Home Introduction Current Reviews Archives Thumbs Up


試写状 愛する者よ、列車に乗れ

CEUX QUI M'AIMENT PRENDRONT LE TRAIN

1998年フランス 監督パトリス・シェロー 出演ジャン=ルイ・トランティニャン/シャルル・ベルリング/ヴァンサン・ペレーズ ●120分 コムストック配給
1999年3月よりル・シネマにて公開予定

画家(トランティニャン)の葬儀に出席するため、リモージュ行きの列車に乗り込んだ近親者たち。夫婦仲が危機にある者、同性の恋人と倦怠期を迎えた者――2日間に繰り広げられる人間模様を、『王妃マルゴ』のパトリス・シェロー監督が描くアンサンブル・ドラマ。
SHIMIZU★☆「愛する者よ、列車に乗れ」という遺言に従い、故人ゆかりの人が列車に乗り彼の葬儀にでかける設定は大いに興味惹かれる。列車がメタファーで、人間群像が展開すると思いきや、列車内がお話だけでじゃなく、映画の運びとしてもカオス状態。焦点定まらず、疲れる演出。早く列車から降りたくなる。わけありの関係者が故人との関係をあきらかにする展開だが、性転換したヴァンサン・ペレーズのおかしな女装ぶり(入浴シーンも艶やか)と、最後で故人の墓地を俯瞰したヘリショットが妙に開放感があるな、とへんなところに感心したのみ。僕の大好きな「アイ・ウィル・サバイブ」の変奏ロックバージョンなど、音楽が妙にうるさいのも気になった。(98/11/26 TCC試写室)

YAZAKI★★「オエッ」と、いきなり乗り物酔いの気分。列車は揺れるわ、手持ちカメラはグルグルするわ、登場人物はしゃべりまくるわ、音楽はうるさいわで、一刻も早く映画の喧騒状態から抜け出したいと思った。あっと驚く女装で登場のヴァンサン・ペレーズに、エキセントリックなオバサンをやらせたら最近右に出る者のないヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。役者全員のハイ・テンションな芝居も、映画に入り込めない者にとっては集団ヒステリーに見えるばかり。死者を偲ぶ旅に出た面々が、生と性をめぐる葛藤を繰り広げる話のモチーフは理解できるけど、それをここまで騒々しく料理する必要がどこにあるのか、私にはサッパリ理解できんぞ。(98/12/09 メディアボックス試写室)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up

試写状 自由な女神たち

POLISH WEDDING

1997年アメリカ 監督・脚本テレサ・コネリー 出演レナ・オリン/ガブリエル・バーン/クレア・デーンズ ●106分 東北新社配給
1999年2月下旬よりシネ・ラセットにて公開予定

15歳のハーラ(デーンズ)は、デトロイトに住むポーランド移民一家の長女。愛人を持つ母(オリン)と、そんな母に何も言えない父(バーン)の生活を見てきた彼女は、この狭い世界から抜け出したいと思っていた。が、ハンサムな警官の誘惑に負けて妊娠。これをめぐって、家族にひと騒動が起こる。
YAZAKI★★「ポーランド移民の暮らしぶりを学ぶ」というスタンスで見るのが、正解と思える映画。鶏の血のスープ、ロールキャベツ、極太ソーセージにお団子……と、食卓に並ぶメニューはエスニック・テイスト満点だし、レナ・オリンが巨大なピクルスをガリガリやる図もおかしい。ただ、女性映画として見た場合は、「なんじゃこりゃ?」の世界。母親のようになるまいと心に誓っているクレア・デーンズが、モロに親と同じ「できちゃった結婚」の道を歩んでいく。あたかも、それが我々の身の程にあった幸せでございますという描き方には、ちっとも共感を誘われない。デーンズ嬢には、旧世代の鎖を断ち切り、己の人生を開拓していく勇気を持ってほしかったです。(98/11/27 メディアボックス試写室)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up

試写状 SAFE

SAFE

1995年アメリカ 監督・脚本トッド・ヘインズ 出演ジュリアン・ムーア/ザンダー・バークレー/ピーター¥フリードマン ●119分 ユーロスペース配給
1998年3月中旬よりユーロスペースにて公開予定

ロサンゼルス郊外で裕福な生活を営む主婦キャロル(ムーア)は、ある日突然、化学物質過敏症の発作に見舞われる。身の回りのあらゆるものに敏感に反応し、もはや日常生活が立ち行かなくなった彼女は、同じような症状の患者が暮らすコミューンに移住するのだが……。『ベルベット・ゴールドマイン』のトッド・ヘインズ監督によるカルト作。
SHIMIZU★★☆排気ガスからヘアスプレーから室内のペンキから、とジワジワ環境汚染が体に浸食しているという不気味な感触を主婦ムーアを通して見せていく中盤まではかなり面白い。静寂感あふれるフルショットの室内の演出にムーア独壇場の心理演技。時代は80年代の設定だが、乾いたSFチックな雰囲気。その不安を癒し「SAFE」な世界を求めるカルト的なコミューンでの後半部分がお話としては手詰まりでもどかしい。でも、死んだ患者が作った円形のカプセルハウス(?)といい、不安を醸すクールな演出は独特。好きな人はハマるかも。(99/01/13 映画美学校試写室)

