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NYPD15分署
THE CORRUPTOR 1999年アメリカ 監督ジェームズ・フォーリー 出演チョウ・ユンファ/マーク・ウォールバーグ/リック・ヤング ●111分 日本ヘラルド映画配給 |
| SHIMIZU★★ユンファがよく英語を喋る。『リプレースメント・キラーズ』から比べると、ハリウッド映画にも慣れてきた感じ。中国人ギャングを蹴り上げた後、髪を掻き上げ笑う図など、持ち前のユーモラスな表情も随所にあります。今回の彼の役どころは中国人移民で初めてNY市警の警察官となり、手柄も立てチャイナタウンの誇りとなった男ニック・チェン。が、彼は中国人組織から金をもらい、捜査情報をもらい、女もあてがわれる。組織とパイプをもつダーティな警官。そんな彼のチャイナタウン分室に弁護士志望から転身した白人の新米警官ダニー・ウォレスが赴任してくる。予想通り、中国人警官と白人警官とが反目しながらも、やがて友情を交わすタイプのコップ・バデイ・ムービー。ただし、このダニーには「ある秘密」があり、人間像が現実の状況で反転していく葛藤ドラマがストレートな定番バディ・ムービーとは違った味わいです。 ふたりのキャラが正義か友情か、どっち色に染まっていくかが妙味といえば妙味。その話の運びがややモタモタした印象を与えるのも確かで、FBIとの駆け引きなどの部分で緊張感があまり感じられなかった。チャイニーズ・マフィア「福建ドラゴン」一派とのカーアクションなどアクションシーンもそこそこ。やはり、ユンファはJ・ウーのような華麗な銃撃アクションがあってこそ、イキると改めて思った。((99/09/29 ヘラルド映画試写室) YAZAKI★★『男たちの挽歌』みたいな香港ノワールに、シドニー・ルメットのタッチを加え、ドラマの隙間を銃撃+カー・アクションで埋めたような珍品。香港ノワールの部分は、製作総指揮をつとめたオリバー・ストーンやテレンス・チャンの思惑。ルメット・タッチには、アル・パチーノのお友達でもあるジェームズ・フォーリー監督(『摩天楼を夢みて』)の社会派の意地が感じられる。が、両者が心地よく接点を見出している感じはせず、全体の印象は「背骨の抜けたルメットのスローモーション風味」という感じ。 舞台はNYのチャイナ・タウン。アンクル・ベニー率いる巨大組織トンと、新興勢力の福建ドラゴンが抗争を繰り広げるなかで、密入国者の女たちの連続猟奇殺人が勃発。その捜査にあたる中国系ばかりのアジア特捜班に、新米の白人刑事が配属されてくる――というのが、ドラマの発端。この設定の妙味は、犯罪者も警官も中国人ばっかという世界で白人が「マイノリティ」として扱われる点で、ここんところをもうちょっと掘り下げれば、ルメットの風味が少しは増したんじゃなかろうかと思えてくる。 が、作劇の興味は、あくまでも香港ノワール調の「友情と裏切り」のドラマにあり。チョウ・ユンファ演じるチャイニーズ系刑事と、マーク・ウォールバーグ扮する白人刑事。それぞれに「裏の顔」を持つふたりが、「相手のために命を投げ出す」という「義理」で結ばれ、表面的な正義より仁義を重んじる生き方を選ぶ姿に、男の美学を見出そうという寸法。単にカルチャー・ギャップをネタにしたバディ・ムービーとは違うところが、アメリカ人には新鮮に映るのかも。 でも、もはや80年代の香港ノワール・ブームを通過している身にとっては、このテーマも古臭く感じられるばかり。白昼の街中で機関銃を撃ち合う場面を筆頭に、皆殺しモード全開の殺戮シーンも、えげつなさが先行する印象。主演ふたりの顔合わせはおもしろいけど、結果的にはスタイリッシュとは縁遠いBムービーになっちゃった感じ。(99/08/27 ヘラルド映画試写室) | |
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エル
ELLES ?年ポルトガル=フランス=ルクセンブルグ=ベルギー=スイス 監督ルイス・ガルバン・テレシュ 出演カルメン・マウラ/ミュウミュウ/マリサ・ベレンソン ●98分 シネマテン配給 |
