バークレー牧場

THE BIG VALLEY

ビクトリア
(バーバラ・スタンウィック)
 ずっと昔(2000年頃)に録画したまま未見だった『バークレー牧場』を観ました。
 アメリカでは1965年9月15日から1969年5月19日まで4シーズン112話が放映された人気西部劇です。日本でも1965年11月20日よりNET(現テレビ朝日)系列で91話が放映されました。その中の73話をCATVで放映された時に録画しておいたのです。

 『バークレー牧場』は、1870年代のカリフォルニアを舞台に、ビッグバレーで大牧場を営むバークレー一家の家族愛と正義を描いた物語です。ホームドラマ・ウエスタンといってよいでしょう。
 しっかり者の母親ビクトリア(バーバラ・スタンウィック)を中心に、ジャロッド(リチャード・ロング)、ニック(ピーター・ブレック)、ヒース(リー・メジャース)、ユージン(チャールズ・ブライレス)、オードラ(リンダ・エヴァンス)の四男―女の兄妹が、それぞれの性格を活かして、家族にふりかかるトラブルに立ち向かっていきます。ただ、大学生の四男・ユージンの登場は第1シーズンだけで、第2シ−ズン以降は姿を見せなかったのは残念ですが。

 三男のヒースは、 ビクトリアの夫サムが仕事で出向いたストロベリーの町で、彼の世話をした酒場女に生ませた腹違いの兄弟です。ヒースは放浪の果てにビッグバレーにたどりつき、バークレー家に迎えられたのです。
 彼が一家に居つくことになったのは、血はつながっていなくてもビクトリアに母の愛情を感じたからなんです。どこか影があって、愁いのあるヒース役でリー・メジャースは人気スターとなりました。
 南北戦争では南軍に従軍し、捕虜収容所に入っていたことが、「燃えつきた憎悪」(#1−13:
The Guilt of Matt Bentell)で語られていました。
 放浪中は保安官助手などのガンマン生活をおくっており、「無情の早射ち」(#3−5:
Night in a Small Town)では、かつての相棒だった老ガンマンと対決しましたね。

 二男のニックは、粗野だが真っ直ぐな気性で典型的なカウボーイ・ヒーローです。
 女性に惚れても、何故か失恋してしまう。好い人であっても、恋人には物足らないのかも……
 南北戦争では北軍に従軍していたことが、「虐殺の詩」(#2−24:
Court Martial)でわかります。

 長男のジャロッドは、理性的でストックトンの町で事務所を構える弁護士。遵法精神に徹した正義漢です。
 仮釈放制度をテーマにした「反逆の果てに」(#3−15:
The Buffalo Man)で、黒人兵士からなる第9騎兵隊の士官だったことが、「暗闇の対決」(#3−4:Time After Midnight)では、弁護士になる前は検事だったことがわかります。
 「仇討ちの旅」(#3−17:
Days of Wrath)では、列車で知り合った女性と結婚しますが、新婚の幸せいっぱいの時に、ジャロッドを憎む無法者に新妻は射ち殺されてしまいます。この時だけは復讐の鬼となり、法に従わず自分の手で犯人を処刑しようとしました。

 オードラは、美しく溌剌としたお転婆娘。ビクトリアの後を継いで、教会で孤児たちに勉強を教えています。
 魅力的な女性なので、彼女に恋する男性は数知れず。「マイ込んだ羊飼い」(#3−3:
A Flock of Trouble)では、ロバート・フラーが恋人役でしたよ。
 だけど、意外と惚れやすい性格で、魅力的な男性に逢うとフラフラすることがありますね。「乾いた谷」(#1―28:
The Midas Man)では、プレイボーイの金融業者トム・トライオンと結婚まで思いつめました。
 それから、「地獄へ走る汽車」(#1−30:
Last Train to the Fair)では盲腸の手術を受けています。

