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聖なる嘘つき/その名はジェイコブ
JAKOB THE LIAR 1999年アメリカ 監督ピーター・カソヴィッツ 出演ロビン・ウィリアムズ/アラン・アーキン/ボブ・バラバン ●120分 ソニー・ピクチャーズ配給 |
| SHIMIZU★★ちょっとタフなテーマ。ドイツに占領されたポーランドの町。全体が「檻」状態のなかでユダヤ人は息を潜めて暮らしている。主人公は、そこにいたポテト・パンが自慢だったレストランの元主人ジェイコブ。物語は彼のナレーションによって語られていく構成だ。 ある日、彼は檻の端までいき、サーチライトに照らされた。脱走をくわだてたとして将校のオフィスに出頭して懲罰をうけることになる。そのオフィスで彼はラジオのニュースを耳にする。町から40kmの地点にある町にソ連軍が侵攻したというものだ。彼はそのニュースに「希望」を感じる。檻にもどったジェイコブは、そのニュースをもらしてしまう。彼は密かに「ラジオ」をもって、海外の情報に通じた存在なのだ、とみんなが信じはじめる。彼は次第のヒーローと化し、ニュースは「希望の良薬」となることを知っていく。 話の発端は、『ライフ・イズ・ビューティフル』のような「希望」の連なりに思えるのだけど、その展開が実にスローで硬直した感じ。ま、ジェイコブがかくまった少女のために「嘘のラジオ放送」を聞かせ希望をあたえようとするシーンは、ロビン・ウィリアムズならではの独り芝居の妙だが、ジェイコブが嘘でもニュースの発信源になろう、と決意するまでの「葛藤」が物語の勢いを停滞させている感じだ。端的にメリハリに乏しく、従来の「ユダヤもの」の路線のまま物語は動いていく印象。それが僕には不満だった。 ま、脇役はそれなりに味がある。かつて心臓の世界的権威だった医者アーミン・ミューラ・スターン、『オセロ』を3回は演じたというシャイクスピア俳優のアラン・アーキン。それなりのところを得たキャスティングだ。アーキンが言う「芝居は最後のセリフまで、幕はおりない」は、人生の「希望」を語るパンチラインのひとつだ。その希望の象徴がジェイコブがかくまった少女リーナ。彼女が終盤、強制収容所行き列車のなかでジャイコブとの「踊り」の幻想を見るシーンはそれなりに感動をさそうかも。(99/10/28 ソニー・ピクチャーズ試写室) YAZAKI★★舞台は、1944年のポーランド。そのゲットーで暮らすユダヤ人の元パン屋が、ロビン・ウィリアムズ演じる主人公のジェイコブ。風に舞う新聞紙を追って思わずゲットーの外に出てしまった彼は、出頭を命じられたドイツ軍司令部でソ連進攻のニュースを盗み聞き。帰り道、収容所行きの列車から脱出した少女リーナを連れて、どうにかゲットーに戻ってくる。翌日、さっそく仲間たちにソ連進攻のニュースを伝えるジェイコブ。これがきっかけでラジオを持っていると思われてしまった彼は、仲間に希望を与えるような嘘をつき続けるハメになり、あげくのはてにはレジスタンスのリーダーにまでまつりあげられてしまう。そんな彼の生きざまを通して、人の心に希望を与える想像力の偉大さ、それがどれだけ人を生かすかということを、シリアスに描いたホロコースト・ムービーです。 「ジョークを言うことは、ドイツ軍に奪われなかった唯一のもの」というジェイコブの冒頭のセリフといい、彼が少女を屋根裏にかくまう設定といい、全編が『ライフ・イズ・ビューティフル』の同工異曲という感じ。嘘というイマジネーションの世界から希望が育まれ、その誰にも奪えないものを唯一の拠り所にして、極限状況に置かれた人間が尊厳を守り抜いていくというテーマも、ひじょうに似通っています。 が、『ライフ・イズ・ビューティフル』がファンタジーの体裁をとり、かつ家族の絆を中心に据えて話を展開させていたのに対し、こちらはどこまでも直球のノリ。嘘がもたらした影響をめぐってジェイコブがモラルの葛藤を演じるエピソードなど、きまじめにドラマを練り上げようとした分、辛気臭さばかりが鼻についてしまう印象。 