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バニラ・フォグ

VANILLA FOG

1999年アメリカ 監督マーク・ターロフ 出演サラ・ミシェル・ゲラー/ショーン・パトリック・フラナリー/パトリシア・クラークソン ●96分 20世紀フォックス配給
2000年1月29日より銀座シネパトスにて公開予定

母創業70年のレストラン「サザンクロス」を残し母が逝った。シェル修業を開始した娘のアマンダが仕入れたカニの神通力で料理に開眼、折からデパートに最高級レストランのオープンを計画していた若きエグゼクティブと出会い恋へと発展していく。『クルーエル・インタンションズ』の美人女優サラ・ミシェル・ゲラー主演のラブ・ファンタジー。
SHIMIZU★★(99/11/26 20世紀フォックス試写室)

いま、最もフォトジェニックな若手女優のひとり、サラ・ミシェル・ゲラーの主演作です。

母が死に残されたレストランでヒロインがシェフ修業。一向に料理の腕があがらない。閉店も時間の問題。そんな時、「天使」のような男からカニを買ったのがロマンチックな魔法の始まり。彼女が作った「カニのナポレオン風」なる料理が、その魔法でデリーシャスな逸品料理となる。と、偶然とは恐ろしい。ちょうどNYのデパートに最高級のレストランをオープンしよとしてる若きエグゼクティブのハートをも、とろけさせる展開。

なぜ魔法なのか、唐突な意味もない魔法が、それなりのひねり技。物語のテイストは、よく言えば、料理に魔法が加わったメキシコ映画『赤い薔薇ソースの伝説』のハリウッド版。それも極めてハリウットぽいチープなお味でありますが。

共演の男が『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』で初々しかったショーン・パトリック・フラナリーなのだが、これが賞味期限が切れたデビッド・キャシデイーみたいで新鮮味がない。妙に老けた印象。頼みのゲラーちゃんも、可愛いといえば可愛いけど、動く彼女に写真ほどの魅力が発散されない。いや、ファンなら、それでもいいかもね。最後で彼女の作る魅惑のデザート「バニラ・フォグ」がレストランに甘い奇蹟を作り出す。夢みるようなダンスとマジックがオマケ。

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試写状 ビッグ・ダディ

BIG DADDY

1999年アメリカ 監督デニス・ドゥーガン 出演アダム・サンドラー/ジョエル・ローレン・アダムス/ジョン・スチュアート ●93分 ソニー・ピクチャーズ配給
2000年2月より日劇プラザほか東宝洋画系にて公開予定

イマイチ成長しきれないダメな青年ソニーが5歳の子供の義父となり成長しようとする。『ウェディング・シンガー』の愛すべきコメディ俳優アダム・サンドラー主演の全米ヒット・コメディ。共演に『チェイシング・エイミー』のジョエル・ローレン・アダムス。
●オフィシャル・サイト● http://www.spe.co.jp
SHIMIZU★☆(99/11/15 ヤマハホール)

なにをやっても「間」がわるい。友人のサプライズ・パーティでもワンテンポ遅れて行き、本人に間違われ、結果本人が登場した時はサプライズ気分が台無し。そんなはずじゃいのに。弁護士の父からは「6歳の子供と同じ」と言われ、恋人からは「成長のない人ね」言われるダメな僕ちゃん、ソニー。演じるアダム・サンドラーくんが持ち前のイノセント・キャラで、自分改造に挑戦するお話。

自分改造の「小道具」が友人の落としだね。突然彼の前に現れた5歳の男の子だ。この子を育てれば、僕も一人前と思われるかも、と考えるのがノーテンキなところ。ソニーと子供のふれあいが映画の笑いのポイント。子供がおねしょをする。そこでベッドに新聞紙を敷いて寝かせるとガサゴソ。その音がうるさい。かと思うと、ミルク入りのシリアルを落とし床はベチョベチョ。そこで新聞を敷いて。という面白くない小ネタのギャグ。この映画で1番問題視されたギャグが外出先で子供が「おしっこ!」。あわてたサンドラーがレストランのトイレを借りようとするが、断られる。で、レストランの入口の扉に2人揃って「立ちション」。こんなことをさせるヤツのそばに子供をまかせておくな、という怨嗟の声が米国であがった。q確かに公徳心を疑われるギャグ。これがポスターに使われているほどだから、この映画の最大の笑いはこの程度といっているようなものであります。

最後は「裁判」で子供の親権をめぐる、絵に描いたようなヒューマン調。サンドラーくんのファン以外は笑えない低調コメディだね。劇中、デカパイの女が登場し彼女が「フーターズ」と呼ばれるのだけど、これは全米でタンクトップみたいな制服でウェイトレスの「デカパイ」(フーターはその意味)を強調している実在のチェーン店で働いていた設定のため。念のため。

