(2004/11/14updated)
ペ・ドゥナ・インタビューpart.2
★私にとって、怖い「怪物」は観客です
★日時2006年08月01日午後4時ころ/場所:渋谷セルリアンタワーホテル
★『グエムル・漢江の怪物』のプロモーションで来日したドゥナちゃんとの会見。今回は、なんと単独でありました。さすが老舗ヘラルド。時間は10分間少々と、物足りないが、それでも6誌合同で自分ではたった「1問」しか訊けず、ほかのほかの質問(大体6問ほど)も加えて、それを会見インタビューと称して原稿にするよりははりかにチョワヨ。すくなくても、互いの会話げ成立しています。
★実は当初、インタビューは午前中の10時スタートでしたが、「時間が早すぎる」とキャンセルされ、午後の時間にシフトされました。宣伝の永崎の話では、ドゥナちゃんがクレームをつけてようで、永崎はドゥナに手こずっている様子でした。たしかに前日の会見でも、ドゥナちゃんは壇上にあがっても、元気がない。得意の(?)日本語の挨拶サービスもちゃんとしてくれなかった。なんとなく、気分がよくなかったのかも。あとで考えると、『グエムル』があまりに映画として「怪物」で、自分テイストの映画とはどこか遊離していた、と感じていたのかもしれません。そのあたりの戸惑いを若干、ドッナちゃんは僕のインタビューでだしています。メガヒットによって、演じる俳優のポジションが微妙に破綻する感じです。ドゥナちゃんは、ポン・ジュノ監督なら圧倒的に『吠える犬は噛まない』の人なわけで。てわけで、ドゥナちゃんのインタビューの一部始終が以下の通りです。ドゥナちゃん、ファンはご賞味あれ。
Q:劇中、今回はずいぶん、汚れましたね
★ドゥナ「私は汚くなるのは好きなんです(笑)。実際の生活ではお化粧したり、着飾ったりして楽しむですが、映画のなかまでそうする必要はない、と思っています。非常に汚いなかで、目だけはきらきら輝いている。そういうものがすてきだな、と思います」
Q:今回のキャラは、監督から冷静沈着で、集中力を要求された、と。それを養うため、特別なにかをしましたか?
★ドゥナ「役作りのため、真っ先にはじめたのはアーチェリーでした。撮影の3か月前、本当に選手を目指すような感じで、練習をしました。アーチェリーの選手は周辺の状況から自分を隔離することを要求される。どんな状況でも集中し、あるいは連想しなくてはいけない。そのような練習から自然に役作りができたと思います」
Q:ドゥナさんにとって、手強い怪物とはなんでしょう?お客とか、映画業界とか、メディアとか。
★ドゥナ「(考えて、ぼそりと)観客が怖いですね」
Q:観客、どういう点ですか?
★ドゥナ「『グエムル』は韓国で大ヒットして毎日興行記録を更新しています。それを見て私が感じたことは、私が主演した『ほえる犬は噛まない』は私が愛している作品なんですが、その作品の興行成績が『グムエル』の1日だけ前夜祭の興行で記録してしまった。それを見たとき、観客は恐ろしい存在だなあ、と改めて思いました。とにかく俳優というのは、観客をうまく説得しなくてはいけない、と。そのために私は努力しています」
Q:以前のインタビューで、ペ・ドゥナはかぶり物が似合う女優だ、といいましたが、今回、十分のアイディアでやったことはありますか。髪はショートにしましたよね。
★ドゥナ「すべて監督の提案です。アーチェリーの選手というのは、アーチェリーの選手らしい姿を見せなくてはいけない、と。緊迫したなかでも、その格好をしなくてはいけない、と帽子まで被らされました。私が漢江の橋の上でゲリラ的に身を隠しながらいる場面では、下水溝で汚い格好になるから、手間のかからないショートのパーマヘアーがいい、と」
Q:この2年で写真に興味をもって、『ロンドン遊び』という写真集で写真家としてデビューする、と(朝鮮日報日本語版でアップされていた記事と写真をプリトアウトしていた用紙をとりだし、示す)
★ドゥナ「私は写真撮るのが好きなので、撮影現場でも写真を撮っていました。撮った写真がファイルだけで、たくさんになるんです。でも、それを本にするとは考えていなかったんです。カメラで写真を撮ることは、趣味だった。私は写真が好きで、旅行が好きということで、それを本にしてはどうですか、と提案をもらいました。今回、ロンドンに旅行へ行って撮った写真と、旅先で感じたことについて書いたものをまとめた本です」
Q:8月末に韓国で出版。見たかったのに残念です。
★ドゥナ「日本でも出版されるかもしれません」
Q:この記事の写真はどこですか?