ジェイコブの伝えるニュースが嘘だと知りつつ、彼のもたらす希望に、人々を生き長らえさせるという自分自身の使命をたくそうとする医者(アーミン・ミューラー・スタール)。彼や、アラン・アーキン演じるシェイクスピア役者が、ジェイコブのはじめた「希望を守り抜く行為」に生きる目的を見出し、自己犠牲をモノともしない勇気と誇りを獲得していく姿が、映画の感動のツボ。なんだけど、語り口が平板なせいで、「いい話」がスーッと浮き立ってこない。アーキンがジェイコブに芝居の小道具の銃を届けに行く場面なんて、ホントはもっとグッとくるはずだと思うけどな。映画からセンチメンタリズムを払拭しようという監督の試みが、今回ばかりは堅苦しい沈滞ムードを作ってしまった感じだね。(99/09/22 ヤマハホール) | |
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![]() (C)Burroughs and Disney TARZAN(TM) Edgar Rice Burroughs,Inc All rights reserved |
ターザン
TARZAN 1999年アメリカ 監督ケビン・リマ/クリス・バック 声の出演トニー・ゴールドウィン/ミニー・ドライバー/グレン・クロース ●88分 ブエナビスタ配給 ●オフィシャル・サイト● http://www.disney.co.jp |
| SHIMIZU★★フィル・コリンズが映画のコンスプトをまとめた主題歌が全編に流れ、ジャングルでゴリラに育てられターザンの世界が描かれます。ターザンはジャングルのつたをサーフィンもどきで滑走していく図は、ジェットコースターに乗っているのような立体感を感じさせます。アニメの技術としては大変なものなのだそう。技術の進化はあるにせよ、お話自体はゴリラを捕獲にくる「文明人」(これがピーター・パンのクック船長もどきの悪役)との闘いの末、ジャングルに平和っが訪れるという予定調和の展開。ディズニー映画のナイーブな点はお子さまにはいいかも。やはり、「もののけ姫」なんぞで育っている日本のアニメ・ファンには、この程度の自然賛歌じゃ、物足りないと思うはず。アメリカの映画評では高評価だったこの作品だけど、宮崎駿の垢を煎じて飲んだほうがいいかも。いまや、日本のアニメはディズニーを凌駕しているという感慨を新たにしました。(99/10/19 ブエナビスタ試写室) YAZAKI★★★素直にお子様をターゲットにしたディズニー・アニメは、『ライオン・キング』以来かも。「主人公がジャングルの王になるまでの成長物語」という点でも、この2本はよく似ています。が、『ライオン・キング』のシンバが「自分で考えて成長しない」ところに大きな不満を持っていた私は、今回の『ターザン』のほうがずっとお気に入り。ゴリラ集団のなかで「醜いアヒルの子」として育ったターザンが、人間とゴリラの2つのアイデンティティに引き裂かれながら、自分自身を獲得していく。その過程を、臆病な象やオテンバなゴリラの親友(ロージー・オドネルが声を担当)といったディズニーらしいユーモラスなキャラを配して描いた良心作です。 ドラマの核になるのは、ターザンと、彼の育ての父になるボス・ゴリラとの確執。妻のカーラ(声グレン・クロース)が赤ん坊のターザンを拾ってきたことから、しぶしぶターザンをジャングルに置くことに同意したボス・ゴリラのカーチャック(声ランス・ヘンリクセン)。ターザンを決して我が子と認めない彼と、彼に認められたい一心で問題を起こしてしまうターザンとの関係は、『エデンの東』を彷彿させるもの。そういう古典を援用しながら、ステップ・ファミリーの絆やコミュニティの問題、さらには人種問題について考えさせていくという教育モードが盛り込まれている点が、お子様をターゲットにしたディズニー・アニメの特徴でもあります。ま、そういうのがハナにつく人もなかにはいるかもしれませんが、根っからディズニー育ちの私は、「こういう映画もぜったいに必要だ!」と、強く擁護したい気持。ジャングルを社会に見立て、さり気なく人の道を説いていく語り口のスマートさは、さすがディズニーと言わざるをえません。 映像も素晴らしく、お子様のころ『眠れる森の美女』を見て以来ディズニーの描く森の美しさにハマっているYAZAKIは、3DCGと2Dが見事に融合された今回のジャングルの描写も、存分に堪能しました。(99/09/21 イマジカ第一試写室) | |