YAZAKI★★自分の周囲にあるさまざまな物を受け入れられない体質になる――つまり、物質文明の世界で生きていけなくなってしまったヒロインが、自分のクラスを特定していたモノという拠り所を失って、「私っていったい何だったの?」という状態に陥るお話。彼女は新興宗教めいたコミューンに救いを求め、そこで「自分を愛しなさい」という治療をほどこされていく。で、「きれいな服も化粧もしてないけど、私は私よ」と、ドーンと胸を張る境地に達するかといえば、そういうことにはならず、映画はどんどんインインメツメツとした抹香臭い方向へ。身体に毒なモンが大好きで、胡散臭い宗教が大嫌いなYAZAKIは、やたら頭でっかちなこの映画にこそ、アレルギー反応を感じてしまった。(98/12/14 映画美学校試写室)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up

試写状 バンディッツ

BANDITS

1997年ドイツ 監督カーチャ・フォン・ガルニエ 出演カーチャ・リーマン/ヤスミン・タバタバイ/ニコレッテ・クレビッツ ●109分 シティ出版配給
1999年3月13日より渋谷パルコSPACE PART3にて公開予定

女性刑務所でバンドを結成したエマ、ルナ、エンジェル、マリーの4人組。警察のパーティに出演することになった彼女たちは、チャンスを得て逃亡に成功するのだが……。ドイツで100万人を動員したバンド&ロード・ムービー。
SHIMIZU★★☆脱走した女囚たちのロックバンドが人気を呼ぶ設定。映像と音楽をスピーディーに切り刻み見せる手口はモロ、MTV。最初はこれが無茶苦茶気持ちいい。女囚のキャラも悪くない。★3つにしてもいいか、と思ったが、その気持ちが萎えてくる女囚たちの事情説明。映像がイメージ映像と現実のチャンポンで、その事情を語れば語るほど嘘臭い。ま、それでも秘密のコンサートシーンとか音楽をからめたシーンは、楽しめない訳じゃないので1/2はオマケ。実は僕はドラマー役の女優が気に入ったのです。(98/12/18 TCC試写室)

YAZAKI★★結婚詐欺のエンジェル、強盗のルナ、夫を毒殺したマリーに、自分を流産させた男を射殺したエマ。それぞれに個性的な刑務所バンドが脱走をくわだて、有名人になりながら逃亡をはかる。そんなドラマから、女たちが抱えた人生の瑕が浮かび上がり、友情に昇華されていく趣向の作品。イキのいい映画であることは認めるけど、MTVやビートルズ映画のタッチで攻めた映像と、ドラマ部分のシンネリしたムードがうまく折り合っていない感じ。ラストも、結局『テルマ&ルイーズ』に落ち着いちゃって、「それしかなかったの?」という印象。刑務所のシーンから、ずっとくすんだトーンで統一されていた映像が、4人がテレビ局の屋上で演奏するシーンでパーッと青空に切り替わりる部分の、開放感の出し方はウマイなと思った。(98/12/10 TCC試写室)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up

試写状 フェアリーテイル

FAIRY TALE : A TRUE STORY

1997年イギリス 監督チャールズ・スターリッジ 出演フロレンス・ハース/エルザベス・アール/ピーター・オトゥール ●98分 パイオニアLDC配給
1999年3月より銀座テアトル西友にて公開予定

ふたりの少女が撮影した写真に、妖精が写っていた! イギリス中を騒然とさせた第一次世界大戦中の実話をもとに、「信じる心」の大切さを描いたファンタジー。コナン・ドイル卿にピーター・オトゥール、魔術師フーディーニにハーベイ・カイテル。
SHIMIZU★★「好きなテーマじゃないの?」とYAZAKIに言われたけど、ハイ、確かに妖精やらファンタジーが大好きなのですが、いまいちのれなかった。問題は話の運び。有名な「妖精目撃事件」を下敷きに(後年インチキと分かったそう)少女ふたりが目撃し写真に撮った「妖精」をめぐる騒動を描いた内容。「妖精」などは頭のなかにいてこそ、夢も希望もあると思う私めには、大槻教授対某編集長のUFO論争につきあわされたような気分で、少女たちの裏庭で遊ぶ「妖精」たちの姿が次第にフリークぽく感じられてきたりして。それよりフーディーニとドイルが事件に興味を示す時代考証的な雰囲気が面白い。妖精の出る裏庭とか、妖精の本場・英国らしい映像が随所にあり、映像の作り方は充実。念のため。それにしても、カイテルとオトゥールの共演とはすごい贅沢な脇役。さらに最後に少女のもとに帰ってくる父親があっ驚く大物スターというお楽しみも。製作が「アイコン・プロ」といえば、映画通には分かってしまうかな。(98/12/15 映画美学校試写室)

YAZAKI★★メル・ギブソン率いるアイコン・プロの作品で、ギブソンも1シーン、カメオ出演しております(って、上記SHIMIZU氏のナゾナゾのネタばらしだね)。元になったのは有名な実話で、偉大なるマジシャンのフーディーニや、シャーロック・ホームズの生みの親コナンドイルも、妖精写真を撮った少女とからんでくる。その物語の仕立ては面白いが、途中、やけに写実的なタッチで妖精たちが登場する点は興ざめ。もしも妖精を出すのなら、ドラマのクライマックスに満を持してというのが、正解だったのでは?(98/12/09 映画美学校試写室)

HomeIntroductionCurrent ReviewsArchivesThumbs Up