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試写状

シックス・センス

THE SIXTH SENSE

1999年アメリカ 監督・脚本M・ナイト・シャマラン 撮影タク・フジモト 出演ブルース・ウィリス/ハーレイ・ジョエル・オスメント/トニ・コレット ●107分 東宝東和配給 1999年10月下旬より日劇ほか東宝洋画系にて公開予定

自分にしか見えないモノに脅える少年と、彼を救おうとする小児精神科医。ヒューマンな感動が盛り込まれたスーパー・ナチュラル・サスペンス。監督&脚本は、29歳のインド系の新鋭M・ナイト・シャマラン。

STORY

 マルコム・クロウ(ウィリス)は、フィラデルフィアの市民栄誉賞を受賞した小児精神科医の第一人者。ある晩、彼と妻アンナ(オリビア・ウィリアムズ)の自宅に、少年時代に患者だった男が侵入。「自分を救ってくれなかった」と言ってマルコムを撃ち、自分もピストル自殺を遂げる。
 翌年の秋、傷の癒えたマルコムは、コール(オスメント)という8歳の少年の診察にあたることにした。両親の離婚後、母(コレット)とふたり暮らしのコールは、終始何かにおびえているところが自殺した元患者とよく似ていた。そんな彼を精神分裂症と診断したマルコムは、救えなかった患者の代わりにコールを救おうと、私生活を投げ打って治療にあたる。が、そのせいで、彼と妻のあいだには大きな溝ができてしまう。
 「先生はなぜ悲しいの?」。コールの問い掛けに、自分の心中を告白するマルコム。そんな彼に、コールは、ついに自分自身の秘密を打ち明ける……。

SHIMIZU ★★★(99/09/14 東宝東和試写室)

これは書きにくい。配給会社の東宝東和では映画の始まる前に、劇中に「ある秘密」があるので、それを口外しないように「ブルース・ウィリスからのお願い」を添付しているのだ。その「ある秘密」は見てのお楽しみだが、最後までみると、結構「やられた」と思うこと確実だ。監督・脚本はインド生まれでアメリカ育ち。NY大の映画学科出身という異色の新人。CNNで彼の姿を見たけど、見た目インド人だけど、ものの考え方や話し方はモロ、アメリカ人。ま、個性的なアイデアがあればナニ人ってのは関係ないね。

さて、映画はウィリス演じる児童精神科医のマルコム・クロウ博士が夜自宅で妻とくつろいでいる時、かつての患者があらわれ「オレを治さなかった」と恨み事を言いながら、博士に銃弾を浴びせたところから始まる。時間は飛んで翌年の秋。事件の後、患者への対応を再考したような感じの博士は、今度は精神不安定の9歳の少年の家を訪れ、セラピーを開始する。その過程で博士は少年が「死者」の霊が見える超能力を持ってきることを知る。少年は「死者」からのメッセージを伝える存在なのです。

映画の妙味のひとつは少年の「超能力」ぶりを披瀝していくこと。友人の家で死者にクロゼットに引き込まれ、いたずらされる図、学校で天井から絞首刑で吊された死体をみて「この学校は処刑場だった」と過去の因縁を透視する図などなど、最初は死者との コンタクトがいつ怒るのかという興味。突然、死体が登場するドッキリシーンも配置されている。『エクソシスト3』で、病院の廊下を霊がニューと突然通過するビックリシーンがあったけど、あれに通じる怖さも少々。ただし、中盤から少年と死者との関係は、心を癒す関係に進化していく感じで、怖さはまったくない。少年が博士と一緒に、死んだ幼い少女の葬儀に出向き、その死の真実を父親に告げる役回りになる図、元舞台女優だった死者から演技を指導してもらう図など、少年と死体の情実がからみあっていく展開だ。さすが、元スピルバーグ一家のキャサリン・ケネディの製作だけあって、全体は「感動モード」にセットされている。

僕がジーンときたのは、少年が母親(僕の贔屓のトニ・コレットが好演)と車で話すシーン。目前で事故が起き渋滞中、そこで少年が母親の過去のトラウマを透視し、ときほぐしていく。それは母親と祖母(つまり母親の母)との関係。本当に自分は母親から愛されたのか、との思いが渦まく彼女に、祖母は愛していたことを告げる。ここでの少年はまるで霊媒師。死者の気持を知りたいと思う人には、やはり身につまされるかも、ね。僕もちょっと先頃逝った母のことをダブらせて見てしまいました。

この映画の「ある秘密」を解くキーシーンは死者の存在を感じさせる寒さ。それを表現するのが「白い吐息」です。それが最後の最後で絶妙にWORKして、まさに身震いがするほど、「やられた」という感じなのです。最後の瞬間に、全体をもう一度見たくなる、という思いを監督も巧みに読み、全体をフラッシュバックしてくれるサービスも嬉しい。ま、少々平板な各エピソードがもっと練れていればとか、途中のヒントになるような伏線がイマイチ弱い(ワインセラーへ降りるドアのショットなど)とか、不満がないわけじゃない。でも、監督デビュー作としては、結構な出来ではないか、と★3つを進呈する次第です。

