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輝きの海
SWEPT FROM THE SEA 1997年イギリス=アメリカ 監督ビーバン・キドロン 出演レイチェル・ワイズ/ヴァンサン・ペレーズ/イアン・マッケラン ●114分 パイオニアLDC配給 |
| ジョセフ・コンラッドの「エミー・フォスター」を、「三人のエンジェル」のビーバン・キドロン監督が映画化した文芸作。イギリス南西部、コーンウォールを舞台に、「魔女」と噂されながら孤独に生きるヒロイン、エイミー(ワイズ)と、船が難破してこの地に流れついたウクライナ青年ヤンコ(ペレーズ)の愛の行方を描く。 | |
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SHIMIZU★★ポーランド系ウクライナ人だったジョセフ・コンラッドの短編を映画化した古典的なロマン作。僕が注目してみたポイントは「呪われた子」エイミーのエキセントリックな存在感と、彼女を生んだ風土。まず、エイミー役のレイチェル・ワイズは両親や村から疎んじられる薄倖なヒロイン像だけど、濃いめの存在感(ケンブリッジ大出身の知性が思わずこぼれちゃう)。彼女が入り江の洞窟を秘密の家にしている図など、彼女のストレンジなキャラクター付けは面白い。とにかくヒロインが住むコーンウォールの村の風土(海を臨む景観などが実に美しい!)も興味津々。多彩な配役も含め、お膳立て事態は興味ひかれた。が、彼女が「海からの贈り物」と思った漂着男ペレーズとの恋自体にもロマンの香りがしない。ペレーズをめぐる「悲劇」は現代の「移民問題」を敷衍したような設定で、どうにも僕にはピンとこなかった。ひとりひとりの思惑が意味ありげだけど、どうも興趣をそそらず。キャシー・ベイツ、マッケランらの演技派の共演も、僕には猫に小判状態でありました。(99/03/26 映画美学校試写室)
YAZAKI★★新天地アメリカを目指す航海の途中、船が難破し、ただひとり生き残ったウクライナの青年ヤンコ。異邦人の彼がコーンウォールに流れ着き、コミュニティから疎外されたエイミーと出会って結ばれるまでの話が、地主の娘(キャシー・ベイツ)と医者(イアン・マッケラン)の回想形式で描かれていく。 のだけど、この回想の語り口がとっつきにくくて、なかなか物語の中に入り込めない。しかも、唐突にエイミーの母が、彼女の出生の秘密を明かす場面なんか出てきたりして、『奇跡の海』っぽいイメージを持つエキセントリックな愛の物語が、どんどん安手のメロドラマに流れてしまう印象。 そんななかで、私がいちばんおもしろいと思ったのは、ヤンコ、エイミー、医師ケネディの三角関係。もとからエイミーを毛嫌いしているケネディは、ヤンコにエイミーと結婚したいという話を聞かされると大ショックの表情を浮かべ、さらに、瀕死のヤンコをエイミーが見捨てたと思い込んで憎悪をつのらせる。劇中、ケネディが同性愛者であることを示すエピソードは1個も出て来ないけど、どうもサー・マッケランが演じているだけで、その気配がプンプン。で、その彼が、最後、エイミーに許しを請い、自分も亡きヤンコに代わって彼女を許すと言うあたりは、死んだ男の女房と愛人が和解し、友情の絆で結ばれていくような趣。というように、ドラマに異色の色合いを与えてしまったマッケランのゲイ術パワーに、あらためて感服した次第であります。(99/03/30 映画美学校試写室) |
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セレブレーション
FESTEN 1998年デンマーク 監督トマス・ヴィンターベア 出演ウルリク・トムセン/ヘニング・モリツェン/トマス・ボー・ラーセン ●106分 ユーロスペース配給 |
| カンヌ映画祭審査員賞、ニューヨーク&ロサンゼルス映画批評家協会外国語映画賞を受賞した、29歳の新鋭トマス・ヴィンターベアの長編第二作。鉄鋼王ヘルゲ(モリツェン)の還暦を祝うパーティが催された日。長男クリスチャン(トムセン)、次男ミケル(ラーセン)をはじめ、親戚の者たちが続々と広大な屋敷に集まった。やがて始まった晩餐会で、父の過去の秘密を暴くクリスチャン。それは、数ヶ月前に自殺した双子の妹リンダの復讐でもあった……。 | |
