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完全犯罪
BEST LAID PLANS
1999年アメリカ 監督マイク・バーカー 出演アレッサンドロ・ニボラ/リース・ウィザースプーン/ジョシュ・ブローリン ●93分 20世紀フォックス配給 2000年3月中旬よりシャンテシネにて公開予定
あてにしていた父親の保険金がフイになり、人生やり直しのチャンスを失ったニック(ニボラ)。学生時代の友人ブライス(ブローリン)がプレミアム紙幣を持っていると知った彼は、恋人(ウィザースプーン)と組み、ブライスを罠にはめようとするが……。イギリス出身のマイク・バーカー監督によるオフビートなサスペンス。 ●オフィシャル・サイト●http://www.foxsearchlight.com
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SHIMIZU★★(99/11/16 20世紀フォックス試写室)
リサクル会社で働くじり貧のニックと大学教授になったブライス。学生時代の友人同士がバーで会う。その店にセクシーな女がひとり。深夜帰宅したニックがそのブライスから電話をもらう。事件のはじまり。ブライス宅を訪れると、地下にくだんの女が縛られ監禁されている。ブライスとセックスした女が「レイプされた」と訴えてため、彼女の処分にこまり、ニックに助けを求めたというわけだ。ニックは女に囁く。「失敗だ」。謎めいた前降り。この3人の関係はどうなっているのか。そこから4か月前の回想へと話をすすめ、その謎が明かになっていく。
犯罪の実像が2転3転していく語り口。監督は英国の若手マイク・バーカーで、ちょっとしたポイントに伏線を置いサスペンス度を高めるスタイリッシュな演出は、それなりに技をもった監督と見た。でも、僕がこの映画に消極的なのは、3人を軸に彼らのインタープレイによって支えられる地味な語り口が、どうもテンポに乏しく、どろりとした雰囲気に眠気が入ったため。カモにされるブライス役のジョシュ・ブローリンがオーバーアクト気味なことと、物語のドンデンにそれほど鮮やかな切れ味を感じず、漫然とみてしまった。
ただし、恋人のためには別な男とも寝てみせるという根性の座った、リース・ウィザースプーンの悪女ぶりは魅力的でしたが。 |
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YAZAKI★★☆(99/10/26 20世紀フォックス試写室)
父が病気になったことから故郷の町に戻り、リサイクル会社で肉体労働をするニック。やがてオヤジが死に、ようやく保険金を手に再出発できる……と思いきや、父が病歴を偽っていたことから結局お金はもらえずじまい。おまけに麻薬売人から金を横取りする計画に乗ってしまったため、4万ドルを穴埋めしなきゃならないハメに陥る。というときに現れたのが、大学教授になって町に戻ってきたかつての友人ブライス。彼はエリート意識にゴリゴリに凝り固まった鼻持ちならない人間で、ブルーカラーのニックを思いっきり見下している。こーんなイヤなヤツなら、ちょっとくらいヘコませたって文句はあるまいという了解事項のもと、ブライスをレイプ犯に仕立てるニックと恋人の「周到な計画」が始まっていく。
テーマは、「金のために友人をだませるか?」。友人を踏み台にして、自分の夢をかなえようとしたニックが、実は同じ貪欲さにとりつかれた人間から食い物にされていたとなるところが、話のポイントになる。これ以上言うとネタばらしになっちゃうから控えるけど、主人公3人のあいだで繰り広げられると見えた「だましあい」の関係に、一枚上手のメンツが絡んでくるところが、けっこうオモシロイ。操り人形の使い手だと思っていた人間が、実は操り人形だったという。それに気づかず、人形使いを気取るニックのオゴリに、ブラックな笑いのパンチ(ヒントは、ピーナツの殻と経済学)が浴びせられるところが、私は好きです。