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母の眠り
ONE TRUE THING 1998年アメリカ 監督カール・フランクリン 出演メリル・ストリープ/レニー・ゼルウィガー/ウィリアム・ハート ●128分 UIP配給 |
| SHIMIZU★★★もし仕事に燃えている時、突然、母親の介護をしろ、といわれたら、どうだろう。「介護保険」が始まる時期に日本から見ると、この映画の意味が違ってみえるかも。老母を抱え、その種の葛藤を感じた身には、身につまされる出だしだ。ま、それはさて置き、映画はこちらが思うような社会派じゃない。家族の位置確認の映画であります。 ヒロインはNYに出て「ニューヨーク・マガジン」で記者としてキャリアをスタートしたばかりのエレン(レニー・ゼルウインガーの不安を抱えた独特の演技がいい)。彼女は作家と名をなし、大学で教鞭ととる知的な「父親」がロールモデル。父親にかしずく「専業主婦」の母親は見たくもない存在。母親みたい人にだけにはなりたくない。そう誓っているヒロインが母親と向かいあわなくちゃいけない。 映画は手堅い演出で、カール・フランク監督の力量を窺わせます。ヒロインのエレン、母親のケイト、父親のジョージ。3巴とも言える関係はなにか「我慢較べ」のような感じで、静かなテンションをはらんみながら進行していきます。この人間ドラマの妙味は、彼らの家庭の序列が、次第に明らかになっていく心理プロセス。世間に顔が向いていて誇り高く生きてきた家庭の「支柱」である父親ジョージが、実は酒場でボロボロになりながら枯渇した才能をふりしぼっていた、という事実。それを知ったエレンが初めて家庭の精神的な「支柱」はいま死を迎えようとしている専業主婦のケイトであったと知るに至る姿は、一見古い価値観に取り込まれたようだけど、実は「心」の問題を静かに訴えてくる良質なヒューマニティを感じさせます。 視点を変えた『愛と追憶の日々』になるかもしれない家庭ドラマです。映画はケイトの「死」をミステリアスな味付けにしてくくり、ちょっとあざとくひとひねり。ストリープががんに冒されていく肉体と精神を、相変わらず迫真の演技でみせてくれます。娘のエレンと向かいあい、娘への思いを吐露するシーンはジーンさせます。原題の「One True Thing」は、父親が終幕、ケイトの墓の前でつぶやく言葉。「我が心の真実」という字幕があてられていますが、それはケイトの存在を示す言葉となっています。(99/10/19 UIP試写室) YAZAKI★★★末期癌で闘病生活を送っていたケイト(メリル・ストリープ)がモルヒネを大量に服用して死に、看病をしていた娘のエレン(ゼルウィガー)に殺人(または自殺幇助)の疑いがかかる。取り調べの検事を前に、証言をはじめるエレン。彼女の回想形式で語られていく物語は、ちょっとミステリーの匂いを感じさせます。が、その回想を通じて解き明かされていくのは、「母親の死の真相」(TRUETH)ではなく、エレンが発見して行く母と父の真実の姿(TRUE THING)。で、これこそが、人生におけるミステリーなのだと訴えかけてくるドラマの多層的な仕組みが、「うまい!」と感じられた映画です。 エレンの父親の大学教授(ウィリアム・ハート)は、10年ごしで書き上げた小説で国民文学賞を受賞した偉大なお方。その父に認められたいという思いの強いエレンは、NYで記者の職につき、一流ジャーナリストの仲間入りを果たそうと奮闘している。