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ベオウルフ
BEOWULF 1998年アメリカ 監督グラハム・ベイカー 出演クリストファー・ランバート/ローナ・ミトラ/ゲッツ・オットー ●94分 ソニー・ピクチャーズ配給 |
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SHIMIZU★☆設定は未来だけど、映像のルックはお城の異様や甲冑をつけた騎士たちなどもろ中世ふう。ランバート演じる腕の立つ騎士が城内で暴れる「魔物」と闘うヒロイックアクションです。ランバートはのっけからアクロバット的な回転技のキックをまぜたアクション。バックの音楽はテクノふうハードロック。古さと新しさをミックスし、テレビゲームにありそうな異様な未来絵。魔物が城内で次々に飯食にしていく感じは『エイリアン』ふうのタッチか。 映像のおどろおどろしさに比べ、城主にまつわる過去(妻の死)など語り口は、思わせぶりな伏線を張っているけど、それが物語の情感を高めるということもない。城主が夜な夜なでてくる、全裸の安っぽい女と交わるセックスシーンが連発されるが、それが最後で魔物の化身とわかる展開もイージーな印象。別にコワくもなければ、意外性もない(魔物の素性がちょっと意外か)。なにかあるのか、なにが出てくるのか、と期待しないでみるのが肝要かと思います。(99/08/30 ソニー・ピクチャーズ試写室) |
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ホーンティング
THE HAUNTING 1999年アメリカ 監督ヤン・デ・ボン 出演リーアム・ニーソン/キャサリン・ゼタ・ジョーンズ/リリ・テイラー ●113分 UIP配給 |
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YAZAKI★ビリングは、リーアム・ニーソン、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの順番に並んでいるけど、このふたりは基本的に客寄せのポジションで、事実上の主役はリリ・テイラーがつとめる。彼女の演じるエレノアは、母親の看病に人生を捧げてきた女で、母亡きあとも幻影に脅かされ、神経症気味になっている。 というキャラ描写の甲斐もなく、彼女と呪われた屋敷とのつながりが、とってつけたような設定になっているのに、ズルッ。ポルターガイスト現象を起こす霊が、善か悪かの描き分けもされておらず、プロットは終始混乱状態。主役からしてこうなので、ニーソン、ゼタ=ジョーンズ、オーウェン・ウィルソンのキャラがいかに薄っぺらかは、推して知るべしです。 子供の顔の彫刻が動いたり、霊がシーツに潜り込んだりするCGも、もはや新鮮味に欠け、「スゴイ!」と驚くまでにはいたらない。いちばん驚いたのは、劇の冒頭で「すぐに帰って来る」と言って屋敷を出たニーソンの助手(『アイズ ワイド シャット』のトッド・フィールド)が、結局最後まで帰って来ないことでした。(99/08/20 イマジカ第一試写室) |
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ウィズアウト・ユー
ENTROPY 1999年アメリカ 監督・脚本フィル・ジョアノー 出演スティーブン・ドーフ/ジュディット・ゴドレーシュ/ケリー・マクドナルド ●110分 コムストック配給 |
| SHIMIZU★★☆タイトルも陳腐だし、U2のボノが登場し男女の恋の行方が語られると聞かされると、なにか中途半端な歌謡(?)恋愛ドラマみたいなものを想像してしまった。が、内容は意外に斬新。主人公は明らかにフィル・ジョアノーを投影した映画監督ジェイク。昔のATG映画流の言い方をすれば、「告白的映画論」てヤツ。主人公が画面に向かい、自分の恋愛の軌道を語っていく構成。U2が登場するのも、ジョアノーが撮ったライブ映画『U2/魂の叫び』以来の仲という「必然」をふまえての登場。 ジョアノーが『愛という名の疑惑』(しょうもない作品だったが)を撮った時、と思われる撮影エピソードもでてきて、「とにかく女優(キム・ベイシンガーと思われる)を裸にしろ!」