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試写状 アイ ウォント ユー

I WANT YOU

1998年イギリス 監督マイケル・ウィンターボトム 出演レイチェル・ワイズ/アレッサンドロ・ニヴォラ/ルカ・ペトルシック ●87分 アスミック配給
1998年12月よりシネスイッチ銀座にて公開予定

『ウェルカム・トゥ・サラエボ』のM・ウィンターボトム監督によるノワール・サスペンス。港町ヘブンで姉と暮らすホンダ(ペトルシック)は、母を亡くして以来口をきかなくなった難民の少年。年上の美容師ヘレン(ワイズ)に憧れる彼は、ヘレンの父が、彼女の恋人マーティン(ニヴォラ)によって殺された9年前の事件を知るのだが……。
SHIMIZU★★☆期待半分、不安半分で見たウインターボトムの新作。ムード映画ですね。映像はキェシロフスキーのカメラマンで、フィルターをかけたスタイリッシュな映像が目を引く。盗聴少年など意味ありげなキャラ満載。でも、最初は焦点が定まらない人間模様で、中盤からこれはファム・ファタールを芯にしたノワール・ムード(劇中『レッド・ロック』と『蜘蛛女』の映像引用)じゃないかと思った。ムードは濃厚なんだけど、その先はよくみえない。ヒロイン役のレイチェル・ワイズは終幕にいくにしたがってニューロテックな雰囲気で圧倒的な存在感、ちょっと生唾がでました。(98/10/16 ヘラルド映画試写室)

YAZAKI★★☆舞台は、ヘブン(天国)という名の町。ここで父親殺しの事件があったというのは、『地獄の逃避行』を思わせるお膳立て。でもって、口をきかない代わりに音のコレクションをするボスニア難民の少年のキャラには、かすかにケン・ローチ先生の香りがしたり。私好みの要素が色々ぶちこまれてる映画なんだけど、どうもあまり好きになれない。感触としては、『ブルー・ベルベット』みたいなデビッド・リンチの路線を狙ったんじゃないかと思えるフシもあったりね。でも、リンチほどの際立った色があるわけじゃないし。ウィンターボトムって、どういう世界観を持っている人なのか、いよいよわかんなくなってきたぞ。(98/09/24 徳間ホール)

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試写状 女と女と井戸の中

THE WELL

1997年オーストラリア 監督サマンサ・ラング 出演パメラ・レイブ/ミランダ・オットー/ポール・チャブ ●102分 アスミック配給
1999年1月下旬より恵比寿ガーデンシネマにて公開予定

広大な農場で父と暮らすヘスター(レイブ)のもとに、家政婦として若い娘キャスリン(オットー)がやって来た。次第に親密になったふたりは、ヘスターの父の死後、農場を売って豪遊生活を送る。が、ある晩、キャスリンが男を轢き殺す事件が起こる。死体を涸れ井戸の中に隠すヘスター。時同じくして、家の中に隠してあった金が何者かに盗まれたことが発覚する……。『オスカーとルシンダ』のローラ・ジョーンズの脚色を、オーストラリアの女流サマンサ・ラング監督が映画化したサスペンス。
SHIMIZU★★プロローグのダンスシーンが物語の中盤の車の事故シーンとリンクするまでの、なにかありそうという雰囲気は興味津々。孤独な中年女とプータローの娘との関係はロージーの『召使い』の女版のような雰囲気。でも、事故をおこし被害者の男を井戸に捨てたあと、どうなっちゃたの、というぐらい「井戸」がワークしていない。わざわざ「井戸」をメタファーぽく演出しているのだから井戸の「闇」から、もうひとひねりして「心の闇」を見せてもらいたかった。我が愛する豪州作だけど、今回はどーも? 中年女性役のレイブは結構、よかったけど。(98/10/16 メディアボックス試写室)

