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アンダー・ザ・スキン
UNDER THE SKIN 1997年イギリス 監督・脚本カリーヌ・アドラー 出演サマンサ・モートン/クレア・ラッシュブルック/リタ・トゥシンハム ●82分 ケイブルホーグ配給 |
| 誰からも愛されていないと思い、自虐的な行為に走る19歳のアイリス(モートン)が、喪失と苦悩の果てに自分の生き方をみつけだすまでを描いた青春作。ヒロインの姉に、『秘密と嘘』のクレア・ラッシュブルック。 | |
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SHIMIZU★★☆冒頭、若きヒロインが自分をモロ、さらけ出す感じで、Pubic Hairまるだしのボディ。不安を醸す手持ちカメラも印象的な出だし。英国の女流監督のデビュー作です。このヒロインが一筋縄ではいかない。急死した母親(あら、懐かし! 『蜜の味』の女優リタ・トゥシンハム)の愛を引きずり、母親の愛を姉に奪われていたかも、と悩む。で、そこを起点に彼女は壊れ始める。引き裂かれていく。映画の惹句にある通り、「肉体が心を裏切る」状態です。 映画はヒロイン役の新人女優の存在を、あたかもドキュメントするようなザラリとしたタッチで、男を漁り堕ちていく姿を赤裸々に活写していきます。ヒロインの毛皮つきのコート姿はまるで「娼婦」で、これでもか、これでもか、と男を求め、女友達も彼女の行動に辟易。見ている方も辟易モードに突入。さらにセックス描写がかなりハードで不快でした。彼女が街で出会った男からお小水をひっかけられるKinkyなプレーに及ぶ図は、この手のプレーにまったく興味のない僕なぞはゲゲゲッ。ヒロインの「肉体」は押し出されていくけど、全然、彼女の心持ちに入っていけない。不快が募る後半の展開です。 が、姉(『秘密と嘘』でわがままな娘役だった女優)との確執がこの映画のポイントで、ヒロインは姉との関係を通して、自分は母親に愛される存在だったと実感を獲得。次第に、いままでの垢を落とす感じで純化していきます。母親が好きだった「花」への興味(娘たちのキャラ名はいずれも花の名)を引継ぎ、へたながら「歌」にも目覚め(ギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」をパブで歌う図も印象的)自分の心と向かいあっていく終盤で、僕はほっとひと心地。どうも語り口が荒っぽいけど、ヒロイン役サマンサ・モートンの存在感でもったという印象です。余談ながら、この手の少女の不安心理を醸す独創的な作風なら、あのジェーン・カンピオン監督の初期の作品 がお薦めだね。(99/04/13 シネカノン試写室) YAZAKI★★★まともな仕事につき、まともな家庭を持ち、もうすぐ子供も産まれる……と、人並みに幸せな人生を送る姉と自分を比較し、「私は出来損ない」と思いつめる女の子が、主人公。彼女は、母親が死んでも涙を流せない。なぜなら、自分が母親に愛されていないと思っていたから。で、そんなふうに素直になれない自分がますます嫌いになり、ついには「自分は誰からも愛される資格がない」と思いこむことになる。 こういう自己嫌悪の堂々巡り状態に陥った人間が、やることといえばひとつっきゃない。徹底的に自分を痛めつけることだ。というわけで、このヒロインも、優しい恋人に別れを告げ、行きずりの男と寝るわ、クラブではじけまくるわ、と、自堕落な行動に走る。そんな人生の崖っぷちに立ったヒロインが、自分探しの旅を終えて生還するまでのドラマを、女流監督が赤裸々なタッチ(マスターベーションのシーンもあり)で描いた作品。ヒロインの「痛み」を物語る心理描写はジェーン・カンピオンっぽいけれど、どことなくマーチン・スコセッシの初期の作品を思わせる雰囲気も。とくに、母親のカツラに毛皮のカッコウで街を闊歩するヒロインの姿からは、『タクシー・ドライバー』のジョディ・フォスター(名前も同じアイリス)を連想してしまった。 主演のサマンサ・モートンは、ちょうど『あなたがいたら/少女リンダー』のエミリー・ロイドのような存在感(母親の指輪にまつわる真実を姉に告白された彼女が、姉の胸に抱かれながら「ママに会いたい」と赤ん坊のように泣きじゃくる場面が出色)。新作はウディ・アレン映画という彼女は、ひょっとすると大物に化けるかもね。(99/03/30 映画美学校試写室) |
