駅停車で帰ってくるつもりで、11時前に [東能代] 駅に行ったのだが・・・。


■快速「リゾートしらかみ」の切符とれず!
駅の窓口で、切符を買おうとしたところ、 この日の「リゾートしらかみ」は満席。 この列車は全席指定なので、指定席券がないと乗ることができない。 甘かった。結構人気のある列車だったようだ。
「リゾートしらかみ」号がホームに到着するも、ただ見てることしかできない。 カッコイイ車体、乗客も楽しげなだけに、切なさが込み上げてきた(^^;;

しょうがないので各駅停車で行くことにするのだが、 その次の [十二湖] まで行く列車は、13:10発の [深浦] 行き。 次の列車は2時間も先なのだ(泣)

しかし、その前に11:46発で、途中の [岩館] まで行く電車があったので、 これに乗って [岩館] まで行き、そこで海でも眺めて時間をつぶして、 [深浦] 行きを待つことに決めた。

いきなり構想が狂ったが、帰りの「リゾートしらかみ」 (十二湖18:11発)には空席があったので、これで帰ってくることにした。

■[東能代]を出発
11:46発の [岩館] 行き列車に乗り込み、 進行方向に向かって左側(海側)を陣取ると、間もなく列車は [東能代] を出発。

次の [能代] を出てからは、遮断機のない踏み切りを通過したり、 「これが駅か?」というような、待ち合い室だけの無人駅にとまりつつ、 列車は田舎の景色の中を進む。

やがて、[東八森] 駅をすぎたあたりから、ぐんと海岸線近くを走るようになる。

[岩館] で下車する予定だったが、その1個手前の駅 [あきた白神] で、 ひまつぶしできそうだったので、急遽下車。これが12時半ころ。 あとからくる [深浦] 行きは13:55。食事するには十分な時間だ。

■ [あきた白神]
[あきた白神] は最近できた観光駅で、ハタハタ館なんてのがある。 正直言って興味を引く展示物はなかったが、日本海を見ながら温泉に入れる展望浴場があるようだ。 今回はパスしたが、いつかゆっくり浸かりたいものだ。

温泉には入らず、食事をすることにする。向かいにある「海」という食堂で、 八森名物とうたっている「磯ちゃんぽんラーメン」 \700 を食べる。 シーフード入り塩ラーメンだ。波留子は 冷やし中華を注文する。30分くらいかか ってようやくできてくる。ちょっと待ちくたびれたが、うまかった。おすすめだ。

食事のあと、オートキャンプ場を抜けて海の見渡せる位置まで行き、少したつと、 もう次の [深浦] 行き列車がくる時間。 単線のホームで待ってたらちゃんと来た。

■[岩館]
次の駅 [岩館] では、なんと30分近くも停車時間があった(これが標準のダイヤらしい)。 改札はほとんどノーチェックだったので、列車を下りて海の見える場所まで歩く。 5分としないうちに、高台から海とのどかな海岸の町を見下ろせる場所にたどり着く。 同じ列車に乗ってたと思われる、他の乗客も散歩している。ローカル線ならでわだ。

列車に戻り、少したつと出発。14時半ころ。 秋田県と青森県の境であるこの辺は、 海沿いの崖っぷちの高いところを線路が通ってるので、絶景だ。

その後、線路の位置は低くなり、場所によっては海岸線のすぐ近くを走った。

■[十二湖] 駅で下車
[十二湖] 駅に到着したのは15時ころ。 やはり、小さい待ち合い室だけの無人駅。この雰囲気が五能線の好きなところでもある。 でも、すぐ横には、小さいながらもちゃんと観光案内所もあるので、情報収集はバッチリ。 道路の向かいには2〜3件の建物(民宿、土産物屋、食堂)があるだけで、その後ろは山。

ちょうどバスがとまっていたので、 「十二湖に行きたいのですが」と尋ねると、 いったん反対方向に行ってから折り返してくるとのこと。 バスがくるまでの間、30分ほど浜辺ですごす。半分ねていた。 (駅からすでに海は見えており、2〜3分も歩けば海岸まで行ける)


■いよいよ十二湖へ
派手な外装の路線バスが戻ってきた。 乗り込むと、五能線でも見たお客さんが乗ってた。 彼は宿を捜してるらしく、運転手が降りては民宿に空室状況を聞きに行ってるみたいだった。 これも田舎ならではの光景。

バスは15:37発。 バスの車内には木製のシートが並んでおり、雰囲気がある。 木の香りが漂ってきて、結構ゆっくりできる。 バスは、緑の中を曲がりくねる道を上っていく。 道と平行して、清流が流れている。 観光案内のテープもかかって得した気分。 しかも、バス停以外でも、どこでも乗り降り自由らしい。 ただし1日に4往復ほどしか巡回していないようなので、ダイヤは要確認だ(JRの時刻表にも乗っている)。

十二湖駅バス停から、10分くらいで終点 [奥十二湖] につく。 途中、すでにいくつかの池のほとりを通過した。 バスを下りると、挑戦館と呼ばれる建物があったが、意味不明だった。 とりあえず土産屋として機能していた。

それではいよいよ散策開始だ。

十二湖とは
山の中、静かな森に囲まれた、たくさんの池や沼が点在(密集?)する地域。 十二湖とはいうが、全部で33の湖沼群がある。 山の上のポイントから見ると、12の池を同時に見ることができるそうだ。

