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ノッティングヒルの恋人NOTTING HILL 1999年アメリカ 監督ロジャー。ミッチェル 脚本リチャード・カーティス 撮影マイケル・コールター 出演ジュリア・ロバーツ/ヒュー・グラント/リス・エヴァンス ●123分 松竹=ギャガ=ヒューマックス配給 1999年9月上旬より丸の内ピカデリー1ほか松竹洋画系にて公開予定 世界一有名なハリウッド・スターと、旅行専門の書店を営む平凡なイギリス人の愛の行方を描いたロマンチック・コメディ。脚本&製作は、『フォー・ウェディング』のリチャード・カーティス。 |
STORYウィリアム(グラント)は、西ロンドンで旅行専門の本屋を営むバツイチ男。店と家を往復するだけの平凡な毎日を送る彼に、ある日、思いがけないハプニングが起こる。なんと世界一有名な映画スターのアナ・スコット(ロバーツ)が、フラリと店にやって来たのだ。さらに再び通りで鉢合わせしたとき、服にジュースをかけたアナを自宅で着替えさせてやったウィリアムは、彼女から優しいキスのお返しをもらう。数日後、アナの伝言を受け、取材でホテル・リッツに滞在するアナを訪ねたウィリアムは、記者たちにまぎれて彼女と再会。妹の誕生祝いのディナーにアナを連れ出すことに成功する。ウィリアムの友人たちと、楽しいひとときを過ごすアナ。ウィリアムの飾らない性格にひかれた彼女は、公園を散歩しながら彼と二度目のキスを。翌日も、ふたりは映画館でデートを楽しんだ。その晩、ウィリアムはホテルのアナの部屋に誘われるが、そこには思いがけない先客がいた。アメリカにいるはずのアナの俳優の恋人が、彼女を追ってロンドンまでやって来たのだ。ルームサービスのボーイを装い、スゴスゴと退散するハメになったウィリアムは、アナと自分の住む世界の違いを思い知らされる。 それから半年の歳月が流れた。アナのことが忘れられないウィリアムは、友人たちが紹介してくれるデートの相手にもなかなか胸がときめかない。いっぽう、無名時代に撮ったヌード写真が出まわり、マスコミに追われる身となったアナは、隠れ場所を求めてウィリアムのアパートへやって来る。傷つき、神経質になったアナを、優しくなぐさめるウィリアム。その晩、ふたりはついにベッドを共にするのだが……。 |
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SHIMIZU ★★★(99/07/05 ギャガ試写室) 久々にウォーホルの「インタビュー」を買いました。カバーがジョセフ・ファインズでして。ページを繰ると、な、なんとインタビューアーがジェフリー・ラッシュ。そうです。『恋におちたシェクスピア』と『エリザベス』で共演した俳優同士の顔あわせ。もう、廃刊になったけど「EGG」というLAの雑誌がこのノリで僕は好きだったんです。たとえば、ジョン・キャーザックとアンジェリカ・ヒューストンの「グリフターズ」コンビが車に乗ってLAをドライブしたりEATING OUTしたりね。 ま、いきなり余談ですが、先のインタビューで冒頭、ラッシュがファインズに僕らのいるところを説明してくれないかな、と切り出す。ファインズが苦笑しながら、僕らのいる場所はノッティングヒルにある僕のアパートで、僕は屋上のコンサバトリー(温室みたいなもの)にいます、なんてね。で、ファインズがジュリア・ロバーツとヒュー・グラントのおかげで不動産が高騰しちゃったと嘆くこと暫し。そう、この映画は妙に当たっちゃった(なんだかんで1億ドル突破)ので「ノッテングヒル」がすごく「IN」な場所になったというわけ。へ、映画の影響って侮れないんだね。 さて、その映画やいかに。ま、おとぎ話です。ハリウッドのスター女優アナ・スコットがロンドンの小さな本屋(旅行書の専門店)を訪れる。主人のウィリアム・タッカーはバツイチ以来、恋に慎重になった男。ふたりは偶然が重なり、あっという間に「ONE NIGHT STAND」に突入。お互いの事情が絡み、恋は紆余曲折。時をたくさん費やしかながら、恋のハッピーエンディングへとなだれ込んでいく展開です。 まず、どうしても気になるのが主役のお二人さん。とことん男運に恵まれない多情なジュリア・ロバーツと、ロスでの黒人娼婦の買春事件以来、好青年ぶりに陰りが差したヒュー・グラント。新鮮とは言いかねるお二人さん。プレスのストーリ紹介ではジュリアのパートを「世界1有名な女優」でグレース・ケリーやオードリー・ヘプバーンの再来と呼ばれる、とキャラ設定を書いているがこれは異論あり。ま、有名スターだけど、どう見ても上品さではグレースにもオードリーにも劣る。事実、レストランで一般の男どもが「アン・スコットの品定め」をするシーンがあり、彼女は男をそそる娼婦タイプ。