★ドゥナ「ノッティングヒルの古本屋です」
Q:ジュリア・ロバーツの映画『ノッティングヒルの恋人』の、ですね。
★ここで時間切れ。あっという間の時間で、すぐに写真撮影。そばで見ていると「『グエムル』、どうでしたか?」。咄嗟に英語で、「really really enjoyed」と返す。「ああ、ありがとうございます」と日本語で言った。すかずさ、僕が「でも、ドゥナssiのイプタなところももっと見たかった!」と言いうとと、通訳の女性が韓国語で伝えてくた。すかさずドゥナちゃんが「努力します」と日本語で応じてくれた。撮影後、先の写真集発売記事をプリントアウトした用紙をさしだし、サインをねだる。その用紙を壁に押しつけ、グジャグジャ円を書いたようなスゴイ、アブストラクトなサインをしてくれました。そのサインの下にし日本語で「ペ・ドゥナです!」。宣伝の永崎が曰く。今回のドゥナちゃんのメディア取材で、彼女から直に取材者に質問したのは、僕だけだった、と。ちょっとドゥナちゃんと距離感が縮まり、アジョッシとしては、チョンマル嬉しい。
(2006/10/01 updated)
ペ・ドゥナ・インタビューpart.1
★流れに身をませて、自然流!
★★日時2004年10月13日午後3時ころ/場所:新宿京王プラザ、通訳:字幕でおなじみ根本理恵さん。
この人、地味で控えめな人柄が好感触、通訳でも日本語がちゃんと熟れていて、淀みない(韓流映画の戸田奈津子か)。当日は某DVD雑誌の女性ライターとの混合インタビューだが、その女性ライターが前回彼女と会見したそうで、どーぞ好きなようにというので、ボクが主導権を握るインタビューとなりました。
Q:(ボク)あなたの名前を聞くと、キム・ハヌルと同様(?)、グローバルな語感を感じるんですよ(スリスリ)。昔のヒット曲『ドナ・ドナ』という歌も思い起こすし。
「元々は母がつけてくれた名前。漢字では「斗娜」と書きます。
斗は星、娜は美しい。母が星のように美しくあってほしいと願ってつけたものです。韓国人の名でドゥナというのはほとんどない。ペ・ヨンジュンなど“ペ”の姓も珍しい(じゃ、林家ペも韓国じゃ希少価値か!?)。で、ドゥナという名も記憶しやすいといわれます。これは聞いた話なですけど、父が若い頃『ドナ・ドナ』(ジョン・バエズのヒット曲で、ドナ・ドナという牛が売られる哀しい歌)が流行っていて馴染みがあった、と(ほら、見ろ!)。米国へ行ってもすぐ覚えられます。大衆的な仕事に就いている私としては、この名前で有利だなあ、と思います」
Q:(同席の女性ライター)日本のロケ(山下敦弘監督の『リンダ・リンダ・リンダ』)でバンドのリードボーカルに抜てきされる韓国留学生の役)日本語を上達された、と。なにかコツはありましたか。
「(チョアヘヨ=?、チング=友達の言葉が聞こえる)。元々外国語が好きで、習うことは好きなんです。で、早く覚えられるんだと思います。さらに仕事なので、ますます早く覚えられる。覚えないと、仕事にならないので、早く覚えようという気になりますね。今回、共演した女優さんたちと友達になり、1か月一緒にいましたから。日本語とか英語とか交えながら、私は韓国語を教え、むこうは日本語を教え、とやっているうちにわかるようになりました。聞き取りは早いほうです。前に2か月NYに滞在したことがあるんですが、そのとき結構早く英語を覚えることができました」
Q:(再び女性ライター)何割くらい、日本語をわかりますか?
「文法とはわかないですが、単語を頼りにして、あとは人の気配とかで分かろうとしています。それを含めると、半分くらいは分かるかな」
Q:(ボク)猫(『子猫をお願い』)と犬(『吠える犬は噛まない』)が似合う女優さんと思ったけど、なぜ突然地下鉄に乗ったか。イメチェンを狙ったんですか?
