第三部 アラフラの真珠

 
  第1回(ハリケーン来襲)
 ジャカルタからバンコクへ向かう貨物船が頻繁に海賊に襲撃
されていた。海賊に情報を提供していた陳秀明は、貿易商たち
の会合で“アラフラの蛸”と呼ばれる高価な真珠が発見された
ことを知る。
 陳は“アラフラの蛸”を奪うべく、部下を海賊・片足ブラックの
もとに差し向ける。
 ハリマオの指示により、陳を見張っていた太郎は陳の部下を
追いかけるが、乗船した船がハリケーンで難破してしまう……
 タイトルに三橋美智也の主題歌が流れず、タイ音楽風の曲
にのって象にまたがったハリマオが現われる。イメージが違う
んだなあ。じっくり見ると吹替えのようです。現地(タイ?)の象
使いにハリマオの扮装をさせているんですね。
 「これほど海賊たちに襲われるとは、ほってはおけない事
態だ」と、ハリマオが乗り出すわけですが、誰が考えたか知
らないが、牧冬吉の片足ブラックの扮装には笑えます。
 牧冬吉は『豹(ジャガー)の眼』の殺し屋、『快傑ハリマオ
第一部』のキャプテンKKでも“いかにも”といった扮装をして
おり、彼のアイデアが入っているかもしれませんね。
 おまけに、クサ〜イ芝居をするんだな。陳秀明の大竹タモツ
と双璧。この二人の演技を見ているだけで楽しくなりますよ。
 それにしても、秘宝の真珠の名前が“アラフラのタコ”とは
ね……。“アラフラのイボ”、“アラフラのウオノメ”より良いかも
しれませんが、他にましなネーミングがなかったのでしょうか
ねェ。(笑)
第2回(どくろの首飾り)
 ハリケーンで船が沈み、海上を漂流していた太郎は、真珠採集船に救われる。一方、ハリマオは海賊・
片足ブラックのアジトを見つけ出して乗り込むが、ブラックは獲物を求めて出発した後だった。その頃、太
郎が乗っている採集船が海賊に襲われ……
 ハリマオ語録:「どんな時でも勇気を失わない。それが日本の少年だろう!」
          漂流している太郎の耳に聞こえてきたハリマオの声。
          う〜ん、勇気がわいてくるなあ。(笑)
 第一部、第ニ部は、国内の異国風な場所でロケして東南アジアに見たてていましたが、第三部は海外
ロケをしていますね。タイトル撮影のついでに、風景もタップリ撮ってきたようです。

第3回(南海の襲撃)
 海賊・片足ブラックの部下・海の狼に襲われた真珠採集船は、太郎の活躍によって海賊を撃退すること
に成功する。新しい隠れ処・コンドル島に集結していたブラックは、襲撃失敗を聞いて、自ら部下を率いて
南海の海上に採集船を待ち伏せる。そこへ、ハリマオが採集船救出に現われ……
 “アラフラのタコ”の由来は、巨大な蛸が守っていた真珠貝から採集されたからだってサ。
 「私にとって大切なことは、命よりも船長として信頼されている誇りだ!」
 この船長のセリフには、高度経済成長に邁進する1960年代の企業戦士のイメージがダブリますね。

第4回(毒蜘蛛の糸)
 ハリマオの活躍によって、海賊・片足ブラックは撃退され、採集船は無事バンコクに到着する。しかし、
陳とブラックは部下をバンコク市内に配備する一方、真珠会社のバンコク支店長を誘拐する。危険を
感じた船長は、太郎に“アラフラの蛸”を預け、ハリマオの応援を依頼する。街で太郎とあった松は、ハ
リマオのもとへ急ぐが、陳の部下が彼らを尾行していた……
 太郎が訪れた船長の家はバンコク・ロケしたものだね。船長の妻子は現地の俳優かなあ。素人に芝
居させている感じだったけど。
 う〜ん、これは国際ドラマだ。(笑)