ちょっとBITCHな女というイメージ。 片や、グラントも「前妻がハリソン・フォードに似た男を駆け落ちした」という変な前歴の持ち主。ジュリアと再会するたび「シュールだけど、素敵だ」なんて言葉を吐き、自分で赤面している変なヤツ。そういえばグラントが事件発覚後、すぐにトークショーに出演し、自分の罪を悔いている真摯な態度に米国ではすごく好意的だったのを思い出したところ。お互いスネに傷を持つ同士(劇中でも現実でも)。劇中では、ふたりの情事がバレてタブロイド紙の犠牲になったり、ジュリアの方は過去のヌード写真がタブロイド紙に売買されたり。うがちすぎかもしれないけど、映画と現実が微妙にリンクしている作劇が結構、巧みなイメージ戦略と思えた。 物語の芯は女優と恋をすることなんぞ、一般人には決して起きないことという前提から、でも、ひょっとして、「夢と現実が交錯するようなシュール」な瞬間があるかも知れないというおとぎ話。そう、仕掛けは完全に『ローマの休日』から転用したものだよね。最後も、記者会見という設定を用意してあるし。これは『ロンドンの休日』とでも呼びましょうか。 馬鹿にされようが再度(『マーサ・ミーツ・ボーイズ』同様)、言いますが、ロンドン大好きの僕にとって、ロンドンのロケを駆使しながらのスケッチの数々は、それだけで心躍ります。ノッティングヒルの街並みとかね。物語の展開が多少の嘘臭さがあってもね。ロンドンに新作のキャンペーンに来ていたアンをウィリアムが訪ねる。場所はロンドンの高級ホテルリッツ。実は僕も1度、宿泊したことのあるホテルでして、この格式に気圧されながらも「ここで『モナリザ』の撮影をしたんですね」と案内の女性に訊いたのを、昨日のことに思い出します。映画ではリッツの部屋がプレスの個別会見場。アンに記者を装い接近するウィリアムが媒体を訊ねられ、その場にあった雑誌の名を言っちゃう。それが「Horse &Hounnd(馬と犬)」というのも、英国ならではのおかしさ(この先キャンペーンで来英した俳優たちに次々にインタビューして、トンチンカンなことを訊くウィリアムの姿を追うスケッチも笑える)。 ま、ウソ臭くなりそうなジュリアとグラントをうまく支えているのが、ウィリアムの友人たち。ほどほどの距離感と適度の破滅、そして愛すべき人情。英国人気質が随所にスケッチされる図が、なんともいい。僕の大好きな『ピーターズ・フレンズ』とか『フォー・ウェディング』とか、かならず引き立て役の仲間たちに目がいってしまうけど、ここでもユニークな連中ばかり。まず、ウィリアムと同居中のむさ苦しいスパイク。デート前に、どんな文字付きTシャツ(いずれもシモネタ系の言葉ばかり)を着るか悩むGoofなお姿。『ツイン・タウン』でバカやっていたリス・エヴァンスが結構、今回は味がある。ウィリアムの妹に突然求愛され、面食らう図など、とぼけたおかしさ。ふたりのことを酒場で喋ったおかげでウィリアムのアパートにパパラッチが殺到する騒ぎになったり。スパイクはなにか『ビートルジュース』のマイケル・キートンを思わすお騒がせキャラ。 妹の誕生日にウィリアムがアナを連れていった時の仲間の反応もおかしい。証券マンのバーニーが有名女優と思わず、自分の演劇歴を披瀝して出演料はいくらなんて訊く。彼女が「500万ドル」と答えて、唖然とする図もおかしい。車椅子生活のベラ(どこかで見たと思ったら『ネイキッド』の女優で、僕には魅力的に見えた)は親友と結婚したが、ウィリアムも好きだった過去をほのめかす図もあり、この仲間たちのつながりが独特のcozyさを醸して気持ちいい。 彼らがゲームのような感じで「悲惨自慢」を競う図も英国人気質あふれるスケッチで、さりげなく各々の「傷み」をさらけ出し本音のつきあいをする感じ。そうそう、『フォー・ウィデング』でグラントが花婿の旧悪を暴露して座を盛り上げようとしていたけど、これって英国気質なんだろうね。 そんな仲間たちがウィリアムの恋の行く末を見守る。これは彼のロマンスだけじゃなく、みんなのロマンスでもあるという感じ。終盤で彼女を追うために仲間たちが一役買う暖かさも、この映画の愛すべきところです。 ジュリアが演じる女優がヘンなSFばかりでているのに突然、オスカーをとり、ウィリアムにすすめられたジェーン・オースチンのコスチュムものに出演するとか。いちいち設定が安手でヘンだったり。ジュリアのキャラが陳腐なハリウッド女優のパターンにはまりすぎていたり(彼女の恋人が暴力男優で、アレック・ボールドウィンがカメオ出演)。文句がないわけじゃないけど、ま、見たあと、なんだか騙されてもいいや、って気にさせてくれます。『オースチン・パーワーズ・デラックス』では街角で歌うミュージシャン役でカメオ出演したエルビス・コステロが、ここでは主題歌の「SHE」を聴かせてくれます。試聴用のカセットをもらって、車で聴いていますが、この歌もロマンチックで、今年の僕のお気に主題歌の一曲になりそうです。 |
