February April May

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(2003/03/16 UPDATED)

More Movies>>Jan-

bluecorner Coming Soon March
Title The Players The Plot The Buzz
Kissing ジェシカ
★★★

監督:チャールズ・ハーマン=ワームフェルド
出演:ジェニファー・ウェストフェルド、ヘザー・ジャーゲンセン
●配給:20世紀FOX●米'01年/97分●3月1日公開
ジェシカ・スタイン(ウェストフェルド)はNYの新聞社に勤めるジャーナリスト。28歳だが、恋の体験は乏しい。母親や周囲も彼女の恋を気にかけるが、彼女は相手の欠点をあげつらい自分をさらけだすのが苦手。そんな折り、交際募集記事で自分の感性にぴったりの相手を見つけた。それは画廊勤めのヘレン(ジャーゲンセン)。相手はストレートな女をひっかけようという、熟練のバイセクシャル女性。ジェシカのおっかなびっくりのレズ体験がはじまる。NYを舞台に、レズ関係をテコに「熟成」した女に変わっていくヒロインの姿を軽やかな演出で描いた、都会派ラブ・コメディ。 97年、オフオフの舞台で上演されたスケッチを共演のふたりウェストフェルドとジャーゲンセンが共同脚本化し映画化。ストレートのヒロインがレズの世界に1歩づつ近づく、ぎこちないスケッチが笑いのポイント。何度か女同士のキスシーンはあるが、セックス描写の直接描写はなくカラリして爽やか(?)。ユダヤ人一家を背景にしたスケッチはW・アレン・テイストの可笑しさ。押しが強い典型的なユダヤママ役のトヴァー・フェルドシャーが画面をさらう好演で、オスカーの助演賞に絡むのではとの声も。
ダークネス
★★★

監督:ジャウマ・バラゲラ
出演:アンナ・パキン、レナ・オリン、ジャンカルロ・ジャニーニ
●配給:ギャガ・コミュニケーションズ●スペイン'02年/102分●3月1日公開
皆既日食の日、9歳の子供7人がスペイン郊外の森で行方不明となる1人の男の子だけが発見された。40年後、ある一家が米国からスペイン郊外の古い家に引っ越してきた。一家の父は都会のストレスで神経症になり、癒すため生まれ育った町に来た。長女レジーナ(パキン)は「闇」を恐れる幼い弟ポールの異変に気づきはじめる。ポールは首を切られ血を流す子供の絵を何枚も描いた。襟もとには何者か殴られたのかアザの跡が。父も精神不安状態に陥る。レジーナは原因がこの家にあると母(オリン)に言うが、取りあってもらえない。レジーンはボーイフレンドのカルロスと過去になにがあったか調べはじめる。  『アザーズ』のアメナーバル監督に続く、スペインの注目監督バラゲロの新作だ。僕は未見だが、99年『ネームレス・無名恐怖』は多数の映画賞を受賞し、バラエティ誌では「ヨーロッパ優秀監督10人」のひとりに彼を選んだ前歴。本作はスペインで同国映画の歴代オープニング記録2位を記録した。映画のモチーフは「暗闇」。 闇のあるところに恐怖あり。SFX映像を多用して恐怖世界を創る派手な見せ方ではなく、怪物的な「闇王」が出てくるわけでもない。家なかの一瞬の「闇」が次の恐怖の1手となる趣向。堅実にジワジワと「闇」が迫り、心理的な怖さに追い込む演出だ。「闇」が支配する儀式の条件が中盤以降に明らかになる展開。条件とは日食の闇の瞬間、7人の子供の喉を切り裂き血を捧げること。と、40年前6人の血は捧げられたが、1人が逃げだし条件を満たしていない。で、この40年後の日食のあわせ、もうひとりの血を捧げ、闇の支配を完遂しようという理屈だ。で、喉を切り裂く相手は、その子を愛しているというのが条件というのが、スペイン映画のパッションを感じさせる切り口。語りで恐怖のお膳立てを作り上げ、画面を一瞬横切る「影」とか、写真に写った謎の3人組が突然、闇のなかから実態を顕わし天井にへばりついてるとか。ギクっとする恐怖感が持ち味。闇の標的になる「子供」が誰か。そのへんい捻りを効かせ、終盤の「闇一族」(?)と一家との攻防がスリリングに展開する。ここで面白いのは「明かり」が武器になるということと、それを攪乱するため闇一族が「変身術」を使うところ。映像や音楽の使い方とスタイリッシュな味わい。子役だったパキンも、肩むきだしのタンクトップ姿でセクシーな女の匂い。演出アイデアも面白く、拾いものの1作。
スリーピング・
ディクショナリー