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SHIMIZU★★☆撮影はロケのみ、カメラは手持ちカメラ、画像はカラー、SF映画などのジャンル映画でないこと。などなど「ドグマ95」という映画製作の「純潔の誓い」にのっとって作られたデンマーク映画。全編、手持ちカメラでの揺れる映像で、人間にグワーンとにじりよっていく。僕はこの三半規管を異常に刺激する映画を「船酔い映画」と呼んでおります。その総帥はこの監督の同志であるラス・フォン・トリアーで、船酔い映画の代表作はなんたって『奇跡の海』だろうね。僕は徳間ホールで見たとき、凄い船酔い状態になったもんです。 ま、それはさておき、この船酔い映画はフォン・トリアーに比べれば軽い軽い。映画のタッチもフォン・トリアーの毒気に比べると、洗練された雰囲気さえ漂う。お話自体は富豪の親父の誕生日パーティを舞台に、息子が親父をめぐる「秘密」が暴露されていく家族崩壊ドラマです。その「秘密」のあかしかたは、おおよそ推測できるものだけど、映画の組立てが手法以前にスタイリッシュにちんまりまとまっているという印象。わざわざフォン・トリアーと徒党を組まなくてもいいと思うけど、ね。(99/03/29 映画美学校試写室) YAZAKI★★☆監督のヴィンターベアは、『奇跡の海』のラース・フォン・トリアーらと共に結成した「ドグマ95」という映画監督集団のメンバー。彼らは、撮影はすべてロケーション。カメラは手持ちカメラで、フィルムは35ミリのスタンダード。人工的な照明は禁止する……といった「純潔の誓い」をたて、それにのっとって映画を製作すると決めたそう。狙いは、「シネマ・ヴェリテへの回帰」ですかね。 というわけで、全編手持ちカメラでサツエイされたこの映画、画面が揺れまくります。おまけに、人工的な照明もほどこされていないので、昼間から夜へという時間の経過と共に、画面の粒子がどんどん荒れてくる。夜中に庭で撮影されたショットなんて、思わず目をすがめてしまうくらい。で、こういう「揺れる&荒れる映像」というのは、かなり見る側の神経を苛立たせるものであり、それがドラマのトーンにマッチしているか否かという点が、評価の分かれ目にもなると思う。 私自身は、あまり「揺れる&荒れる映像」が好きではないので、そのうっとおしさに気を取られるあまり、映画の内容に集中できなかったというのが正直なところ。社会的な地位も名誉もある家長の過去の悪行が、死者(自殺した娘)によって告発されていくというドラマの構造はおもしろいと思ったけど、グータラの次男とか、黒人のフィアンセを連れてくる長女とか、それぞれユニークな設定が施されたキャラクターの葛藤にまで、グッと踏み込んで行こうという気力が起こらず。見終わったあとの感想は、ひとこと「疲れた」でした。できれば、体調が絶好調なとき、もう一度見直したい気分。(99/03/18 映画美学校試写室) |
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ハイ・アート
HIGH ART 1998年アメリカ 監督・脚本リサ・チョロデンコ 出演アリー・シーディ/ラダ・ミッチェル/パトリシア・クラークソン ●101分 キネティック配給 |
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SHIMIZU★★★見ている間、ちょっとビンビン。いろんな意味でね。レズ的な雰囲気とか、ドラッグ漬けの部屋とか、その臨場感を醸す空気が実に濃厚に捉えられている、女流監督の意欲的なデビュー作です。レズのカメラマン役のアリー・シーディが抑え目の演技なんだけど、ジワジワと画面全体を占領するようなセンシティブな存在感。彼女を起用しようとする女性編集者に心を動かしていく感じが密やかに、しかし大胆に表現されていきます。シーディがどんな作品をものするのか。その興味で映画をひっぱり、終盤、その編集者を使い、プライベート・フォトを試みるシーンは、ジワリと効いてくる。シーディがすべて曝したような、艶めかしくも切ない女性心理セッション。見終わっても、ちょっと夢に出てきそうな、女アラーキーとでも呼びたいプライベート・フォトの迫力であります。シーディと同棲中の女優がファスビンダー映画の女優だったという設定で、彼女の破滅的なジャンキーぶりも生々しかった。(99/03/10 ギャガ試写室)
