最初は“お子さまウエスタン”から始まった

 日本におけるテレビ放送の発展過程は、アメリカと殆ど同じ道をたどった。アメリ
カのテレビ放送草創の頃、前述の『ローン・レンジャー』をはじめとする子供むけ西
部劇が氾濫し、人気の中心だった。
 日本においても最初は、『ローン・レンジャー』『シスコ・キッド』『アニーよ銃をとれ』
『バッファロー・ビルの冒険』『西部の勇者キット・カースン』といった“お子さまウエス
タン”が中心だったよ。私がテレビで最初に観た西部劇も、これらの作品だったね。

 『シスコ・キッド』は、派手なメキシコ風の服装が印象深かった。1890年代のニュ
ーメキシコを舞台に、正義の味方シスコ・キッド(ダンカン・レナルド)と相棒のパン
チョ(レオ・キャリロ)が繰り広げる冒険物語だった。
 『ローン・レンジャー』『ホパロング・キャシディ』と並ぶ、戦前からのヒーローで、
O・ヘンリーが創造した人物。
 1929年の『懐しのアリゾナ』(ラオール・ウォルシュ監督、ワーナー・バクスター
主演)が最初のシスコ・キッド物で、以後全部で23本製作されている。ダンカン・
レナルドのシスコ・キッドも、ユナイトで5本製作(うち2本は日本未公開)されていた。
 『ホパロング・キャシディ』もテレビ放映されたが、残念ながら私は観ていない。

シスコ・キッド

アニーよ銃をとれ

 実在の銃の名手、アニー・オークレイを主人公にしたのが、『アニーよ銃をとれ』
だった。内容は全くのフィクションで、ディアブロという町を舞台に、弟のタッグと力
を合わせ、ロフティ・クレイグ保安官を助けて悪者退治をする物語。
 アニーは早射ちの名人だが、決して相手を傷つけず、武器だけを射ち落として
捕えるのだ。ロフティ保安官はアニーに気があるみたいだが、アニーはいたって
ソッケない。
 早射ち、投げ縄、乗馬と、なんでもござれのアニーに扮したのはゲイル・デーヴィ
ス。アクション・シーンをスタンドインなしに演じたことが評判になったよ。幼少の頃
からお転婆で、馬には子どもの頃から乗っていたとのこと。テキサス大学卒業の
インテリであるだけでなく、三つの美人コンテストにも入賞した美人女優だったね。
 アメリカには、いまだに彼女のファンがいるらしく、インターネットでファンサイトを
見つけた時にはビックリした。日本でいえば松山蓉子のHPを作るようなものだか
らね。(松山蓉子ファンの方、失礼な表現をゴメンナサイ)

 バッファロー・ビルの崇拝者で、“バッファロー・ビル・ジュニア”と名乗る許可を
得た若者を主人公にした西部活劇が『バッファロー・ビルの冒険』だった。
 主人公(ディック・ジョーンズ)がみせる曲芸のような乗馬が記憶に残っている。
妹のカラミティーに扮したナンシー・ギルバートのお転婆ぶりも忘れられないね。

 『西部の勇者キット・カースン』も実在の人物を主人公にしたものだが、『アニー
よ銃をとれ』と同じように内容は全くのフィクション。
 広大な西部を足の向くまま気の向くまま、馬に乗って渡り歩くガンファイターを
主人公にした股旅ウエスタンだった。
 実在のキット・カースンンは西部の道案内人として勇名をはせた人物で、現在
でもコロラドにはカースンの名を冠した街道や町がいくつか残っているよ。

バッファロー・ビルの冒険   西部の勇者キット・カースン

タイトルへ  次ページへ