| Home | Introduction | Current Reviews | Archives | Thumbs Up |
![]() |
ヴァージン・フライト
THE THEORY OF FLIGHT 1998年イギリス 監督ポール・グリーングラス 出演ケネス・ブラナー/ヘレナ・ボナム・カーター/ジェンマ・ジョーンズ ●103分 K2エンタテインメント配給 |
|
SHIMIZU★★飛行機作りに夢中なドロップアウト気味の青年と、「体がだめになる前に人並みにヴァージンを喪失したい!」と執念を燃やす、筋肉萎縮の難病に掛かった車椅子の女の子の物語。ちょっと好感が持てそうな無邪気な雰囲気がないわけじゃないけど、設定のひねりが、逆に作りすぎの感じ。とてもじゃないが素直に見られない。ボナム・カーターの車椅子の演技は『マイ・レフト・フット』狙いミエミエで、これがどうも女優のお遊びにしか思えない。お相手がまた、私生活で恋人同士のブラナーで、お互いが物語にじゃれている感じで、見ている方がアホくさくなる感じね。 ま、難病とはいえ一人前の女と同じようなことを夢想したっていいじゃない、とお軽い調子はそれはそれでいいけどさ、彼女が自室でアヘアヘの声も高らかにポルノを凝視し母親が入ってきてもジーッとしている図は、ちょっと趣味悪いんじゃないって感じ。それほどまでしても「ヤリたいんだ」と女の性欲に想いをはせたりしてね。 でも、僕がすごく嫌だったのは、同じ障害者同士の合コンふうパーティで、あからさまに障害者を相手にする気はないと意思表示する図。なんたって、格好いい普通の男とやりたい、その一念なんだもん。で、それに答えてブラナーが一流のジゴロを買うため銀行強盗を計画し、結局はブラナーがお相手する予定通りの顛末。とてもじゃないけど、処女飛行を祝福した気にならなかったSHIMIZUであります。見た後、「これを見たら、きっと怒り出すと思うよ」とYAZAKIに吹き込んだため、彼女はパスした模様ですが、私は悪いことをしたでしょうか?ジャンジャン。(98/12/18 東宝第一試写室) |
|
Home●Introduction●Current Reviews●Archives●Thumbs Up
![]() |
パッチ・アダムス
PATCH ADAMS 1998年アメリカ 監督トム・シャドヤック 出演ロビン・ウィリアムス/ダニエル・ロンドン/モニカ・ポッター ●116分 UIP配給 |
|
SHIMIZU★★☆『レナードの朝』に続いてウィリアムスが実録医学ものに挑んだヒューマン・ドラマ。自殺未遂常習の主人公が精神病院で患者と接し、「医学の特効薬は笑いである」と悟り、心機一転、医学の道を志す設定。前日『奇跡の輝き』を見て(これも医者役)、ウィリアムス・ファンの私めも、顔をひん曲げたヒューマン系の泣き笑い演技はもう結構、と思ったのだけど、この作品を見ると、小児病棟で赤鼻にして子供たちを和ませたり、末期がん患者との交流など、永遠の人生クラウン、ウィリアムスの熱い血潮に打たれること暫し。同級生の女の子を口説くあたりの図々しさも嫌みがない。 でも、彼が学生でありながら無料医療所を開設するあたりから、物語の骨格は『陽のあたる教室』みたいな駆け足のヒューマン調なのがいいような悪いような。傲慢で冷淡な医学部長との対決ムードから、ついには医学界告発調の演説になだれこむクライマックスはちょっと美しく気張りすぎ。すごい昔の映画の良心を見たような印象。『ブギーナイツ』でゲイの撮影スタッフを演じたり、最近注目している個性派フィリップ・ベイカー・ホールが同級生役で出演。(99/02/02 UIP試写室) YAZAKI★★☆無免許で医療行為を行ったとして大学を退学処分になりかけた主人公が、公聴会で演説をぶつシーンは『スミス都へ行く』を意識したようなノリ。「死は敵ではない。病気と闘う上でのいちばんの敵は、無関心だ」と、ゴリッパなお言葉がロビンの口から次々に飛び出す。ここで、試写室の隣にすわっていたオジサンの激しいすすりあげの声が聞こえ、思わずひいてしまったYAZAKIでありました。 オジサンと違い、私が面白かったのは、ピーター・コヨーテ演じる死期の迫った患者を、ロビンが「死」にまつわるジョークを連発して笑わせるシーン(『シラノ・ド・ベルジュラック』の鼻のジョークを踏襲したパターンだね)。こういう、コメディアンの持つ自虐性や反体制の資質を、役柄にうまく重ねあわせたときのロビンの演技は絶品です。とはいえ、医学生の役を演じるには、どうひいき目に見てもロビンは老けすぎ。10年前の彼なら、ハマリ役だと思えたかもしれないけど。(99/01/22 UIP試写室) |