劇中、いちばん悲惨な目にあうのが、リース・ウィザースプーン演じるニックの恋人リサ。好きでもない男と寝てレイプの被害者を演じたあげく、「死体」にされてトランクに入れられ、しまいにはギャングにとっつかまってボコボコにされてしまう。ニックを愛するがゆえに彼女は身体を張ったのだが、結果は、「そんなことする必要はどこにもなかった」というオチ。真相を知り、「あたしは、なんのためにこんな目にあったのよ!」と、憮然とした表情を浮かべるウィザースプーンの演技が絶品。
監督のマイク・バーカーは、イギリスのドキュメンタリー出身の人だけど、カメラワークなどは初期のデ・パルマ・タッチを思わせる雰囲気。
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救命士
BRINGING OUT THE DEAD
1999年アメリカ 監督マーティン・スコセッシ 出演ニコラス・ケイジ/パトリシア・アークエット/ジョン・グッドマン ●121分 ブエナビスタ配給 2000年3月中旬より渋谷東急ほか松竹・東急洋画系にて公開予定
90年代前半のNY。フランク(ケイジ)は、喘息の少女を救えなかったことに罪悪感を抱く救命士。ある晩、心臓発作を起こした老人を病院に運んだ彼は、老人に愛憎半ばする思いを抱く娘(アークエット)と心ひかれあっていくが……。死の目撃者であることに耐え切れなくなった男が、救いを求めて葛藤する模様を、めくるめくスピードで描いた問題作。脚本は、『タクシー・ドライバー』のポール・シュレーダー。 ●オフィシャル・サイト●http://www.movies.co.jp
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SHIMIZU★★(99/12/16 ブエナビスタ試写室)
スコセッシ+ポール・シュレイダー、『タクシー・ドライバー』再びか。主人公のフランクは夜の路上を動き回る救急車の救命士。彼のモノローグは路上に投げかけた散文。彼は夜をさまよう都会の中毒者。ヤク中じゃなくて、そう、邦題に即して言えば「救命中毒」であります。「もう何日も人を救っていない」。そう思うだけで彼には禁断症状が出て、悪夢の幻覚を見る。「私を助けて」。それは彼が救えなかった黒人の、しかも妊婦だった街娼ローズのうらめしいお姿だ。「そこに亡霊がすんでいる」。とにかく、彼は誰かを救わなくちゃいられない。この感覚。あのトラヴィスとダブルのキャラだ。彼の心模様が延々とモノローグで吐き出される。呪文のような言葉の連なり。どれも、「SLAM」のpoetry reading にまぎれこんだような、居心地の悪さ。メモするのも、追つかない。
舞台は'90年代初めのNY。フランク役のニコラス・ケージは『リービング・ラスベガス』を再びというような役作り。彼がいろんな人間に出会う。常連の自殺未遂男など、都会のどれも面妖な連中ばかり。心臓発作を起こし危篤状態の父親を気遣うメアリー。「人を救うのことは恋をするのに似ている。世界一の麻薬だ」とはフランクの言葉。それにしても、盛りだくさんの切れ目のない日常だ。亡霊のいる街NY。弱者だけでなく、あらゆる者を殺すNY。「俺たちは静止すると死ぬサメだ」。このストレスとオブセッションの洪水に酔いしれながら、NYを泳ぎまくる救命士フランクのアンビベレンツな憂鬱と癒しの日々。
彼の心をとらえたメアリーが彼の救いという感じ。演じるはパトリシア・アークエットで夫婦共演の妙も、ここでは彼とのケミストリーを醸すキャラというより、ケージの心を癒す「お守り役」に見えてしまう。最後のベッドでの安息は、もう、都会の宗教といっていい境地。悩める救命士は現代のメサイアなのでしょうか。蛇足ながら、この映画、ロジャー・エバート先生は昨年のベスト10に入れております。『クンドゥン』が好きな、スコセッシ教の人には酔えるかも。 |
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YAZAKI★★(00/01/13 ブエナビスタ試写室)