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試写状 ロルカ、暗殺の丘

DEATH IN GRANADA

1997年スペイン=アメリカ 監督・脚本マルコス・スリナガ 出演アンディ・ガルシア/イーサイ・モラレス/エドワード・ジェームス・オルモス ●104分 ギャガ配給
2000年1月22日よりシャンテ・シネにて公開予定

内乱のスペインを逃れてプエルトリコに渡ったリカルド(モラレス)は、新聞記者の仕事のかたわら、少年時代の英雄だった同郷の詩人ロルカ(ガルシア)の本を執筆していた。ロルカの死の真相をつきとめようと18年ぶりにグラナダの地を踏むリカルドは、ロルカの最後を知る人々を訪ね歩くのだが……。『ラ・グラン・フィエスタ』でオスカー外国語映画賞候補にあがったマルコス・スリナガ監督によるサスペンス。
●オフィシャル・サイト● http://www.gaga.co.jp
YAZAKI★★(99/10/28 ギャガ試写室)

「ロルカの死の真相に迫る」と、歴史ミステリーふうに大きく出た話が、ふたつの家族の愛憎劇に収束してしまうというズッコケ・ムードの一作。フランコ政権下でロルカ暗殺の調査をはじめた主人公が、公安と思しき男たちに脅されたり、敵か味方かわからないタクシー運転手(ジャンカルロ・ジャンニーニ)が登場したりと、コスタ・ガブラスめいたサスペンスの雰囲気はあるものの、「泥棒をつかまえてみれば我が子なり」のオチには、意外性よりも肩透かしをくらった印象のほうが強い。

劇中には、アンディ・ガルシア演じるロルカが詩を朗読したり、戯曲が上演されたりするシーンもあるけれど、その内容が「彼の死の真相」と密接にからみあってこないため、ロルカの存在が、単なる「ダシ」に見えちゃうんだよね。

自分の最も身近な人間の罪深さを知りながら、それを心に秘めた家族たちが談笑しあう光景を描いたラストには、それなりに感慨深さが漂っているけれど、それが、ロルカという人間や彼の芸術、はたまたその死が体現するものと、どう結びつくのだろう? と、考えこむことしばし。

もうひとつ、わからないのは、原題をプレス等に明記せず、独自の英文タイトルをつけるギャガの映画の売り方。『Dearフレンズ』や『ノイズ』もそうなんだけど、いまの観客の目は、そーゆうことではごまかされんと思うのだが。

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試写状 氷の接吻

EYE OF THE BEHOLDER

1999年アメリカ 監督・脚本ステファン・エリオット 出演ユアン・マクレガー/アシュレイ・ジャッド/パトリシア・バージン ●107分 日本ヘラルド映画配給
2000年2月中旬より丸の内ピカデリー2ほか松竹・東急洋画系にて公開予定

アイ(マクレガー)は、ワシントンDCで任務につく英国大使館国際諜報部の諜報員。局長の息子の素行調査を命じられた彼は、監視の最中に、局長の息子が愛人(ジャッド)に殺害される現場を目撃。以来、女の足取りを追って全米各地を駆け巡る。その間にも、出会う男を次々と殺していく女と、そんな彼女に強烈にひかれていくアイ……。『プリシラ』のステファン・エリオット監督によるサスペンス。
YAZAKI★★(99/12/21 東劇)

ユアン・マクレガー演じる諜報員の「アイ」という名は、「EYE」と「I」をひっかけたもの。ドラマは、連続殺人鬼の女を監視する彼の「目」を「主体」にして、語られていきます。

このアイが、ハイテク機器を総動員させて女の監視を続けるうちにストーカー化していく展開は、『めまい』を思わせる雰囲気。ほかにも、連続殺人鬼のジャッドちゃんがカツラをとっかえひっかえして変身合戦を繰り広げるところや、らせん階段&教会の塔といった舞台の使い方、さらに、アイが女の運命に介在する(結婚相手の富豪を殺してしまう)ドラマの転換点がサンフランシスコに設定されているところにも、『めまい』へのオマージュが感じられます。

と、献立に凝ったわりには、料理の中身は貧弱な印象。いちおうキャラクターの背景としては、女には「クリスマスの日に父親に捨てられた」というトラウマがあり、それが彼女を殺人に駆り立てているという設定。かたやアイのほうは、8年前に妻子に家出された過去があり、いまも娘に対する罪悪感にさいなまれている。で、彼が女を監視→追跡する過程では、その娘の幻影がしばしば現れて、女の守護天使になるように語り掛けてくる。つまり、アイの女に対する執着には、娘への償いの意味がこめられているという次第。

が、こうした心理的な味付けが、この映画にあってはどうもチンプに見えてしまう。アイが女にひかれていくのは、オスとしてよりも父親としてなのだ……と、情感を説明されればされるほど、ジャッドちゃん演じるファム・ファタルの妖しい威力が、どんどん失われていっちゃう感じがするんだよね。