★★

監督:ガイ・ジェンキン
出演:ジェシカ・アルバ、ヒュー・ダンシー
●配給:ギャガ・コミュニケーションズ●米英'02年/108分●3月1日公開
30年代のインドシナ、ボルネオ・サルワック。若い行政官ジョン・トラスコット(ダンシー)が現地に教育を広めるという父の志を継いで赴任した。ジョンは、現地の言葉を早く覚えるため、と「スリーピング・ディクショナリー」をあてがわれた。ベッドを共にする現地女のことだ。が、マジメなジョンはその相手セルマ(アルバ)に手をださず、ホモとうたがわれる始末。セルマも彼から嫌われていると思い、感情の摩擦が生じた。やがてジョンはセルマを愛し始め結婚を願う。が、部族の掟では結婚は御法度。ジョンは監督官(ボブ・ホスキンス)の娘と結婚することを受け入れ、1年後再度現地に赴く。そこでジョンはセルマが自分の子を産み育てていたこと知り、禁を犯し彼女に接近。愛が再燃する。セルマの夫はジョンを殺そうと追ったが、ジョンは夫に死刑の判決をするよう監督官に迫られた。ジョンは夫に逃がし、セルマと逃げることを画策するが…。 『ダーク・エンジェル』のアルバが白人行政官を相手にする現地の女役を演じるエキゾチック・時代ラブストーリー。『エマニュエル』でも見る気分で、際物エッチ系映画を期待したら間違い。意外にちゃんとしたキプリング調の未文明物語だ。植民地時代の英国=白人と30年代の植民地アジア。線引きされた人種と国家関係のなかで、ひと組の男女の自由と愛と闘いを描く内容だ。セリル役のアルバがセクシーな民族衣装で踊るシーンなど、前半のショットは彼女のスレンダーな柳腰も悩ましい。官能ムードで、数回のベッドシーンも期待が膨らむ。が、全裸のバストショットはバックから、バストのアップは「吹き替え」と女優根性に問題あり。逆にというか、監督官の娘役エミリー・モーティマシー(『キッド』でウィリスの相手役)が夫を挑発するため胸を露わにして挑発するシーンのほうが迫真力あり。総じて、アルバ意外は英国の名優揃い。監督官の妻役に『秘密と嘘』のブレンダ・ブレシン、エルマに手をだす敵役に『シャイン』の豪州俳優ノア・テイラーら多彩。セルマには意外な出生の秘密もあり、2代にわたるスリーピング・ディクショナリー悲恋が折り重なる。盛りだくさんな話しの構成と演技陣の多頭は興味そそられるも、全体にテンポの悪さが不満な点。
歓楽通り
★★1/2

監督:パトリス・ルコント
出演:パトリック・ティムシット、レティシア・カスタ、ヴァンサン・エルパズ
●配給:松竹/シネマパリジャン/メディア・スーツ●仏独'02年/93分●3月1日公開
45年初めのこと。歓楽通りの娼館「オリエンタル・パレス」で娼婦の子として生まれたプチ=ルイ(ティムシット)は、将来「女の人のお世話」をするのが目標。プチ=ルイは娼館の下働きをする毎日だったが、彼の前に「日替わり料理」、つまり新人の娼婦が出現した。彼女こと「一生世話する相手」と直感する。その名はマリオン(カスタ)。プチ=ルイは彼女と「夢のリスト」を作成、その成就に願う。まず、彼女のため、プチ=ルイは「運命の男」を探す。ディミトリ(エルバズ)こそ、その相手と見込んだが、彼はギャンブルにうつつを抜かし、ハンガリー人のギャングのボスから借金のとりたてをくらう綱渡りの日々。マリオンは彼のため献身的に働く。さらにマリオンには「有名になること」も夢のひとつ。持ち前の歌声でラジオのオーディションに合格、歌手としての前途も開け、ディオミトリとの蜜月も続く。が、3人には意外な運命が忍び寄る…。 『髪結いの亭主』『橋の上の娘』など、匂いたつ官能美が持ち味のフランスの鬼才パトリス・ルコント監督による時代ロマン。無償の愛に献身するプチ=ルイ、美しい娼婦マリオン、彼女の運命の男ディミトリ。3者の、3角関係とは違う独特の人間模様を軸に、40年代の娼婦たちの世界を背景に、伝説の愛と献身が語られていく。ルコントとは『イヴォヌの香り』などで組んだ撮影のエドゥアルド・セラの、柔らかで絵画的な映像と、スイングジャズやヒロインの歌声(劇中歌「手のひらに書いてあったから」が印象的)から偲ばれるノスタルジックな時代の余韻。意匠を凝らしたスタイリッシュな演出が見もの。劇中、ルコントの傑作『仕立て屋の恋』のオリジナル作であるデュヴィヴィエ監督の『パニック』(46年)がヒロインと恋人が逃げ込む映画館の上映作として銀幕に映し出される趣向。ヒロインのレティシアはモデル出身の女優で、現在24歳。
ノー・グッド・
シングス