ネオンきらめく深夜のマンハッタンを疾走する救急車の視点から捉えた映像、点滅する救急車のライト、めまぐるしく動き回るカメラワーク。開巻早々、試写室のいちばん前にすわってしまったことを後悔したYAZAKI。同じスコセッシ監督の『ケープ・フィア』を見たとき、グルグルまわしのカメラとめくるめくショットの切り替えに、吐きそうになったことをすっかり忘れておりました。ま、ほとんど雇われ監督と化した『クンドゥン』(と私は思っていたのだが、ロードショー誌のベスト10に入れている評論家が多かったのにビックリ!)に比べれば、スコセッシの本領発揮といった映画だけど、この監督の「いつも怒ってるような機関銃っぽいしゃべり方」がまんま映像になったみたいなせわしない語り口は、正直、私は苦手です。
喘息の少女を救えなかったことが原因で、激しい自己嫌悪に陥っている救命士のフランク。彼の「見た目」のショットを多様しながら、3日間におよぶ救命活動を追ったドラマは、TVの密着ドキュメントのノリが半分、苦悩する主人公の葛藤を追った心理ドラマの要素が半分といった感じ。最初の日、フランクが心臓発作で倒れた男を病院にかつぎこむと、ガードマンが「うちは満杯だからヨソへまわせ」と言ったり、患者をとりあえず事務所の片隅に置いて治療を始めた医者が「ムダな延命処置だ」と言ったりする。戦場と化した病院の内情を物語る描写だけど、これがものすごく説明的。こういうところこそ、無駄な会話をなくし、映像だけで緊迫感を醸し出す演出が必要だったんじゃなかろうかと思う。
説明的なのは、フランクの心理描写にしてもしかり。彼は、命を救えなかった喘息の少女のことが片時も頭から離れず、自分自身の無力感にさいなまれている。そんな心理状態を物語るのに、救急車から見える町の女たちがすべて少女に見えてしまうというシークエンスが織り込まれる趣向。これがしつこいほど繰り返されるのには、うんざり。加えて、フランク扮するニコラス・ケイジのナレーションを通じても心理が説明されていくため、何か情報の洪水にさらされどおしの印象。ものすごく疲れます。
さて、そのような器のドラマを通じて、スコセッシが語ろうとしたのは何か? といえば、それは「救い」についてでしょう。人の命を救う職業についているがゆえに、人一倍救いを求めてアップアップしているフランク。彼のジレンマの根本にあるのは、「病人を病院に担ぎ込むことが、果たして、担ぎ込まれた人間にとって真の救いになるのか?」ということです。たとえ生き長らえても昏睡状態から目覚める可能性が薄い男、泥酔したホームレス、毎晩ストリートと病院を往復するジャンキー、父親不明の子を出産する移民の女。彼らを病院に担ぎ込んで「現状維持」を強いることは、のたれ死にさせるよりもよっぽど苛酷なことである。それを敏感に感じているために、フランクは、自分の存在さえもが否定されたような空しさを覚える。自分はこれっぽっちも人の役にたっていない、それどころか、人にさらなるタフな運命を強いている、と。
ことほど左様にフランクは繊細な人間であり、そんな彼の魂の叫びを、スコセッシはヒステリックとも思える声高な調子で描いていきます。これに共感を覚えられる人にとっては、この映画は傑作に映るはず。でも、フランクという人間にこれっぽちも感情移入ができず、引き気味のスタンスから映画を見ていた私は、ひとりもがき苦しむフランクの自意識過剰ぶりが、むしろ腹立たしく感じられてしまった。つまり、「人を救いたいのに救えない」と思いつめる彼の苦悩は、「自分は世界を救える」「自分は人様の役に立つ人間だ」というカン違いした前提のモトに成り立っていて、よくよく正体をつきつめてみれば、フランクってヤツは「神を気取りたくてできない自分に苛立ち、ジタバタしているゴーマン男」なんじゃないかと。そんなふうに思えてしまったわけです。
そのことをいちばん強く感じさせるのが、終幕近く、自ら病院に担ぎ込んだ昏睡状態の老人の病室に忍び込んだフランクが、老人が「死なせてくれ」と考えていると勝手に解釈し、延命処置の機械を外してしまう場面。そうすることが、彼自身と老人、そして、老人の娘(パトリシア・アークェット)にとっての一抹の救いになるようなオチには、しばし口アングリ。自分の心を救うために他人の命を奪うという、ゴーマンの極致的行為が正当化されちゃうってところは、スコセッシもしょせんは「世界の警察官」を自認するアメリカ人のひとりなんだなぁと思った次第。
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13F