 母親のビクトリアは、七年前に夫のサムを亡くしてからは、一家の長として家族をまとめています。
 なにしろビクトリア役のバーバラ・スタンウィックは、1950年代にはウエスタン・クイーンと呼ばれていたくらいで、上品で気高い西部の貴婦人がピッタリあっていました。このドラマの成功は、バーバラ・スタンウィックの魅力にあったといっても過言ではないでしょう。
 出演交渉にきたプロデューサーに、スタンウィックは、「もし、息子たちが悪党につかまって、その間、家で泣きながら待っている母親の役ならお断りよ。でも、馬に乗って息子を助けに行く母親の役ならOKだわ」と言ったそうです。そして、実際、馬に乗って助けに行く母親でした。スタンウィックの乗馬シーンはスタンドインでなく、彼女自身が馬を走らせていましたね。

 最後に、家族以外のレギュラーとして、黒人執事のサイラスがいたことを付け加えておきます。

 この作品の舞台は、1870年代のカリフォルニアということで、他の西部劇には見られない特色があります。
 バークレー家は牧場以外にも、オレンジの果樹園と金鉱を持っています。オレンジはカリフォルニアの代表的農産物ですし、カリフォルニアに人が集まったのは、1848年にサクラメント川で金が発見され、ゴールドラッシュとなったことによるものですからね。
 登場するインディアンはメキシコのヤキ族だし、「炎の旅」(#2−14:
Hide the Children)では、ジプシーの生活がテーマになっていました。
 「暁の襲撃」(#3−1:
Joaquin)は、バークレー牧場に雇われたメキシコ人が、メキシコ人の間で生存の噂があったホアキン・ムリエタに間違われる物語でした。ホアキン・ムリエタは、カリフォルニアを荒らしまわり、1853年に処刑された実在の無法者です。
 「燃えつきた憎悪」や「恐怖の大爆発」(#3−10、11:
Explosion)で森林火災が、「大地震」(#1−9:Earthquake!)で大地震が扱われていましたが、最近ロサンゼルスでも山火事や地震は発生しましたからねェ。
 蛇足ですが、森林火災の映像は、映画からの使いまわしのような気がします。カラーの色調が違うんですよ。

 昔のテレビドラマを観る楽しみに、ゲスト出演者があります。意外なスターが出演していることがあるんですよ。「旅路」(#2−18:Boy Into Man)では、思春期(15〜6歳)のリチャード・ドレイファスが出ていましたよ。
 まだビッグ・ネームになる前の、チャールズ・ブロンソン、デニス・ホッパーやウォーレン・オーツ、映画デビューする前のキャサリン・ロスやカレン・ブラックも顔を見せています。
 アン・バクスターやジュリー・アダムスは、昔の名前で出ていますといった感じでしょうか。
 パーネル・ロバーツ、マーティン・ランドー、ウィリアム・シャトナー、ロバート・フラーはテレビでお馴染みの顔。映画でお馴染みの顔といえば、スーザン・ストラスバーグ、キャロル・リンレー、ジル・セント・ジョンですね。
 ロバート・ミドルトン、アンドリュー・ダガン、ジェームズ・グレゴリー、ジョン・デナー、クロード・エーキンズ、ジョージ・ケネディは映画でお馴染みの大物傍役。
 ペキンパー映画のL・Q・ジョーンズやストローザ・マーチンなど、とにかく多彩なゲストスターの出演で物語に厚みをもたせていました。

ジャロッド
(リチャード・ロング)
ニック
(ピーター・ブレック)
ヒース
(リー・メジャース)
オードラ
(リンダ・エヴァンス)
ユージン
(チャールズ・ブライレス)
   
 音楽を担当しているのが、ジョージ・ダニング。
 『ピクニック』、『地上より永遠に』、『ララミーから来た男』などの映画音楽を作っています。
 『バークレー牧場』のテーマ曲は、大西部の土地の美しさと、雄大さを見事に表現しており、劇場西部劇の音楽と聴き比べても遜色はありませんよ。
 彼は、『バークレー牧場』のために、「ビッグバレーの日曜日」、「収穫祭の踊り」、「ヒースのテーマ」、「オードラのテーマ」など10曲の挿入曲も作っており、サントラLPで発売されています。

 

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