★★

監督:ボブ・ラフェルソン
出演:サミュエル・L・ジャクソン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ステラン・スカルスゲールド
●配給:ギャガ・ヒューマックス●米'02年/97分●3月8日公開
孤独な刑事ジャック(ジャクソン)は、隣人から家出娘の捜索を渋々引き受けた。彼女の恋人が住むターク通りで捜査を開始。玄関先で足を滑らせた老女に手を貸したのが、奇妙な体験のはじまり。家に招かれたジャックは老女の夫に突然殴られ、縛りあげられ監禁された。一家には凶暴な若い男、リーダー格の英国訛りの男(スカルスゲールド)、そして魅惑的な美女エリン(ジョヴォヴィッチ)がいた。彼らは100万ドルの銀行強盗を計画していた。彼を見張っていたエリンは糖尿病の悪化で意識をなくしたジャックを助け、彼に愛情を示しはじめる。 ハードボイルド作家ダシル・ハメットの『ターク通りの家』を、『郵便配達は2度ベル鳴らす』のラフェルソン監督が映画化したクライム・サスペンス。主人公の刑事はチエロを弾くのが趣味で、糖尿病の持病という彩りのあるキャラ。片やエリンはわけありの悪女。エリンは糖尿病で昏睡状態になった刑事の家に出向き、インシュリンとチェロを持ち帰り、命を助けす。エリンは元ピアニストという過去の持ち主で、彼女のピアノと彼のチェロが合奏する奇妙な「おかず」もある。わけありのエリンと刑事ジャックの関係がどう展開していくか。『ラスト・ゲーム』でデンゼル・ワシントンと共演したミラだが、ここでも黒人相手で官能を発散する外国女役。が、相手がジャクソンのせいか(?)、いまいち妖しいケミストリー(関係)がわき上がらず。大仰な脇役の絡み、テンポのない室内劇、先が読める結末。どんどん物語への興味は失速し退屈モードで、「ノー・グッド」。
ヘヴン
★★★1/2

監督:トム・テイクヴァ
出演:ケイト・ブランシェット、ジョヴァンニ・リビーニ
●配給:アスミック・エース●独英'02年/96分●3月8日・銀座シャンテシネ、新宿文化シネマ4公開
イタリア・トリノ。夫を麻薬過剰死に追い込んだ麻薬ディーラーの男に復讐を誓った英国女性フィリッパ(ブランシェット)。が、彼女が仕掛けた時限爆弾は無関係な4人の人の命を奪った。警察の尋問でその事実を知った彼女は失神。通訳を務めた憲兵プリッポ(リビーニ)は彼女に恋をしてしまう。彼は彼女の逃走に手を貸し、警察の本部長と通じた麻薬ディーラーの殺害のお膳立てをした。かくしてふたりは運命の糸に結ばれ逃避行を開始する。『ふたりのベロニカ』などのポーランドの巨匠クシシュトフ・キェシロフスキによる遺稿脚本を、『ラン・ローラ・ラン』のテウクヴァ監督が映画化。「神の目」を持った、運命的な愛の物語。 冒頭の「空」から地上を俯瞰する仮想現実、最後に飛び立ったヘリを仰角で撮られた「空」。スタイリッシュな映像で天国までの男女の運命と贖罪を見せる。「キューブリックとスピルバーグが出会った『A.I.』よりも遙かに素晴らしい!」(タイムアウト・ニューヨーク誌)。製作会社ミラージュのシドニー・ポラック、『イングリッシュ・ペイシェント』のオスカー監督アンソニー・ミンゲラが製作に参加。ドイツ人監督、ポーランド人脚本、豪州人女優、エストニアの音楽家など国際的なコラボレーションで作り上げた。「七変化するブランシェットの女優人生の中で、最も感動的で力強い演技」(NYタイムズ紙)。>>Review
ジェイ&サイレント・ボブ
帝国への逆襲