THE THIRTEENTH FLOOR
1999年アメリカ 監督ジョゼフ・ラスナック 出演クレイグ・ビアーコ/アーミン・ミュラー・スタール/グレッチェン・モル ●100分 ソニー・ピクチャーズ配給 2000年2月19日よりスバル座ほかにて公開予定
ダニエル・F・ガイロの原作「構造世界」を、ローランド・エメリッヒの製作で映画化したバーチャルSF。仮想現実空間へのトリップを研究中のプログラマー(ビアーコ)が、上司(ミュラー・スタール)の殺人事件の手がかりを求めて、バーチャル世界へ。一連の冒険を通じて、「現実」のからくりと自分の真の姿を発見していく過程を、謎解きサスペンスの趣向を交えて描く。 ●オフィシャル・サイト● http://www.spe.co.jp
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SHIMIZU★★☆(99/12/10 徳間ホール)
「13階」というタイトルだけで、なにか昔のテレビシリーズ『ミステリー・ゾーン』的な恐怖を想起してしまう、ね。
だって、アメリカでは大体、存在しない不吉な「階数」。そこに降りると不吉な異次元空間に迷い込むなんてお話の設えがよくありました。さて、この映画では近未来的な高層ビルに「13階」があり、そこでは時代をシュミレートするヴァーチャル・リアリティ開発会社がある。その会社のボス(『シャイン』のミューラー・スタール)が、飛行船ヒンデンブルグ号墜落の号外が飛び交う'37年のロスへ「タイムトリップ」(といっても仮想の過去なのだが)、女を買ったりしているが、その世界の「謎」を知ることとなり、現代の人間に「謎」を解くメモを残し、過去のロスで何者かに殺されるのがお話の発端。現代では、その会社の同僚である主人公のホールが目覚めると、そばに血だらけのシャツがあり、フラーが殺されたことを知る。
冒頭の'30年代のロスのホテルなど時代の佇まいが実にムーディだ。現代でボスの殺人容疑者にされそうなホールが'37年のロスに飛び(ベッド状台に乗って意識だけが旅立つ仕組み)、ボスの生前の素行を調査する。ちょっとノワール調の味わいだ。仮想の過去でボスは古本屋の店主として生き続けている。ホールの同僚のホイットニー(ドノフリオ)は仮想ではホテルのバーテンに姿を変えている。登場人物が時と場所を変えて2人の違うキャラになっている重層的な語り口。
どれが現実でどれが仮想現実なのか。その先に、どこでどう物語が反転していくのか。僕はかなり興味をそそられた。この映画の構造は、『マトリックス』『ダーク・シティ』、そして近作のクローネンバーグの『イグジステンツ』と同系列の世界だ。ネタばらしになるけど、この映画での「重箱的」な理屈はちょっとわかったようでわかりにくい。過去を訪ねるヴァーチャル機には時間制限があり、それまでに帰らないと、仮想のキャラに上書き(正しい言い方じゃないけど)されてしまう。が、仮想のなかで事故などにあったりすると、現在の自分は仮想のなかで仮想のキャラに上書きされないという理屈(?)が映画のキーポイントらしい。
いま僕が書いていても、ちょっとあやふやで間違っているかも。ま、とにかく、この理屈を使い最後のドンデンをワークさせようという演出。「世界はたまねぎの皮むき状態」という、この手の映画の定石で、見た人は、ちょっと狐につままれた感じに陥ることでありましょう。理屈がわかりやすいと、もっと「ミステリー・ゾーン」的な鳥肌モノの「やられた感」がでるのだけど、ね。ま、粗はあるけど、僕は結構、この映画の昔っぽいテイストは好き。あと、重層的な世界を解くキーになるのがボスの娘であるジェーン。演じるグレッチェン・モルが、ヒッチの『めまい』系のダブル・キャラをなぞったような雰囲気で、蠱惑的! |
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YAZAKI★★(99/12/22 ソニー・ピクチャーズ試写室)
