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理想の結婚AN IDEAL HUSBAND 1999年イギリス 監督・脚本オリヴァー・パーカー 撮影デイヴィッド・ジョンソン 出演ケイト・ブランシェット/ミニー・ドライヴァー/ルパート・エヴェレット/ジュリアン・ムーア/ジェレミー・ノーザム ●100分 クレスト配給 2000年2月下旬よりル・シネマにて公開予定 オスカー・ワイルドの戯曲を、『オセロ』のオリヴァー・パーカー監督が映画化。19世紀末のロンドンの社交界を舞台に、悪女の企みに翻弄される議員夫妻と、親友の独身貴族の愛の行方をコミカルに描く。 |
STORY1895年ロンドン。アーサー・ゴーリング卿(ルパート・エベレット)は、社交界きっての伊達男。父から結婚しろとしつこく迫られる彼だが、自由気侭な暮らしに満足しきっている彼には、家庭を持つ気などさらさらない。そんなアーサーと対照的な人生を歩んでいるのが、親友で若き政治家のロバート・チルターン(ノーザム)だった。彼と、才色兼備の妻ガートルード(ブランシェット)は、社交界のなかでも「理想のカップル」として知られていた。だが、その夫妻の幸福な結婚生活は、ウィーンからロンドンに戻ってきたチーヴリー夫人(ムーア)の出現によって、なにやら雲行きがあやしくなる。かつてのアーサーの婚約者でもあったチーヴリー夫人は、ロバートの「過去の秘密」をネタに彼を脅迫。政界で、自分が投資している運河計画を後押ししろと、ロバートに迫った。その窮地をアーサーに相談するロバート。だが、彼の返事を待ちきれないチーヴリー夫人は、ガートルードにロバートの秘密を暴露してしまう。ショックを受けたガートルードはロバートを追い出し、ロバートはその足でアーサー宅へ向かった。 その晩、アーサーは、ロバートの妹メイベル(ミニー・ドライバー)とデートの約束をしていた。が、ロバートに続き、チーヴリー夫人、そしてガートルードまで家に現われたため、その交通整理に四苦八苦するハメになる。さらに、ガートルードがアーサー宛に手紙を書いたことから、事態はますます混乱。果たして、ロバート夫妻は、この危機を切り抜けることができるか? そして、アーサーとメイベルの愛の行方は? |
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SHIMIZU ★★★(99/11/09 徳間ホール) 僕が苦手な舞台劇の映画化。原作はオスカー・ワイルド。その舞台との比較は舞台通のYAZAKIにまかせるとして。これはシチュエーション・コメディのエッセンスを縦横に駆使し、その取り違えから生まれる男女の心模様を捉えた面白作です。舞台を見ていない僕でも、ついていけます。 映画の惹句が「嘘つきは、夫婦のはじまり」。舞台は1890年代のロンドン。物語の中心にいるのは独身貴族アーサー・ゴーリング卿。演じるルパート・エヴェレットがゲイ・テイストもカムフラージュされる古典的な二枚目ぶり。現代劇より、時代劇のほうが優美さと上品さを増す感じです。彼を軸に3人の女がからむ設定。ひとりは昔、恋人関係にあったが金持ちと結婚したが、いまもアーサーに心に未練があるチーブリー夫人(ジュリアン・ムーア)。彼女がこの劇のスターターで、彼女がある「陰謀」をもってロンドンへやってくるのがことの始まり。2番目がアーサーの親友で政治家のロバートと結婚した聡明なガートルード夫人(ケイト・ブランシェット)。チーブリー夫人の陰謀とはスエズ運河計画に反対するロバートに接近、過去の賄賂事件を暴くと脅迫し、運河への投資を有利に運ぼうという魂胆。そして3番目の女性がアーサーのプロポーズを密かに待っているロバートの妹メイベル(ミニー・ドライヴァー)という布陣。 3人3様、アーサーに対し恋心を抱いているのがミソ。夫の秘密をチーブリー夫人から聞かされたガートルードがロバートと仲違い、アーサーに相談をもちかけ、アーサーの邸宅へやってくる。ガートルードと勘違いした執事によって、チーブリー夫人も招き入れられる。一方、メイベルとのデートの予定もはいっている。アーサーが3人の女を相手に大慌ての一夜が最大の見せ場。部屋と部屋を出たり入ったりしながら、見える相手と見えざる相手がお互いの事情を2転3転していく演出は、エルンスト・ルビッチ監督が得意にした演出。ここでは3人の女優たちの共演が見もの。 アーサーとの不倫の愛を予感する感じのブランシェットの女心の乱れ、ねっとりと迫るムーアの媚態、そして強さを秘めたドライヴァーの純愛。それぞれ持ち味を十分にいかしながら、サブキャラのアーサーの親父、ガートルードの夫である以上にアーサーの前ではメイベルの兄として毅然とした態度にでるロバートたちが物語の取り違えに拍車をかける役回り。でも、ドタバタ調ではなく、人間の整理の仕方がスマートで、英国流の洗練された味わい。ガートルードとロバートの「理想の結婚」も修復され、アーサーも無事結婚へとなだれこむ。きっと、誰も最後にニコリとしてしまうウェルメイドなロマンチック・コメディだと思います。 |