★★★

監督・出演:ケヴィン・スミス
出演:ジェイソン・ミューズ、ベン・アフレック
●配給:東北新社●米'01年/104分●3月8日・渋谷シネ・アミューズ公開
ジャージーのコンビニがホームタウンのジェイとサイレント・ボブは、漫画家ホールデンが書いたコミックが映画化され、自分たちをモデルにしたキャラがコケにされている事態を知り、映画撮影を阻止するため一路ハリウッドへ向かう。『クラークス』『モールラッツ』『チェイシング・エイミー』と続いたスミス監督作の「手引き」という趣の自作パロディ・コメディ。 『クラークス』の背景になるコンビニから、『ドグマ』の天使まで、スミス監督が過去の自作のキャラを総動員、さらには映画仲間のアフレックやデイモンの出世作『グッド・ウィル・ハンティング』をサカナにしたり、全編スミス映画の楽屋落ちで構成したファン向けのオバカコメディ。下ネタ系のオバカキャラ、ジェイ役のミューズが撮影後、失踪したという噂もでた(その後姿が確認されたが)。ガス・ヴァン・サント監督、『スター・ウォーズ』のマーク・ハミルとキャリー・フィッシャーなど多彩なカメオ出演が売り物。劇中、話のネタにされた『パープル・レイン』に出演したモーリス・デイとザ・タイムが最後ステージでパフォーマンスを披露するオマケも。
モーヴァン
★★★1/2

監督:リン・ラムジー
出演:サマンサ・モートン、キャスリーン・マクダーモット
●配給:アーティストフィルム、東北新社●英'02年/97分●3月8日・渋谷シネマライズ公開
覚えにくいヘンな名前のモーヴァン(モートン)。彼女は、英国の小さな町にあるスーパーの青果売場で働く21歳の女の子。自分を変えたい「自由」になりたいと思っていた彼女に、クリスマスの夜、チャンスが訪れた。恋人のジェームスが彼女のために書いた小説を遺して自殺したのだ。彼女は平静を保ちながら、恋人の死体を処分。小説の著者を自分の名に書き換え、出版社に送った。親友のラナ(マクダーモット)には彼は家を出たとウソを言い、彼が葬儀用に遺してくれた貯金で、ラナとスペインで休暇を過ごす。マーヴァンは不安な気分を押さえ、自由な瞬間を愉しむ。そんな彼女のもとに出版社の編集者が駆けつけ、10万ポンドで出版契約が成立した。マーヴァンは町を出て、夢に見た「自由」を手にしれようとしていた。 評判の英国作家アラン・ウォーナーのサマセット・モーム賞受賞小説を、リリカルな映像が印象的だった処女作『ボクと空と麦畑』の女流監督ラムジーが映画化した。モーヴァンというヒロインの、リアルな生活から発せられたシュールでクールな味わいの「自由への旅だち」のドラマだ。恋人が自ら選曲しヒロインのために遺したカセット・テープの音楽が劇中の彼女ヘッドフォンから流れるなか、淡々と彼女の行動が描写されていく。カセットの音楽は現実と心象を隔てる分水嶺のような役割を果たし、心象を煽り、現実を侵食していく作用をする。「『モーヴァン』は情熱的でありながら同時に楽しめる作品であり、おそらく今年最も大胆でクールな映画であろう。(中略)この映画は間違いなく『トレインスポッティング』(95年)と比較されることになる。どちらもスコットランド出身の新世代作家によって書かれ、その時代の最もヒップな映画作家によって映画化された。(中略)どちらの監督も、シュールリアリズムはリアリスティックな物語の中に表現されうることと証明した」(英サイト&サウンド誌)。とくに最後の部分は同感。ヒロインは口数は少ないが、モートンのボッテリした肉体とノリのいい音楽と詩的な映像が、雄弁に彼女の心象を語っている。ラムジー監督は、2002年LA映画批評家協会新人賞受賞。
007/
ダイ・アナザー・デイ

