ザッパ
フランク・ザッパ(Frank.Zappa)

この音楽の超人は、実はあんまり日本では有名ではないアーティストでした。でした、というのは、すでに死去してしまったのです(/_;)。たしか、1993年に前立腺の癌かなんかでなくなったはずです。(今、手元にはそれらしい記事を置いていないので・・・)享年53才のでありながら、晩年のザッパのやつれようはすさまじかったです。しかし、死の寸前まで作曲を続け、現代音楽のコンサートの指揮を執り、マスターテープの編集を行うまさに仕事の鬼を越えたキチガイでした。
ザッパの作った作品の幅は広く、現代音楽、ロック、フュージョン、ジャズ、シンクラビア、オペラなど多岐にわたり、何を聞いたらザッパなのか途方に暮れることでしょう。
現在は、CDショップでは、ザッパのコーナーも縮小されていますが、大きなショップにいけば、ベストが何枚かおいてあるので、そのなかでも、自分の聞いているジャンルから選ぶと良いと思います。(よって、お薦めの一枚はなし!)
しかも、ロックで10年前にやった曲を、現代音楽風にアレンジしたり、別の歌詞を載せて歌ったり、アレンジをガラッと変えたりと、様々な聴き方が可能になります。よって、ある程度、聞き込んで集めて聞くことをお薦めします。〜発売されているCDだけで、70枚以上になっているはずなので、一つのベストアルバムから様々な分岐点が開けていて、その道のりは長く、魅了された人にとっては、一生楽しめるアーティストです。

また、私が聴くことになったのは、某音楽雑誌に、ザッパが死去した記事が載っていたことからでした。その中で、これだけの音楽的な業績を残した人が亡くなったことが惜しいと言うことが書かれていて興味を持ったのが始まりでした。(その雑誌は、辛口で有名でしたが、その時は真摯に、本当に惜しいと書かれていたのが大きな理由でした)
そして、ザッパというアーティストを知らなかったということと、興味から一番はじめに買ったアルバムは、「ホット・ラッツ」でした。いかにも、60年代のロックの音源でありながら、そのころのロックの何よりも斬新で、前衛的な音に私は圧倒されました。繰り返される絶叫やビート、扇動的な音の高まり、高度なテクニックに裏打ちされた、奇妙なリズムやメロディの進行に私はやられてしまいました。そして、長い旅が始まりました。「ジョーのガレージ」では、くねくねと進行する馬鹿馬鹿しいオペラのようなシナリオの進行。あまりにも卑猥で、誰もついていけない学芸会のようなシナリオに、高度なテクニックを要した音楽と、これまた馬鹿馬鹿しい歌詞の内容に唖然とさせられ、「ナイト・スクール」のシンクラビアのこれでもかという、リズムの大波に飲み込まれ、「ジャズ・フロム・ヘル」で、シンクラビア、ロック、ジャズのスリリングな融合を目の当たりにし、「イエローシャーク」で、難解といわれる現代音楽が、こんなにホットで面白いものだと思わせてくれた。などなど、いろいろなアルバムの感想を書いても良いのですが、このように、ザッパは様々な音楽の「面白さ」を提示してくれました。

また、政治的な活動を音楽でも行ったりと、音楽はどこまで人々に影響を与えることが出来るのかそうした実践もした人であったと思います。
しかし、そうした、活動を支えるには、強靱な才能と持続させる勢力を必要とします。しかし、その能力を、活かしてあまりある人でした。また、音楽に関しては、歌詞の過激さ(ホモを罵倒し、カトリックの寄宿舎を馬鹿にし、田舎モノを笑いものにし、商業的なロックを揶揄し、資本家をののしっていたり、対象とするほとんどの人々はなんからの形でどぎついジョークになっている)に苦々しく思っていても、その技術を、作曲能力は誰もが認めていました。ことに、現代音楽では、ストラビンスキーと同列に扱う人までいます。

尽きぬ、自分の理想の音を探し求め、増殖し続けてきたザッパは、結局、どこを切ってもザッパであるという強烈な個性を残して、世を去っていきました。そして、我々に、大きな山脈を残していきました。頂は、天に届いています。

ザッパの関連HPは
△ZAPPA THE MOUNTAIN△音楽山脈フランク・ザッパのページ

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