|
Home●Introduction●Current Reviews●Archives●Thumbs Up
![]() |
54 フィフティ・フォー
54 1997年アメリカ 監督・脚本マーク・クリストファー 出演ライアン・フィリップ/サルマ・ハエック/ネーヴ・キャンベル ●101分 アスミック映画配給 |
|
SHIMIZU★★70代のNYの伝説のディスコ「54」を舞台にした'70年代風俗グラフィティ。かなり興味のあるテーマだったけど、結論から言うと期待はずれ。最大の失敗は田舎(ニュージャージー)から都会(NY)に憧れる青年を芯にしたことじゃないか。その手の成功例では『ブギーナイツ』があるわけだけどこの映画では扇の要になる青年がモデルやら音楽業界の大物女性とFUCK三昧の図はあっても、デカチンの持ち主でもなきゃ、ある種の時代のイコンのようなカリスマ性もない。キャラが弱いわけ。彼が「54」の顔になっていく展開でどんどん先細り。俳優のせいもあるけど、脚本自体も陳腐だね。 出来事からはそれなりの「54」は見える。一般客は格好だけで門前払にする。代わりに珍奇なおばさんなどの際物がいる。時代をリードするcelebrityたち(ウォーホル、カポーティもチラリ、この辺をつつくと面白くなると思うけど、お飾り程度)がワンサカ押し寄かける。店内でのセックス、ドラッグという表層的な風俗スケッチは安手のソープオペラみたいに出てくるけど、それ以上に「54」の魑魅魍魎な部分を活写する勢いはなし。 唯一画面をさらうのはマネージャー役のマイク・マイヤーズ。ゴミ袋に入れた売上金を自宅にもってかえって、ベットに広げゲロを吐く図とか、ボーヤに「cockをじゃぶらせろ!」と迫る図とか、その面妖な人物像は強烈。乗っ取り王・横井英樹を思わす泥エビスふうの乾いた笑いは見た後、しばらく忘れなれなかった。かえって、映画全体を彼を中心にしてドロドロさせたほうが、時代のあだ花ぽさが濃密だったかも。私としては'70年代音楽が懐かしく、結構、快感。とくにミラクルズの「Love Machine」には腰が浮きました。(99/02/02 徳間ホール) YAZAKI★★ニュージャージーで『サタデー・ナイト・フィーバー』な日々を送っている主人公が、ファッショナブルな世界に憧れて「54」に飛び込んで行く。設定は『ブギーナイツ』と一緒だが、とにかく中身が希薄。いちばんの違いは、「54」や70年代のディスコ・ブームに寄せる作者の「愛」が感じられないこと。だから、描かれるエピソードがみんな「こういうことがありました」調に見えて、風俗映画に終始している印象。同様にディスコ・ブームをスケッチふうに描いた作品でも、「あの時代が、自分たちにとってどういう意味があったのか?」という検証がなされている『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』(ホイット・スティルマン監督)のほうが、全然レベルが高いです。 演技陣では、マネージャーのルベルに扮したマイク・マイヤーズがぶっ飛んだ目で怪演を見せるけど、彼の「54」に対するオブセッションが描けていないため、『ブギーナイツ』のバート・レイノルズには程遠いレベル。ちなみに、現在「54」では、ミュージカルの『キャバレー』を上演中。(99/02/10 ヘラルド映画試写室) |
|
Home●Introduction●Current Reviews●Archives●Thumbs Up
![]() |
ベイブ/都会へ行く
BABE : PIG IN THE CITY 1998年アメリカ 監督ジョージ・ミラー 出演マグダ・ズバンスキー/ジェームズ・クロムウェル/ミッキー・ルービー ●96分 UIP配給 |
|
SHIMIZU★★★1作目が大好きで、「ハム」になるしか生きる道がなかった子豚のベイブの勘違いの健闘ぶりに人間様への寓意を見る思いでしたが、この続編も想像以上に楽しめました。まず、私はベイブの、弱々しいけど無垢な子供声が好きなんですね。今回のベイブは続編の宿命で都会へ行く(『グレムリン』もそう)。農場を銀行に渡さないため、ベイブの芸でひと稼ぎ。と思ったら、「吠えれば、なんか知らないけど食べ物をもらえるんだ」と言う空港の麻薬犬に遭遇。吠えられベイブが麻薬を隠した子豚を勘違いされる出だしからおかしい。で、前回の小太りのおばさんとの二人(?)旅で、このおばさんが愛嬌たっぷり。 さて、今回の見せ場はベニスとか、いろんな街を合成したという架空の街。その空間作りがかなりいけてます。ふたりが同宿するホテルには内緒でいろんな動物たちが飼われている設定で、オラウンタン一家とか、すぐものをかじる足の悪い犬とか、それぞれのキャラに味があり、うまく物語にはまっています。