★★1/2

監督:リー・タマホリ
出演:ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、ジュディ・デンチ
●配給:20世紀FOX●米英'02年/133分●3月8日公開
兵器と引き替えにダイヤを手にしようとする北朝鮮のムーン大佐と腹心のザオ(リック・ユーン)。007(ブロスナン)は北朝鮮のJSA(非武装地帯)にダイヤの運搬人として潜入。激闘の末、大佐を粉砕したが、007は大佐の父らに「拉致」された。14か月の拷問に耐えた007は、中国人諜報員3人を殺害した国際テロリストのザオと、JSAで人質交換された。00資格を剥奪されたボンドは香港からハバナへとザオの影を追い、陰謀の影にアイスランドのダイヤ王グレーブスがいることをつきとめた。ボンドはNSA(北米安全保障局)から派遣された女諜報員ジンクス(ベリー)とともにグレーブスに立ち向かう。 007シリーズ20作目で、5代目のブロスナン版は4作目。シリーズ中最大のヒットを記録中。今回は北朝鮮が敵役で、香港、ハバナ、ロンドン、そしてアイスランドへと闘いの場所を移す展開。氷上のカーチェイス、クライマックスの「氷の宮殿」など、ヒンヤリしたクールなイメージ。今回のボンドガールはハル・ベリー演じるジンクスで、ジンクス主演のスピンオフ作も企画されている。冒頭のサーフィンからホーバークラフトのチェイス、氷上の高速カーレース、空中アクションなどアクションも盛りだくさん。監督は『ワンス・ウォリアーズ』が世界的に評価されたニュージーランド人のリー・タマホリ。主題歌を歌うマドンナがフェンシングのコーチ役でカメオ出演、セクシーな革製コルセット(?)ファッションにも注目。
キャッチ・ミー
イフ・ユー・キャン

★★★1/2

監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス
●配給:UIP●米'02年/144分●3月21日公開
69年・マルセイユ刑務所。FBI捜査官カール(ハンクス)はついに逃走中の犯人フランク(ディカプリオ)を探し当てた。フランクは、400万ドルに及ぶ偽小切手を使いまくった稀代の少年詐欺師。強制送還の機内でフランクはことの次第を回想しはじめる。63年のNY。地元ローターリークラブの終身メンバーに選ばれた実業家の父。彼を誇らしく思っていた16歳のフランク。が、名誉と裏腹に一家はIRS(国税局)ににらまれ課税され困窮状態。父は息子を連れて銀行周りをするが報われず。フランス人の母はクラブのお偉方と不倫モード。やがてフランクは両親の離婚を知らされた。フランクは父の処世術を応用し、新しい自分になる術を獲得。自立の道を歩み始める。それは社会的なステイタスになりすまし、ちょっとだけ偽の小切手を切り金をせしめることだった。かくしてフランクの数奇で愉快な詐欺冒険がはじまる。 「ボクはパパが失ったものを取り返してみせる」。経済破綻した父への思いを胸に、年端もいかない少年が大胆不敵な行動で、400万ドルに及ぶ小切手詐欺を働いたという「事実は小説より奇なり」的実話の映画化。主人公の手口は社会的なステータス(パイロット、小児科医、弁護士)に易々となりすまし、その「制服」の効果にものをいわせ犯行を重ねる手口。とりわけ、パイロット姿が時代のステータスとして印象的に描かれる。パイロットは60年代というスピードと成長の時代を象徴した存在だったのだろうか。パイロットの制服姿で街を闊歩するだけで子供から大人までが時代のヒーローを見る羨望の眼差しを向ける時代のスケッチが面白い。古き良きハリウッド映画の「粋な様式美」(タイトルバックもニューヨーカーの挿し絵から引用したようなシルエット画構成も印象的)を愉しんでいるという感じのスピルバーグ演出が、今回の妙味のひとつ。普通の格好では相手にしてくれない銀行マンも、制服姿の主人公を見たとたん、銀行で偽小切手の換金に応じる。世間はヒトを見ているのではなく、制服=ステータスを見てるだけ。一見、ピカレスク・ロマンふうの味わい。パンナムの制服で高級ホテルに泊まり、モデル(ジェニファー・ガーナー=いい味)と出くわす。実は女は高級娼婦で、私に1晩いくらの値段をつけるかと誘う女。主人公はOK値段より数百ドル高めの偽小切手をチラつかせ、いまの時間じゃ換金も無理と独り言。女がすかさず「お釣り」をだしセックスになだれこむシークエンスが爆笑もの。主人公「犯罪」は相手の心理を巧みに読み込んだゲームのような面白さ。憎めない。主人公の心根に感じられる情感は、「父」に認めてもらいたいという(親子合わせ鏡の)ペーソスとロマンだ。演じるディカプリオが瞬時にその場の雰囲気を読み、カメレオン化する姿は嫌みがなく巧み。それにも増して、フランクの「仕事ぶり」を手紙で知らされ希望を持つ父の哀歓を、ウォーケンが静かに醸し出す。母役にトリュフォー映画のナタリー・バイ。
プール
★1/2