YAZAKI★★★アートとコマーシャリズムの攻めぎあいの中で生きていくことに嫌気がさし、隠遁生活を送っている写真家のルーシー。「ファスビンダー映画の女優」ことドイツ人のグレタと同棲している彼女は、グレタが引っ張り込んでくる仲間たちとドラッグに溺れる自堕落な日々を過ごしている。そんなルーシーの前に現れたシドは、一流の写真編集者になろうという野心を持つ24歳の女の子。ルーシーは、シドと組んでカムバックすることに人生再出発のきっかけを見出し、いっぽうのシドも、ルーシーの芸術を崇拝する気持ちから、だんだんとルーシー本人に恋愛感情を持っていく。 というふたりの女の心模様を、微に入り細に入り描いた、女流監督のみずみずしいデビュー作。ここでポイントになるのは、やはりルーシーという女のキャラクター。シドにカムバックのチャンスを与えられたことから、再びアートの表舞台に戻ろうと決意する彼女だけど、その結果が、果たして自分にとっての「幸せ」につながるのか、彼女は確信が持てない。いまの自堕落な生活を続けていっても自分は破滅するだろうし、写真家として再び成功をおさめても、自分が新しい世界に適合できるのかという不安が残る。そんなどっちに転んでも「凶」な予感を抱えたルーシーが、シドと過ごす至福の愛の瞬間をカメラに捉えておきたいという気持ち。それが滲み出るフォトセッションの場面が、最高にエロチックです。 そのルーシーを、どこまでも「しがらみ」の世界に引きずりこもうとするグレタ。演じるパトリシア・クラークソンの退廃を一身に背負った存在感たっぷりの演技がお見事。ルーシーの死によって、シドが望んでいた以上の成功を手にするラストまで、アイロニーに満ちた展開が、不思議な余韻を感じさせます。(99/02/25 徳間ホール) |
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もういちど逢いたくて/星月童話
MOONLIGHT EXPRESS 1999年香港 監督ダニエル・リー 出演レスリー・チャン/常盤貴子/星野有香 ●107分 ソニー・ピクチャーズ配給 |
| YAZAKI★最初、ヤクザ者に見えるレスリー・チャンが、実は麻薬捜査官だったというお膳立ては、いかにも香港映画らしい設定。だけど、ノワール映画ならいざ知らず、ラブストーリーともなると、この「犯罪者、実は警官」のパターンが、筋書きとキャラクターに多大な混乱をもたらすことになる。偶然の出会いのあと、後をつけてきた瞳を、ガーボウがアパートに連れ込んで無理矢理ベットに押し倒すところからして、「この男、何者じゃ?」の面持ち。そんな彼が、囮捜査に失敗して家に転がり込んで来たところを、親切にも介抱してやる瞳も、ただのオバカな女に見えてきちゃう。中盤からは、警察に裏切り者とみなされたガーボウが、瞳を連れて逃避行を繰り広げる展開。その過程では、ガーボウも過去に婚約者を自殺に追い込み、そのトラウマを背負っていることが明かされるのだが、「だから何なの?」という感じで話がいっこうに煮え切らない。メロドラマとノワール映画の二兎を追って、一兎をも得なかったという、諺どおりの作品だね。(99/04/15 ソニー・ピクチャーズ試写室) | |
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ラストサマー2
I STILL KNOW WHAT YOU DID LAST SUMMER 1998年アメリカ 監督ダニー・キャノン 出演ジェニファー・ラブ・ヒューイット/ブランディー/フレディ・プリンゼ・ジュニア ●101分 ソニー・ピクチャーズ配給 |
| SHIMIZU★☆タンクトップのお姿など前作同様ラブちゃんの美乳への興味でみてしまった。その手のファンには今回もサービスありまっせ。で、今回の舞台はバハマの孤島で、漁用のHOOKをつけた殺人鬼が彼女たち周りに出没する展開。ますますジェーソン調の定番ホラーふうのノリで、「オマエガ去年ノ夏ヤッタコトマダシッテルゼ」というタイトルがどこで出てくるかという趣向だけが、この映画の個性、怖さという感じになっちゃった。殺される人間の数を数える暇もある程度の怖さ。(ちなみに、私めがボディカウントしたところ、最後の殺人鬼の死?を含め10体が確認されました、念のため)。今回は新顔で歌手のブロンディーが登場し、別にどーってことのないスクリームガールの仲間入り。彼らがバハマにでかけるきっかけになるラジオのクイズ。「ブラジルの首都はどこ?」。その正解がわかる人には、この映画がハナからアホらしくみえるかもね。(99/03/23 ソニー・ピクチャーズ試写室) | |