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ナイトフライヤー

THE NIGHT FLIER

1997年アメリカ 監督マーク・パヴィア 脚本マーク・パヴィア/ジャック・オドネル 撮影デビッド・コンネル 出演ミゲル・フェラー/ジュリー・エントゥイスル/ダン・モナハン/マイケル・H・モス ●97分 ギャガ=ゼアリズ配給 1997年11月15日より銀座シネパトスにてレイトショー公開予定

飛行場を駆け巡る現代の吸血鬼と、それを追うタブロイド新聞記者。スティーヴン・キングの同名短編を映画化したサスペンス・ホラー。

STORY

 タブロイド紙「インサイド・ビュー」の特報カメラマン、リチャード・ディーズ(フェラー)は、死体ごろごろの生々しい現場写真が売りものの花形。子供の死体写真をボツにされ頭に血が上っていたディーズに、編集長マートン・モリソン(モナハン)は連続殺人鬼の取材をもちかけた。
 事件の犯人はセスナ機で田舎の飛行場に降り立ち、皆殺しにし、全身の血を抜いて姿を消すという。犯人は31年公開の映画『魔人ドラキュラ』の俳優と役名とをあわせ、自らドワイト・レンフィールドと名乗っていた。
 一旦は取材をことわったディーズも、新たな犠牲者がでたと知り、「特ダネ」の匂いを感じた。取材担当になった野心満々の新米女性記者キャサリン(エントゥイスル)から仕事を奪い、夜に飛来する怪人に「ナイトフライヤイー」と名付けで取材を開始する。ディーズは怪人の「邪魔するな」の警告も無視。あとを追ってきたキャサリンと取材合戦を展開。次の犯行現場、ウイルミントン飛行場を割れだし駆けつけるが、飛行場内はすでに怪人の手がくだされていた。

SHIMIZU (97/09/25 ギャガ試写室)

「スティーヴン・キング」の、と冠されているだけで、ファンは心動かされるんじゃないかな。僕も、そのひとり。どんな、つまらなくても、キングだもん、楽しませてくれるツボはあるはず。今回の恐怖の主は現代のドラキュラという感じ。霧にむせぶ片田舎の飛行場に、謎のセスナ機が一機。機体には血がべっとり。近づいた管制官の親父を襲う。死体から血をすべて抜き取るという猟奇殺人鬼。冒頭で、それなりの怖さは演出されている。キングが短編を見て「こりゃ、いける」と抜てきした新人監督の作品。

黒いマントのわけありの怪人。随所に登場シーンがあり、怖がらせのポイントになるはずだが、この怪人の恐怖度が低調。キングがお気に入りの監督とくれば、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロがいるが、この新人監督もキングのご機嫌とりなのか、映画の中盤以降は皆殺しにあった空港の人間がゾンビ状態で闊歩、どんどん収拾のつかない混乱状態になっていく。

僕が唯一、興味をそそられたのは、タブロイド紙の特報カメラマン。彼の天につばするようなパパラッチぶり。ミゲル・フェラー(『ハーベスト』の彼がよかったが)がぴったり役にはまっての怪演。ほんと、怪人以上に画面をさらってしまい、彼が怖さを吸収したといってもいいかもね。とにかく、タブロイド紙内のパパラッチの闘いという視点でみれば面白いかも。

ちなみに、僕のキングものの映画ベスト5は1位『キャリー』2位『デッドゾーン』3位『スタンド・バイ・ミー』4位『ショーシャンクの空に』5位『ミザリー』て感じ。『シャイニング』はキングが最も嫌っているキングの映画化作品の1本で、最近自ら脚本を書いて「どうだ、キューブリック!」ってかんじでテレビ版を製作、リメークもビデオで出たばかり。僕も早く見たい。

YAZAKI ★★(97/10/01 ギャガ試写室)

いつもながらB級テイストのキング・ホラー。なんだけど、私はラストの殺戮場面に圧倒されてしまった。小型機を棺桶にみたてて全米中をかけまわる連続殺人犯の吸血鬼。そのネタを自家用機で追っかける現代の吸血鬼(タブロイド新聞記者)がいて、それをまた追っかける後輩の女性記者がいる。結局、彼女がいちばんの恐怖の的となるオチがね、けっこうコワいのよ。

というわけで、いきなりラストシーンのことから書いちゃうけど許してね。まず、主人公のタブロイド新聞記者が、ナイトフライヤーに狙われたと思しき空港に向かう。と、待合室は、一面死体の山。主人公はバシバシ写真を取りまくるんだけど、いい加減そんな自分がいやになる。「ああ、もうたくさんだ」と思って外に出ようとすると、血に滑ってスッテンコロリ。気分が悪くなってトイレに駆け込むと、そこにナイトフライヤーが現れるのです。

「吸血鬼は鏡に映らない」というお約束から、まず鏡越しに見えるのは血の小便。続いて鏡がバシッバシッと割れてゆき、ついにナイトフライヤー本人が登場する。彼は主人公を毒牙にかけず、カメラからフィルムを奪うだけで去っていく。それは、主人公も自分と同じように血に飢えた男――つまり、同類だから。「私たちは血でつながれた兄弟だ」と、ナイトフライヤーは言います。主人公は命が助かっただけめっけもの、なんだけど、そのままじゃ記者根性がおさまらない。だから血の足跡を残して去っていくナイトフライヤーを追っかけ、「顔を見せろ」。リクエストに答えたナイトフライヤーがクルリと振り向く。顔は腐ったドクロ状。口をガバーッとあけると牙と舌が現れて、気持ち悪いったらない。その気持ち悪いモンに血を吸われた主人公は、地獄絵を見せられることになるわけ。

ここで画面はモノクロになり、ドライアイスに水かけました状態の煙のなかから、殺戮の犠牲者たちがひとり、またひとりと起き上がる。そのゾンビ軍団のなかには、過去に主人公が取材ネタにした人物もまざり、心理的な恐怖をあおる趣向。演出がヘタだともろにマンガになっちゃうシーンなんだけど、モノクロが効果を発揮していて、ここはマジでコワイです。で、ゾンビに囲まれた主人公は、オノを振りかざし死体の山をめった切り。その狂乱状態の最中に後輩の女性記者と警官が駆けつけ、殺戮の犯人とみなされた主人公は銃弾を浴びせられることになる。

そんな彼を連続殺人の犯人に仕立てる記事を書き、スターになる女性記者。結局、主人公の吸血鬼魂は彼女に引き継がれ、ナイトフライヤーもまた永遠なり……という整ったオチは、「社会は恐怖と混沌に満ちている」というメッセージをはらみ、強烈なインパクト。そこんとこがね、私はいちばん気に入った次第です。

ただし、中盤は退屈。事件の被害者の墓の写真を撮影するのに「凄みが足りない」と言って、自分の指の血を墓になすりつける主人公のキャラ描写はおもしろいけど、彼がナイトフライヤーに寄せるオブセッションな感情、似た者同士であるがゆえに追わずにはいられない気持ちの部分が、ほとんど描かれていないの。それがいちばん不満に思える点。ナイトフライヤーに対する主人公の恋愛にも似た感情が鮮明になっていたら、キングのB級ホラーもののなかでも、比較的出来のいい部類に入る映画になったんじゃないかな。

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