Home Introduction Current Reviews Archives Thumbs Up


試写状 クアトロ・ディアス

QUATRO DIAS

1997年ブラジル 監督ブルーノ・バレット 出演アラン・アーキン/ペドロ・カルドーゾ/フェルナンダ・トーレス ●110分 シネカノン配給
1999年6月上旬よりBOX東中野にて公開予定

1969年9月4日、独裁政権下のブラジルで自由を求める革命運動の闘士たちが、社会の注目を集めようとアメリカ大使(アーキン)を誘拐。世界に衝撃をもたらした事件を、『未亡人ドナ・フロールの理想的再婚生活』のブルーノ・バレット監督が映画化した実録ドラマ。97年アカデミー外国語映画賞候補作。
SHIMIZU★★☆今年は『セントラル・ステーション』でブラジル映画に注目したけど、これもなかなか質の高い社会派作。昔なら、イブ・モンタンを起用し『Z』『告白』『戒厳令』を手がけたコスタ・ガブラス監督の政治サスペンス群を思わす作り。ここでは誘拐される米大使に演技派のアラン・アーキンを起用して映画への求心力を作ろうとしているが、コスタ・ガブラスほどのテンポはない。誘拐する側の心理をリアルに描くあたりが特筆ものの良心作。ま、ナンパな私にとっては趣味の映画じゃないので3★をつけなかったけど、評価が高めでも不思議はありませんね。『セントラル・ステーション』のあのモンテネグロおばさんがカメオ出演しております。(99/03/25 メディアボックス試写室)

YAZAKI★★★体制に反旗をひるがえし、犯罪行為に走る集団を、「革命家」と呼ぶか「テロリスト」と呼ぶかは、それが過去の歴史となってからしか証明されないこと。ここでは、アメリカ大使を誘拐する青年たちを「理想に燃える革命家」として扱い、彼らを肯定する立場から誘拐事件の顛末を描いている。それが、「きれいごと」に見えてしまうきらいがなくもない作品だけど、「映画はしょせんフィクション」だと考えれば、こういう描き方もありだと思えます。
 誘拐された大使と、犯人たちのあいだに、たがいに一目置きあう関係が築かれていくところが、ドラマの見どころ。極限状況に置かれているにもかかわらず、どこまでも紳士であろうとする大使に、人間としての誇りを重んじる生き方を教えられる誘拐犯の青年。彼が、寝起きに銃をつきつけられて驚きのあまり失禁してしまった大使を、黙ってトイレに連れて行くエピソードは印象的。また、彼が大使を解放するとき、ネクタイをプレゼントするエピソードもグッと胸に迫ります。大使役アラン・アーキンの一世一代の名演に、☆をオマケ。(99/03/25 メディアボックス試写室)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up

試写状 クンドゥン

KUNDUN

1997年アメリカ 監督マーティン・スコセッシ 出演テンジン・トゥタブ・ツァロン/ギュルメ・テトン/トゥルク・ジャムヤン・クンガ・テンジン ●135分 東北新社配給
1999年6月下旬より恵比寿ガーデンシネマにて公開予定

ダライ・ラマ14世の即位からインド亡命にいたるまでの日々を、チベット人キャストによって描いた大河ドラマ。脚本&共同製作は、ハリソン・フォード夫人のメリッサ・マシスン。
SHIMIZU★★とにかく、曼陀羅の色彩を投影したような映像とムードたっぷりの音楽だけは買い。'70年代にドラッグ世代の連中が見ていたら、ある意味でトリップ映画として珍重されたかも。登場人物が全員、現地の俳優。それなりに現地のリアリティにこだわった演出なのだけど、なんかキャラ自体の捉え方、広がり、情感みたなものがイマイチ馴染めず、退屈しちゃった。ヘンなそっくりさん風の毛沢東も奇妙に見えたしね。同じダライ・ラマの半生記なら、『セブン・イヤーズ・イン・チベット』のほうがはるかに情感豊かで好ましい。ベルトルッチの『リトル・ブッダ』を見た時と同じ気分。天下のスコセッシも懇切丁寧に映像作りをしているけど、心持ちは単なる西洋人の東洋かぶれみたいな印象。元々はハリソン・フォード夫人で脚本家のM・マチスンが希望した企画で、スコセッシは請われて監督をしただけのようだけど。ま、R・ギアらハリウッドのダライ・ラマのシンパには大満足かも。ま、お好きなようにやってくださいという感じね。(99/03/23 メディアボックス試写室)

YAZAKI★★リチャード・ギアをはじめとするハリウッドのラマ教シンパが吹く笛に、スコセッシが踊らされて作ったかのような映画。ダライ・ラマ14世の半生を漫然と追っかけつつ、中国によるチベットの迫害をやり玉にあげた構成に、ドラマとしての面白味はまったく感じられない。宣伝の見どころにあげられた映像も、無常のイメージの作り方は、『リトル・ブッダ』のコピーとしか感じられなかったし。唯一、スピルバーグならこうなったであろうと思える「迫害された民族への同胞意識からくる押し付けがましさ」が感じられない点が、救いといえば救いか。そうそう、人間をバラバラの肉片にしてから鳥に食べさせる鳥葬のシーンは、オエッと思いつつ興味を引かれたです。(99/02/25 メディアボックス試写室)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up

