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ビーンBEAN 1997年イギリス 監督メル・スミス 脚本リチャード・カーチス/ロビン・ドリスコール 撮影フランシス・ケニー 出演ローワン・アトキンソン/ハリス・ユーリン/ピーター・マックニコル/パメラ・リード ●89分 ギャガ=ヒューマックス配給 1998年3月より渋谷東急ほか松竹・東急洋画系にて公開予定 テレビ、ビデオで超人気の「ミスター・ビーン」が、スクリーンに初登場。英国美術館の代表としてアメリカに派遣されたビーンが、LAの美術館を大混乱に陥れる爆笑コメディ。 |
STORYアメリカの名画「ホイッスラーの母」が、パリの美術館から本国カリフォルニア州のグリアーソン・ギャラリーへ買い戻されることになり、英国のナショナル・ギャラリーに権威ある美術学者の派遣依頼がやって来た。ナショナル・ギャラリーの上層部は、やっかい払いのチャンスとばかり、お荷物監視員のビーン(アトキンソン)に白羽の矢をたて、ファークストクラスに乗せてロサンゼルスへ送り込んだ。ロスでは、グリアーソン・ギャラリーのキューレーター、デビッド(マックニコル)の家に居候することになったビーン。彼の変人ぶりにあきれたデビッドの妻アリソン(リード)は、子供たちを連れて実家へ帰ってしまう。それでもビーンを先生扱いしていたデビッドだったが、「ダ・ビンチはバスケット選手か?」の問いに「イエス」と答えるのを聞いてガクゼン。こんな男に名画お披露目のスピーチをまかせるのかと、途方に暮れる。が、最悪の事態は、お披露目パーティの前日に起こった。館長(ユーリン)とデビッドがセキュリティ体制をチェックしているあいだ、ひとり絵の前に残されたビーンがクシャミ。絵にかかった鼻汁をふこうと奮闘しているうち、原画を台無しにしてしまう事態が発生したのだ。果たしてビーンとデビッドは、このピンチを無事切り抜けることができるのだろうか? |
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SHIMIZU ★★☆(98/02/03 渋谷パンテオン) 夜8時10分からの劇場試写会。開場30分前に並んだが、入場途中に「ここからの人は立ち見です」と言われて、「ななな、なに!」とマジぎれ。80分少々の時間だけど、立つのなら帰ろうか、と考えましたが、地獄で仏、宣伝のU君が「関係者の指定席」を横流ししてくれて、席をキープできひと安心。この押すな押すなの人出に、「ヘ〜ッ、ビーンってこんなに人気あるんだ」と感心する素人以下のSHIMIZUめであります。 劇場内の外国人が「ミスター〜、ビビビ〜ン!」と早くも嬌声をあげているのを横目に、「こりゅ、笑いに乗り遅れると悲惨だな」という思いがよぎりました。お笑いって、馴染みのあるなしで大きく反応が変わるもんじゃない。僕なんか、メル・ブルックスというだけで、笑い袋全開状態で待機みたいになって人が笑わないとこでも、笑ってひんしゅくものって場合もあったしね。 実は何を隠そうビーンを見るのは今回が初めて。これ言うだけで、もうバカにされそう。正確にはビーンことローワン・アトキンソンは『彼女がステキな理由』で、偉そうな喜劇俳優役で登場したのを記憶しております。 どうも前節が長いね。今回はビーン本人が開映前に登場、折から節分ということで「豆男」にひっかけたのか、ビーンが流暢な日本語で「オニハ、ソト」「フクハ、ウチ」のパフォーマンス。一瞬だけの登場で、客をつかむワンポイントギャグに、好感度大。 さて、本編は。アメリカの美術館に派遣される(というより厄介払いでアメリカに送り込まれた)英国の美術館の館員ビーン氏のアメリカ行状記。事前にビーン氏のひととなりを知らなくても、よくわかるキャラとわかりひと安心。