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インディアナポリスの夏
GOING ALL THE WAY 1997年アメリカ 監督マーク・ペリントン 出演ジェレミー・デイヴィス/ベン・アフレック/レイチェル・ワイズ ●103分 アミューズ配給 |
| 高校時代、アメフトの花形だったガナー(アフレック)と、内向的で親離れのできないソニー(デイヴィス)。朝鮮戦争から帰還後、親友になったふたりの友情と恋愛、迷いと旅立ちを、『隣人は静かに笑う』のマーク・ペリントン監督が描いた青春ドラマ。 | |
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SHIMIZU★★サンダンス映画祭で評判だったというので期待大だったけど、僕にはどこまでも肩すかしの青春の旅立ちドラマという印象。朝鮮戦争からの帰還した主人公の青年が列車の中で、高校時代にアメフトの花形だった同窓生から声をかけられる。影のような存在の主人公が根からの陽性男(これがアフレック)に高校時代のスポーツ写真の腕を認めてもらい、ちょっとポジションを獲得。青春をリスタートする。 主人公は過保護な母親から逃れる術を考えてる。帰還後は、仕事にもつかず、アフレックと女遊びでうつつの日々。僕はこの主人公がどうにも好きになれない。デイヴィスという役者は、『プライベート・ライアン』での人間の嫌ったらしさといい深層心理を曝けだすキャラを得意としている。たしかにうまい。うまいけど、僕は全然魅力を感じないんだな。この俳優に見ている人間をホッとさせる、あるいは仮託したくなる、愛嬌というもんがないんだな。その野太さは、男版の大竹しのぶみたいで、僕の趣味じゃないわけ。 この男が近年のアメリカン・インディーのモンドなヒロイン、ローズ・マクゴワンとFUCK出来る設定からして疑わしい。主人公が彼女にのっかった途端、インポになっちゃうという展開も、あまりに陳腐じゃないか? 僕はかえって、映画からはみでそうな彼女の超然とした存在感に圧倒されちゃった。彼女はいまの女優中で最も異彩を放つ'90年代のヴェロニカ・レイクといったらいいすぎかしら。あとこの映画ではロクにポジションを与えられていない女優陣がなかなか濃いです。英国版の鈴木京香と呼びたいレイチェル・ワイズも曖昧なままのキャラだけど、存在感はありますね。(99/05/25 映画美学校試写室) YAZAKI−『プライベート・ライアン』で臆病な伍長を演じたジェレミー・デイヴィスが、ベンちゃん扮する学園の元ヒーローとの友情を通じて、乳離れする過程を描いた青春作。監督がMTV出身のお方なので、ベンちゃんとデイヴィスのフォトセッション場面などをアートっぽく撮っているが、50年代青春モノにつきものの胸キュンな感触はあまり感じられない。ま、平時なら友達になどなりえなかったふたりが、朝鮮戦争をきっかけに、おたがいに触発しあう関係になる――という設定はおもしろいけどね。鑑賞の日付が昨年になっているのは、ベンちゃんのフィルモグラフィを何度も書かなきゃならなかった関係で、NYにてビデオを購入していたからであります、ハイ。(98/10/31 ビデオ) |
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恋は嵐のように
FORCES OF NATURE 1999年アメリカ 監督ブロンウェン・ヒューズ 出演サンドラ・ブロック/ベン・アフレック/モーラ・タイニー ●1分 UIP配給 |
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SHIMIZU★☆はじめのほうで、サンドラ・ブロックの、魔女か、タヌキかという濃いメークを見ただけで、げんなり。これでロマンスの気分になるのかね、と暗雲たれこめる出だし。で、物語の骨格が好きになれない代物。恋の乱反射とでもよびたいまどろっこしさで、映画の核になるブロックとアフレックのケミストリーは不発。中盤、お互いの恋心をあおるのかとおもいきや、ちんまり小市民化しちゃうおふたりさん。終盤のオチなんぞには、いままでの旅はなんだったのだ、とイライラしてしまったよ。 物語自体も、どこかで見たような感じ。