試写状 ソルジャー

SOLDIER

1998年アメリカ 監督ポール・アンダーソン 出演カート・ラッセル/ジェイソン・スコット・リー/ジェイソン・アイザックス ●98分 ワーナー・ブラザース映画配給
1999年6月下旬より渋谷東急ほか松竹洋画系にて公開予定

遺伝子操作された新人ソルジャーとの戦いに敗れ、廃棄物投棄惑星に捨てられた宇宙戦の英雄トッド(ラッセル)。その惑星に住む難民たちとの触れ合いを通じて人間的な感情にめざめた彼は、人々を守るため、惑星に攻め入ってきた新人ソルジャー軍団に立ち向かっていく。『イベント・ホライゾン』のポール・アンダーソン監督による近未来SFアクション。
SHIMIZU☆カート・ラッセルのフリーズ状態の無言演技(?)に、見ているほうも語ることなし。ただただ退屈。シュワちゃんの『ターミネーター』路線の沈黙キャラのつもりかね。タフなワーキングクラスのアクションヒーローがお似合いのラッセルがイメチェンでも狙おうとして、とち狂ったとしか思えない。お話のアイデアもSFXも、いちいちレベルが低いSF作。『地獄の黙示録』みたいな、水中から頭をニューと出すショットなど、いちいち間抜け。私しゃ、疲れた。(99/03/03 ワーナー・ブラザース映画試写室)

YAZAKI★☆カート・ラッセルが演じる主人公のトッドは、人間的な感情をいっさい持たない殺戮マシンとして教育された男。そんな彼が、廃棄物として投機された惑星で難民たちと遭遇。彼らとの生活のなかで孤独や愛といった感情の芽生えを覚えつつ、『七人の侍』ならぬ「一匹侍」として屈強なソルジャー軍団に立ち向かっていくというストーリーは、ロジャー・コーマンあたりのB級映画を彷彿させるノリ。ラッセルのキャラも、一昔前のシュワちゃんとかドルフ・ラングレンとか、英語があんまりしゃべれない肉体派アクション・スターがやってた路線だし。早い話、アナクロです。ラッセルと、悪役ジェーソン・スコット・リーの対決シーンに、どしゃ降りの雨が降る演出は、もちろん『七人の侍』を意識してのことでしょうが、それとても使い古されたイメージにしか映らない。映画全体が、過去のB級SFの廃棄惑星みたい。(99/02/25 ワーナー・ブラザース映画試写室)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up

試写状 ブルワース

BULWORTH

1998年アメリカ 監督ウォーレン・ビーティ 出演ウォーレン・ビーティ/ハル・ベリー/ドン・チードル ●106分 20世紀フォックス配給
1999年6月下旬よりシャンテ・シネにて公開予定

大統領選に出馬したものの泡沫候補とみなされた上院議員ブルワース(ビーティ)は、殺し屋を雇って自らの偽装暗殺を計画。そのとたん、死を意識して開き直った彼は、突然ホンネでしゃべり出し、選挙参謀を大慌てさせる。が、これが思わぬ人気を呼び、支持率は急上昇。事態の変化に、ブルワースは、暗殺計画を中止させようとするが……。ウォーレン・ビーティが、製作・監督・脚本・主演の4役を兼ねた政治風刺コメディ。アカデミー賞脚本賞候補作。
SHIMIZU★★☆サングラスに短パンに帽子というヒップホップ調の出で立ちで、辛辣な本音演説をラップで聞かせる。ベイティ・ファンなら、ナルシスト系の彼が挑んだイメチェン演技にどう反応するやら。お話の出だしはかなり面白い。株で大損をした大統領候補の予備選出馬の上院議員が、破れかぶれになり自分の多額の保険をかけ、自分を標的にしたコンタクトキラーを依頼する。が、死を覚悟し開き直った彼は本音の演説を始め、建前の政治家に飽き飽きしていた連中の心つかみ、次第にマスコミからも注目され、自分の生きる道を自覚する。
 この死と生のアイロニーがおかしい。彼は周りに黒人の親衛隊を連れ回し、ラップ調の遊説を展開するワルノリぶり。このラップ演説は字幕だけじゃ、どうも可笑しさを伝えていないのじゃないかな。きっとネイティブの人なら、かなり笑いがくるところじゃないかな。英語力の乏しさで、それが味わえないSHIMIZUめとしては、次第に関心が壊れ行くベイティに向かっていくわけでして。ベイティのこの出で立ち、言動が作り物臭く思えてきてしまう。恐らく、ベイティの役どころは、現状をかき回し、そこになにがしかの光を当てようとうするヒーロー。ちょっと社会を斜めからみた現代のトリックスター的なキャラ。それはそれで面白いのだけど、ベイティというハリウッドのイコンみたいな人が演じるとこの壊れ方が、キャラ自体をも浸食してくる感じで、際限のない「余興」に見え始めるわけね。
 終盤の展開は現実感が希薄になり、すべてをてんこ盛りにした寓話の世界に突入。あるものを全部並べましたというバラエティショーみたいで、雑然とした余韻。ハル・ベリー演じる年若い黒人女性との「恋の気分」やら(実は裏があるのだけど)、ギャングまでも改心させるヒューマンな味やら、神的な狂言回しの黒人のホームレスおやじ、おまけにブラックなアンチクライマックスやら、ラップみたにふわふわしていて落ち着かない。ベイティの役をたとえばケビン・クラインが演じたりすると、また印象ももっと違っていたかもしれないけど。脇の俳優では参謀役のオリバー・プラットの役回りが結構笑えます。やはり、ベイティが主演した同種の風刺コメディーなら、『シャンプー』のほうが断然、僕のお気に入りであります、ハイ。(99/03/29 20世紀フォックス試写室)