「オレがオレでないなら、オレはいったい誰なんだ?」と言ったのは、『トータル・リコール』のシュワちゃんだが、このテの「アイデンティティ探しのSF」は、近年のハリウッドのトレンドのひとつ。『ダークシティ』『マトリックス』『ファイト・クラブ』がそうで、インディーズ部門には『π』もあった。自分や自分の住む世界が偽りのものであることに気づいた主人公が、真実を求めて奔走する。その舞台が、電脳バーチャル空間にまで広がってきたところが、新しい傾向。これは、SF小説でさんざん描き尽くされてきた世界を、ようやく映像で見せることが可能になったところから生まれて来たトレンドだと思うけど。
この『13F』も、そうしたトレンドの波に乗った1本。主人公は、仮想現実空間の創造と研究に携わっているプログラマーの青年。ボスが殺される事件が起こり、刑事に疑いをかけられた彼は、手がかりを求めてバーチャル世界へトリップ。一連の冒険を通じて、「現実」と「自分」の真の姿を発見していく過程を、犯人探しの謎解きの趣向を交えて描いたサスペンスだ。
いちばんのアイデア賞モノは、バーチャル世界を1930年代に設定したこと。電脳空間でありながら、そこはスウィング・ジャズが流れるノスタルジックな世界。そのなかで、探偵と化した主人公が、ボスがバーチャル人間に託した手紙を探し求めていくところは、ノワール映画のムード満点。主人公が、ボスと同じ姿形をした書店主に協力を求め、手紙の在処に迫っていくくだりには、ちょっと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』っぽいノリもある(書店主役のアーミン・ミューラー・スタールが、ドクの役まわり)のが、ご愛嬌。
バーチャル空間に住む人間たちには、それぞれ「創造主」の潜在願望を反映したパーソナリーティがあり、主人公たちがバーチャル空間にトリップするときは、バーチャル人間に乗り移った格好になる。ってところが、いまいちわかりにくかったりもするが、「現実」と「バーチャル」が、入れ子の箱のようになった構造は面白く、ふたつの世界(ホントは3つ)に、「作った側」と「作られた側」の厳然たるヒエラルキーが存在するところも、ドラマのポイントとして生きている。『マトリックス』同様、主人公が愛によって救われるオチも、カタルシスを感じさせるし。
ブレンダン・フレイザーによく似た主演のクレイグ・ビアーコは、レニー・ハーリン監督の『ロング・キス・グッドナイト』で悪役を演じた俳優。4月3日オープンのブロードウェイ・ミュージカル『ミュージック・マン』は、なんと彼の主演。歌って踊れる実力派だったのね。
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ダブル・ジョパディー
DOUBLE JEOPARDY
1999年アメリカ 監督ブルース・ベレスフォード 出演アシュレイ・ジャッド/トミー・リー・ジョーンズ/ブルース・グリーンウッド ●105分 UIP配給 2000年3月より丸の内ピカデリー1ほか松竹・東急洋画系にて公開予定
自らの偽装殺人を仕組んだ夫の罠にはまり、殺人の罪で刑務所に服役することになったリビー(ジャド)。真相を知った彼女は、「同一の人間が二度同じ罪に問われることはない」という法律を利用し、夫に復讐をしようと心に誓う。6年後、仮釈放になったリビーは、夫の居所調査を開始。保護監査官(ジョーンズ)の執拗な追跡を受けながら、ついにニューオリンズにいる夫と対面するが……。全米3週連続NO1のヒットを記録したサスペンス・アクション。
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SHIMIZU★★(99/12/07 UIP試写室)
フェロモン満点の我がアイドル、アーシュレイ・ジャッドの主演作。まず、「ダブル・ジョパディ」なるタイトルは着想としては面白いと思った。それは1度刑に服した人は同じ事件では罰せられないという法律のからくり。ここでは夫を海で殺した容疑で刑に服すヒロインが刑務所内で元弁護士の女から、今度殺しても同じ罪には問われない。それは「ダブル・ジョパディ」と教えられ、俄然やるきになる。ヒロインは保護監察のなか脱走を試みて、彼女の陥れた夫への復讐を開始する。こりゃ、ジャッド版の『逃亡者』か(監察するのも『逃亡者』のジェラード警部ことトミー・リー・ジョーンズと絵に描いたようなタイプキャスト)。