| SHIMIZU★☆ポルトガルのリスボンを舞台に、5人の中年女性の愛や死など人生の悩みをオムニバスふうに綴った女性映画です。ミュウ・ミュウ、『バリー・リンドン』のマリサ・ベレッソン、マルト・ケラーなど興味を引かれるキャストでしたが、その女性たちの魅力がまったく僕の心に残らず。最後のリスボンの電車じゃないけど、全体に電車で軽く流していくような通り一遍の描き方で、全体に「空騒ぎ」程度にしか感じられず、おばさんパワーのワイ雑感だけが頭にのこっております。見たときの僕の体調が悪かったせいかな?!(99/07/30 メディアボックス試写室) YAZAKI★★四十にして惑わず。なんて心境とはまったく無縁のオバサンたちが、なまぐさモード全開で色恋沙汰に突っ走る。バーバラの難病が発覚したり、ブランカの娘がドラッグ中毒に陥ったり、劇中にはフェロモンの絡まないエピソードも用意されているけど、ここに登場する5人の人生は、基本的には「男(または女)が欲しい」という煩悩中心にまわっている。ま、それが南欧風なのかもしれないけど、『ため息つかせて』なんかと同じように、私にはトンと共感のおよばない世界でありました。 作劇の核になるのは、TVキャスターのリンダが特番のテーマにする「あなたの望みは何か?」という問いかけ。リンダのまわすビデオに向かって、4人はそれぞれに「3つの願い」を告白する。で、それがストーリーとリンクするのかと思いきやそうはならず、リンダの取材に「望みなんて何もない」と答えた女性のエピソードも中途半端なまま。どうも芯を欠いた印象で、女たちの人生の重さみたいなものがまるで伝わってこない。結局、オバサンたちのギラギラした生理のみが後味として残り、試写室を出るときは「ああいう歳のとりかただけはしたくないもんだ」と、意を強くしたYAZAKIであります。(99/09/02 メディアボックス試写室) | |
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将軍の娘/エリザベス・キャンベル
THE GENERAL'S DAUGHTER 1999年アメリカ 監督サイモン・ウエスト 出演ジョン・トラボルタ/マデリーン・ストウ/ジェームズ・クロムウェル ●117分 UIP配給 |
| SHIMIZU★★ジョージア州の米軍基地で発生した猟奇殺人をめぐるミステリー。基地内の路上で、手錠とロープで地面に張り付けにされた全裸の女が強姦され絞殺された。遺体には精液はなし。ガイシャは基地内に勤務していた女将校で、退役間近の将軍の娘。一見、男を寄せ付けない制服姿の彼女が、捜査の中で基地中の男とやったヤリマンとの評判。しかも、彼女の家の地下には隠し部屋があり、SM道具やSMプレイ・ビデオが発見され、意外なガイシャの顔が浮かびあがる。なにやら、ドロリとした人間関係を想像させるお膳立て。映画は怪しい犯人候補をぞろぞろ登場させ、「犯人探し」モード。あの手この手で観客にフェイントをかけて、犯人らしく見せようとするが、その演出の仕方がどれもミエミエ。見ている方も、物語半ばでおおよその「犯人」は特定できると思う。僕はほぼ予想通りの犯人にたどり着いた。動機もほぼそんなもんだろうという程度で、さほど驚きもなかった。 ただ、驚いたのは、終盤で明らかになる事件のお膳立ての全貌。横溝正史でも考えない、突飛な代物。そこまで大胆な行動にでるなら(子細は謎解きになるから言えないけど)、「将軍の娘」の心理をなぞる演出がもっと欲しいところ。彼女の士官学校時代の「出来事」から事件の遠因を導き出す件も、ガイシャのエリザベスの心理がちゃんと描けていないため、事件の動機付け程度にしか響かない。もっと「将軍の娘」自体を「生きたキャラ」をして描いたほうが、全体の骨格がしっかりしたはず。劇中の彼女はトラウマを背負った「死体」にすぎないわけよね。 この映画のポイントは軍隊内部の保守性。CBSのドキュメント「60ミニッツ」でも報道されているが、男女機会均等という時代のムードのなか、男の牙城だった「士官学校」に入学した女性たちが、男子学生どものセクハラに晒され、退学するケースが増えている。そんな今日的な問題を芯に据えたあたりが妙味なのだけど、その対処の仕方、解決の仕方がどれも古典的な軍隊の閉鎖性を示すのみ。 軍隊はいいもわるいも「全部家族」みたいな、どこまでもドメスティックな映画であります。同じ軍隊に女の図なら、殺人は起きないけど『GIジェーン』のほうがまだ斬新じゃないかな。登場人物がいちいち、なんでそこまでやるの、という突飛なヤツらばかりで、なかでもティモシー・ハットンのキャラには口あんぐり。(99/09/28 UIP試写室) YAZAKI★★軍隊の基地を転々としながら様々な事件の調査にあたるブレナー捜査官。