長い春を経て結婚を決意したカップル、その男のほうが、南部の彼女の実家で行われる挙式に向かうのだが、ハリケーンが接近し飛行機は離陸半ばで「不時着」。空港で居合わせた女と一緒にレンターカーを相乗りし、見知らぬ同士の旅が始まる寸法。レンタカーの相乗りで運転を担当した男がマリファナをやり警察の捕まるはめになるわ、乗った列車が途中で切り離され置き去りにされるわ、災難続き。次々に乗り物を乗り継いでの旅です。そう、ジョン・ヒューズの『大災難P.T.A.』の頂きなんだ、これが。しかし、最悪なのは災難じゃなくて、ふたりのドジ、マヌケに愛嬌も笑いも感じられないこと。異常にレベルが低いディテールの連発。あきれました。(99/05/25 UIP試写室) YAZAKI★☆『真夜中のサバナ』でおなじみのジョージア州サバナで行われる自分の結婚式に出席するために、NYから飛行機に乗ったベンちゃん(役名もベン)が、隣にすわった押しの強い姉ちゃん(サンドラ)と道連れになり、『大災難P.T.A.』みたいな珍道中を繰り広げるコメディであります。当然、ふたりのあいだにはケミストリーが発生。ただでさえ結婚に迷っていたベンちゃんは、「婚約者をとるか、サンドラをとるか」で悩むことになる。というあたりは、『結婚の条件』のノリもあり、「この監督はジョン・ヒューズの回し者か?」と、疑ってみたくなりました。 「そんなこと言われるなんて心外だわ」と反論しそうな監督は、現代版の『或る夜の出来事』を狙ったのでありましょう。が、いかんせん、エピソードがつまらなくて、気の利いたセリフもない。『或る夜の出来事』のカップル同様、文無しになったベンちゃんとサンドラは、夫婦を装って老人グループのバスに紛れ込んだりするのだが、だからふたりの関係がどうなるというわけでもなく進んでいくお話は、無意味なお遊びカットの連続という感じで退屈なだけ。 『チェイシング・エイミー』であれほど光っていたベンちゃんも、「一穴主義の純情ボーイ」としか肉付けされていないキャラに、生気を与えるのは無理だったよう。それ以上に魅力薄なのが、サンドラ。『恋におぼれて』のメグ・ライアンを意識したような厚化粧で登場する彼女は、「顔を洗って出直して来な」と言いたくなるほど、ビッチな印象です。彼女の売りは、好感度と頭の良さとバツグンのユーモア感覚――のはずなのに、今回はそのどれもが役に反映されていない。同じ役ばかり演じたくないのなら、ロマコメ以外のジャンルに自分の持ち味をいかせる作品を探せばよかろうに(と、今度会ったら説教してやろう)。 ベンちゃんが、飛行機の離陸前にノートPCを開いてキーボードを叩き出すという、現実にはありえない状況を平気で盛り込む無神経さも「どうしちゃったの?」という感じ。そうそう、ベンちゃんの婚約者の母親役で、元恋人グウィネス・パルトロウの実母ブライス・ダナーが出演。このジョーク(!?)がいちばんおもしろかったというのは、なんとも皮肉なオチだね。(99/05/13 UIP試写室) |
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ゴールデンボーイ
APT PUPIL 1997年アメリカ 監督ブライアン・シンガー 出演ブラッド・レンフロ/イアン・マッケラン/ブルース・デイヴィソン ●102分 松竹富士配給 |
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SHIMIZU★★S・キングの「4つの季節」をめぐるアンソロジー集の1編で、読んだ時はキラリと輝くような少年の狂気に魅せられた僕としては、映画版にも期待大。最初の少年が元ナチス将校の老人に接近、彼の過去の「記憶」を導きだしていく図は、ゲイ俳優マッケランの存在感も手伝い、結構見せます。少年が彼にプレゼントを贈るシーンが前半の見せ場。贈り物は「軍服」。「わしを苦しめるのか?」という老人の声に、少年が「ユダヤ人に比べたらたいしたことじゃない」とはねつける。弱々しいマッケランが軍服を付けるや、昔の記憶が甦り、ナチス魂がのりうつった感じで「ハイル!ヒトラー」のポーズ。「気をつけろよ、坊や。これは危険な遊びだ」。マッカランが猫をオーブンで焼き殺す。少年がバスケのボールで鳩を叩きつぶす。狂気が次第に広がる展開だが、その発展のさせ方が尻すぼみ。 