そんな彼女にとって、家庭とコミュニティを中心にまわっている母ケイトの人生は、まったく無価値なものにしか見えない。「一銭の報酬も得られず、誰からも感謝されないのに、なぜ一生懸命家事をするんだろう?」「自分を犠牲にして家族に尽くすことに、どんな意味があるのか?」――ケイトの看病で実家に戻り、自分で慣れない家事する立場に立ったエレンは、母の生活をなぞる日々が自分の人生の無駄遣いに思え、焦りと苛立ちにかられます。 そんな彼女の気持に拍車をかけるのが、家庭の雑事をすべてエレンに押し付け、自分は以前と変わらない生活を送る父の態度。彼は、高級レストランに出張サービスを頼んでケイトを喜ばせようとするが、「そんなイベントを企画するより、もっと日常的に協力してよ!」と不満をつのらせるエレンには、父の偽善的な行為も、それに素直に感激する母の姿も、うっとおしく思えてならない。 ドラマは、こうしたエレンの率直な胸の内をきめこまかく描写しつつ、彼女が発見していく両親の素顔を浮き彫りにしていきます。「結婚生活は譲歩の連続。だから、今あるものを愛するの」と言う母。いっぽう権威の塊のように見えた父は、妻を失う悲しみに耐えられず、エレンに隠れて酒場に入り浸っていた。そんな父の弱さをも丸ごと赦してしまう母の強さに触れたエレンは、現実的な義務と責任を果たすことに人生の価値を見出し、日々のささやかな喜びを幸福だと感じるように自分を仕向けていく母の生き方にこそ、学ぶべき真実があることを発見していくのです。 ずっと父親の背中ばかり追っていた娘が、立ち止まることを余儀なくされたがために、母の偉大さを見出す機会を得る。そういう娘側の成長と発見の物語として、ドラマのポジションをキープしていったところが、映画の成功の鍵。『ザ・エージェント』で注目されたゼルウィガーの自然体の演技も好感度が高く、彼女のキャラには、男女を問わず共感が寄せられるんじゃないかな。(99/09/07 UIP試写室) | |
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ぼくたちはここにいる
OH! MY THREE GUYS 1994年香港 監督デレク・チウ 出演ラウ・チンワン/エリック・コット/ウォン・ジーワー ●94分 ポニー・キャニオン配給 |
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YAZAKI★カミングアウトをテーマにしたゲイ・ムービー。ではあるのだが、どうも納得できない点が多すぎる。劇のハイライトは、エイズを患った売れない役者のガウがTVの討論番組にゲスト出演し、ブラインドの覆面をはずして「僕はゲイです」と堂々と主張するところ。が、その勇敢さも束の間、彼は「誰かに愛されたかった」という遺言ビデオを残し、「ゲイ=意気地なし」のイメージを印象づけるように自殺してしまう。同居人のふたりをはじめとする周囲の友情も、彼を救えないという展開にビックリ。 が、もっとビックリしたのは、モテモテ広告マンのホイが、最終的に女と結ばれるオチ。つまり、「ゲイのまま幸せになる人間は誰ひとりいない話」になっているわけで、これ、ホントは、ゲイ・バッシングの映画なんじゃないの? と疑いたくなった。(99/09/17 シネカノン試写室) |
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ランダム・ハーツ
RANDOM HEARTS 1999年アメリカ 監督シコニー・ポラック 出演ハリソン・フォード/クリスティン・スコット・トーマス/チャールズ・S・ダットン ●132分 ソニー・ピクチャーズ配給 |
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ワンシントンDCの内務調査部に勤める巡査部長ダッチ(フォード)と、ニュー・ハンプシャー選出の下院議員ケイ(スコット・トーマス)。おたがいの妻と夫が不倫旅行中に飛行機事故死したことから出会ったふたりは、次第にひかれあっていくが……。ウォーレン・アドラーの原作を映画化したメロドラマ。 ●オフィシャル・サイト● http://www.spe.co.jp/ | |
