バルサスの要塞

『バルサスの要塞』
(S.ジャクソン,社会思想社:1985.4.25)
【入手困難】(倒産のため)
円盤人

私が、はじめてゲームブックをした作品です。『火吹山の魔法使い』が戦士で、薬で「運」や「体力」、「技術」を回復させたのに比べ、『バルサスの要塞』は、魔法使いとして、よりバリエーションの富んだオプションが加わっている。「目くらまし」、「骨抜き」など、いくらか戦闘に有利なような仕組みになっていました。 いま、どんなストーリーだったのかは忘れてしまったのですが、「円盤人」に追いかけられたり、 「レプラコーン」に、完熟トマトを投げつけられたり、「ガンジー」に死にそうになったりと覚えています。

追記
『ゲームブックの楽しみ方』(社会思想社)の中で、『火吹き山の魔法使い』では、戦士である君が城を攻略していくのにたいして、バルサスの要塞は魔法使いして乗り込んでいくことをねらいにしています。しかし、この魔法の効果は、それぞれのシチュエーションで違ったものになります。目くらましの呪文を唱えても、成功するかどうかは、サイコロの目ではなく、それが通用する相手なのかどうかとか、ふさわしい場なのかという要素が絡んでいました。
バルサスの要塞は、魔法をサイコロの目や数値として処理するのではなく、描写としていかに魔法がすごいかあるいは無力なのかを表現していました。火の玉の呪文においても、ものすごく効果があったときは、すごかったように描写され、そうでないときは、指からぽっと出た程度に描写されます。そうした意味でも、魔法の効果の面白さを教えてもらったような気がします。あたかも自分が相手に行使したかのような感覚はゲームブックでしか味わえませんね。
なお、2004年頃、別の会社から復刊しましたが、文庫の薄型サイズで800円と高かったです。確かに、あまり売れないことを前提に価格をつけたんだろうけど、どうなんでしょうね。もはやゲームブックは売れないとして細々としてやっていかないといけないんでしょう。もしくは、大々的に売り出していって、再びその良さを世に知らしめていくキャンペーンを打てるのでしょうか。
2006.5.12

目次