それと今回のブルース・ウィリスはいつもと違うDEADPAN(無表情)演技で、なかなかクールです。

YAZAKI ★★☆(99/08/30 東宝東和試写室)

まず最初におことわりしておきたいのは、「この映画は『マーキュリー・ライジング』とは違うよ」ってことです。なぜそう申すかと言えば、「ブルース・ウィリス演じる精神科医が、第六感を持つ超能力少年を必死に救おうとする」という製作段階のシノプシスを読んだとき、私自身が「それじゃ『マーキュリー・ライジング』と同じじゃん」と思ったから。でも、実際は全然違って、『シックス・センス』にアクション・シーンはありません。ここで言う「少年を救う」は、組織につかまった少年をブルース・ウィリスが身体をはって救出するのではなく、「少年の心を救う」という意味。というわけで、くれぐれもドンパチものと勘違いせぬよう、ご注意くださいませ。

じゃあ、『シックス・センス』ってどんな映画? と、聞いてくるアナタは酷な人。この映画は、ジャンルを説明するとネタをバラしちゃう恐れがあり、ネタをバラすと東宝東和の久保田嬢から出入り禁止を言い渡される恐れがある。というのはジョーダン(じゃない?)ですが、もし、「ヘタな解説に頭を汚染された状態で映画を見たくない」という人は、ここから先は読まないでもらったほうがよいかも。

母親にも言えない秘密を抱え、いつも何かに脅えている少年コール。「彼にしか見えないもの」をめぐって話が展開していく『シックス・センス』は、オカルト映画のたたずまいを持っています。これは言っても鑑賞の妨げにならないと思うから言っちゃうけど、少年だけに見えるモノの正体は、死者。自宅、元裁判所だった学校、道端。とにかく、いたるところに亡霊はさまよっていて、それが見えてしまう少年は、ときどき亡霊に話し掛けられたり襲われたりする。

かくなる少年と亡霊の関係は、少年の思わせぶりな発言や、友人宅の物置に閉じ込められた彼が傷だらけになって出てくるエピソードを通じて説明されていき、劇の半ばすぎ(ちょうど1時間たったところ)で、おもむろに亡霊が画面に登場する手法が取られています。で、映画をオカルト・ホラーとして見た場合、この亡霊がオバケ屋敷的にコワイかどうかがポイントになってくると思われるのですが、はっきり言ってコワくない。ただの「青い人たち」という印象。なぜそんな描かれ方をしているかといえば、この映画がホラーではないからです。

という言い方は、これを「スーパー・ナチュラル・サスペンス」として売ろうとしている配給会社の意図に反するものなんですけどね。でも、あえて言わせてもらえば、ホラーとして怖がろうとしている人には、SFXのタネも仕掛けも使ってないオバケたちの姿は、「なーんだ」と、ちゃっちく見えてしまうと思う。

ならば、この映画のホントの売りはどこにあるかというと、それは少年とマルコム医師の「癒しあう関係」にあるわけでして。

コール少年と同じような症状を示した元患者の自殺騒動に巻き込まれ、心と身体に深い傷を負ったマルコム。彼は、少年の治療に自信回復のチャンスと贖罪の機会を見出し、私生活を犠牲にするほどこれにかかりっきりになる。そんな彼に、だんだんと心を開いていく少年。彼は、マルコムの導きで恐怖と不安から脱する道を見つけ出し、マルコムも、少年に「癒し」を与える行為を通じて、自分自身が癒されていくのを感じる。

そんなふたりの絆をじっくり描き出していくドラマが、大詰めにきて、とてつもなく感動的なものに大変身を遂げる――というところが、この映画の最大の妙味。それはもう、出てくるオバケがちゃっちいだの何だのと文句を言ってる場合じゃないほどの衝撃度を持って胸に迫ってくるので、おおいに期待してもらってよいと思います。

早い話、この映画は、マルコムが「真の癒し」を見出す瞬間のために、すべてがあると言っても過言じゃない。ここにいたるまでのプロセスは、イリュージョンと呼んでも差し支えないくらい。

だから、私自身、「ストーリーの運びがトロトロしてる」とか、「ドラマチックな展開に乏しい」とか、「少年を霊媒として使おうとする少女の亡霊のエピソードが、幼児虐待をネタにした安手のメロドラマみたいで不快」とか、途中のパートには色々な不満を感じていたんだけど、映画の意味合いをガラリと一変させるオチの見事さに、すべて許しちゃうという気になりました。

これ以上書くと、久保田嬢から不幸のメールを送られかねないのでやめておきますが、エピソードのなかで好きだったのは、トニ・コレット演じる少年の母の「ペンダント」をめぐる話。少年と母、そのまた母親の絆が、このエピソードを通じてフッと浮かび上がってくる展開に、思わず涙がこぼれそうになりました。そう、これは怖がる映画じゃなくて、泣ける映画。そして、ファンタジー的な広がりを持つ映画です。

と、言葉で説明されたって何のことやらサッパリわからんって人は、ぜひ劇場へ。「あの一瞬」を見るだけでも、十分に入場料分の価値があると思うよ。

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