第5回(連れ去られた船長)
 陳一味に不意を襲われたハリマオたちだったが、いち早く脱出に成功する。船長の身を案じたハリマオ
の指示により、松と太郎が船長のもとに駆けつけるが、船長は陳一味に連れ去られた後だった。松と太
郎を待伏せしていた陳の部下が毒蛇に噛まれ、松に助けられる。改心した陳の部下の証言により、船長
はメナム河上流のブラックのアジトへ連れ去られたことがわかる……
 海外ロケしたフィルムを使うためか、今みるとムダなシーンが多いですね。当時は、海外の風物が珍し
く、それだけでテレビに釘付けになったものでした。
 「なぜって? 人の命は大切なものだぜ」
 毒蛇に噛まれた陳の部下に、敵である自分を助けてくれた理由をきかれて、松が答えて言ったセリフ。
 そうなんですよ。人の命は大切なんです。“やられたら、やりかえす”では、平和な世界は作れません。

第6回(怒れる巨象)
 松がハリマオへ連絡しに行っている間、太郎は一足早くメナム河上流へ向かう。しかし、太郎は密林で
道に迷い、“アラフラの蛸”の伝説を知る老人に助けられる。太郎と老人が話しているところを、陳一味が
発見し、二人を襲う。老人は太郎が持っていた“アラフラの蛸”を奪い、何処かへ消え去る。太郎はピンチ
に陥るが、そこへ象に乗ったハリマオが現われ、陳一味を蹴散らす……
 象に乗っているハリマオは吹替えですね。学校でそのことが話題になった記憶がないから、昔は気づか
なかったのかなあ。ロングショットの小さな映像を、14インチのテレビで見ていた時代ですからね。
 私の友人が、陳秀明役の大竹タモツが昭和の初め頃、チャップリンの真似で売出したコメディアンだっ
たことを教えてくれました。旗一兵の「喜劇人回り舞台」に書いてあったとのこと。彼の弟子に益田喜頓や
坊屋三郎がいたらしく、今となっては遠い昔のお話ですね。

第7回(乱れとぶ鉄腕)
 タイ式ボクシングのポスターを見ていたハリマオは、そこに描かれているボクサーが“アラフラの蛸”を
持ち去った老人に似ていることに気づく。しかし、ハリマオより一足早く、陳秀明が試合会場の選手控室
を訪れていた。陳は言葉たくみに老人と孫のチュチュインを騙し、老人を連れ去る。一方、ハリマオは陳
の手から船長を救出するが、ハリマオをギャング団の首領と信じたチュチュインから決闘状が届いてい
た……
 「あの男の目は澄んでいた。お前たちの目は邪悪に濁っている!」
 陳が老人に、ハリマオはギャングの親玉と言った時、老人が陳に言ったセリフ。
 黒メガネをかけているハリマオの目が澄んでいると、どうして判るんだろう。(笑)
 沢村忠を有名にしたキックボクシングで、タイ式ボクシングが一般に知られるようになったのですが、そ
れより5年以上前に『快傑ハリマオ』でタイ式ボクシングを紹介していたんですね。

第8回(奪われた真珠)
 チュチュインは、ハリマオとの壮絶な格闘を通じて、陳に騙されていたことを知る。老人もハリマオによっ
て救出され、陳は最後の手段として、片足ブラックと手を組み、誘拐したサンパオ支店長と“アラフラの蛸”
との交換をハリマオに告げる。太郎の活躍で支店長は救出されるが、“アラフラの蛸”は、陳を裏切った
ブラックによって海上へ持ち去られる……
 「私は正義を信条として生きている男だ。私を信じてもらえませんか」
 ハリマオが決闘の後、チュチュインに言ったセリフ。
 正々堂々と格闘した相手の言葉だもの、誰だって信じるよォ。(笑)