ベイブが橋から宙吊りになり溺死しかけた獰猛なブチ犬を助けるシークエンスなど、動物たちの動きの楽しさはこの映画ならでは。ベイブが動物たち全員の信頼を得て「ヒーロー化」して行く図も感動的です。前作の連中では章立てごとにコーラスを聴かせる3匹のネズミ、アヒルのフェルナンドなども愉快。最後にはサスペンダーに吊られて室内をジャンプする小太りおばさんの空中大遊泳があり、ボードヴィルのような明るいノリも異色です。(99/02/08 UIP試写室) YAZAKI★★☆ロジャー・エバート先生が★★★★をつけ、ベスト10の上位に入れていた作品。最初、資料を読んだとき、田舎モンのベイブが都会の人間や動物にコケにされる話か――と、思ったけど、実際は全然違った。ホゲット叔父さんを手伝おうとして叔父さんを井戸に転落させたり、サルの芝居一座に出演しているとき火事騒ぎを起こしたり、はたまたサルの買い物にくっついていって番犬に追われるハメになったり。ここで描かれる災いのタネはベイブが自分でまいたもので、それゆえ彼は自責の念と自己嫌悪にかられる。 私は子供を持ったことがないのでよーわからんが、自分の子供時代を振り返ると、確かにベイブのように「余計なこと」をやって混乱を招き、親にしかられて自己嫌悪に陥った覚えがある。というあたりの寓意性は1作目と共通していて、今回は、子供の成長過程をベイブになぞらえて描いている感じ。その点はよく出来ている映画だと思うけど、オシャベリ動物にチンパンやオランウータンを持ってきたところで私は興が殺がれた。バヤリース・オレンジのCMみたいなんですもん。服を着た彼らは、あまりにも人間にルックスが近すぎるため、映画にキワモノ色が出てしまったように思えるのね。オランウータンが、「裸のままじゃ表を出歩けねえ」と、ダンディズムを発揮するエピソードは面白かったけど。(99/01/28 UIP試写室) |
|
Home●Introduction●Current Reviews●Archives●Thumbs Up
![]() |
微笑みをもう一度
HOPE FLOATS 1998年アメリカ 監督フォレスト・ウィテカー 出演サンドラ・ブロック/ハリー・コニック・ジュニア/ジーナ・ローランズ ●112分 20世紀フォックス配給 |
|
SHIMIZU★☆正直、もう、どんなディテールがあったかなんて忘却の彼方。とは言え、冒頭のつかみだけはクッキリ。ブロックが親友のロザンナ・アークエットとタブロイド系のTVトーク番組に登場、親友に夫と不倫していたことを暴露され、ガーンときちゃう。ハワイなんぞへ行くと、必ずこの種のタブロイド系のTV番組を見ている私としては、「この手のことはアルアル」とニンマリして見ていたんだけど。その後のブロックの煮え切らない態度に娘や母親が絡むダレた展開、だめ押し的にコニック・ジュニアの魅力のない恋人キャラ。へんにブロックの「生き方」にはまりこみ、深刻ぶった『愛と追憶の日々』テイストふうで、ロマンの気分はなし。ブロックは『あなたが寝ている間に…』がよかった程度で、ことごとく不発じゃない?(98/07/14 20世紀フォックス試写室)
YAZAKI★★★夫の浮気を知って不幸のどん底に突き落とされた女の再生物語。主人公のバーディは、高校時代「学園の女王」だっという設定で、夫になった男もアメフト部のヒーロー。故郷のみんなから理想のカップルと思われていただけに、テレビで浮気告白されて実家に戻らざるをえなくなった彼女は、「穴があったら入りたい」心境のままベッドで泣き暮らす日々を送る。彼女が悲しいのは、夫に浮気されたためじゃなく、夫に愛されなくなった自分に自信をなくしてしまったから。「昔の私はあんなに輝いていたのに、いまの私は手に職もない中年のオバサンだわ」と。そんな女の心境を、サンドラ・ブロックがものすごく巧みに演じています。 母親役のジーナ・ローランズ、娘役のメイ・ホイットマンも達者で、サンドラとホイットマンの親子ゲンカにローランズが口をはさみ、反対に「ママをどならないで!」とホイットマンに言い返される場面などは実にリアル。高嶺の花のバーディに憧れ続けていた同級生役のハリー・コニック・ジュニアが、ゆっくりゆっくり彼女の心を開いていく図も微笑ましい。地味な映画だけど、とてもていねい作られていて、私は好きです。映画の冒頭で、バーディが親友と夫に浮気を告白されるTV番組のモデルになっているのは、「ジェリー・スプリンガー・ショー」。酒場のシーンでホンモノがチラっと映るよ。(98/07/14 20世紀フォックス試写室) |
|