映画版は妙に整理された結末に持ち込んでいて、なにかナチスもの定番の狂気の伝播というレベルに落ち着ついた感じ。原作はもっと少年の心の深くを覗くようなタッチがあったと想うけどね。これならアイラ・レヴィン原作の映画版『ブラジルから来た少年』のほうがまだましじゃないか。シンガー監督は一説にはゲイとかで、レンフロ少年がベッドでまどろむトランクス姿の裸体なんぞをなめるカメラとか、監督が趣味に走っているところもあったりして。(99/05/21 徳間ホール) YAZAKI★★バスのなかで見かけた老人デンカーが、ホロコーストの資料にあったナチスの高官であることに気づき、デンカーを脅してしつこくつきまとうようになるトッド。デンカーの弱みを握って優位に立つ彼は、ゴーマンな態度でデンカーに過去の話をしろと強要し、あげくのはてに通販で手に入れたナチスの制服を着ろと迫ったりする。が、調子に乗って学校の勉強をサボったため、成績がガタ落ち。そんなトッドの窮地に、今度はデンカーがつけこみ、トッドの祖父と名乗って教師に会いに行ったり、「彼のことを書いた日記を銀行の貸金庫に預けた」と脅して反撃に出る。そんなふたりの歪んだ師弟関係を、シンガー監督は舞台劇を思わせるノリで描いていく。英国演劇界の重鎮サー・マッケランと、独特の存在感を持つレンフロの息詰まる演技対決を、どーぞみなさん見てちょーだい、というのが、この映画の趣旨であるよう。 しかし、どうもトッドのキャラクターが釈然としない。最初、「正体をバラされたくなかったらオレの言うことを聞け」と、デンカーをジクジクといじめぬく彼は、「イヤミな優等生」に見える。度胸も満点。が、デンカーの反撃にあうや、あわてふためいて証拠を隠滅する腰抜けに変身する。ここんとこは、前半のトッドの脅迫行為が「子供の浅知恵だった」と解釈することでなんとか折り合いがつくのだけれど、またぞろ後半のトッドは、目的のためなら手段を選ばない恐怖の少年に変身する。と、この三段階の変化が、「デンカーと接触したことによってトッドの人格が変わっていく」というふうに描かれいないため、「いったいコイツはどんなキャラなの? 頭がいいの? マヌケなの?」と、見ている側が混乱しちゃうわけね。 これは、最後のトッドの恐怖の少年ぶりをプロットのドンデン返しにつなげるために生じた混乱だと思うけど、マッケランとレンフロの演技対決というキャラクター・ドラマの要素を強調しながら、主人公をつかみどころのないキャラクターに放置するのは、ちょっとお粗末な印象。時代は1984年という設定ながら、それを感じさせる味付け(音楽とか)もなく、キングの原作からは遠い感じです。(99/05/21 徳間ホール) |
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![]() photo by UIP |
ハムナプトラ/失われた砂漠の都
THE MUMMY 1999年アメリカ 監督スティーブン・ソマーズ 出演ブレンダン・フレイザー/レイチェル・ワイズ/ジョン・ハナ ●125分 UIP配給 |
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YAZAKI★★予告編を見て、「安い『レイダース』」の印象を持ったけど、本編もまったくそのとおりだった。インディ・シリーズの懐古調アドベンチャーに、『エイリアン2』あたりのホラーのノリを加え、お手軽に料理しましたという感じ。で、こんなふうに期待しないで見に行くと、それなりに気楽に楽しめる映画になってます。ま、作りはかなり荒っぽいけどね。 いちばんの見所は、砂をモチーフにしたSFX。舞い上がった砂嵐が人の顔になり、口の部分から小型機を飲み込むCGの映像は、ホントによく出来ています。砂の彼方に、ハムナプトラの全景がボーッと浮かび上がる映像なんかも、ホーッと感心する迫力。演技陣では、レイチェル・ワイズのダメ兄貴に扮したジョン・ハナ(『フォー・ウェディング』『スライディング・ドア』)が、ナイス・サポートを見せている。オーバー・アクティングなブレンダ・・フレイザーが映画の安さを助長しているにもかかわらず、そこそこの格調が保たれているのは、ひとえにハナのおかげです。(99/05/13 イマジカ試写室) |
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