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試写状

ディアボロス/悪魔の扉

DEVIL'S ADVOCATE

1997年アメリカ 監督テイラー・ハックフォード 脚本アンドリュー・ネイダーマン/ジョナサン・レムキン/トニー・ギルロイ 撮影アンジェイ・バートコウィアック 出演アル・パチーノ/キアヌ・リーブス/チャーリーズ・セロン/ジェフリー・ジョーンズ/ジュディス・アイビー/コニー・ニールセン/クレイグ・T・ネルソン ●144分 日本ヘラルド映画配給 1998年4月より丸の内ピカデリー1ほか松竹・東急洋画系にて公開予定

キアヌ・リーブスとアル・パチーノが、文字どおり炎の対決を演じるオカルト・サスペンス。

STORY

 ケヴィン・ローマックス(リーブス)は、フロリダに住む野心家の弁護士。無敗記録を誇る彼は、今日もセクハラ裁判の法廷に立ち、実際に罪を犯した教師を無罪判決に導く。良心の呵責を振り払うように、愛妻メアリー・アン(セロン)と祝杯をあげるケヴィン。そんな彼に、NYの大手法律事務所からスカウトの声がかかる。
 破格の報酬、管理職用の豪華なアパート。ケヴィンを待ち受けていたのは、夢のような待遇だった。法律事務所のボスは、ミルトン(パチーノ)というカリスマ性たっぷりの人物。彼から、大物不動産王の弁護をまかされたケヴィンは、大ハリキリで仕事に没頭する。
 が、その間、彼の周辺には異変が起きていた。弁護士仲間の夫人たちと折り合いが悪く、孤独にさいなまれたメアリー・アンがノイローゼに陥ったのだ。それを知ったミルトンから、「事件を降りろ」とすすめられたケヴィンだが、野心の虜になっていた彼は聞く耳を持たない。そして起こった事務所の幹部エディー(ジョーンズ)の謎の死。メアリー・アンの狂乱と自殺。ケヴィンはようやく、自分が何かの罠にからめとられたことに気づくのだが……。

SHIMIZU ★★☆(98/03/16 ヘラルド映画試写室)

悪魔に魂を売ってしまう『ファウスト』のような悪魔もの、と聞いていたので、なかなか見る気になれず、ズルズル、押し迫っての試写となってしまった。『ロードショー』でキアヌ担当のYAZAKIはいち早く見て沈黙していたので、こりゃ、かなりオモロクないのかな、と思っておりましたが、結論から言うと、意外におバカな部分もあって面白かった。

ここからネタばらしみたくなるので、これから見る人はパスしてね。いきなり、なんですが「悪魔は誰か」という興味で見ようなんて人は、こりゃ全然オモロクない映画。前半、確かに監督は、結構思わせぶりに演出しているのだけど、悪魔はあくまであのお方とすぐわかっちゃうわけだからね。ま、それを知らぬふりして見てあげた方がよろしいでしょう。

そいう前提で、意外に面白いと感じたのは、NYへ進出したフロリダのやり手弁護士のキアヌと若妻が巻き込まれていく『ローズマリーの赤ちゃん』ふうの展開。この若妻役のセロンちゃんが僕のお気に入りってことも大いに関係しているんだけど、彼女が一体、悪魔にどうとりこまれていくのか、興味津々で見ていたら、彼女をたぶらかす悪魔の手先の女たちが出てきてね。ところどころで、ニューと妖怪っぽい素顔を表すわけ。コワイといえばコワイし、面白いと言えば面白い。ま、この手の突然素顔でごめんなさい的な、変化シーンが随所にあるのが面白い。キアヌも妻とファックしようとすると、突然事務所のセクシー弁護士の顔に変わって、変な幻想の虜になっちゃうとかね。小技で怖がらせる感じの演出だね。

ま、NYの一日が早回しで一瞬に開花する悪魔っぽい図(?)もあったりね、見せ方がかなりコテコテの悪魔ノリ。キアヌが法律事務所のボスに案内される、水を湛えたビルのベランダの異様など、ビル自体を異様に怪奇的に見せる点もこの映画の特徴。ただし、最後の悪魔とキアヌの対決シーンが凄い見せ場なのに、変な煉獄の世界。壁にかかったレリーフの男女の裸体がうねうね蠢くなんて図は、ちょっとコテコテの度が過ぎるんじゃないの、とつっこみもいれたくなりましたけどね。

