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視線のエロス
LA FEMME DÉFENDUE 1997年フランス 監督フィリップ・アレル 出演イザベル・カレー ●102分 ギャガ配給 |
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SHIMIZU−フランソワの視線がカメラアイになり、ヒロインのミュリエルのみ(フランソワ役のアレル監督の顔が部分的に鏡こしに見える場面も)をモノクロで描くという独特の演出。女をなめ回すようなハ虫類的な(?)ショット、どこまでのエッチな男の口説き。荒木経惟の写真の世界を、フランス映画に置き換えたような官能私映画という趣。 たとえば、カフェで、こんなセリフ。「僕と寝たいと思う?」「独身だったら」「君に触れたい。手にさわってもいい?」「ノン」「どうして?」「奥さんは?」「関係ない」「いつか私も裏切られるのね」「残念だな。君とならステキに過ごせる、何時間でもセックスできるのに?」「秘密と嘘で固めた関係ね、そんなのイヤ」「友だちとして君の手に触れていい?君の手は感じやすそうだ。少しだけでいい」「いいわよ」。 夜のレストランで、こんなセリフ。「君に頼みがあるんだ」「言ってみて」「君のヌードが見たい」「何のため?」「見たい、それだけだ。何もしないと誓う」「バカみたい」「ごく当然の欲望さ、きみはきれいだから」「見るだけでなにもしない?」「1度でも僕が何かした?」「信じるわ」。 ミュリエル役のイザベル・カレー(撮影当時15歳だってよ! これでセザール賞候補に)がカメラ目線で、爽やかな官能を発散。結構、これがいいのです、カメラごしの監督の声は。中年男の嫌らしさをにじませながら、若い女の子を蜘蛛の糸に絡めとっていく感じだけど、次第にフランソワがミュリエルの愛に溺れていき、関係が逆転していく。いかにも男が夢想した我がままな愛の世界で、監督のナルシストぶりがハナにつくけど、カレーちゃんの、全裸ショットを含む上品な官能は魅力的だ、と思いました。(99/03/15 ビデオ) |
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シューティング・スター
LE CIEL EST À NOUS 1997年フランス 監督グラハム・ギット 出演ロマーヌ・ボーランジェ/メルヴィル・プポー/ジャン=フィリップ・エスコフェ ●90分 シネマ・パリジャン配給 |
| 少量のコカインで大金を手に入れようとして、取り引き相手のジョエル(エスコフェ)にいっぱい食わされたレニー(プポー)。いっぽうジョエルの愛人ジュリエット(ボーランジェ)は、現金の持ち逃げを試みるが、間違って麻薬入りのアタッシュケースを持ってきてしまう。殺された売人の家で鉢合わせしたふたりは、新たなヤクの買い手をみつけて大勝負に出るが……。かつて恋人同士だったボーランジェとプポーの共演による犯罪ラブ・ストーリー。 | |
| SHIMIZU★★☆コーエン兄弟とか、タランティーノとかが浸食した、フランスの若手監督によるクライムストーリー。最初、ロンドンで英語の会話。『夏物語』のプポー君が寝た女からキャッシュカードをだまし取り、トンずらする図。バックにはカディーガンズの「ラヴフール」。てな具合に、全体に無国籍的なポップな感覚が魅力です。(音楽の使い方がうまい!)。そこから舞台はフランスへ。麻薬を手にしていと稼ぎを狙うプポー君が組織のボスと取引。そのボスの情婦と出会い、あっという間にベッドイン。ベットで異常に速くイッテしまったプポー君がガッカリしている図もおかしい。監督が言ってるように、これはアクション付きのロマンチック・コメディのテイスト。恋におちて逃避行するふたりはちょっと『俺たちに明日はない』へのオマージュもあったりね。途中に絡む連中が個性的だけど、とっちらかった感じで雑然とした雰囲気。最後は「地球でもっともよく星が見える場所、チリのサン・ペドロ・デ・アタカマ」にたどり着くハッピーエンド。物語るというより、ムードで突っ走ったという印象の新感覚フランス映画ですね。(99/01/29 TCC試写室) YAZAKI★★☆「オレは負け犬」が口癖のお調子モンのチンピラと、「明日は金持ちか死人のどちらかよ」とタンカを切るヤクザの情婦が、ヤクの買い手を求めて逃避行を繰り広げるドラマは、モロに『トゥルー・ロマンス』の路線。プラス、デッドパンなギャグのかまし方は、コーエン兄弟の映画を思わせたり。フランス映画ばなれしたテンポの良さが、快感の作品です。女優ふたり(ロマーヌ・ボーランジェとエロディ・ブーシェ。私は、この娘たちの生理の匂いがムンと漂うようなやぼったさが大嫌い)が違う顔ぶれだったら、★★★つけていたかも。「ジュリエットには手を出すな。オレに愛を教えてくれた女だ。愛は透き通っている」と、妙に純粋なヤクザを演じるエコフェがいい。(99/01/29 TCC試写室) | |
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タンゴ
TANGO 1998年スペイン=アルゼンチン 監督・脚本カルロス・サウラ 出演ミゲル・アンヘル・ソラ/セシリア・ナロバ/ミア・マエストロ ●116分 日本ヘラルド映画配給 |
