「私、気分屋なの」ファニー・フェイスの香港個性派セックス・シンボル女優 スー・チー Shu Qi 「日本にはかなり来ていらっしゃる?」 「……数えきれない…(ケダルそう)」 インタビュー前、昨晩ゲーセンで遅くまで遊んだ、と消息筋情報を得たが疲れのせいか、笑いも少なく、終始影のように漂う感じ。『玻璃の城』『ゴージャス』で知られる香港の売れっ子女優スー・チー。今回は香港映画祭のオープニング・セレモニーのための来日である。/
意外だが、香港では東洋の「シャロン・ストーン」と形容するむきもある。容姿は全然違うのだが、恐らく、成人映画にあたる「3級」に指定された96年の『夢翔る人・色情男女』のポルノ女優役でセンセーショナルに登場、そのあと演技派へに脱皮しようとしている過程がストーンにたとえられる所以かも。そう、話を向けても、反応なし。「別に? 私はメデイアの評価とか関心がないの」 同じく、彼女のキャラクターに関して、こんな形容もあった。「ワイルドで、いたずらっぽくて、無邪気」。そう言うと。 「私は、ムーディです!」 と、眠気が覚めるような、自己主張満点の答えが返ってきた。ムーディとはアップダウンの激しい気分屋。自分の感性のままに漂うという意味か。「今のムードは上ですか、下ですか」と言ったら、香港観光局の通訳女史が「その質問はいい質問ですか?」とビビる。なにがまずいのか分からないが、「じゃ、いまのムードは普通ですか?」。渋々通訳が訊くと「あなたはどう思う」と逆襲してきて、話が盛り下がった。確かにムード派だ。 今年はベルリン映画祭、カンヌ映画祭と世界の映画祭で出演作の宣伝に出かけた。「いい年だった」と振り返った。いまや国際女優の仲間入りである。ハリウッド進出の「夢」に話を進めてみるが、話に乗ってこない。とても醒めている。 「まず、2000万ドルくれるならやりますが(笑い)、ハリウッドがアジアの映画を作り、北京語と広東語を喋る映画ならいいけど、白人の世界は私の世界じゃない。英語も上手じゃないし。それに香港映画界では自分のポジションが安定していないから、ハリウッドに進出する余裕はない。ハリウッドは遠い話です」 自分をわきまえているということかも知れない。同じように、ハリウッドへ行かないと言っていた香港の俳優がいたのを思い出した。彼女との恋人関係が香港で取りざたされている人気スター、レオン・ライだ。彼女がインタビューで寡黙なのも、香港のメデイアに追い回されている後遺症ではないかな、とフト推測して。香港のメデイアはかなり強引と聞きますが、どうですか? 「全世界のメデイアも同じ。私が女優だから、みんな知りたがる。香港のメデイアの人も一生懸命やってから別になにも感じない。ただプライベートな時間を邪魔されるのことは好きじゃないです」 レオンとの恋人説の一件とともに、彼女には以前出版したヘア・ヌード写真がインターネットで流出している頭の痛い問題もある。今回のような「ムード」のなかでは訊くのが、はばかられる話題ばかり。質問を飲み込んだ。 ま、彼女にはプライベートな話題に振り回されるより、まずは香港のアカデミー賞“香港電影金像奨”の主演女優賞を獲ることが第1の目標。「私の演技を認めてもらえたらいいですね。でも賞が重要なことではなくて、大事なのはいい映画を作って、みんなにスー・チーの演技はうまいと認めてもらうことです」 その点でジャッキー・チェンと共演した『ゴージャス』はコミカルなキャラにも挑戦。同時にジャッキーを通して、プロ根性を知るいい機会になったようだ。 「映画のあとはジャッキーは凄いプロフェッショナルな俳優だと思いました。ジャッキーのビックスターのポジションは新しい世代の俳優の何十倍も努力をした結果だと思い、感心しました。(今後は)コメディもやりたいです」 彼女の作品歴を見ると、24歳にして端役を含め出演作は「ざっと36本」と驚異の多作。98年は11本も出演した。 「前はお金を作るために頑張ってやり、仕事はなでもやりました。でも、いまはもうお金のことは大丈夫なので、いい映画を選びたいと思う。これからも本数は少なくなっていくと思います」 いまはオファーされる出演作は、事前にマネジャーがふるいにかけ、そのうちの何本かが自分ののもとにやってくる。「私は演技をするだけ。ほかのことは全然興味がない」と言う。演技一筋の役者バカ系の女優と見たが、どうだろう。 今年は噂のレオン・ライと共演したアクション作『神偸次世代』(「ニューウェーブの監督だったから、セリフも少ないし、どうなっているか全然わからい映画」と不満気)を撮り終えた。目下メイベル・チャン監督のラブストーリー『愛在北京』(ダニエル・ウー共演)を北京で撮影中。さらにアン・ホイ監督のゴーストストーリーの企画もある。 スタンリー・クワン監督の『異邦人たち』(01年1月公開)では大沢たかおらの日本の俳優と共演した。日本への興味は旺盛だ。テレビの『古畑任三郎』でキムタクを見たと言い、映画では広末涼子の『秘密』を見たばかり。日本の俳優で興味のある人は「常磐貴子、山口智子、中山美穂」。日本で人気のヴィヴィアン・スーとは台湾時代に共演作もあったが、「彼女は日本では有名みたいだけど、私のほうがキャリアがある」と負けん気も忘れない。香港のインターネットサイト「astyle.com」でファン選出のアジアの「21世紀のセックスシンボル21人」で彼女は14位。ファンは次代のセックス・シンボルとして、さらに開花することを望んでいるようだが「ファンレターはまったく読まない。私は映画と宣伝以外に関心がないの」とムーディに言い放った。(2000/11/19記・ロードショー誌掲載) 追記:会ったときは海外進出には消極的だったが、02年10月現在米国でヒット中のリュック・ベッソン脚本による新作『The Transporter』(02年)で米国進出を果たした。今後、アジア系のヒロインとして活躍するかもね。 |