「(まず笑いあり)私はイメチェンという言葉は好じゃないんです。韓国内でも“犬にたとえる”と、犬っぽい女優の1番に選ばれたり(笑い)。ある人がつけたニックネームは気怠い子猫とか(ウンウンとボクとドゥナが目を交わし、微笑みあう!)。実際私は犬も猫も飼っているんです。マニアックなファンは(ボクのこと?)『子猫をお願い』や『吠える犬は噛まない』の私がなぜにこれに出たのという人はいました。いままで出なかったアクション作に出たのは意外だ、と(そうそう、ボクも思う)。ただ私は『TUBE』に出演したのは自然な流れでした。1度は女優として通る道だ、と思っています。アクション映画は必ず出演しなきゃいけないんです(韓流ではそんな法則ある! ホンマかいな!)。今回、メロドラマの雰囲気もありました(ちょとだけね)。そういうものを1度はやってみたと思っていました。以前より成熟した姿を見ていただくために(成熟か!?)、そのプロセスのなかで出演した作品で、私のなかでは自然です」
Q:(ボク)ドゥナさんの素晴らしいところは、シルエットの美しさ(声はうわずり、ほとんどマニアのファンモード、悪いか!)。『子猫をお願い』のときもタバコをくゆらす姿が美しかった(うっとり!)。今回もライターをつけるシーンとか(無理につなげた感はあるが、多少はよいしょして)。今回自分で工夫したり、ドゥナさん得意の「表情演技」でアイディアをだしたところはありますか?
「(しばし、考える…)私はこういう表情を作ろうと思ったり、こういうに設定してやるとか、そういうのは好きじゃない。そのときそのときのシーンで、身を置いたときに感じたままに、表現するのがとても好きなんです。いつもそういうふうなやりかたをしています。今回の演技は私のなかでも違う、ということはありました。元々心のなかで感じたことを…だからって感じたことをすべて出すのは好きじゃないですが…たとえばセリフを省略してみたり、表情も思ったより抑えるほうが好きなんです。なぜなら、そうすることで、観客がいろんなことを想像してくれると思うんです。こうですと、提出するのではなくて。今回『TUBE』の監督は出来るだけ表情を出して欲しい、と望まれていました。たとえば怒っている設定なら睨む。悲しいと思ったら泣く。可笑しいと思ったら笑う。シーンごとに望まれていたの、監督の言う通りにしました(それでドゥナの持ち味がいまいちだったんだ。残念だったね)」
Q:(女性ライター)女優にならなかったら、なにになっていましたか。また女優として魅力をどう感じていますか?
「(しばらく沈黙し考える。ボクはナニこの沈黙は!と思わず言ってしまい、通訳の根本さんがそれをマンマ通訳)女優以外は考えたことはないです。女優でなかったとしたら、と言われてもやっぱり女優になっていたかな、と答えざるを得ないです。ほかの自分は想像できない。女優になる運命だったのかな、と。最初女優になろうと努力していたわけじゃないですが、私は流れる水のように、という考えがあります。流れる水に乗ってみたら、女優になっていたのかな、と(さすが自然派)。ほかの職業は想像できないですね。(女優の魅力という質問だったと思うが、自分の魅力と勘違いして。でも、そのテレ方がカワイイッ!)自分の魅力なんて照れくさくて言えないです(笑い)。あるスタッフがこう言ったんです。ドゥナって、本番になると女優になって、カットがかかると平凡な人間になる、と(笑)。誉め言葉だと思いますが。撮影でないときに女優になる人もいるよ、と。(自分の魅力は)平凡にみえて非凡なことかな、と(おおいにテレ笑い!)」
Q:(ボク)以前、インタビューでベテラン女優のコ・ドゥシムように長くやるのもいいし、『八月のクリスマス』のシム・ウナのようにピークでやめるのも悪くない、とインタビューで言っていましたね。いまは女優人生をどう送りたいと思いますか?(ちゃんとドゥナちゃんの資料を押さえているから出来る質問、どうだ!)