YAZAKI★★☆『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』『パーフェクト・カップル』に続く政治がらみの風刺コメディ。暗殺者の正体をめぐるサスペンスの趣向や、ラブストーリーの味付けもされた作品だけど、ポイントは、やっぱりウォーレン・ビーティ演じる上院議員の口から飛び出す数々の過激発言。とくに、人種ネタはすさまじく、「ユダヤ人は白人のなかの悪魔」だの「ファックしあえばみんな同じ肌の色になる」だの、そりゃもう限りなくえげつない。そこんとこを笑えるかどうかが、映画の評価の分かれ目にもなると思う。私は、けっこう面白がって見たけれど、ブルワースみたいなバカ政治家をヒーローとしてもてはやす大衆のオバカさ加減にまで風刺の目がいたっていないところが、不満と言えば不満。それがうまく描けていたら、もう1ランク上の作品になっていたんじゃないかな。(99/03/18 20世紀フォックス試写室)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up

試写状 メッセージ・イン・ア・ボトル

MESSAGE IN A BOTTLE

1999年アメリカ 監督ルイス・マンドキ 出演ケビン・コスナー/ロビン・ライト・ペン/ポール・ニューマン ●131分 ワーナー・ブラザース映画配給
1999年6月12日より松竹洋画系にて公開予定

シカゴの新聞社で調査員として働くテリーサ(ペン)は、休暇中の海岸でビン入りの手紙を拾う。そこに書かれていたのは、いまは亡き妻に贈られた愛のメッセージ。さまざまな手がかりからビンを流したと思われる男性をつきとめたテリーサは、彼ギャレット(コスナー)を訪ねてノースカロライナへ。たちまちふたりはひかれあっていくのだが……。ニコラス・スパークスの原作を、『男が女を愛する時』のルイス・マンドキ監督が映画化したメロドラマ。
SHIMIZU★☆瓶につめた愛の手記。なんて大人のメルヘンを狙ったようなタイトル。それを今や鮮度がた落ちのコスナーが演じる、という前提からして食指が動かず。ハナから期待していなかったけど、予想以上のつまらなさ。まず、お話が思いっきり綻びているのに、それを気付かぬふりをして、主人公たちが恋にうつつ状態。とくにヒロインの新聞記者がいい加減な位置づけ。亡き妻のために密かに愛の懺悔をしていた見知らぬ人物に興味を持ち、取材を開始。案の定、ヒロインはその男に恋をする。動機が実に不純で、あさはか。相手の男も亡き妻に想いを残している。結局は彼に必要なのは新しい愛じゃなく、心の癒しというバカみたいな結論。「なにもなかったことにしよう」という感じで物語りを一掃する綺麗事のオチ。妻の絵、新しいボートなど、お話のメタファーに使う「小道具」がいちいちミエミエでクサイ。なんか、すごく子供っぽくて、恥ずかしい映画。愚直なコスナーに新しい道をつけてやろうと心をくだく洒脱な親父ポール・ニューマンが、ちょっとだけいい、といっておこう。(99/03/23 丸の内松竹)

YAZAKI★★ビン入りの手紙にしたためられた男の亡き妻への思い。それに心ひかれた女が、男との出会いを求めるお膳立ては、『めぐり逢えたら』に似たパターン。でも、こっちはぐっとシリアスな展開。新しい愛にときめく気持ちと、妻に対する断ち切れない思いのせめぎあいのなかで葛藤する男。手紙を見てやって来たことを打ち明けられず、後ろめたさを感じる女。ふたりのストイックな心情が、メンメンと描かれていく。聞くところによれば、オジサンにはウケがいい映画だそうだけど、オバサンの私は、主人公の男女に感情移入するポイントがみつからず、ケビン・コスナーのお腹の出っ張り具合に驚きながらひたすらボーッと見ていたという感じ。オヤジ役ポール・ニューマンの、ちょっとアル・パチーノが入った演技は悪くないんですけどね。やっぱ、こういう映画は、メリル・ストリープ+ロバート・デ・ニーロ級に芝居のうまい役者じゃないと、もたないんじゃないだろうか。(99/03/23 丸の内松竹)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up