アーミー版の探偵みたいなトラボルタのキャラ設定がおもしろく、前半は、シリーズ化もアリか!? と思わせる軽いノリ。が、被害者の男関係と過去の事件が暴かれていき、捜査の流れが2つの方向に枝分かれしていくあたりから、映画のテイストも分裂症気味になってしまう。 ブレナーが探り出す意外な事実は2つ。ひとつは、エリート士官だった被害者が、SMプレイを楽しみ、基地の誰とでも寝まくる淫乱女の顔を持っていたこと。もうひとつは、士官学校時代の被害者をめぐって、闇に葬られた事件が起きていたこと。このふたつを結び合わせる「巨悪」との対決を通じて、ブレナーが、「軍人のモラルを重んじるか、捜査官として正義を追求するか?」で揺れ動くところに、ドラマの妙味があるんじゃないかと期待していたけれど、肝心の対決シーンにカタルシスは感じられず。殺人事件の真犯人が繰り広げる茶番劇のシマリのなさだけが、後味の「お笑い」として残る感じ。 軍隊内の性差別とか、父娘の確執とか、かなり多層的で重たいテーマを含んだ映画を、『コン・エアー』のお方にまかせるという発想に、そもそも無理があったのでは?(99/08/20 UIP試写室) | |
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トーマス・クラウン・アフェアー
THE THOMAS CROWN AFFAIR 1999年アメリカ 監督ジョン・マクティアナン 出演ピアース・ブロスナン/レネ・ルッソ/デニス・レアリー ●113分 UIP配給 |
| SHIMIZU★★☆「踊る!レネ・ルッソ」。まず、そう呼びたい映画だね。あの有名な主題歌「風のささやき」が今回は官能的なサックスの音でアレンジされ使われているけど、オリジナル『華麗なる賭け』でクルーでソフィティケートされたピアノの音だったのとは対照的。これをとっても今回は随分ねっとりした演出。『華麗なる賭け』ではチェスのコマを男性器に見立てフェイ・ダナウェイ(今回はプロスナンの女性指南役みたいな役)が指で撫で回す有名なセクシー・シーンが今回はいかに、という興味があったが、あの粋な雰囲気は皆無です。 劇中、ルッソ演じる保険調査員が名画泥棒のクラウン氏に接近するため、シェールも真っ青という感じの大胆シースルー・ドレス(当然、ノーブラにノーパン!)でダンスパーティに登場。クラウン氏と濃厚なダンスと相成なります。それからクラウン亭の階段でお互い全裸になりローリングしながら階段を昇り、寝室の床に寝そべりシンクロナイド・スイミンングふうに美脚を机沿っておっ立てる不思議ポーズまで、官能のセックス・ダンスへとなだれ込む。まさに「踊る!レネ・ルッソ」なのですね、この映画は。 クラウン氏にぞっこんになった彼女はふたりででかけたマルチニック島の別荘でもセックスに興じ、官能はあふれるばかり(僕はルッソ・ファンじゃないので少々げんなり)。物語の進行上はプロスナンが彼女を手玉にとり踊らせていく展開なのですが、そうは見えない。心優しいプロスナンはステップも踏まず、地味にリードしている感じ。しかも彼女に「TRUST ME」を連発する、実直な悪漢。ヨットで遊んだりグライダーで遊んだり、それなりに華麗な遊び人ぶりも見せるのだけど、なにかプロスナンって線が細い。車を運転しても葉巻を吸っても、なにをやっても男臭くダンディーだったマックイーンのクールさとは、対局だね。 今回の新趣向は盗品を「名画」に設定し、盗みのテクニックをスリリングに見せるサスペンスの妙。最初の美術館から「モネ」の絵画を盗めシークエンスでは、それぞれの持ち場に合わせ3通りの「音楽」が目まぐるしく交錯する賑やかさ(結構うるさい)。でも、その盗みの手際はなかなか楽しい。とりわけ、最後でクラウン氏がモネの絵画を美術館にもどすシーンが見もの。彼が山高帽を被り美術館に入る。彼を監視する警察はその山高帽を目印にTVモニターでウオッチしていると、あちこちの山高帽の人が出没し警察が攪乱される。クラウン氏の絵の返し方が、そんな手があるんだ、という意外な裏技。映画の最後にはもうひとつ、プロスナンとルッソとの恋の行方がどうなるか、というメロドラマ的な興味も配置してあり、今回のリメーク版はいろんな点で、トリッキーさを売り物にした恋のゲームという感じでしょうか。ま、前作を知らない人はそれなりに楽しめるかも、ね。(99/09/29 UIP試写室) YAZAKI★★☆オリジナルの『華麗なる賭け』と今回のリメイク版のいちばんの違いは、主人公の盗み出すモノが絵画に設定されていること(これは、趣味で絵を描き、かつて商業アートの見習いをしていたこともあるピアース・ブロスナンのアイデアだそう)。