YAZAKI★★世の中の幸せから見放されたような孤独な中年女が、若いプータロー娘にレズっぽい感情を抱いていく展開はユニーク。でも、モチーフになる「井戸」の使い方が、ちっとも面白くない。ひとりの女は井戸に秘密を埋めようとする、もうひとりは井戸から秘密を暴こうとする――ってな具合に、「井戸」をめぐって女ふたりのポジションに何かが起こってこそ、ドラマってもんでしょ。『エンジェル・アット・マイ・テーブル』『オスカーとルシンダ』のローラ・ジョーンズに注目していただけに、この脚本の出来にはガッカリ度も高かったです。(98/09/08 ヘラルド映画試写室試写室)

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試写状 ガッジョ・ディーロ

GADJO DILO

1997年フランス=ルーマニア 監督・脚本トニー・ガトリフ 出演ロマン・デュリス/ローナ・ハートナー/イシドール・サーバン ●100分 日活配給
1999年1月下旬より銀座テアトル西友ほかにて公開予定

晩年の父が愛聴していたロマの歌い手を探しに、ルーマニアへやって来たフランス人青年ステファン(デュリス)。ある晩、酒に酔ったロマの老人と意気投合したことをきっかけに、彼らの村で暮らし始めた彼は、ダンサーのサビーナ(ハートナー)とひかれあっていく。ロカルノ国際映画祭銀豹賞はじめ、各国の映画祭で8つの賞を受賞した、トニー・ガトリフ(『モンド』)監督作。
SHIMIZU★★★☆冒頭、幻のロマ(ジプシー)歌手の歌声を求めて雪のルーマニアまで来たフランス青年(『青春シンドローム』のトマジ役だった、フランスのブラピという感じのデュリス)が歌を聞きながらぐるぐる回る。ジプシーの自由な心に憧れるヨーロッパ人のメンタリティーを感じさせる興味深い1作です。主演のふたり以外は実際のロマだけど、ドキュメントという感じじゃない。随所に詩を感じさせる散文的ドラマ。おじさん役のロマは役者かと思うほどの存在感で、彼の弾く哀愁のバイオリンがまたジーンとくる。僕が好きだった『モンド』の監督で、短いシクエンスを重ねていく演出。とにかくジプシー音楽が魅力的。最後で青年がロマの心を獲得したような解放感とロマ女性の微笑み。いいです。これ。男をガブリと咬む激しく奔放なヒロイン役のローナ・ハートリーが魅力的で、僕は彼女を「愛を咬む女」と名付けました。(98/11/10 メディアボックス試写室)

YAZAKI★★☆フランス人の青年が放浪し、放浪の民シンティロマが彼を村にひきとめようとするという、逆パターンがユニークな作品。描かれるシンティロマの世界がステキ。彼らは周囲から偏見の目で見られながらも、確固たるコミュニティを築いている。すごく解放感に満ちたおおらかな環境。そこに、音楽と愛を媒介にして、どんどんハマりこんでゆく主人公のステファン。ちょっと『ダンス・ウィズ・ウルブス』を思わせるパターンだね。それはそれでロマンいっぱいでよいのだが、いまひとつ小粒。このジャンルの私のイチオシは、ファンタジックでリアルで物悲しくて、強烈なカルチャーショックを味わわせてくれた『ジプシーのとき』(エミール・クストリッツァ監督)だな、やっぱり。(98/10/20 メディアボックス試写室)

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試写状 マイ・スウィート・シェフィールド

AMONG GIANTS

1998年イギリス 監督サム・ミラー 出演ピート・ポスルスウェイト/レイチェル・グリフィス/ジェイッムス・ソーントン ●92分 シネカノン配給
1998年12月中旬よりシネ・ラ・セットにて公開予定