とは言っても、金髪、黒髪、赤毛と、怪人二十面相ばりの七変化を見せるジャッドちゃんのバケっぷりは、なかなかの見モノ。彼女のファンなら、見てトクした気分になれるかも。

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試写状 13ウォーリアーズ

THE 13TH WARRIOR

1999年アメリカ 監督ジョン・マクティアナン 出演アントニオ・バンデラス/ウラジミール・クリッヒ/ダイアン・ヴェノーラ ●102分 ギャガ配給
1999年2月よりニー東宝シネマほか東宝洋画系にて公開予定

マイケル・クライトンの原作を、『ダイ・ハード』『トーマス・クラウン・アフェアー』のジョン・マクティアナン監督が映画化したヒロイック・ファンタジー。時代は紀元10世紀。不倫がもとでアラブを追われ、辺境の地へ大使として派遣された詩人のアハメッド(バンデラス)は、途中、伝説の魔物に国を荒らされた北方の民と出会う。巫女のお告げで「13番目の戦士」に選ばれた彼は、魔物退治の使命を帯びてブルズガル王の領地へと向う。
●オフィシャル・サイト● http://www.gaga.co.jp
SHIMIZU★★(99/12/20 ギャガ試写室)

クライトン+マクティアナン+バンデラス。すごい最強のトリオ。なのに、どうにも魔法にかかったみたく眠くなる。画面の暗さのせいか。その闇に埋もれていくお話のせいか。舞台は中世ヨーロッパ。バンデラス演じる詩人イブンが北方ノルマンを旅するうち、冒険に巻き込まれる。冒険のはじまりは、魔物によって滅ぼされかけているブルズガズ王に救うため、13人目の戦士に選ばれたこと。13人が村落を守る図、雨が降り泥だらけの図はやはり我らがクロサワの『七人の侍』の影響を感じてしまうが、全体がわけのわからない魑魅魍魎の世界。これ以上、語るべきことなし。あ、なつかしや、オマー・シャリフが出演。
YAZAKI★★(99/12/20 ギャガ試写室)

バンデラスの主演作としては、たしか『マスク・オブ・ゾロ』よりも先に撮影が終わってたんじゃなかろうか。とにかく、アメリカでも、ずーっとずーっとお蔵になっていた作品。ゆえに、「どれほど出来が悪いんだろうか?」という点に興味を持って試写に出かけたんだけど、すごくまともな映画だったので、かえってびっくりしました。ちなみに、ロードショー誌のK編集長は、絶賛しておられます。

お話の基本は、『七人の侍』。伝説の魔物の襲撃にあったブルズガル王の領地の使者に、助っ人を求められたノルマン人の戦士たち。たまたま彼らのテントにやっかいになっていたアラブの詩人アハメッドは、占いの結果「13番目の戦士」にスカウトされてしまい、「オイラは文科系」という主張もむなしく、12人のノルマン戦士と行動を共にすることになる。

彼らが相手にする魔物は、熊と牛と猿の合作みたいな容貌。これが出てきたときには、『D.N.A』モードに突入か!?と、ヤバい予感を抱いたのだが、劇の進行に従って明かされる魔物の正体はリーズナブルなものなので、この点は安心してもらって大丈夫です。

作劇のポイントになっているのは、文科系アラブ人のアハメッドが、ノルマン人戦士に仲間と認められるまでの成長ぶりと、そこに生まれる友情の絆。「そいつは犬か?」とノルマン人にバカにされた馬(実はサラブレッド)で、砦の外に取り残された子供を救出に行くアハメッド。徐々にアラブのオレ流を発揮しはじめた彼が、チームの欠かせない一員になっていくところには、バディ・ムービーに通じる面白さがあります。

戦士たちが魔物の巣窟に乗り込んで行く後半は、『エイリアン2』的な展開。魔物の首領を倒したあと、洞窟からいかに抜け出すかとなるあたりはモロにB級冒険活劇のノリ。どことなくロジャー・コーマンっぽい香り(コーマンも『宇宙の7人』という『七人の侍』の翻案を作ってますが)のするところが、なんともご愛嬌。

希望を言うなら、オーディンの神を信じるノルマン人たちと、アラーを信じるアハメッドの死生観の違いがきちっと出たならば、もうちょっと哲学的な深みも増したのでは? と思ったけど、最初は粗野な男に見えた戦士の首領ブルヴァイの高潔な死にざまは、「ジョン・ミリアスに翻訳された黒澤タッチ」という感じで、カタルシスを感じさせます。魔物の大群がタイマツを手に山を下りてくるところを遠景ショットで捉えた映像には、日本画を思わせる美しさも。Bムービーと割り切って見れば、なかなかの拾いモノだと思うよ。

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