もうひとつ、面白かったのは、途中でキアヌの出生の秘密が明らかになったり、さらに最後の最後で意外なオチが用意されていたり、ひねりの効いた展開。ただし、いかんせん、それが見終わった後、ただ騙されたという気分だけが残り、怖さの実態が消滅してしまうわけね。とても未曾有の怖さはわきおこりませんでした。悪魔の目的が「親ばか」で、人間の虚栄心をもてあそんでやったと、カッカッカッと笑い飛ばす悪魔は、なにか笑うセールスマン程度のスケールにみえちゃう。1番怖かったのはアル・パチーノの最後のわけのわからない大演説、というのは冗談。

最後のクレジットタイトルにストーンズの「黒く塗れ!」が鳴り響く。ジャンジャン。

YAZAKI ★★☆(97/12/05 ヘラルド映画試写室)

この映画の話題が仲間内で出るときの会話は、こんな感じ。
「『ディアボロス』って、ヘンな映画だよね」
「うん」(苦笑)
双方、これ以上のコメントの必要なく納得。

そうなんですよ、一言で言うと「ヘンな映画」なんですよ、『ディアボロス』って。それは、『ファーゴ』のスティーブン・ブシェーミが「ヘンな顔」と形容されるがごとく、そうとしか言いようがないような。良く言えばユニーク、悪く言えば作為が過ぎて笑っちゃうという、まあ、そんな感じなの。

「ヘンさ」の最大の決め手になっているのは、アル・パチーノ御大。今回のパチーノは、はっきり言ってコテコテです。『フェイク』の突き抜けた軽さは何かの間違いだったのか? と思えるほど、向かうところ敵なしの大芝居で迫ります。カッと目を見開き、周囲を威圧しまくるオレさま演技は、『セント・オブ・ウーマン』や『訣別の街』よりも強力。キアヌに自らの正体を明かす場面では、歌って踊っての大サービス(?)まで見せるノリノリようで、私はこらえきれずに爆笑しちゃいました。

前半は『ザ・ファーム/法律事務所』、後半は『ローズマリーの赤ちゃん』という、これまた風変わりな展開を見せるドラマは、悪魔に魅入られた男のお話。女生徒(『ウェルカム・ドールハウス』のヘザー・マタラッゾちゃん!)にイタズラした教師の裁判中、教師が実際に罪を犯したことに気づいた弁護士キアヌ。良心の声に従って負けを認めるか、それとも野心に従って勝利の道を邁進するか。悩んだ末、後者の道を選択したことから、彼は「悪魔の扉」を開けてしまうというお膳立て。

で、このときモラルの一線を超えてしまったキアヌは、野心とエゴと虚栄の塊となって周囲が見えない状態に。妻のチャーリーズ・セロンがいくら警告を発しようとも、己のサクセスめがけてまっしぐら。そんな彼のあさましい姿を通じて、「あんたもキアヌのように自分を見失っていないか?」と警告を発するのが、この映画の主旨であります。

というコンセプトはきわめてマジメで、政治家とか官僚とか、キアヌ・モードで生きている方々にはぜひ見ていただきたい映画(もっとも、彼らはキアヌの行いに己の罪深さを重ね合わせるほど、繊細な神経は持ち合わせていないと思うけど)。なんだけど、それ以外の適当に人生やってる人間にとっては、どうも、このドーンと大きく構えたマジメさが、こっぱずかしく感じられちまうところがありまして。

なんかね、すべてが大仰なのよ。テーマの扱いにしても、パチーノの芝居にしても、CGを使った描写にしても。オカルト映画のなかにメタファーとして社会派ネタを入れ込むっていうんじゃなく、「オカルト+法廷モノ+ヒューマンドラマの合わせワザは、どうだ、どうだ、どうだ!」と大見得切ってる感じなの。それは、最後のドンデン返しにしてもしかりで、「このドンデン返しはスゴイだろう!」と言わんばかりの仕掛け方。あまりにもストレート、かつ力が入りまくっているので、見ているこっちは思わず苦笑がもれちゃうんでありますの。

と、鼻につくところは多々あれど、見どころも多し。いちばんの魅力のツボは、キアヌ妻を演じたチャーリーズ・セロン(『トゥー・デイズ』のジェームズ・スペイダーの情婦)。教会での全裸放心演技から、自殺にいたるまでの錯乱演技まで、「私はナイスバディだけじゃないのよ」ってところをアピールしまくります。

彼女とキアヌのラブシーンも、ファンなら見逃せないね。初公開のキアヌのオシリが意外に毛深くて、私はビックリしたです。

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