監督:ジョン・ボルソン
出演:ジェシー・ブラッドフォード、エリカ・クリステンセン、シリ・アップルビー
●配給:20世紀フォックス●米'02年/104分●3月22日・銀座シネパトス公開
NY郊外の高校。水泳部のベン(ブラッドフォード)は水泳の奨学金でスタンフォード大を狙うスポーツエリート学生。私生活では恋人エイミー(アップルビー)と熱々。そんな彼が南部から転向してきた金髪娘マディソン(クリステンセン)に誘惑されるまま、プールでの情事を。お互い恋人のいる身で、ほんの火遊びと了解していた。が、ベンはマディソンのメールや自宅押し寄せなどの攻勢に辟易。水泳も不調。そんななか、不可解な事件が起き始める。バイトで働く病院の患者に違い薬を渡し首になる。水泳大会直前の尿検査でステロイドがでて失格になる。恋人にも情事が露見し仲は冷却状態。さらに尿検査を画策した水泳部のライバルが殺されベンに嫌疑はかかる。すべては彼女が仕組んだ罠だ。ベンは彼女の意外な過去の事実をつかみ、恋人エイミー殺害を狙うマディソンと闘うとする。 テイーン版『危険な情事』という趣向のエロチック・スリラー。高校水泳部のエリート選手ベンが金髪の転校生マディソンにプールで誘惑され、水中の情事を体験したのが悪夢のはじまり。演じるクリステンセンは『トラフィック』でドラッグ中毒の娘を演じた女優だが、丸まっちい鼻やルックスも魅力なし。(プールのファック場面も素っ気なく)エロチック度はない。チェロを弾く設定も作劇に絡むかと思いきやきや絡まず。作劇に問題ありや。悪女マディソンが主人公に次々に嫌がらせをする。電子メールでヌード写真を送り恋人に見つかりそうになったり、車のなかにパンティを隠したり、自宅に押し寄せてくる。が、ドキリとするサスペンス演出皆無。同級生をばっとで殴りプールに死体遺棄したり、バイクに乗るベンの恋人に車で追突して殺そうとしたり。殺人狂気は凄みや恐怖度も弱い。彼女を狂気にかりたてる過去の秘密は、悪女の行動パターンの動機付きけになるほど、納得のトラウマとはいいがたい。全体に狂気の底が浅い感じだ。悪女クリステンセンの表情を、2段構えの連写ショットで押さえ、狂気をあおる演出は妙にヘンだった。監督は豪州出身で『M:I−2』など俳優でも活躍するボルソンが担当。
クローサー
★★★

監督:ユーリー・・ユン
出演:スー・チー、ヴィッキー・チャオ、カレン・モク
●配給:ソニー・ピクチャーズ●香港'02年/111分●3月29日公開
チョウ兄弟運営の電子ネットがウィルスに侵された。ウィルスは「電脳天使」と名乗る謎の人物が駆除した。「電脳天使」を探させるチョウ社長の前に、白のスーツも鮮やかな美女リン(スー・チー)が出現した。が、彼女は社長を暗殺、妹のクワン(ヴィッキー・チャオ)のコンピュータ通信の誘導で見事脱出した。彼女たちは幼い時、父が殺し屋の殺された身の上だが、いまは父が開発した「ワールド・パノラマ・システム」を駆使する暗殺稼業。彼女たちの事件を凄腕の女刑事コン(カレン・モク)が担当するが…。 3人の香港女優が共演する香港版『チャーリーズ・エンジェル』。香港映画らしい情感とワイヤーアクションを絡ませ、一捻りも二捻りもある。捻り技1は、暗殺姉妹と女刑事が対決する構図だが、途中からコンビを入れ替える趣向。最初はスリットの入ったミニスカートも悩ましいスー・チーが活躍し昔の恋人との再会からの切ない恋模様。中盤以降は妹ヴィッキーとカレンがレズモードで、復讐のタッグを組み、電子ネット会社の後継者になった弟社長と部下に迫る。最後にふたりの軽いキスもオマケも。捻り技2は衛星回路を経由しすべてを監視できるコンピュータシステムを駆使し、司令塔役と実戦役が連携するスピーディなアクション。ビルからの脱走やカーチェイスで、逃げ場を巧みに誘導していく、情報&アクションの連携がゲーム感覚満点の面白さ。最初から最後まで、美女3人によるアイディア満点の香港アクションを見るだけで、この映画は買い。最初のつかみは、スー・チーが登山のハーケン(?)を内蔵した靴を使い、天井に張りつくアクロバットふうアクション。続いて、ヴィッキーの空中回転技、カレンのエレベーター内で敵の男ふたりを空中開脚技で押さえ込む技など体操モードの格闘技が随所に。とくに見せ場は終盤、敵方の腹心(倉田保昭の見せ場でまるが)とヴィッキーとカレンによる1対2の対決。日本刀に竹ヤリと「和」のムードで、血まみれの死闘が悩ましい。剣のカレンと竹ヤリのヴィッキーがフリーズ状態で見栄を切るシーンがなんともセクシーでカッコイイのだ。
スパイダー
★★1/2