ジャッドが子供を思う母性を糧に、ニューオリンズにいる夫に鉄槌をくらわせるプロセスは、どうにも大甘で穴だらけ。カーフェリーのクルマから脱出する部分なんぞ、そんな頼りない逃げ方で大丈夫と言いたくなる。でも、ジャッド・ファンとしては、彼女がドレスで着飾る淑女ぶりなど無駄を楽しむのが本望かも。
終盤では「ダブル・ジョパディ」はどうした、と叫びたい羊頭狗肉の展開。でも、はなから内容はそんなものだろうと思っていたから、期待も裏切らない。そう思って見れば、出来が悪くても腹も立たない。だけど、見終わって、なーんにも残らない。なのにアメリカではバカ当たり。ジャッドはこの成功でさらにボックス・オフィス・クィーンになるかも。 |
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YAZAKI★★(99/11/18 UIP試写室)
自分に殺人の濡れ衣を着せた夫が愛人とノウノウと暮らしていると知ったヒロインが、ム所仲間に教えられた「二重処罰の禁止」の法律を利用して、夫に報復をくわだてるお話。塀の中で真相を知ったヒロインのリビーが、どしゃ降りの雨のなかでランニングに精を出す図など、前半は、心身ともタフな女に変身していくヒロインの「女の一念」を見せる趣向。そして、仮出所した彼女が夫の居所を捜し始める中盤以降は、鍛え上げた肉体(砂浜でジープよりも速く走れる!)と回転のはやい頭を武器に、数々の危機を乗り切りっていくリビーの活躍ぶりにポイントが絞られていく。
通常、このテの「冤罪逃亡者モノ」は、主人公に同情を寄せる協力者が出てくるものだけど、この映画にはそれが登場しない。か弱き女性(?)でありながら、リビーは己ひとりの力で夫を捜し当て、目的を遂げていく。そういう『ランボー』的な孤高のキャラが、この映画がウケたいちばんの要因かも。
中盤からのドラマに関わってくるのが、トミー・リー演じる保護監査官のトラヴィス。自分の保護下にあるリビーが、勝手に規則を破って暴走しはじめたのを知った彼は、「地獄の果てまで追っかけてやる」モードで執念の追跡を開始する。とくると、自然に思い出されてくるのが、『逃亡者』のジェラード連邦副保安官のキャラ。いちおうトラヴィスには、「妻子を事故死させたトラウマを負った男」という味付けがされているものの、演じるのが同じ役者とあっては、ジェラードそっくりになってしまうのは自明の理。というわけで、映画自体も「な〜んだ、『逃亡者』の変形パターンか」と気づかされてからは、完全に先の展開が読めてしまい、ちょっと興ざめ。きっと、どこかでトラヴィスがリビーのバックアップにまわるだろうなと予想したらその通りになるという具合で、サスペンスとしての意外性はゼロに等しい。そこが、私には不満に感じられた点。
もうひとつの不満のポイントは、「夫を二度殺す目的」を胸に居所探しを始めたリビーが、いざ夫と対面したとたんあっさり復讐をあきらめ、子供をとり返すだけで手を打とうとするところ。復讐心よりも母性が勝る展開だけど、そういうことならば、何も自力で夫の行方を捜しをする必要もなかったのでは? と、「振り出しに戻る」的な疑問がわいてしまった。
なんてアラ探しをするよりは、アシュレイ・ジャッドのアクション・ヒロインぶりを見れば満足さ、と妥協するべき映画なのかも。実際、今回のジャッドは『コレクター』にまさるガンバリようで、フェリーの車に手錠でつながれたまま、トミー・リーと共に海へダイブするシーンを筆頭に、かなりのスタントを自分でこなしています。彼女が、夫の居所をつきとめるのに、カンディンスキーの絵を手がかりにするという頭脳派ぶりも、なかなかのカッコよさ。
ちなみに、当初、ヒロインに抜擢されていたのは、『アンナと王様』で天下の自己主張女と化したジョディ・フォスター。例の試験管ベビーと噂の息子を妊娠したため、飛んだり跳ねたりが多いこの映画から降りたそうだけど、ジョディ主演だったら、後半の夫との対決が、もっと冷酷なものに変わっていたかもしれないね。
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