| Current Reviews | Archives | Thumbs Up |
![]() |
ナッシング・トゥ・ルーズNOTHING TO LOSE 1997年アメリカ 監督・脚本スティーブ・オーデカーク 撮影ドナルド・E・ソーリン 出演ティム・ロビンス/マーティン・ローレンス/ジョン・C・マッギンリー/ジャンカルロ・エスポジート/ケリー・プレストン ●98分 ブエナビスタ配給 1998年5月より渋谷東急ほか松竹・東急洋画系にて公開予定 妻の浮気を知ってヤケになったヤッピーが、自分を襲った強盗とコンビを組んで金庫破りを決行! 『ショーシャンクの空に』のティム・ロビンス、『バッドボーイズ』のマーティン・ローレンス共演のコメディ。 |
STORYニック・ビーム(ロビンス)は、ロサンゼルスの大手広告会社の重役。仕事は順調、愛妻アン(プレストン)との家庭生活も円満。ハッピーな人生を満喫していた彼だが、突然、絶望のどん底に突き落とされる日がやって来る。会社から早めに帰宅したニックが目撃したのは、ベッドで絡み合う男女の姿。しかも、居間のテーブルには、虫のすかない上司のカフスボタンが……。妻の裏切りにショックを受けたニックは、放心状態で車を走らせる。と、信号待ちの最中、運転席の窓に黒人の男の姿が。彼ポール(ローレンス)に、「金を出せ」と銃をつきつけられたニックは、「お前も間の悪いところに現われたな」と、彼を助手席に乗せたまま車を急発進させる。さらに、目当ての財布を窓から投げ捨てるニックのキレっぷりに、ポールはアゼン。強盗するはずが、誘拐されてしまうなんて! そのままふたりがたどりついたのは、アリゾナの砂漠。ようやく冷静さを取り戻したニックは、帰りのガソリン代もないことにハタと気がついた。優位に立ったポールは、ガソリン代はオレが持つから家に帰してくれと取り引きを持ち掛ける。それを承諾したニックが車で待っていると、なんとポールがガソリンスタンドで強盗を働いているではないか! かくして強盗の共犯者になってしまったニック。ならばいっそのこと、と、彼の頭にあるアイデアが浮かぶ。それは、妻を寝取った憎き上司の金庫から、金を強奪しようというもの。ロサンゼルスに戻ったニックは、ポールを相棒に深夜の会社に忍び込むのだが。 |
|
SHIMIZU ☆(98/03/12 ブエナビスタ試写室) 「失うものはなんもない」ってタイトルだから、言わしてもらうが、これはとてもじゃないけど笑えないコメディ。ティム・ロビンズも、なんでこんな映画に出たわけ、とこの人の感性を疑いたくなった。彼には「失うものがおおかった映画」じゃないかな。 ま、妻の浮気を偶然目撃したという設定から、わたしゃ、最後まで読めちゃった。話の仕掛けがいちいち甘いのよ。自棄になったティムが放心状態でクルマをとばすと、途中で黒人の強盗にであう。その強盗君がにわか強盗で実は技術がしっかりしているけど、職にありつけない可哀想な奴という展開で、BUDDY映画へとなだれこみます。この黒人役の俳優(名前もいいたくない!)がとにかく、やかましい。黙れ、といいたくなるオーバーアクトなのよ。これじゃ、ティムの演技も調子わるくなるわ。 途中で似たものの白黒強盗コンビのパートも極めてイージーで、話は盛り下がる一方。監督は脚本を売り込み、ついでに監督デビューもしたお方。この監督が劇中警備員役で深夜のオフィスで踊るシーンを見りゃ、ただの無能なお調子者だとわかるけどね。一番おかしいギャグは、最後のクレジットのあとで、ふたりが押し入ったガソリンステーションのおんちゃんのもとに、盗んだ金が郵便で届くオチくらい、かな。 |
|
YAZAKI ★(98/02/10 ブエナビスタ試写室) ベビー・フェイスのトール・ガイ、ティム・ロビンス。『ボブ・ロバーツ』『デッドマン・ウォーキング』と、監督作のほうは社会派ノリで攻めてる彼だけど、出る映画は出世作の『さよならゲーム』を筆頭に、お笑い系のものが多いというスター。その彼が、『バッドボーイズ』の口八丁野郎マーティン・ローレンスとコンビを組んだ、いわゆるひとつのバディ・ムービーであります。 監督は、ジム・キャリーの『エースにおまかせ!』でデビューしたスティーブ・オーデカーク。もともとキャリーも出演していた「イン・リビング・カラー」のコント作家だった人で、その前はスタンダップ・コメディアンをしていたという経歴の持ち主。今回は、ロビンスとローレンスが金庫破りを決行する場面に、自ら「踊るガードマン」の役でご出演。キャリーがやっても似合いそうなコンニャクっぽい珍妙ダンスで場面をさらいます。 で、このシーンがいちばん光っちゃうってところが、実はこの映画の悲しさなわけでして。生涯最大の挫折に直面してキレたヤッピー(ロビンス)と、挫折続きの生活のなかで四苦八苦している失業者(ローレンス)。キャラクターの設定はそれなりに整ってはいるものの、そこから繰り出される話はアメリカン・モラル・モード全開のお定まりパターン。ともに危険をおかすうち、ふたりの間には友情が芽生え、そして万事丸くおさまる、と。最初から、先が見えちゃう以外のどこにも話が転がっていかないんだよね。 まあ、それはそれでよしとして、問題は、彼らの優位関係が逆転を繰り返すというドラマとお笑いのツボが、ちっとも面白く見えないこと。ヤッピーを襲った強盗が、逆にヤッピーに誘拐される。財布を捨てて一文無しのヤッピーが、強盗にコーヒーをおごられるハメになる。が、クレジットカードがあると思い出したヤッピーは、再び優位に立つ。けど、カードは期限切れで、結局ヤッピーは強盗の片棒を担ぐことになる。なんてふうに、前半だけでもこれだけの逆転劇が繰り返されるというのに、演出がタルいせいでシチュエーションの妙が笑いにつながっていかないの。 それは後半も同様。ドラマには、ロビンス&ローレンスの他に、もうひと組の指名手配強盗コンビが絡んでくるんだけど、彼らの存在はただストーリーを混乱させているだけって感じ。本来なら、前半のロビンス&ローレンスの立場の逆転劇に代わって、後半は、金の争奪戦をめぐって繰り広げられる2組の強盗コンビの逆転劇が見どころになるはず。なんだけど、ローレンスがホテルのベランダから墜落しかける場面にばかり力の入った演出は、そこんとこのシチュエーションをうまくWORKさせてくれないんだよね。 で、結論を言ってしまうと、これは、ロバート・レッドフォード症候群に属する映画。つまり、監督業に主力を注ぎはじめたスターが、資金稼ぎのために出たんでしょうと思える映画であります。だから、もしあなたがティム・ロビンスの監督作に惚れ込んでいるなら、投資の意味でこの映画を見てあげるべき。きっと彼は、ここから得た収入で自分の作りたい映画を作るはずだから。少なくとも、そう期待したいもんであります。 |