「ずっと女優をやりますか、途中でやめますか、と訊かれたときの答えですが、そのときはわからないと言いました。ふたりの女優はタイプが違うので、どちらが正しくて、どちらが正しくないということではないと思います(そりゃそうだ!)。だからって私は一生、女優をやりますと約束もできません。もしかしてマンネリに陥ったら、休むかもしれません。でもピークでやめる気もないです(キッパリ!)」
Q:(ボク)いまの時点で女優としての充実感があるんでしょうね(再びスリスリ)。
「私は現実に忠実に生きていると思うんです。過去には拘らない。未来について焦る気もない。でも未来については希望的かな。私は最新作の『リンダ・リンダ・リンダ』まで9本出演作があるけど、正しい道を歩んできたと思います。私は本当の女優は30歳からと思うんです。これまでの道のりがよかったので、これからも希望があるのではと思っています」
Q:(ボク)ちょうど誕生日が10月11日で、2日前だったんですよね。おめでとうございます!
「(嬉しそうに)ええそうです」
Q:(ボク)また映画『TUBE』の話にもどりますが。ファンとしては劇中あれだけ殴られると原形を留めてないのでは、と心配しましたよ。映画上では美しいままだったので安心しました(ファンまるだし)。アクションシーンは大変でしたか?
「(ここでボクが彼女の真のファンと知り、感謝の黙礼で、目が輝く、ように見えたシミズめであります)。私は運動神経がまったくないんです(弾むように)。アクション映画といえば、うまく身をかわしたり、すてきに魅せなきゃいけない。それが苦手でした。身のこなし方がアクションに向いていない。だから体で効果をだすしかなかったんです。綺麗に身をかわせればよかったんですが、捕まれるとピョンと飛んでいったり、倒れたり(笑い)。それしかできなかったでの体を張るしかないと(笑い)。で、殴られると頭をぶつけたりしていた。そのときは痛かったけど、大きな事故にはなりませんでした。ケガをしたのは男優のふたり。腰とか腕とか結構ケガをした。プレスには私が失神したと出ていましたが、痛かったけど、それほどまではいっていません(松竹のプレスはインチキかよ、ッたく!)。アクションは問題なく撮れました」
Q:(ボク)『吠える犬は噛まない』のとき走りまわっている姿が印象的でした。スラップスティック調で。パーカーのフードをつけてダルマみたいな格好で、走る。そのシーンがボクは好きだったんです。ボクはペ・ドゥナは(『春の日のクマは好きですか?』も含めて)「被りものが似合う女優」という見解を持っております(笑)。道化的な、お笑いの演技についてはどうですか?
「私は撮影中にアイディアを出すことはないんです。息を合わせなければいけない監督さんに対しては、できるだけ、さりげなく仕草とか見せて、それを監督がキャッチして使ってくれたらなあ、と思っているんです。たとえば、撮影までの休憩時間、座っているときも監督が見ているのでは、と思って、いろんな仕草をするんです。笑わせようと思ってやることはないんです。『吠える犬は噛まない』でのフードを被るシーンも、衣装あわせのとき、監督が今回黄色をいっぱい使うから、黄色のパーカーを着てみてといわれ、フードを被ってみたんです。監督がそれを面白いね、と。あとでコンテを見たら、すべてフード被っていた設定になっていました(笑い)。たまたまふざけてやったことが監督が拾い上げて、使ってくれたんです」
正味30分のインタビュー。通訳がはいるから、実際の密度はもっと薄い。でも「残念ながら、ここで時間がきたようです」とボクが言ったら、ドゥナちゃんがすごく残念そうな顔をしました。映画担当の宣伝の人が前日時間がちょっとオーバーしたでけで、「時間厳守にしてください!」と言われたのだそう。その状況から察すると、ボクのインタビューは結構、ドゥナちゃんには愉しい一時だったようで。自分自慢で恐縮ですが、今回はこういったところで。が、実は写真撮影にもボクはヘバリついておりました。スキあれば、もっと訊きたい。で、撮影が終わった隙間で、「好きな映画はなんですか?」と英語で質問。そうね、と考えるドゥナちゃんに畳みかけるように、「『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』が好きと聞きましたが、本当?」と。「子供のときから好きです」との答え。恐らくリアルタイムで見たのではないとは思うけど、ボクもあの作品は公開当時のベスト作だったので、この「Something in Common」にデレデレと喜ぶこと、暫し。最初に会ったとき握手、最後にも再び握手。韓国では年上のひとには、肘に手をそえて握手をするけど、その風情を目の当たりにして、超きもちイイ、シミズめなのでした。ジャンジャン。
追伸:彼女のマネジャーに聞いたところでは次回作は『吠える犬は噛まない』のポン・ジュノ監督による新作『怪物』。楽しみ。(2004/11/14 updated)