スティーブ・マックィーンが演じた初代クラウンは、自分の集めたチームに銀行強盗をやらせる黒幕的な存在だったけど、ブロスナンの二代目クラウンは、直接絵画泥棒に手を染める。というわけで、メトロポリタン美術館のモネの絵を、クラウンがいかに盗み出し、そして再び元の場所に返すかという2回の泥棒シーンが、ここでは大きな見どころになっている。 クラウンの泥棒の手口は、プロセスのスマートさを重視するやり方。最初は、「トロイの木馬」を引用した陽動作戦を使い、二度目も絵をヒントにした撹乱戦法を駆使する。クラウン自身が使う小道具は、1個のアタッシュケースのみ。こういうところがひじょうにシャレていて、YAZAKIはこの泥棒シーンだけでけっこう満足してしまった。 代わりに、レネ・ルッソ演じる保険調査員とクラウンの恋の駆け引きの描写は退屈。『華麗なる賭け』には、おたがいの心を読みあい、知恵比べをすることにスリルを見出した2人の官能の高まりが、チェスのゲームを通じて一気に爆発するという名場面があったけど、このリメイク版に、そういう心理的な駆け引きの妙味はほとんど感じられない。ラブシーンは、こちらが気恥ずかしくなるくらい直裁で濃厚。シースルーのドレスで踊りまくるレネ・ルッソも、ゴージャスな女には見えないし。泥棒シーンのスマートさに引き換え、恋の描写はドロ臭いメロドラマ・ムードに終始。ま、これがジョン・マクティアナンの持ち味(!?)なのかもしれないけど。(99/09/07 みゆき座) | |
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ヘンリー・フール
HENRY FOOL 1999年アメリカ 監督ハル・ハートリー 出演トーマス・ジェイ・ライアン/ジェームス・アーバニアク/パーカー・ポージー/マリア・ポーター ●137分 ポニー・キャニオン配給 |
| 舞台はNYクィーンズ。シャイで口下手なゴミ収集人サイモン・グリム(アーバニアク)は鬱病の母親(ポーター)と、セックス狂の姉フェイ(ポージー)を養っている。そこに謎の浮浪社ヘンリー・フール(ライアン)が出現、彼らの地下に住み始め一家に影響を与え始める。ヘンリーは自称作家で『告白』という未発表の原稿を時期を見て発表するという。ヘンリーはサイモンに思ったことを紙に書くようすすめる。彼の書く言葉は完全な強弱五歩格の形式で、生まれながらの詩人の才が開花。たちまち人の心をとらえ、出版された作品が脚光を浴びる。一方、ヘンリーの『告白』は出版社も相手にしない代物で、彼は日常に埋没していく。不思議な男ヘンリーと天才サイモンとの心のふれあいを描く、『シンプルメン』『愛・アマチュア』などのNYインディーの異才ハル・ハートリー監督の人間ドラマ。'98年カンヌ映画祭脚本賞受賞。 | |
| SHIMIZU★★簡潔な映像タッチと独特のドラマツルギーを持つハートリーの最新作。好きな人は好きというカルト監督だけど、僕は『愛・アマチャア』が好きな程度で、あまり彼のシンパじゃありません。今回はそのドラマツルギーの濃さに、圧倒されちゃった。 ヘンリーなる放浪男のアクの強さが強烈。多分に胡散臭いけど、その影響力はちょっと『テオレマ』に通じるものがあるのか、と一瞬考えたほど。ま、次第にそれほどじゃないことが分かるけど。それでも生のエネルギーを放射する無頼ぶりは相当の存在感。それを好きかどうかは別にして。片や彼に影響されるサイモンは腺病質のオタク系の男。彼がどんどん詩人の才能を発揮し、世に認められ有名人となっていき、ついにはノーベル文学賞まで受賞しちゃう。正直、ヘンリー役のライアンの強烈なルックスも手伝い、ヘンリーの動物的な性エネルギーの放射に嫌悪を催す人もいるかも。かなり異様です。途中で、このキャラを引き気味に見てしまった。 ただし、最後で反目していたサイモンが落ちぶれたヘンリーに手を差し伸べるあたりの心のふれあいがすべてを純化するような感じ。劇的な幕切れです。なにげない日常の静的部分から、苛烈な動的部分に日常が拡大し、非日常のような空間に飛び出す感じ。この細心にして大胆、そして劇的なドラマツルギーがハートリー節なのかも。やはり、好きな人は好き、ついていけない人は付いていけない。しみじみカルトな作品です。地元の店で働く聾唖の娘役でハートリー夫人でもある二階堂美穂も出演しています。(99/09/01 シネカノン試写室) | |