ほとんどセリフもなく(喋るときは妙に低めのトーンの声だが)、子供でもわかるサイトギャグの連発。 初めてファーストクラスに乗り、チケットを見せびらかす図とか、スーツのポケットに拳銃をもっているようなポーズを見せ、空港の警官を挑発してつかまったあと、拳銃を出せと言われ、ポケットから「拳銃の形にした手」を出して床に手を置こうとする図とか、これが結構、シンプルだけど笑えます。なかでも、トイレで手を洗う時、水がズボンの前にかかり、「おしっこをズボンにかけたと思われちゃう」と必死でズボンを乾かそうとするシュチュエーションに「あるある」。ミーティング中にズボンのシミをみられないよう前を隠すのだけど、乾いたとわかるや、今度は「どうだ、濡れてないだろう」と誇示してみせる。 この落差のある切り返しが、ビーン氏の笑いのポイントかも。パントマイム的な同種のコメディでは、ジャック・タチのムッシュ・ユーローがいるけど、ユーローに比べると、はるかに精神年齢が低い。子供大人みたいな気分を醸し出す無邪気な笑いで、毒気がない分、誰にも受けそうだ。 お話自体、簡素なしつらえ。きっとこれは彼のシンプルな笑いを引き立てるための無駄を除いた演出なのだろうか。メル・ブルックス的なこってり笑いが好きな僕などは、中盤以降はちょっと足りない感じで、笑いもくすくす笑い程度に落ちついた。でも、決して嫌いな笑いじゃありません。気楽に笑いたい時には、微笑ましい気分になること請け合い。 最後のオチにビーン氏の友人「テディ・ベア」も出てきて、ファンなら大満足という定番の味わいなのかも、とビーン初心者のSHIMIZUめは、おみやにもらった「テディ・ベア」を抱えて、そう思いました。共演者に妻役のパメラ・リード(『キンダーガートン・コップ』の)、将軍役のバート・レイノルズらアメリカの渋い俳優が起用されていたのも印象的。これは、ビーン氏の、アメリカ進出を狙う名刺代わりの映画版なのかも、と思ったりもしました。 |
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YAZAKI ★★☆(98/02/03 渋谷パンテオン) ジャック・タチのムッシュ・ユロに、5歳の男の子のセンスを混ぜ合わせたようなビーンのキャラクター。品よくアナーキーなところが、私も大好き。ファーストクラスのボーディングパスを「どうだ、いいだろう?」とみせびらかすところとか、ロスの空港で銃を持ってるフリをして警官と追っかけっこを演じるシーンとか、この映画でもいつものオチャメを発揮してめいっぱい笑わせてくれます。 でもね、やっぱり「ビーン」は、テレビのもんだわ。というか、今回の劇場版は、映画らしくストーリー性を持たせて何かを語ろうとした結果、妙にアメリカンなモラル・モードのコメディになっちゃってるの。ゆえに映画全体の印象が、とっても普通。テレビでおなじみのコントの面白さが、劇のなかに埋没してしまってるような印象なんだよね。 「ホイッスラーの母」の除幕式で、「この絵はただのシワクチャばあさんの絵にして、母親を描いた絵だから価値がある」と、リッパなスピーチをキメてみせるビーン。この後、キューレーターのデビッドの娘が事故にあうエピソードへとなだれこんでいく後半部分は、家族愛をたたえる物語に展開していきます。病院をウロウロしているビーンが医者に間違えられ、因縁のある警官の銃弾摘出手術を担当させられるというイケてるギャグもあるけれど、ビーンがデビッド一家に溶け込んで家族の気分にひたる的なオチの付け方は、もろに『ホーム・アローン』の世界に入っちゃってる感じ。 多分、これはアメリカ受けを狙ったシナリオなんだろうけど、できれば最後まで、例の絵をめぐるドタバタに終始してほしかった。失敗から何かを学んだり、成長したりしないまま風のように去っていく――それが、ビーンに最もふさわしい退場の仕方なんじゃないかと思うんだけどな。 |