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YAZAKI ★★★(99/11/09 徳間ホール) オリジナルの舞台は、まず一幕目で人物関係と話のお膳立てが紹介され、二幕目でようやくコマが動き出していくという超スローなノリ。これを、数年前にブロードウェイで見たYAZAKIは、一幕の間中、睡魔との壮絶な闘いを強いられたもんであります(隣のアメリカ人のオヤジは、しっかりイビキかいて寝とったぞ)。なんて苦い経験があったため、試写の前は「寝ちゃったらどうしよう?」と、ドキドキ。でも、ルパート・エヴェレット演じるグータラ貴族のお目覚めシーンで始まる映画版は、最初から最後まですこぶる快調なテンポ。『恋におちたシェイクスピア』に通じるモダンで洗練された語り口に、見終わったあと、「ああ、面白かった!」という言葉が素直に口をついて出てきました。 この物語の妙味は、男ふたりのポジションの逆転劇にあります。男のひとりは、末は首相か大臣かと噂される議員のロバート(ジェレミー・ノーザム)。誠実でマジメで人望が厚い彼は、美しく聡明な妻のガートルード(ケイト・ブランシェット)と模範的な家庭を築いている。まさに非の打ち所がないパーフェクトなお方。かたやエヴェレット扮するアーサーは、貴族の身分をいいことに放蕩三昧の日々を送るドラ息子。オヤジに「いい加減、身を固めろ」と説教されても、「マジな話は第一火曜日の正午から3時までにしてちょうだい」と受け流し、社交界の行事にうつつをぬかしている。こちらは、ボンクラな二代目を地で行くタイプ。優等生のロバートと不良のアーサー。ふたりは、友達であるのが不思議なくらいの水と油のコンビに見える。 ところが、そこにジュリアン・ムーア演じる悪女のチーヴリー夫人が出現。ガートルードも知らない過去の秘密をバラすぞとロバートを脅し、議会で自分に有利な発言をしろともちかける。一点の曇りもなく見えたロバートのメッキが、メリメリとはがれていく格好。いっぽう、彼に悩みを相談されたアーサーは、親友のピンチを救い、こんがらがる事態を収拾しようと奔走。意外にも、頼れる男っぷりを発揮していきます。 かくなるドラマが、2通の手紙が生むカン違いのエピソードをはらんで展開していくわけですが、これを通じて発せられるのは、「NOBODY IS PERFECT」(誰にでも欠点はあるさ)なるレイドバックしたメッセージ。「理想の夫」「理想の妻」「理想の人間」なんてものは、この世にいるわけがない。誰だって欠点もあればウソもつく。そんな人間同士がうまくやるには、寛容と妥協の心を忘れちゃダメよ、と。ワイルド作品のタイトルにならえば「テキトーが肝心」という、まことに世慣れた人生哲学が、ひも解かれていくわけであります。 主演のエヴェレットから、彼と結ばれるメイベルを演じるミニー・ドライヴァーまで、華も実力もある英国勢で固められた役者陣は、全員が見事に達者な演技を披露。彼らの輪に乱入する異分子のチーヴリー夫人に、アメリカ人のムーアをもって来て、往年のヴァンプ女優っぽい毒をふりまかせたアンサンブルの構成も、絶の妙です。 『オセロ』と同じカロライン・ハリスが手がけた衣装もステキ。とくに、ラペルに飾る花ひとつにも絶大なこだわりを見せるアーサーことエヴェレットのスーツの着こなしは、タメ息がでるほどのスマートさ。立てば貴族、すわっても貴族、歩く姿も貴族の優雅な身のこなしは、やっぱアメリカの役者にはマネようにもマネられない領域だね。 全米公開が1999年の早い時期だったため、残念ながらオスカー・レースのメイン部門には絡んできそうにないけれど、ひょっとしたら衣装やセットでは候補になるかも。コスチューム劇が苦手な人もぜったい楽しめる作品だと思うので、上質のロマンチック・コメディをお探しの方は、どうぞお見逃しなく! |