第9回(アンコールワットの対決)
 海賊たちがたむろする酒場で、片足ブラックの手下を見つけたハリマオは、彼を捕えブラックの居所を
聞き出す。盗んだ真珠の取引のためにブラックがアンコールワットにいることを知ったハリマオたちは、
アンコールワットに向かう。一方、陳秀明もブラックの居所をかぎつけ、アンコールワットで三つ巴の戦い
が繰り広げられる……
 アンコールワットで大々的にロケされたことが画面を見ていてわかります。今ではとうてい不可能なシー
ンで、貴重な映像といえますね。

第10回(香港行き十八番)
 “アラフラの蛸”は陳の手下がドサクサにまぎれて手に入れるが、陳はハリマオに追われて香港へ去っ
た後だった。片足ブラックに狙われた陳の手下は、仲間に“アラフラの蛸”を渡し、香港でバラを着けた
陳の使者に渡すように指示する。仲間は香港でバラを着けた女性に“アラフラの蛸”を渡すが、彼女は陳
の使者ではなかった。ハリマオたちも“アラフラの蛸”を追って香港へ飛ぶ……
 真珠を間違えて受取った女性役は、現地(香港)の女優さんじゃないですかね。それも大部屋のね。セ
リフは吹替えだから演技力はいらない。(笑)
 安い人件費で国際色豊なドラマ作りをする宣弘社に脱帽。(笑)

第11回(九竜鬼面館)
 兄の荷物と勘違いして“アラフラの蛸”を受取った美麗は、兄の子竜から自分のものでないことを告げ
られ、空港へ荷物を返しに行く。空港では陳の部下たちが見張っており、美麗と子竜は陳一味に襲われ
る。そこへ、香港にやってきたハリマオと太郎が現われ、二人を救出する……
 太郎と子竜の出会いが、バス(香港名物の2階建てバス)に乗っていた太郎がサイフを忘れて困ってい
るところを子竜が助けるという、いかにも取ってつけたような展開。(笑)
 陳から子竜へ宛てた手紙が、二人とも中国人なのに日本語で書かれていたのは何故?(笑)
 笑える内容ですが、これが楽しいんだなあ。

第12回(忍び寄る魔手)
 助けられた二人は、“アラフラの蛸”をハリマオに渡す。しかし、香港に太郎とハリマオを訪ねてやってき
た令子と秋江が陳の部下に見つかり誘拐され、ハリマオは陳の呼び出しに応じ、“アラフラの蛸”を持って
一人で陳のところへ向かう……
 タドン小僧が、令子と秋江を案内して香港の観光見物をさせてくれますよ。物語の展開に関係ないシー
ンですが、海外ロケしたものだから、視聴者へのサービスのつもりなんでしょうね。(笑)
 私だったら、恥ずかしくてとてもできないけれど、タドン小僧の扮装のままで観光名所を歩く崎坂謙二君
は勇気があるなあ。(笑)

最終回(さよなら香港)
 陳のアジト“鬼面館”に一人で乗り込んだハリマオは、人質(令子、秋江)との交換で“アラフラの蛸”を
陳に渡す。陳と片足ブラックが仲間割れをおこした隙に、令子と秋江を救出する。松と太郎が駆けつけ
て来て、陳とブラックの部下を倒す。陳とブラックは“アラフラの蛸”の奪い合いの果てに相射ちとなり、
二人とも死んでしまう。“アラフラの蛸”を取り戻したハリマオは、令子と秋江に自分の正体を明かすの
だった……
 この回でハリマオとドンゴロスの松の正体がわかるんですよ。ハリマオは日本政府の特命を受けた大友
海軍中尉で、松は部下の山田兵曹長。つまり、007のような秘密諜報員だったんですね。
 宿敵・陳秀明が死に、本来であれば『快傑ハリマオ』は第三部で終了するはずではなかったのでしょう
か。ところが、人気が高いものだから、第四部〜五部と製作されたのでしょうね。
 私は子どもの頃、リアルタイムで『快傑ハリマオ』を観ていたのですが、第四部〜五部は観た記憶がな
いんですよ。地方では第三部で放送打ち切りになったのかなあ。

 

第四部 南蒙の虎 へ

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