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SHIMIZU★★★なんと、映画の始まる前に本場アルゼンチンの、タンゴの踊り付きの特別披露試写会。『タンゴ・レッスン』でもタンゴの魅力を感じていたけれど、劇中のタンゴは本物のタンゴの世界という感じ。名前は知らないけど、その道の人間国宝みたいな踊り手が随所に登場して踊るわけだけど、その踊りの見事なこと。ウットリするほど洗練されている。タンゴ・イコール官能みたいに思っていたけど、男の踊り手には独特の渋みというか、燻し銀のような味があり、その人の人間性までににじみ出てくる感じなのね。だんご三兄弟より、奥が深い。こりゃ、見なきゃわからん。 映画自体は妻と別れたばかりの映画監督がタンゴの映画を演出することになり、スポンサーであるギャングのボスの情婦を役に起用してくれと頼まれる。『ブロードウェイと銃弾』みたいな設定だけど、このヒロインに監督が入れあげていく展開。まずカメラが動きだし(ストラーロの撮影が美しい)、セットが配置され、スタジオのみで展開するリハーサルの光景は、独特の空間演出を駆使し、サウラならではの舞台へのこだわりを感じさせるスタイリッシュな美しさ。ギャングの情婦である新人の女性ダンサーをめぐりボスとの確執が、タンゴの世界とどうからむのか。いかにも作り物的な空間がどう現実とクロスしていくのか、終幕のスリリングな展開に期待したけれど、それが同じサウラ監督の『カルメン』ほどには成功していない感じがした。やはり、僕は映画的には『カルメン』が断然好きだな。前フリでは監督自体、『81/2』をきどったような感じだけど、その結末のつけ方がなにか尻切れトンボに思えたのも、現実と仕掛けの融合がうまくいっていないからじゃないかな。(99/02/15 シアター・コクーン) YAZAKI★★★妻を若い愛人に取られた演出家が、今度は別の男の愛人を奪う格好になる。男と女の間で繰り広げられる「歴史は繰り返す」のドラマを、現実とタンゴ劇の双方を通じて描くという二重構成がミソの作品。愛や嫉妬といった現実の恋にまつわる情感を、官能的なタンゴの踊りに託して綴っていく手法が、映画の面白さの決め手になっています。劇中劇の部分に、軍事政権の恐怖の記憶が顔を出したりするところはちょいと頭を抱えちゃうけど、それもカルロス・サウラ版の『オール・ザット・ジャズ』だと思えば、「ま、いいか」という気になる。 ビットリオ・ストラーロの撮影も素晴らしい。黄昏どきのブエノスアイレスを、回転展望レストランのノリで捉えた冒頭の映像は、まさにストラーロの真骨頂。シルエットを多用したダンス・シーンも、めくるめく官能美を感じさせてクラクラきちゃう。 ひとつ疑問に思ったのは、主人公の演出家が作りあげるものが、プレス資料にあるような「タンゴ映画」なのかという点。移民に扮したダンサーたちが、地平線を模したステージの奥から登場して始まる劇(ミュージカルの「ラグタイム」にそっくり!)は、どうあっても舞台のショウにしか見えないんですけど。そこにカメラが据えられているのは、冒頭シーンと呼応した演出であり、この映画全体が巨大なメイキングである――つまり、人生のメタファーになっている、と、私は解釈したい。(99/03/02 ヘラルド映画試写室) |
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フリーマネー
FREE MONEY 1998年アメリカ 監督イブ・シモノー 出演ミラ・ソルヴィーノ/マーロン・ブランド/チャーリー・シーン ●94分 ギャガ配給 |
| SHIMIZU★★コワい看守のおやじがいる双子の娘と結婚した主人公ふたりが『明日に向って撃て!』を意識して、現金輸送列車強盗になり、そこに女性FBI捜査官が絡む。となれば、ちょっとコーエン兄弟っぽいカントリーサイドのテイスト。配役も多彩で、地と役作りが一体化したような超肥満体のブランドが画面を暑苦しく占領するわ、彼と結託した悪徳裁判官のドナルド・サザーランドが1役買うわで、重量級の脇役。映画の芯はとうの昔に旬を過ぎたC・シーンに、最近空転状態のミラちゃん。看守のブランドがシーンをビビらせる前段がそれなりにオブビートなおかしさがあるけど、全体にお話の運びにテンポもなく、イマイチ面白みがない。俳優の怪演のみが浮いて見えるという印象でした。(99/02/23 ギャガ試写室) | |
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マイティ・ジョー
MIGHTY JOE YOUNG 1998年アメリカ 監督ロン・アンダーウッド 出演シャーリーズ・セロン/ビル・パクストン/レード・セルベッジア ●115分 ブエナビスタ配給 |
| SHIMIZU★☆『キング・コング』調スペクタクル+『愛は霧のかなたに』調動物愛。市街を練り歩いて車を壊したり、観覧車によじ登ったり、オスカー候補にもなった視覚効果撮影は技術的には進歩しているんだろうけれど、『キング・コング』なんぞに興味がない私めには全体がアナクロに見えてしまい、なんでいまさらの世界。それにゴリラへのお涙頂戴的な動物愛にも辟易。期待はシャーリーズ・セロン一筋で、彼女が白ドレスでパーティ会場に登場する、ピカピカしたお姿だけが唯一のお楽しみでありました。彼女の記者会見にも行きたかったけど、凄い大女で映画で見ていた方が絵になる、と聞いて、そんなもんだろうな、とヘンに納得。(99/02/09 朝日ホール) YAZAKI★★由緒正しきディズニー映画だね。『ジュラシック・パーク』に慣らされたいまのお子たちが喜ぶかどうかはわからないけど、私が子供のころ(60年代)は、こういう映画を素直に喜んで見た気がする。なんてことを、RKOピクチャーズの電波塔マークと共に、懐かしく思い出しました。もともとのオリジナルが『キング・コング』の亜流なんだから、話のユルさは推して知るべし。LAの街中で逃走を始めた巨大ゴリラを見た人々が、「カッコいいじゃん!」という反応を見せる場面に、現代風の味付け。(99/03/31 ブエナビスタ試写室) | |