と要求するイカれたプロデューサー・コンビや、金と納期にうるさい製作会社の会長など、彼が体験した映画界の裏事情が描かれるあたりが妙に可笑しい。映像タッチもジョアノー得意(?)の早回しやオーバーラップなどを多用し斬新さを醸し出そうとする。 が、映画のメインである、フランスのモデルとの、行き違いの恋模様がどうも洒落た雰囲気で展開しない。恐らく、これはトリュフォーあたりの映画感覚に大いに影響されたのでは、と想像されるのだけど、人間関係の成熟度がかなり低く、映画監督の内省的な世界がただぐるぐるまわっている。ちょっとうざったい語り口。ベネックスの『ベティ・ブルー』をきどったのか、「喋る猫」が登場する飛躍も愛すべき心象ととるか、幼い妄想ととるか。ま、これはジョアノーの極私的な映画日記といった趣の異色作です。劇中、U2のボノが意外にちゃんと演技をしています。(99/08/31 朝日ホール) YAZAKI★★12年前、『タイムリミットは午後3時』でデビューしたときは、「スピルバーグの秘蔵っ子」と、鳴り物入りで登場したフィル・ジョアノー。その後、映画作家としては大成せず、さりとて雇われ仕事に徹することもできず、と、ひじょうに中途半端なキャリアを歩んでいる彼が、昔とった杵柄ならぬ昔撮ったU2の協力をあおいで作ったラブストーリーであります。 主人公の映画監督がカメラ目線でナレーターをつとめる語り口は、ジョアノー自身の体験を再構築しているような一人称のノリ。初のメジャー映画の監督に抜擢された主人公が、スタジオ重役(ヘクター・エリゾンド)や製作者コンビに「裸のシーンを入れろ!」と脅されるエピソードなど、ギョーカイの裏話っぽい要素も盛り込まれています。 が、いかんせん、この主人公にしろ、ゴドレーシュ扮するモデルの恋人にしろ、キャラクター描写がおざなりにされているので、ふたりのママゴトみたいな恋愛にいっこうに興味がわかない。たとえば、ゴドレーシュが「仕事をやめたい」と言い出すあたり、いったい彼女がどんな気持でその言葉を口にしているのか、さっぱりわからない。で、結局、ゴドレーシュがカフェのテーブルをひっくり返してドーフの気をひくという、出会いのシーンがいちばん光って見えるという次第。 監督としては、U2を担ぎ出すこともできたし、キャリアと恋愛の総括もできたと御満悦だろうけど、そういう自己満足の産物を見せられるのは、退屈なだけ。画面分割とか、ストップモーションとか、凝っつもりの映像も、正直、「古くさぁ」としか感じられませんでした。 ちなみに、U2のボノは、ストーリーを担当した『The Million Dollar Hotel』で本格的に映画に進出。監督はヴィム・ヴェンダースでメル・ギブソンも出演。メルいわく「めちゃめちゃクレイジーでおかしい話」というから、これは楽しみ。(99/09/10 松竹試写室) | |
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エイプリル
APRILE 1998年イタリア=フランス 監督ナンニ・モレッティ 出演ナンニ・モレッティ/シルビオ・オルランド/シルビア・レノ ●78分 アルシネテラン配給 |
| YAZAKI★★☆映画監督の実体験に基づく映画という点では、『ウィズアウト・ユー』と似ていなくもない。が、こちらはよりストレートに監督自身の心象風景を綴っていくスタイル。周囲の変化に巻き込まれて混乱状態に陥ったモレッティが、「人生は短い、だから自分のやりたいことをやろう!」というシンプルな結論に達するまでを、独特のアイロニーをこめたスケッチとして描いていきます。こんなふうに映画作家の決意表明が感じられるテーマは、ヴィム・ヴェンダースの『リスボン物語』に近い感じだね。私は、モレッティのやたら理屈っぽい作風が好きではないけれど、彼のファンが見たら、けっこう感動するんじゃないかな。 1995年から1997年までの3年間に、モレッティの周辺には、ふたつの大事件が起こります。ひとつは、右派政権が倒れ、彼の支持する左翼がイタリア史上初の政権を握ったこと。もうひとつは、初めての子供の誕生です。どちらも、モレッティにとっては、自分自身の「義務と責任」を思い起こさせる重大な出来事。