監督:デビッド・クローネバーグ
出演:レイフ・ファインズ、ミランダ・リチャードソン
●配給:ブエナ・ブビスタ●仏加英'02年/98分●3月29日公開
子供のころ母からスパイダーと呼ばれたデニス(ファインズ)は久々にロンドンを訪れ、ウィルキンソン夫人(リン・レッドグレイブ)のアパートに居を構えた。彼には少年時代を思い出す町並。そこから次第に彼の記憶の糸が紡ぐ出されている。そう、蜘蛛が吐き出す「糸」のように、記憶は彼の呪縛の回路を明らかにしていく。少年時代、彼は配管工の父(ガブリエル・バーン)と母(リチャードソン)の一人っ子として育てられた。父はパブに入り浸り、酒場の女とねんごろになった。心配する母がふたりの密会場面を目撃、父はスコップで母を殴り殺し、野菜畑に埋めたのだ。忌まわしい過去が彼の頭のなかで蘇りはじめる。 『戦慄の絆』『裸のランチ』など独特の悪夢わーるどを体験させてくれるカナダの鬼才クローネバーグが、ミステリー作家パトリック・マグラアの原作を映画化した。タイトルの「蜘蛛」は冒頭の壁のシミのなかに残像が感じられる程度(その図柄は心理テストのロールシャッハー・テストにも似ている)。『ザ・フライ』で蠅を描いた監督だが、今回は蜘蛛はあくまでメタファー。劇中、母がデニスに言う。「蜘蛛は子供を巣に産み付けた後、卵を置いた立ち去る。雌蜘蛛はすべてをだしきって空っぽ(empty)になっているから」。母の不在というトラウマから、彼は自室にヒモを蜘蛛の巣のように張り巡らす。蜘蛛の巣のなかで彼は自分の心を閉ざし、その糸は縦横に延びて彼の不安の源をうち消そうとする。蜘蛛の糸=ヒモは作劇の謎をたどる糸口という感じで、次第に彼の隠された過去が明らかになる。じっと澱んだままで判然としない語り口のなか、主人公の記憶をもとにした心象が視覚化されていく。少年時代の自分を成長した自分が同一空間で見ている舞台劇的な光景、母と酒場の女とのダブル・キャスト。『戦慄の絆』などクローネバーグ得意(?)の、人間の2面性を視覚効果とした分身劇が本編の妙味か。最後の意外な顛末も、主人公の孤独と狂気の前では、蜘蛛の巣にひっかかった「獲物」を捕らえる程度の、記憶の一片にすぎない感じ。観客を選ぶ、狂気の標本とでもよびたい怪作。
24アワー・パーティ・ピープル
★★1/2

監督:マイケル・ウィンターボトム
出演:スティーブ・クーガン、レニー・ジェームス、シャーリー・ヘンダーソン
●配給:ギャガKシネマ●英'02年/115分●3月22日公開
76年6月4日、英国マンチェスター。のちに伝説となるセックス・ピストルがたった42人の客の前で公演した。それを目撃したTV司会者のトニー(クーガン)がバンドのメンバーを物色。自由で束縛のないアーチストとの関係を標榜し、トニーはファクトリーなるインディ・レコードレーベルを起こし、伝説のライブハウス「ハシエンダ」を造った。ニュー・オーダー、ジョイ・ディヴィジョン、ハッピー・マンデーズなど若きミュージシャンたちの栄光と挫折を実話にそって描いた音楽青春ドラマ。地元のTV71年に薬理学を修め大学を卒業したエルモ(ジャクソン) 『めぐり逢える大地』などの英国の異才ウィンターボトム監督が、時代色を醸す映像(ニュースリールふうやドキュメト調)で当時の青春模様を描く。劇中ライブシーンもいっぱいで、業界では「劇中の音楽はなじみの楽曲が多いけど、もっといい聴きどころもあるのに、と思いながら見ていた」(映画ライター・中野亨くん)や「知ってる曲もあって面白かった。でも『ザ・コミットメント』のほうがもっと面白いわね」(映画評論家・渡辺祥子さん)とボクが聞いた周辺の反応。カンヌ映画祭コンペ出品作。劇中、全裸シーンもあり、男のチンポコ部分が形にあわせて配給元が「黒く塗りつぶしていた」のも、なんだか後進的で70年代ぽいか(ま、もっとやりようがあると思うけど)。
アナライズ・ユー
★1/2