観光の目玉は、やはり青池。 たまに「青池以外はつまらない」という感想もきくが、そんなことはない。 それぞれの池は、形、大きさなどが違っていて、よく見ると個性的。 そんな違いを眺めて歩くのも一興だ。
※尚、各池は禁漁。

鶏頭場の池
↑これが、池の色です。 終点の [奥十二湖] バス停 の近くにある池。 多分、33湖沼群の中で1番目か2番目に大きい池だと思う。 水はきれいなはずなのだが、中央ほど濃い緑色になっている。結構深さもあるようだ。
木々に囲まれた静かな水面を眺めていると、落ち着いた気分になれる。

奥には、崩山への登山道入り口がある。

青池
鶏頭場の池の先、薄暗い林のなかにある、群青色をした池。 とにかく神秘的で幻想的だ。 このときはやや曇っていたが、上から日光が差し込むとより美しく見えるという。 見た目以上に意外と水深もあるそうで、不気味でもある。 妖精かなにかが住んでそうな雰囲気。
よく 「青インクを流し込んだような色」 と例えられるが、水は決して濁っているわけではなく、 浅いところでは、水中で泳いでいる魚がはっきり見えるほどに透き通っている。 正直言って、なんであんな色に見えるのか不思議。
ふと気付くと、30cmくらいの魚も泳いでいて、ちょっとびっくり。 禁漁池だからか、警戒心はあまりないようで、のんびりと漂っていた。

その後バス停まで戻り、 車道に沿ってゆっくり歩いておりながら、池を順に見て行くことにする。

がま池
目立たないこじんまりした池だが、結構個性的。 落ち葉が池の上にたくさん浮かんでて、池の縁がよくわからない。 車道からは見えないので、注意。

沸壷の池
これは結構穴場? 車道から外れたところにある。 入り口の標識には "ここから0.4km" とあって、時間もなかったので行くかどうか迷ったが、 100mも行ったか行かないうちに、沸壷の池につく。 青池のように青いが、青池よりも広くて浅いので、水はかなり透き通って見えた。 水底が何やらキラキラとしているのが見えたが、あれが水の湧いてる部分だったのだろうか。 周囲に人の気配は全く無く、魚の跳ねる音がしたときはドキっとした。

車道まで戻ると、すぐ下に茶室があったが、16:30までの開店。 残念ながら、このときすでに17時を過ぎていた(時間内なら、ただ茶が飲めたのに)。 ここは、沸壷の池から流れ出た小さな滝のすぐ下であり、湧き水でお茶を入れてくれるらしい。

落合の池
茶室の正面に広がる池。 お茶を飲んでゆっくりするには、よい感じの眺め。

中の池

途中で登りのバスとすれちがう。 バスはそのまま終点まで行って折り返してくるはずなので、帰りに拾って貰おうと思う。

越口の池
ビジターセンターと、イトウの養殖場があるが、時間の都合で見なかった。

王池
ある意味、十二湖の中心的存在。 お土産屋さんが数件並んでいるし、ボートにも乗れる。 また、池の周囲を散策用のトレイルが囲んでいる(時間があったら、ぐるっと歩きたかった)。 なぜか、この池のほとりには、クマが飼われている土産屋がある。

二ツ目の池
道なりに登ってきたら、2番目に出会う池だから、この名前が付いたのだろうか。

八景の池
十二湖の入り口、第一の池だ。結局ここまで下りてきてしまった。 池のすぐほとりに、お土産屋 兼 旅館があって、泊まってるお客さんがうらやましかった。

ここには「日本キャニオン入り口」バス停があって、 すこし待つと、ちょうどバスが来た。乗って駅まで帰る(17:50すぎ)。 バスでは、何度か公園内で見た覚えのある旅行者数名と顔を合わせる。

やり残し
今回のミニ旅行でもかなり楽しめたが、時間があったら、もっとじっくり見て 回りたいと思った。今回はほとんど車道に沿って歩いて来ただけだったので、 王池の周りのトレイルや、日本キャニオン、山の中のトレイル沿いの数々の池は、 堪能できなかった。それらはまたの機会ということで。 崩山への登山もしたい。 時間があればあったなりに、いろいろ散策できそうな公園だった。


■快速「リゾートしらかみ」で帰途に
やがて、「リゾートしらかみ」号が到着。18:11に十二湖駅を発車。 指定席は・・・海側だ、ラッキー。 この列車は、窓がでかく景色を楽しめるようにできている。 前の席との幅も広く、かなりゆっくりできる。特急なみの車内販売もあり。 指定席料金(全席指定)は510円(1人)。

列車のスピードそのものは、速くない・・・というか、景色を見せるために わざとゆっくり走ってるのかも? それとも、安全速度の限界か。

右手に夕暮れの日本海を見つつ、帰ってきた。
19:10ころ [能代] 到着。


◆五能線について補足
[東能代] 〜 [十二湖] の乗車券は大人片道 ¥1090。
上りは、進行方向右が、海側。
下りは、進行方向左が、海側。

◆十二湖の写真が見られるサイト

岩崎村のサイト
http://hello.net.pref.aomori.jp/iwasaki/index.html

「十二湖」駅の紹介ページ
JR秋田支社のサイトにある、「リゾートしらかみ号」の紹介ページ内への直接リンクです。
http://www.jreast.co.jp/akita/index_.htm


【TOP PAGE】