巡検道
巡検道地図
じゅんけんみち
空白線
巡検道

所在地:八幡市八幡

八幡市民図書館から南へ300メートルほど行くと、左に入る道があります。そこには「巡検道」と刻まれた大きな道標が建っています。ここは「馬場」と「神原」との字界で、巡検道は、ここを起点とし、幅3メートルに満たない道は曲がりくねり、東へと延びています。旧市街地を抜けて大谷川を渡り、田園地帯を下奈良まで、その距離は約2キロメートルです。

古くはこの道を境にして、南を綴喜郡、北を久世郡とした、いわゆる郡界であったと言います。神原町には寝物語古蹟国分橋の碑(郡や村の境を決める際、両方の村から人が出て、出会った場所をその境界とした伝説ですが、寝過ごしたため領域が減ってしまったというもので、このような伝説は各地に残っている)や、その碑の前にかかる「かへらずの橋」(国分橋のこと)があります。いずれも江戸時代以前からの伝承にちなんでつけられたものであると思われます。

『男山考古禄』によると、江戸時代の初め、国郡巡検の役人が図をもって取り調べのために進行し、その案内には郷役人があたったと記しています。江戸時代を通じて神領内における社務家領や僧坊領などは所司・法眼が検見の役にあたり、修理料米などの役米は郷当役が担当しました。さらに社士たちが共有する社米地などは、社士中の当番役が検見や収穫の管理にあたっていました。

巡検道は、その道程の3分の2が田園地帯を通っています。田園には市内ではここだけとなった木の電柱やいろいろな風貌の野小屋 があってとても面白い道です。


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