というわけで、この時期、ホントは50年代を背景にしたお気楽なミュージカル(と言っても、ファシスト批判のこめられた内容なのだが)を撮りたかったモレッティは、「こんなことやってる場合じゃないのでは?」と思いたち、選挙のドキュメンタリーを作ることにします。 が、義務感で始めた仕事が楽しかろうはずはなく、ただでさえ父親になる不安と期待で落ち着かないモレッティは、ドキュメンタリー作りにまったく集中できなくなる。結局、編集の仕事を途中で放り出したまま、彼は44歳の誕生日を迎えることに。そのパーティの席で、友人に「何歳まで生きたいか?」と聞かれるモレッティ。「80歳まで」と答えた彼の目の前でやにわにメジャーを取り出した友人は、メジャーの長さを80センチまで伸ばすと「これが君の人生」と言い、そこから44センチ分をひいて、「はい、残りはこれだけ」とモレッティに見せる。その短さに、大ショックを受けたモレッティは、もう義務感に振り回されるのはやめよう! と、決意。念願のミュージカルの企画を再スタートさせます。 そんな彼の心情に、人生の残り時間が計算できるようになった中年以上の人間は、グッと思いを寄せられるはず。黒澤の『生きる』じゃないが、「命短し、恋せよ乙女」です。神様に与えられた時間のなかで自分の本当にやりたいことをやり、自分らしく生きることが、ひいては、子供や社会に対しての「義務と責任」を果たすことになるんじゃないか、と。この映画でモレッティがみつけた真実に、私めも大きく共鳴いたした次第であります。 前作の『親愛なる日記』では、『ヘンリー』をネタにした映画論で笑わせてくれたモレッティ。今回は、胎教のために『ストレンジ・デイズ』を見に行ったモレッティ夫妻が、「お腹の子にとんでもない駄作を見せてしまった。性格に影響する」と、悩みまくるお遊びシーンが爆笑を誘います。(99/09/02 メディアボックス試写室) | |
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娼婦ベロニカ
A DESTINY OF HER OWN 1998年アメリカ 監督マーシャル・ハースコビッツ 出演キャサリーン・マコーマック/ルーファス・シーウェル/オリバー・プラット ●111分 20世紀フォックス配給 |
| SHIMIZU★★☆一緒に見ていた映画評論家の渡辺祥子さんが「へんな映画!」と軽く一蹴。ホント、フェミニストの女性でなくとも、かなり怒りそうな前提。舞台が16世紀のベネチアとは言え、「女が男の所有物だった時代」のお話。しかも、名門じゃない女が好きな男を手玉にとるのために1番の方法は、娼婦になること。青年貴族マルコ(『マーサ・ミーツ・ボーイズ』のルーファス・シーウェル)の正妻になれないと知ったベロニカもそのひとりで、当時の文化のひとつだった「コーティザン」(高級娼婦)の世界が描かれていきます。 演じるはキャサリン・マコーマック。美人だけど、若いのか年なのか分からない人だよね。娼婦ものというから、かなりセックスの香りが充満しているかと思いきや、ベロニカのセックスシーンは青年貴族との大胆な全裸ベッドシーンがある程度で、全体に彼女のもとに通う司祭や艦隊総督などのお偉方とのプレーはベッドでの事後ショット程度で、セックス部分を「軽やかに」描いています。 物語のポイントはベロニカがセックスの道具だけでなく、男も一目置く詩才ぶりを発揮し詩人としても名をなすベネチアの花という趣。宿敵トルコ艦隊が迫り、ベネチアに危機が訪れた時はフランスの艦隊を援護に要請すべく、フランスのアンリ3世を接待。「自分は性倒錯者だ」というアンリ3世に「快楽に酔いましょう」と一夜を共にし、結果フランス艦隊の援助をとりつける。ベネチアを救ったヒーローにもなる存在。時代色が失われないベネチアの佇まいを利用し、華麗な時代絵巻に仕上げています。 この妙に軽妙なノリは『サーティサムシング』一派のエドワード・ズウィックとマーシャル・ハースコビッチらしい発想。劇中ベロニカに娼婦を薦める元娼婦の母親パオラ役のジェクリーン・ビセットが愉快で、ベロニカを娼婦に仕立て上げていくヤリ手ばばあぶりは『蘭の女』あたりの余韻も手伝い、自分パロディ的なおかしさ。終盤、ベロニカが宗教裁判にかけられ「魔女」にされそうになる数奇な運命も、ハリウッド映画らしい解決を用意してメデタシメデタシ。(99/08/31 20世紀フォックス試写室) | |