監督:ハロルド・ラミス
出演:ロバート・デニーロ、ビリー・クリスタル、リサ・クードロー
●配給:ワーナー映画●米'02年/96分●3月29日公開
マフィアのボス、ポール・ヴィッティ(デニーロ)は服役中のシンシン刑務所で情緒不安定の錯乱状態。彼に秘かに呼び出された精神科医ベン・ソボル(クリスタル)はポールの精神状態をテストする役回りとなり、結果、ベンの保護観察付きという条件でポールは釈放。ベンはおじゃま虫のポールを自宅に居候させるはめに。ベンはポールを職につかせようとするが、どの仕事にも適合できない。そんな折り、ポールはTVのマフィア・ドラマ『リトル・シーザー』のアドバイザー役を依頼された。撮影現場に昔の仲間を集結させたポールは、彼を狙うギャングたちとの抗争を展開する。 コワ面だがノイローゼのマフィアのボスと彼の心の治療をする気弱な精神科医。ミスマッチなコンビが出会い、珍妙なふれあいを展開するデニーロとクリスタル・コンビのヒット作。その続編だ。脅すデニーロ、怖がるクリスタルという前回の構図が今回はもう通用せず。勢いデニーロのみが良くも悪くも浮いた感じ。デニーロがベンの家に居候しながら女を連れ込んでセックス三昧をしたり、チンチン丸出しでベンの一族の前に登場したり。様々な仕事を体験するが、突如マフィア調の素顔を現し恐喝モードになったり。前作同様、マフィアのエグサを強調したお笑いキャラはお手の物。今回はマフィア・ドラマのアドバイザーとなるくだりが物語の笑いのポイントのひとつ。ギャングがショウビズに転身する設定なら、『ブロードウェイと拳銃』や『ゲット・ショーティ』といった傑作があり、さすがのデニーロもこの脚本じゃあ、弾まない。デニーロとクリスタルは、今回も偉大なオヤジと比較されたトラウマを抱えながらも、でも父をどこかで愛していたという心を確認しあう仲。相変わらずのルーティンだ。唯一の新ネタ・ギャングはデニーロが狂ったふりをするため、『ウェスト・サイド物語』の楽曲の数々を熱唱するところ。冒頭の「マリア」「トゥナイト」から、最後いまは亡き世界貿易センター跡地を望むボードウォークで別れの「サムウェアー」まで。
おばあちゃんの家
★★★1/2

監督:イ・ジョンヒャン
出演:キム・ウルプン、ユ・スンホ
●配給:東京テアトル/ツイン●韓国'02年/87分●3月29日・岩波ホール公開
夏のある日。ソウルに住む7歳のサンウ(スホン)は祖母(ウルプン)の家に2か月預けられた。失業中の母が、仕事が見つかれまでと祖母に泣きついたのだ。祖母は耳も口も不自由。我がまま放題のサンウは祖母を小馬鹿にして、持参の缶詰を食べ携帯ゲーム機で時間をつぶす毎日。が、ゲーム機の電池が切れてサンウも行動を開始。現金のない祖母からかんざしを奪い、雑貨屋へ行くが、電池はない。おまけに盗品のかんざいとバレて頭をポカンとやられる。缶詰が底をついたとき、サンウはケンタッキー・フライド・チキンが食べたいという。祖母はかぼちゃと引き替えに1羽のニワトリを持ち帰り、まるごと1羽ボイル煮にする。サンウはフライド・チキンではないと食べず仕舞い。翌朝、おなかが空いたサンウはチキンをぺろりと平らげた。サンウはものいわぬ祖母の心根を感じはじめる。 韓国で02年春に公開され400万人以上が見た、心に訴える小品佳作。大鐘賞最優秀作品賞・脚本賞・企画賞の3賞を受賞。監督は『美術館の隣の動物園』(98年)でデビューした女流監督。祖母役のウルプンは気張りのないズブの素人で、韓国の風土の一部と化す「自然体演技」。監督は最後に「すべてのおばあちゃん」に捧げるとあるが、日本なら昭和20年代(いやもっと前か)ころにいたような祖母像で、随所に日本人の心の琴線にもふれる、祖母と孫の情景がある。淡々としながら、情感あふれる最後のバス停での別れのシーンは抑制がきいた演出で、泣かせも気持ちいい。好感度大。「この映画はふたりに仲良くなってほしいという観客たちの願いをかなえてくれる。この70歳も年が離れたカップルはとても意外な組み合わせながら、最高のペアなのかもしれない」(米バラエティ紙)
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