『フル・モンティ』の脚本家サイモン・ボーフォイの処女作を、テレビ出身のサム・ミラー監督が映画化。舞台は、北イングランドの鉄鋼町シェフィールド。失業中のレイ(ポスルスウェイト)は、仲間と共に鉄塔のペンキ塗りの仕事を引き受ける。これに参加を申し出たのが、オーストラリアからやって来たロッククライマーのジェリー(グリフィス)。作業をすすめるうち、レイとジェリーはひかれあっていくが……。
SHIMIZU★☆『フル・モンティ』と同じ脚本家の作品ときいて期待大でしたが、主演のピート「ブラス」おじさんのちんちんまるだし全裸(これがヘン)があった点をのぞけば、『フル・モンティ』の愛すべき余韻は皆無。電力鉄塔のペンキ塗りの仕事にありついたワーキングクラス連中の人間模様かと期待したけど、中年男と豪州から来たバックパックの漂泊女との愛がぐじゃぐじゃ続くだけで、実に難儀な映画でした。孤独感ひしひしだが、そのもって行き場がない、手詰まりな展開でした。(98/11/09 TCC試写室)

YAZAKI★☆鉄冷えの町で、やっとありついた鉄塔のペンキ塗りの仕事。妻子に愛想をつかされ、若い男の子と同居しているピートおじさんは、同じく仕事にあぶれた仲間たちを引き連れて今日も現場へと向かう。おお、由緒正しきワーキングクラス・ムービーか、と思いきや、これがとんでもない食わせモノ。おじさんと恋に落ちるのが、流れ者の女という設定は目新しいが、いかんせん、この女がおじさんのどこにひかれ、ふたりのあいだにどんな類の愛が通い合うのかがサッパリわからん。素っ裸のふたりが、給水塔の水を浴びながら「愛してる!」と叫びあう場面のスローモーション映像に、あたしゃ目がテンになりました。(98/10/01 シネカノン試写室)

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試写状 ロスト・イン・スペース

LOST IN SPACE

1998年アメリカ 監督スティーブン・ホプキンス 出演ウィリアム・ハート/ミミ・ロジャース/ゲイリー・オールドマン ●131分 日本ヘラルド映画配給
1998年12月より松竹・東急洋画系にて公開予定

60年代の人気TVシリーズ『宇宙家族ロビンソン』を、現代ふうにアレンジした映画版。2058年、宇宙への移住計画のパイオニアとして、地球をあとにしたロビンソン博士(ハート)とその一家。だが、反乱軍のスパイ(オールドマン)が宇宙船に破壊工作を仕掛けたことから、彼らは宇宙で迷子になってしまう。
SHIMIZU★★はっきりいって、この切れ目のない物語についていくのが大変。昔『宇宙家族ロビンソン』を見ていた僕にはどこがリメークかと戸惑うばかり。オリジナルののどかさがなつかしいなんてね。'90年代だから当然か。でも、そもそも物語の核が興味をそそる代物じゃないし、悪役のオールドマンもやりがいなし。SFXは『スター・ウォーズ』ふうのシーンがあったり、マニアは喜ぶかも。あと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の逆版みたいな父と老いた息子が涙の対面をするひねった設定は面白とおもったけど。(98/10/27 ヘラルド映画試写室)

YAZAKI★★仲良し家族が主人公のTV版と違い、こちらのロビンソン・ファミリーは、親は子の気持がわからず、子は親の愛に飢え……という崩壊家族。そんな一家5人が宇宙で迷子状態のピンチを切り抜けていくうち、結束を取り戻して行くところがミソという映画。ちっともかわいくない宇宙サルとか、ちっともコワくない宇宙クモとか、ま、いろいろと出てまいります。クライマックスにはタイムマシンも登場し、息子が父の命を救う感動オチが用意されている。が、時間を逆戻りすることができるなら、なぜ一家が地球を旅立つ前に戻らないんだろう? と、ラストで頭をひねった私はひねくれ者? 子供のころファンだったアンジェラ・カートライト(TV版の次女役)が、TVレポーター役で出ていたのが懐かしかった。(98/09/21 ヘラルド映画試写室)

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