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YAZAKI ★★☆(99/07/05 ギャガ試写室) 西ロンドンのノッティングヒル。そこで旅行専門の本屋を営むウィリアムの店に、いまをときめくハリウッドの大スター、アナ・スコットが、フラリと買い物にやって来る。値段の張るトルコの写真集を買おうとしたアナに、実用的なガイドブックをすすめるウィリアム。と、そのとき、万引きしようとしている客が目に止まり、ウィリアムはその客に向かって「僕があっちを向いているあいだに、本を棚に戻すか買うかしてくれ」と言う。 このオープニングのエピソードだけで、多分70%くらいの観客は、ちょっと浮世ばなれしていて飾り気のないウィリアムのことが、好きになってしまうはず(例の万引き客がアナにサインを求めたとき、「サイン本は値段が下がる」と言うのもおかしい)。彼が発しているのは「安らぎ」のオーラで、そこにセレブリティ世界の住人であるアナもひかれていく。というふたりの「運命的な出会い」の部分は、すこぶる好調。だが、これが「永遠の愛」に変わっていく中盤以降のドラマが、いまひとつ物足りない。そもそも、アナが映画スターという以外、ウィリアムは彼女のどこに魅力を感じたんだろう? と、悩むことしばし。最初はスターとのデートに夢見心地だったウィリアムが、彼女の知られざる魅力を発見し、ひとりの女性として見るようになるというポイントを欠いて流れて行く物語は、どこまでもフワフワとした実体のないラブストーリーという感じ。ま、「これは御伽噺」と、割り切って見る分にはいいかもしれないけど、ね。 『フォー・ウェディング』の脚本家の作品ということで、私がいちばん期待したのは、ウィリアムの友人たちのキャラ描写。だらしなさを絵に描いたようなルームメイトのスパイク(『ツイン・タウン』のリス・エヴァンス)、事故で車椅子の身になったベラ、その夫で苦労人ふうのマックス、アナを売れない女優だとカン違いする証券マンのバーニー、人なつっこい妹のハニー。それぞれ個性的で、英国ならではの味を感じさせるキャラだけど、いかんせん「ジュリア・ロバーツの映画」として作られた作品のなかでは、活躍の場も限られてしまう。結局、彼らの存在は、アナとウィリアムの関係をみつめる「彩り」になってしまった印象。 もともと『フォー・ウェディング』は、ヒュー・グラントたち英国人グループをメインに据え、そこにアメリカ人のアンディ・マクドウェルが異分子として関わってくる構造を持つ作品。かたや『ノッティングヒルの恋人』は、異分子のアナを中心に物語が組み立てられた作品。その構造の違いが、友人グループの扱いの差にもなっているのだとは思うが、この脚本家の腕前であれば、もうちょっと友人たちに「彩り」以上の存在感を発揮させることができたんじゃないかな。 ただ、スパイクをのぞく全員が顔をそろえるディナーのシーンは、友人たちの発散する英国流のサーカズムがスパイスとなって効いている。このシーンのハイライトは、最後に1個だけ残ったデザートのブラウニーをめぐり、みんなが「みじめ度自慢」をするくだり。「私は身体障害者で子供にも恵まれないわ。だからブラウニーは私のものよ」と言うベラを筆頭に、それぞれが、シニカルな視点で自分を語り始める。で、最後に残ったアナが、「19歳から10年間ダイエットを続け、いつも飢えている状態。男運が悪く、失恋のたびにマスコミに書き立てられる。この顔になったのは、2回の整形手術のおかげ。いまに“昔有名だった女優に似ている人”になる」と言ったところで、「有名で金持ちの彼女にも、それなりの苦労があるんだ」と、一同納得する仕組み。 こういうところから、アナもごく普通の傷つきやすい人間であることが判明していくのだけど、それがアナとウィリアムの恋愛をめぐる「心の機微」に発展していかないところが、弱いとこ。やっぱりね、デートするふたりのあいだに「発見」がないってところが、見ていてとっても歯がゆく感じられ、ラブストーリーとして食いたりない感じがしちゃうんだよね。 サブのエピソードでは、ホテルにこもってインタビューを受けるアナを、ウィリアムが訪ねて行く場面がおかしい。「ホース&ハウンド」(馬と猟犬の雑誌)の記者と名乗ってしまった手前、トンチンカンな馬の質問ばかりせざるをえなくなったウィリアムが、やり手のプロモーター女史にアナ以外の役者の取材も押し付けられてトホホとなるところは、シンプルに笑えます。アナをハリウッドから追っかけてくるスターの恋人役で、アレック・ボールドウィンがカメオ出演しているのも、お楽しみのひとつ。 舞台になるノッティングヒルは、ポートベローのマーケットが立つことで有名な場所。ごく庶民的なたたずまいを捉えた映像には、ちょっと旅心を誘われます。 |