| SHIMIZU★★☆一見、大人の眼差しをもった「癒し系」のラブロマンスです。設定は、飛行機事故で逝ったお互いのパートナーが、実は不倫関係にあったと知る、残された男と女。夫婦関係は平穏無事と信じ込んでいた男と女には、恐ろしい「空虚さ」が忍びよってくる。 これがフランス映画なら、その交わし方に成熟した大人の世界が開けてくるかもしれないが、主演は耳にピアスをつけて粋に構えたつもりかもしれないが、良くも悪くもニコリともしないハリソン・フォード(まるで不器用な高倉健だ)。彼は高成績で警官になったのに、11年も務めて現在巡査部長(サージェント)のダッチ。本来なら警部補(ルーテナント)になっていてもおかしくない。それだけで愚直な融通のきかないキャラとわかる。そんな彼が妻の素行を追跡し、「不倫」の事実につきあたる。彼が次にとる行動が相手だった弁護士の妻で、下院議員を目指すインテリ女性ケイ。クリスティン・スコット・トーマスがまるでヒラリー・クリントンみたいな雰囲気だ。 強姦まがいのラブシーンが結構、斬新。フォードが車のなかでトーマスに強引にキスをし、彼女の手を自分の股間に導くまでだ。フォードは妻を寝取った男の妻に、激しく復讐するような、自分を誇示したような行為。このふたりが次第に引き合っていくプロセスは、自分たちの「空白感」を埋めるための作業で、ふたりが結びつけば結びつくほど、先に逝ったパートナーたちの「影」に怯える存在となる寸法です。その2重の心理は、かなり大人であるけど、フォードにかかるとすべてが綺麗事のように展開していくのが、どうにも物足りない。 内務調査班のダッチが悪事を暴かれた黒人刑事に命を狙われるサブプロットは、物語の味付けとしては陳腐すぎないか。全体に、ダッチとケイの心模様は、大人の行為というより、寂しさを抱えた大人子供の、もたれ会いのような見えてくるのがハリウッド映画らしいナイーブさ。逝ったパートナーの「隠れ家」だったアパートに辿り着き、心の整理をしようとする顛末など、物語の芯にある設定はかなり興味を引かれるものがあります。随所に薫りたつような、官能的な心理演技を見せるトーマスには心奪われました。(99/10/28 ソニー・ピクチャーズ試写室) YAZAKI★不倫旅行に出かけた男女の乗る飛行機が墜落。かくして出会うことになった双方の妻と夫が、ほとんど敵討ちみたいな状態で愛し合う関係になる様を、情緒のカケラもなく描いたメロドラマ。 ハリソン・フォード演じる主人公のキャラが、内務調査部の警官。クリスティン・スコット・トーマス演じるヒロインのキャラが、次の選挙で苦戦を強いられている下院議員。ってところから、彼らの妻と夫の不倫旅行はどちらかの失脚を狙う関係者が仕組んだものなんじゃないか、とか、飛行機事故自体にも陰謀がからんでいたんじゃないか、とか、何かプロットに仕掛けのある謎ときサスペンスの展開を期待していたのだけど、何のことはない、主人公たちがつきとめる「秘密」は、各々の妻と夫が浮気に使っていた「隠しアパート」だったという、しょうもないオチ。かといって、主人公たちのキャラ設定が、ドラマの重みとして生きてくるふうでもない。ただひたすら、妻への怒りと自己憐憫にひたりきったフォードの演技が、うっとおしく感じられるばかり。飛行場の駐車場で、フォードがいきなりスコット・トーマスにキスする場面なんぞは、もうほとんどギャグの世界。あまりの唐突な描写に、私ばかりでなく、試写会場中から笑いがもれていましたです。 スコット・トーマスの選挙キャンペーンを担当するパブ屋の役どころで、監督のシドニー・ポラックが出演。『アイズ ワイド シャット』でもなかなかの芸達者ぶりを見せていた彼には、今後、役者としての活躍を期待するべきかも!?(99/10/15 ヤマハホール) | |