『お笑い三人組』はトリオ物の元祖

 『お笑い三人組』とは、落語家の三遊亭小金馬(現、金馬)、講談の一竜斎貞鳳、物真似の江戸屋猫八
の寄席トリオが、下町を舞台に三人の持味を生かしたギャグとコントで展開するコメディー番組だった。
 もともと私生活でも仲良しだったことから、この番組ができたとのこと。トリオ番組の元祖ともいえるが、
寄席では個人芸の世界の三人が、コメディを演じるところに新鮮さがあった。
 この三人の相手役になるのが、楠木トシエに桜京美、音羽美子の三人だった。

 最初はラジオ番組で、1957年からテレビに移行。当初は貞鳳がサラリーマン、小金馬が酒屋の店員、
猫八がパン屋であったが、後に貞鳳のサラリーマンは変わらないが、小金馬がラーメン屋、猫八がクリニ
ング屋に変わる。
 相手役も当初は貞鳳に音羽美子、小金馬に桜京美、猫八に楠木トシエという布陣であったが、後に
猫八・楠木トシエの恋人同士はそのままだが、貞鳳・桜京美の新婚夫婦、小金馬・音羽美子の兄妹とい
う設定になった。

 脚本は名和青朗で、NHKらしく家族揃って見る、健康的で明るい番組に仕上がっていた。
 その分、三人のアドリブは全く期待できず、台本通りの演技をしていたみたいだ。ただ、脱線トリオ(由利
徹、南利明、八波むと志)のメンバーがゲストで出演した時は、由利徹なんかは台本にないアドリブをかま
していた。
 ストリップ劇場仕込みの下品なギャグを連発する脱線トリオはNHK好みでなく、バラバラでの出演はあっ
ても、トリオで揃っての出演というのは私の記憶にない。
 脱線トリオが出演していた『お昼の演芸』は、私の住んでいた広島では放送しておらず、彼らのトリオとし
ての全盛期を知らないのは残念なことである。

 『お笑い三人組』で忘れられないのは、毎回ゲストに歌手が登場し、劇中で物語に関係なく自分の持ち歌
を唄うことである。このスタイルは、後の大ヒットコメディ『てなもんや三度笠』に踏襲されていた。

 『お笑い三人組が下町コメディとすると、都会派コメディとして『おいらの町』というのがあった。
 出演しているのは、柳沢真一、藤村有弘、千葉信男、逗子トンボといったところ。それに三木のり平と有
島一郎が時々出演していた。
 柳沢真一は池内淳子と結婚して、アッというまに離婚したことで有名になったひと。当時は、歌えて芝居
もできるということで結構人気があったのです。
 藤村有弘は外国語芸の元祖。「トラバトーレ、トルナーラトッテミーロ」というギャグは、私もいろんなところ
で使いました。
 千葉信男は百貫デブ。逗子トンボはどこかトボけたおニイさん。寄席芸人とは違う洒落た感じの連中で、
何となくおかしいといったタレントによる番組だった。

 

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